スーパージョッキーズトライアル2010にて総合優勝、
見事代表騎手の座を手にした杉村一樹騎手!
赤見:優勝おめでとうございます!
杉村:ありがとうございます。
赤見:今のお気持ちは?
杉村:はい。嬉しいです。
赤見:第1位で門別に来ましたけれども、その時の気持ちはどうでしたか?
杉村:素直に、新聞見てちょっと印が薄かったんで、少しガッカリしたんですけど(苦笑)。
いろいろ話聞いてると、2戦目の馬がちょっと良さそうな感じだったので、頑張ろうと思いました。
赤見:そして3戦目ですけど、実際レース終えて、ポイント的に下になってしまいましたけれども。
杉村:やっぱダメなのかなって、半分諦めてたんですけど(苦笑)。
赤見:4戦目は、本当にかっこいい勝ち方でしたね!
杉村:本当に馬が、よく頑張ってくれたと思います。
赤見:4コーナーを回って来る時は、どんなお気持ちでした?
杉村:3戦目乗って、直線が長かったんで、ある程度ゆっくり入ろうかなという感じでした。
赤見:直線では、優勝が頭をよぎったんじゃないですか?
杉村:そうですね。もう後ろは来ないことを祈りながら追ってました。
赤見:3年前に、最終戦で1位から2位になってしまった経験ありましたけれども、あの時と比べては?
杉村:そうですねぇ、まぁいい経験になったんで、同じ失敗をしないように気をつけたつもりです。
赤見:今年は府中でWSJSが行われますけれども、府中は初めて?
杉村:そうですね、はい。小倉以外は乗ったことないので、すごく楽しみではありますね。
赤見:世界のスーパースターが集いますけれども、どんなレースをしたいですか?
杉村:先輩の赤岡さんのように、1つでも勝てればいいなと思います。
赤見:今日の優勝賞金が50万円ありますが、何に使うか決めましたか?
杉村:最近車買ったので、そっちの方に充てたいなと。
赤見:現実的な(笑)。
杉村:そうですね(笑)。
赤見:それでは改めて、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
杉村:なんとか勝つことが出来て、本番にも行けるので、応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 赤見千尋
2009 年、荒尾競馬所属のリーディング ジョッキーに輝いたのが、杉村一樹騎手。 最近は佐賀競馬場での騎乗も多く、九州地 区でも山口勲騎手に次ぐ2 位を確保してい る。今後もさらなる活躍が期待される若き リーダー。その素顔に迫ってみた。
杉村騎手は1996 年が初騎乗。デビュー の地は中津競馬場だった。
中津では仕事の量が多かったですが、そ のぶん得るものも多かったと思います。また、 有馬澄男騎手(現兵庫所属)、尾林幸彦騎 手(現荒尾所属)などスゴイ人ばかりでした から、見ているだけでも勉強になりました。 その当時に中津で培った経験や技術が、今 になってすごいアドバンテージになっている と感じます。ただ、荒尾に移籍した最初の ころは、よく注意されましたね。中津の場 合は差し馬だと早めに仕掛けないと届かない んですが、荒尾で同じことをすると、最後ま で脚いろがもたないんです。
徐々に上がってきたころに、杉村騎手をアクシデントが襲った。
2004 年に転倒した馬に潰される形で右 手首を骨折したんです。3カ月くらい仕事は できないし、日常生活でさえ大変な支障が ありました。もう、治るのをひたすら待つし かなくて、どうしようもなかったですね。でも、 その時期に第三者的な感覚で競馬を見られ たことがプラスになったと思うんです。競馬 にどっぷり浸かっている生活では、気付か ないこともありますから。
骨折からの復帰後は違和感も不安もあっ たというが、それは時間が解決するもの。そ の後の成績は急上昇を遂げ、2007年以降 は年間100 勝以上を継続している。
成績が上がってきた理由ですか? 自分なりに考えると、道中で馬に楽をさせてあげ られる時間をうまく作れるようになったから かなあ。今は、騎乗した馬がいちばん気持 ちよく走れるような乗り方にすることを心が けています。走るのは馬ですし、自分が気 負ってもしょうがないですからね。でも地方 競馬の場合は、空気みたいな騎乗では勝負 になりませんから、気合が必要なときは馬の 首を容赦なく押しますよ。
そのたくさんの勝利のなかで、筆者の印 象に残っているのがレッドエンゼルで勝利し た2010 年の門松賞。大出遅れから大まくり を決めて圧勝した、破天荒なレースだった。
出遅れた時点で腹をくくって後ろから行く しかなかったですからね。スタンド前では お客さんの怒鳴り声も聞こえました。大本命 (単勝1.4 倍)でしたからね(苦笑)。それで も向正面の入口で外に出したら勢いがすごく て驚きました。あれはぼくのなかでも会心の 勝利のひとつに入りますね。
さらに今年は久々にJRAでの騎乗も果た した。
いやあ、6 年ぶりですからね。緊張感より ワクワク感のほうが大きかったかな。「芝って どんなんだったっけ?」と思い出したりしな がら。そういった意味でも、JRA 認定戦は すごく重要です。ホッカイドウ競馬みたいに 数も多くないですし。もしかしたら、認定戦 のレース前は重賞より緊張するかもしれませ んね。
そのように成績が上がってくると、さまざまな経験や刺激を受ける機会も増えてくる。
確かにそうなんですが、基本的にあまり 欲がないんですよね......。子供のころ、通 知表に「楽観的すぎる」とか書かれたことも ありますし。
ただ、チャンスがあれば他地区への遠征 も考えたいと思っていますよ。そう思った最 初のきっかけは、2007年にスーパージョッ キーズトライアル(SJT)に出場したときの 第1ステージ(札幌競馬場)。そのときに乗っ たのが新聞紙上で印がほとんどないような 馬なのに、乗り味が荒尾の上位の馬よりよ かったんですよ。それがすごい衝撃でした。 そのSJT では最後に逆転されて2 位になっ てしまいましたが、今になって考えると、そ の当時は競馬に対しての勉強が足りていな かったのだと思います。
その翌年、地元でレソナルというJRA か らの転入馬に乗って、スピードが出ている 感じが全然しないのにレコード勝ちしたんで す。そんな感覚は初めてでしたし、世の中に はこんな強い馬がいるんだと、本当にビック リしましたね。と同時に、もっといい馬に乗 りたい、もっといい馬の背中を知りたいと思 うようになりました。
8月14日には今年2 度目のJRA 騎乗を果 たし、エキストラ騎乗の未勝利戦で、JRA で初の掲示板内(15 番人気5 着)に入線。 今の勢いなら今後の活躍の場はさらに広 がっていくに違いない。
これからもいろいろ経験させていただける とは思うんですが、個人的な目標とか人生 設計というのは、ほとんどないんですよね。 実際、優柔不断なところもありますし。ただ、 地元以外の競馬を体験させていただけるよ うになって、上を目指したいという思いは強 くなってきました。そんなに甘くはないでしょ うが、JRAとか(笑)。3 〜 4 年前、オース トラリアに1カ月ほど修業に行こうと思ってい たんですが、荒尾の開催日程の関係で行け なくなってしまったんですよね。そういうこと も含めて、いろいろと考えていきたいと思っ ています。
子供のころから両親に「将来は騎手にな れ」と言われてきたという杉村騎手。しか し彼が育った地、高知県中村市(現四万十 市)では競馬のテレビ中継もなく、「中学3 年のときに近所の休養馬の牧場で馬にさわ るまでは、競馬なんて見たことがなかった」 とのこと。さらには「両親も競馬を見たこと がなくて、実家で経営している店の関係で 馬主さんと知り合いになって、その人からの 情報だけでぼくに騎手を薦めたんです」と いうのだから人生とはおそろしい。
「勝負服は当時強かったスキーキャプテン のものを参考にしたんですが、そのときはあ んなに有名な馬主さん(社台レースホース) の勝負服だなんて知らなくて」
しかし今や九州地区の上位ジョッキー。"デ ザイン負け" にならないくらいの大仕事を やってのける日も、それほど遠くないのかも しれない。
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杉村 一樹(荒尾)
1978年3月19日生まれ うお座 A型
高知県出身 工藤榮一厩舎
初騎乗/ 1996年4月6日
地方通算成績/ 7,947戦977勝
重賞勝ち鞍/門松賞、荒炎賞、肥後の国グランプ
リ、中津ダービー(中津)、アラブチャンピオン(中津)
服色/胴黄・黒縦縞、そで赤
※成績は2010 年8月18日現在
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(オッズパーククラブ Vol.19 (2009年10月~12月)より転載)