今年4月に岩手からデビューした坂井瑛音(えいと)騎手。騎手になるきっかけや、初勝利を挙げてから現在までの心境をうかがった。
初勝利からちょっと時間が経ってしまったので、まずは騎手を目指した理由から聞かせてください。
元々プロスポーツ選手になりたくて野球をやっていたんですけど、小柄な体格だったので、それを活かせる職業だったら騎手はどうだ?と父に教えてもらったのがきっかけでした。それで親と一緒に競馬を見ているうちにだんだん興味を持つようになりました。
何か競馬とか馬に関わりがあったりする家庭だったの?
いえ、全く関係ないです。父が競馬が好きだったもので。
競馬場はどのあたりに見に行きましたか?
大井、中山、東京でした。関東の競馬場はわりと行きました。
それが中学校くらいの頃。それから騎手になるための情報を集め始めた、と。
乗馬にも1年半ぐらいかな、東京乗馬倶楽部に通わせてもらいました。
教養センターでは同期の人数がわりと多かった年ですけど、どんなふうに過ごしていましたか?
自分がちょっとふざけたようなキャラだったので、仲良くやってたんじゃないかなと思います。
言ってみれば東京のど真ん中育ちの"都会っ子"でしょう?それで那須の教養センターで暮らすのってたいへんじゃなかった?
はじめの1カ月はもう本当しんどくて、家に帰りたかったですね。だけど家族が頑張れって言ってくれるから頑張らなきゃなと思いましたし、同期の中でも2年間頑張ろうって励まし合っていました。
学校時代は何が一番大変でした?
お菓子が食べられないことでした(笑)。減量は苦労しなかったですし、食べる量もそれほど多くない方なので空腹が......とかではないのですが、そういうものまで制限されるんだ、って。
では学校時代で一番思い出に残っているのは?
東京ダービー(2023年ミックファイア)を間近に見れたことですね。
2023年東京ダービーのあと、御神本訓史騎手と
あのレースは良かったよねえ。
あの雰囲気ってなかなか経験できないですし。レースで勝った騎手にその場でお話を聞けることもないですし。わざわざ自分たちのために来ていただいて、喋っていただいて。本当に良かったな、いい経験したなって思いました。
さあ、そして卒業が近づいて、岩手を選んだ理由は?
教官からは"お前の雰囲気というか人柄が岩手に合う"みたいな感じで紹介してもらって。自分も上手くなるためにはとにかく騎乗機会が多いところじゃないとダメだと思ったので岩手に決めました。希望を出した時に手を挙げてくださったのが菅原勲調教師で、リーディングの厩舎から声をかけて頂けるなんてそうある事じゃないですし、敢えて厳しい中で頑張ってみようと。
菅原勲調教師と
初勝利は4月22日でしたが、思い出せる?
もうその日は鮮明に覚えています。あのレースは、馬が最後ギリギリよく頑張ってくれました。
その時のコメントを見ると「ゴールして周りからおめでとうって言われたのが凄く嬉しかった」とあります。
ゴール過ぎて走っている時に周りの皆さんに「おめでとう」って声をかけてもらって。確か一番最初に言ってくれたのが(高橋)悠里さんでした。
4月22日水沢競馬第12レース、サンエイブレーヴに騎乗して初勝利
ご両親はなんて言ってました?
まずはじめに「馬券獲ったよ」って(笑)。わざわざ大井競馬場まで紙の馬券を買いに行ったんだそうです。
26戦目だったけど、それまでも結構勝てそうなレースがあったじゃないですか。デビューして2週間ぐらい、もうちょっと......みたいな時の気持ちとか考えは、どんな感じだったんだろう?
そうですね、自分が思ってる以上にレースの中で余裕が持てなくなってた、と思いますね。自分だとなかなか分からないんですけど、(菅原)辰徳さんが「勝ち負けの前にまずしっかりまっすぐ走らせるんだよ」と教えてくれて。それが一番大事なんだよな......と改めて思い直したりして。
実習中とかに、デビューしたらこういうふうに乗りたい、ああいうふうに乗りたいみたいな話をしてたじゃないですか。でも、そう簡単にはできないよね。
はい。現実って難しい。同期の成績も気にしちゃってましたね。同期が先に勝って、焦っているような感じは無いと思っていたんですけど、自分で気付いてなかっただけで、気にしていたんでしょうね。
でも、それがだんだんできるようにはなってきた?
それはまだまだですけど、自分の中では、ひとつひとつ丁寧に課題をクリアしていくだけなのかな、と思っています。
デビューしてから今まで乗ってきて、自分の中で変化があったことはありますか?
変化があったとしたら、レースの中での余裕はデビューした時と今では少しは違うかなと思います。だけど、教えてもらっても改善できてない事ばかりなので、自分でも変えていかないといけないですね。
ところで、水沢でデビューして盛岡でも騎乗したわけですが、乗ってみた感想はどうでしたか。
盛岡は乗っていても(コースが)大きい、直線長いなと感じます。もう少し自分が上手くなれば減量を活かせるコースなのかなと思います。水沢はやっぱりコーナーがきつい。コーナーコーナーでロスなく回るかが重要なコースだと思うので、そこは、ずっと課題になるだろうなと思っています。
5月27日、盛岡競馬場での初勝利(第6レース、メイショウホガラカ)
この先の目標は何になりますか。
まずは頂いた乗り鞍を、チャンスを無駄にしないように大切に乗る事と、自分の今ある課題を1つでも多く克服していくことが今の目標です。
では最後に、オッズパーク会員の皆さんに坂井瑛音騎手からメッセージを。
もっと勝鞍を伸ばせるように頑張りますので、ぜひ馬券で応援してください。
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※インタビュー・写真 / 横川典視
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