金沢のトップジョッキーとして長年活躍してきた藤田弘治騎手が、12月1日付けで調教師免許を取得し、騎手を引退しました。調教師として新たな生活が始まった今、その胸の内を伺いました。
2001年からの騎手生活、長い間お疲れ様でした。11月28日の最後の騎乗はいかがでしたか?
パドックなどでも声を掛けていただき、ファンの方々には感謝しています。性格的にあまり感情が出ないタイプだと思っていたのですが、最後の最後で感極まって泣いてしまいました。あれは想定外でしたね。
レース後のセレモニーの時ですね。
冷静な感じで終わると思っていましたが、皆さんの顔を見て「ありがとうございました」と言おうとしたら、詰まってしまいました。
引退セレモニー
とても感動的な場面でした。これまでを振り返って、思い出のレースをあげるとしたらどのレースですか?
たくさんありますけど、やっぱり2015年にワールドオールスタージョッキーズに出場した時ですね。あの場で乗れたことも夢みたいでしたし、第1戦で勝利することができてとても嬉しかったです。なかなか体験できないことですし、自分はとても運がよかったなと思います。
2015年ワールドオールスタージョッキーズ(札幌)第1戦を勝利
地方競馬通算1512勝を挙げ、JRAでも勝利を挙げ、騎手としてはやり切ったというお気持ちでしょうか?
やり切ったかと言われると、今でもレースに乗りたいなと思うタイミングはありますけど、2月の開業が待っていますから、今はとにかく調教師としての仕事をきちんとしたいということで頭がいっぱいです。いろいろな方々に助けていただいて、騎手生活を全うすることができたので、周りの方々や応援してくれたファンの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。これからは調教師として恩返しができるよう頑張ります。
開業準備で大変だと思いますが、具体的には何をしていらっしゃるんですか?
騎手を引退してすぐに美浦の牧場で受け入れていただいて、研修というか、人脈作りというか、いろいろと勉強をさせていただいています。馬づくりはもちろんですが、その前にスタッフ集め、馬集め、あと馬具を揃えたりと、やることが本当にたくさんあって。騎手時代からお世話になった、美浦トレセン近くのうつみ馬具店に毎日通い詰めて、厩舎カラーを考えたり、どんな馬具を使おうかなど相談しています。今は開業に向けての土台づくりをしているところですね。
現在43歳の藤田調教師ですが、いつ頃から転身を考えていたのですか?
完全に決断したのは、昨年の調騎会の総会の時です。前々から金沢は調教師が少ないという危機感はあったのですが、その会議で具体的にそういう話が出て、このままでは先々やばいぞと。自分のタイミングとも合いましたし、そろそろ本気で目指そうと決断しました。まずは経験のためにも今年最初の金沢の試験を受けて、その後に地方競馬教養センターの調教師講習を受けて、2回目で合格しました。
教養センター騎手課程で同期生だった吉原寛人騎手は、調教師合格について何て仰っていましたか?
「おめでとう!」って喜んでくれました。一緒に乗れなくなる淋しさも少しはありますが、先ほども言ったように金沢は調教師が少なくて危機感を持っているので、吉原君も含めてみんな喜んでくれました。
2月開業というと、金沢競馬はオフシーズンになりますね。
そうですね。金沢の場合、1月は完全にお休みなんですけど3月の開幕に向けて2月から調教がスタートするので、そのタイミングで開業ということになります。これから厩舎を割り当てられて、馬房などの手直しも必要になるでしょうし、開業まではバタバタになりそうです。
どんな厩舎づくりを考えていますか?
まずは働く人の環境を整えていきたいです。厩務員さんたちの働く環境を良くして、みんながうちに来たいというような厩舎になれば、必然的に馬の環境も良くなっていくと思いますし、そうすれば馬主さんたちも喜んでくれるのではないかと。競馬ですから成績は大事ですが、厩務員さんの環境をよくすることで、成績は後からついて来るものだと思っています。
11月28日の最終騎乗は8着だった
では、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。これから調教師として金沢競馬を盛り上げられるよう頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:石川県競馬事業局、浅野靖典、斎藤修)
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