佐賀の若手の有望株として活躍している田中直人騎手は、昨年はズンダモチとのコンビでS1重賞の九州大賞典を制覇しました。九州大賞典を振り返ってもらうとともに、兄である田中純騎手への思いを伺いました。
まずは、2014年を振り返ってみて、どんな1年だったでしょうか。
最初が良すぎたからですねえ、後のほうで少し乗れなくなったんですけど、まぁ年間を通しては良かったかなぁと思っています。重賞タイトルも勝たせてもらえましたし。
そのズンダモチでの九州大賞典はスローに落としての逃げ切り勝ちでした。調教師さんは「ハイペースで逃げて我慢する競馬もよかったのではないか」とレースの後に仰られてましたが。
いやー、その前走がハイペースで止まっていましたからね。あの時は単騎で行けたから良かった感じはするんですけども。結果論ですからわかんないですが、そんな感じがします。(スローにしたのは)まぁ判断というよりは、他の馬が競ってこなかったんで、って感じですかね。
ズンダモチで制した九州大賞典(2014.11.9.)
そのレースでズンダモチは故障していまいましたが、故障したのはレース中だったのでしょうか?
かもしれないですね。向正面でちょっと歩様が変わってしまったので。その時かなとは思います。
故障していなければ佐賀記念、という可能性もあったのですが、そのまま引退となり、乗馬になられたそうですね。
そうですね。もし無事だったら、という考えだったらですけど、そこはしょうがないですね。(無事乗馬になれたのは)よかったですね。
初重賞勝利はロータスクラウン賞(2011年)のリネンハイブリットでしたが、その前の栄城賞では長田騎手のコスモノーズアートに交わされて2着でした。あのときに「直線が長かったー」と仰られていました。
あー、それは思い出したくないですね。あれだけは忘れられないですね。今でもちょっとやっぱり、申し訳ないなと思うのがあのレースなんで。
ロータスクラウン賞では、4コーナーでまた長田騎手の馬(クールラウンジ・4着)が迫ってきましたが。
あの時は、前とは状況がまた違ったんで、あの馬に交わされることはないなとは思っていたんで、気にしてはいなかったんですが、あとは後ろからどれがくるかな?という感じでしたね。馬が辛抱してくれて助かりました。
ロータスクラウン賞を制したリネンハイブリット
その後のマツノヴィグラス(2013年九州ジュニアチャンピオン)、ズンダモチと(S1)重賞勝ちはいずれも逃げ切り勝ちでした。
それは乗ってた馬が強かった、というだけで。俺はただ乗ってただけなんで、乗せてもらったことに感謝ですね。
お兄さんが田中純騎手ですが、騎手を目指されたときにお兄さんの影響はあったのでしょうか。
そうですね。少なからず自分が見ていたこともありますし、無いといえばウソになりますね。見ていて「いいな」と思ったことは事実ですし、影響はあったと思います。
兄弟ジョッキーということで、レースなどでお兄さんを意識することはありますか。
そこはまた、意識というのは違うかなぁと。でも他の乗り役と比べたら、意識するなら兄貴の方がするかな、というのはありますね。もし(自分が)比べられるとしたら兄貴かな、というのはありますので。
お兄さんが荒尾で乗っていたときと、同じ佐賀の所属になってからでは違いはありますでしょうか。
荒尾で乗っていたときは、まだ自分が騎手じゃなかったんで、意識が全然違って、話が変わってくるんで、そういうことはなかったですね。騎手になって、見方が違ってみて初めて解る難しさもありますし、また「すげーな」と思う部分もありましたね。
今日(2月7日)は、9レース、10レースとお兄さんが1着で直人さんが2着でした。
それはまぁ、たまたまですね。レースの流れもありますしね。
1月に2勝を挙げたエーティーランボーですが。
(1月17日、サイネリア賞の後に)故障してしまいました。一度橈骨を骨折して、そこから復活して頑張ってくれていたのですが。いろいろ助けられましたし、感謝しています。
今乗られている馬で、期待馬というのは
今度うち(井樋明正厩舎)に新しく入ってきたオープン馬(ケージーヨシツネ)がいるんですけど、まだまだ先になりそうですね。期待、ではないですけども、走ってくれればいいなと。コスモウィローは、賞金ゼロから中島記念(8着)に出るまで成長してくれたんで、あの馬から学んだことも多かったですし、助かってますね。A級では相手も強くなって、距離もありますが、まだ成長してくればいいかな、と思っています。
コスモウィロー(2014.11.8.A2戦・1着)
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※インタビュー・写真 / 上妻輝行