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12月7日、3名の新人騎手がばんえい競馬でデビューした。大友一馬騎手はばんえい初の親子三代騎手として、祖父、父と同じデザインの勝負服をまとう。12月23日現在、5勝を挙げ、人気薄も上位に持ってくる活躍ぶりだ。
素晴らしいスタートですね。練習を見ていた時からきれいなフォームだなと思っていました。あらためて、騎手試験合格おめでとうございます。
いえ、まだまだ下手です。合格については、仕事を教えてくれた厩務員のみんなやアドバイスをくれた騎手、支えてくれた家族のおかげです。感謝の気持ちを忘れずにいたいです。
父は大友栄人調教師、祖父は大友榮司元調教師で、その父は大友栄調教師ということで騎手としては三代目、馬とのかかわりという点では四代目。親子三代はばんえい初です。それでも、馬に触ったのは昨年厩務員になった時が初めてだったそうですね。
小1から大学4年まで、サッカーを頑張っていました。子どものころは4市開催だったこともあり、ほとんど厩舎に行ったことはなかったです。年末年始に集まったり、夏休みは岩見沢に行くくらいかな。小学生の頃、スーパーペガサスの表彰式(2002~05年NARグランプリ・ばんえい最優秀馬)で、東京に行ったことは覚えています。親にも、馬の仕事をしろというようなことは一度も言われませんでした。
それがなぜばんえいの世界に。
関東の大学を卒業してからは北海道に戻って営業の仕事をしていました。そこでお客さまに家族の話をすると「すごい!」と言われ、特に調教師よりは家族が元騎手、ということに驚かれました。自分にとっては当たり前だったのが、特殊な仕事なんだな、と気づいて「挑戦したいな」と騎手を目指し昨年(2023年)6月、厩務員になりました。営業の仕事をしている人はたくさんいますが、ばんえいの騎手は世界でここにしかない、という特別感があります。
ばんえいを知る人が増えたということですね。
昔に比べたら情報発信が増えたので、知っている人は増えたのだと思います。帯広単独開催になり、今では観光地ですからね。
周りは驚いたでしょう。
仲のいい友人には話していましたが、知らない人からは驚いた、と連絡がきました。身内でも驚いている人は多かったです。
騎手になったことは、祖母が一番喜んでくれました。騎手になった姿を見せることができてよかったです。自分が馬の仕事をしないと、馬の家系が途切れることになりますから。
調教師の息子、といっても初めての馬の仕事は大変だったのではないでしょうか。
朝が早いのは最初は大変でしたが、慣れました。楽しさのほうが大きかったです。担当馬が1着を獲ったり、勝つために調教やえさをどうしたらいいかと考えたり、学ぶことばかりです。厩舎に来て、父と話すことも増えました。
それはよかったですね。厩務員時代に思い出の馬はいますか。
コウシュハハイジーは初めて担当した馬でした。最初は言うことを聞いてくれなくて、わがままなところはありましたが、最後のほうはなついてくれて、かわいかった。体の半分くらいをなめてきました(笑)。ハイジーが仕事を教えてくれました。
そして12月7日、デビューを迎えました。その前にはお披露目式もありました。勝負服は、父、祖父と同じデザインですね。
生地の違いで色は少し違って見えますが、同じ勝負服です。初日は地元ということもあって家族や親戚、同級生が来てくれました。
初戦は3R、ブルーサファイアで2着。素晴らしい追い込みでした。
あまり馬との呼吸が合っていなかったです。馬が頑張ってくれました。船山騎手からスタートについてアドバイスをもらったのですが修正できなかったです。緊張して、必死だった感じです。サッカーをやっていたころから緊張してあわててしまうところがあるので、落ち着いて、冷静にレースを進めたいと思います。
2戦目の5R、ミンナノユメヲノセで初勝利です。7番人気でした。その後の活躍も素晴らしいですね。
馬のおかげです。初戦よりは少しは落ちついて乗れました。ゴールした時はわからなかったですが、周りに言われて気づきました。
まだまだ下手です。第2障害を降りてからやペース配分、ハミの当て方など、自分の中でうまくいっていない。まだ経験が浅いので、もっと馬のことを知らないと、と思います。騎手になって、厩務員の時よりも、操作や息づかいなど勉強すること、考えることが多くなりました。これからの日々も勉強です。
憧れの騎手、参考にしている騎手はいますか?
鈴木恵介騎手は憧れです。僕が2歳くらいの時に、会っていたようなのですが記憶はないんです。アドバイスをしていただくこともあります。赤塚騎手も、体型が似ているので参考にしています。自分の身長が163センチなので、(馬に対して)体を大きく見せなくては、と思います。
長年サッカーをされてきたことがプラスになったと感じることはありますか?
忍耐力、でしょうか。営業の仕事もそうですし、キャプテンだったサッカー部時代など、うまくいかないこともある中で忍耐力はついたと思います。礼儀も勉強になりました。
では最後に、オッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
ばんえい競馬が世界でここにしかない、というのはすごいことだと思う。自分もそれが理由で競馬場に来ましたし、それを生で見られるのは魅力です。馬は大きいので、テレビよりも生で直接見た方が絶対いいと思います。足を運んで、見に来てほしいと思います。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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