オッズパーク地方競馬応援プロジェクトで現在兵庫に在籍するのは2頭。マジックカーペット(牡4)は2016年園田ジュニアカップと2017年菊水賞、コーナスフロリダ(牡3)は2017年園田ジュニアカップを制覇し、世代を代表する重賞ウィナーとなっている。マジックカーペットは昨年6月に骨折・休養に入っていたが、いよいよ復帰に向け帰厩したということで、両馬を管理する田中範雄調教師に現況を聞いた。
デビューから7戦無敗ながら昨年6月、兵庫ダービー直前に左前脚の管骨亀裂骨折が判明し休養していたマジックカーペットがいよいよ帰厩したそうですね。
はい、4月14日に戻ってきました。骨折が判明した時は本当に残念でしたし、会員の皆さんには申し訳なかったです。当時500kg前後の馬体でしたが、今は成長して540kg。風格が全然違います。肩に幅が出て、完成された感じですね。実は去年の暮れに帰厩させようかとも考えたのですが、寒い時期は脚に入れているボルトに違和感を感じるのでは?と思い、暖かくなるまで待たせていただきました。私の経験上、ボルトが入った状態で寒い時期から使った馬はこれまで成功していないんです。会員のみなさんには長い間お待たせしてしまいましたが、おかげさまでとてもいい状態で帰ってきました。
帰厩したマジックカーペット
実際に見せていただいて本当に風格がありますし、背も高くなったように感じます。復帰戦など具体的なことは決まっていますか?
長い距離で復帰させたいですね。テンからスピードを要求される1400mは脚元に負担がかかります。しかし長い距離ならばスタートから前半は3割の力で行き、ある程度加速したところから後半800mで競馬をしていけば脚元にも負担がかかりにくいのではないかと考えています。兵庫ダービー前の骨折した時のあの嫌な感じが今でも忘れられません。あれは自分の不始末です。ですから、マジックカーペットには何か残してやりたくて、兵庫の無敗記録を作ってあげたいですね。復帰は条件戦からのスタートになると思いますが、オープンのA1まで上がってもいきなり重賞には使わずに、できるだけ連勝記録を伸ばして、斤量を背負わないといけないくらいポイントを稼いでから初めて重賞に出走させようかと考えています。
現3歳世代にはコーナスフロリダもいます。菊水賞は1番人気ながら4着。何かあったのでしょうか?
レースからあがってきた時の歩様がちょっとおかしかったんです。時間が経つにつれて歩様も戻り、レントゲンやエコーの結果、骨にも異常はないんですが、右脚内側の靭帯が腫れていました。何度もレースVTRを見て私なりに考えた結果、スタートして最初のコーナーで同厩舎のイチノフリオーソと接触し、そこで痛めたのではないかなと思います。実際、イチノフリオーソは右脚の外側を4針縫う怪我をして帰ってきているので。そんな状態で1周回ってきているので、伸びなかったのかなと。向正面でまくっていく感じもいつもと違いましたし、そうでないと4着なんて考えられません。7割のデキだった前走と違い、今回は最終追い切りで古馬とビシッと併せ馬をしてかなりいいデキでした。なんぼ悪くても2着には残らないといけないんですが......申し訳ございません。
園田ジュニアカップ(2017年12月31日)を制したコーナスフロリダ
写真:兵庫県競馬組合
それは不運でしたね。しかし、コーナスフロリダはまくっていく時の脚がすごいですね。
この馬のええとこは、平均ペースで長く脚を使えるところです。スタートはゆっくりですが、長距離ならば上がり4ハロンをどう走るかだけで、どの位置にいるかは関係ありません。コーナーを1つ回る度にポジションを上げればいいんですから。2戦目以降1700m中心に使って、そういう競馬を教えています。
菊水賞から4日が経ったところですが、今後の見通しはいかがですか?
今は安静にしています。どのくらいで治るか現時点では分かりませんが、問題なければ兵庫ダービーには間に合うのではないかと思います。そこから逆算して1レース使うことも治れば考えていますが、絶対に大丈夫とはまだ言えない状況です。装蹄師と相談して、痛がっている内側が少しでも楽に歩けるような蹄鉄に替えたりしています。
ここまでお話を聞いていて、田中範雄調教師の経験に裏付けされたお話がとても印象的です。通算1883勝(4月18日時点)、兵庫リーディングにも2004年、2014年に輝いています。改めて経歴を教えていただけますか?
父も兵庫で調教師をしていました。若い頃は遊んでいたんですが、20歳で父の厩舎で厩務員として働き始めました。その後、別の厩舎でも働きましたが、担当するのは脚が腫れている馬とかが多かったので、父にどうしたらいいか教えてもらいました。当時は進上金がよくて、若い頃やからね、遊ぶ金が欲しくて(笑)。「治せばなんとかなる」という発想で、どうしたらレースで結果を残せるかを考えていました。父が亡くなった後も、母から「腱の時は温めたらラクやからお父さんは温湿布しとったで」など教えてもらいました。
ここまで重賞52勝。マジックカーペットやコーナスフロリダでもさらに重賞制覇を期待しています。
長く使いたい馬は長距離で、と思っています。マジックカーペットも脚元のことがあるので長い距離で長く走らせたいですね。コーナスフロリダも治ればやれると思います。マジックカーペットも帰ってきたので今年は厩舎にエアコンを2基増設予定です。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大恵陽子
2002年のデビューから17年目の今年、通算1000勝を達成した柿原翔騎手。今年1月から騎手会会長に就任した32歳が、これまでの騎手生活を振り返り、ファンに向けて熱いメッセージを送った(インタビューは3月29日)。
1000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。でも、本当は昨年中に達成しておかないといけなかったと思っています。昨年暮れから年明けにかけて、どこがという訳ではないんですが、リズムが狂うというか、乗れないところがあって、難産の末での達成でしたね。
記録を意識して硬くなりましたか?
記録はいつかは達成されるので、全然意識はしてませんでしたし、達成前と達成後で変わったところもありません。ただ、デビューから1000勝まで長かったですね。今、振り返っても、勝てるレースを落としたことも多いので、まだまだだし、やっぱり、もっと早く達成しないとだめでしたね。
では、競馬との出会いから今までを振り返ってもらえますか。出身は和歌山県とのことですが
父が競馬が好きで、京都や阪神に連れて行ってもらった影響で競馬が好きになり、騎手になろうと思いました。教養センターに入ってから、センターの紹介で今の藤ケ崎一男厩舎の所属になりました。
教養センターの同期生には誰がいますか?
今、名古屋で一緒に乗ってる山田(祥雄)が同期です。名古屋に来る前は福山で乗ってましたが。南関には2人いて、船橋の庄司(大輔)と川崎の増田(充宏)。佐賀の小松(丈二)に園田の松本(幸祐)。派手さはないですが、地道に頑張ってるタイプが多いですね。
勝負服(胴桃・白ダイヤモンド、袖桃・青縦縞)はデビューから同じですが、決めた経緯は?
他の人の勝負服は師匠の現役時代のデザインを継いだり、厩舎のカラーを入れたりとかありますが、僕の場合は特になくて、自分の好きな色や絵柄を選びました。長年着てますから、愛着はあります。
思い出の馬やレースは?
重賞を勝っているホウライジェントル(12年兼六園ジュニアカップ)とテキサスイーグル(08年名港盃)になるんでしょうか。ホウライジェントルは金沢で重賞を勝ちましたが、こちらでは惜敗ばかりで、特に東海ダービーは逃げて3/4馬身差されての2着で悔しかったのが印象に残ってます。テキサスイーグルは初めて中央に参戦した馬。中央はこちらより多頭数で流れも全然違って、思うようなレースがなかなかできない。でも、それを知るきっかけをくれた馬でした。
得意な脚質とかは?
折り合いをつけて、脚をためて抜け出して勝つのが気持ちいいですね。先行有利の名古屋では、なかなか決まりませんが、差して勝つのが決まった時は最高ですね。
10代から20代前半にかけての頃と今とでは変わったところは?
最近は馬を信じて乗れるようになってきました。力のある馬なら普通に乗ったら走るし、勝てると。人間があわてても仕方ないんだと。若いころは、あわてるところがありました。
プライベートについてですが、競馬のない日はどんなふうに過ごしてますか?
お酒を飲むのが好きなので、家でも外でも飲んでます。名古屋のジョッキーは半数以上が飲むのが好きですから、みんなとよく飲みます。中でもよく飲むのは今井(貴大)、友森(翔太郎)、村上(弘樹)。よくツルみます(笑)。
今年は3歳のクルセイズスピリツで2度中央へ遠征しましたが、春はどういう路線になりそうですか?
今年の三冠路線にはサムライドライヴという次元の違う馬がいるので、まともに走っても太刀打ちできません。まずは笠松の新緑賞(SPII、1600メートル、4月4日)を目指します。
今後の目標は?
やはり中央で勝ちたいですね。まだ勝ってませんが、1度勝てば、中央の関係者からの注目度も変わりますから、エキストラ騎乗も増えると思いますので。
最後にオッズパークのファンに向けて一言お願いします。
最近の売り上げ好調の理由がオッズパークさんなどのネットによる投票ですので、ファンの皆様には感謝しかありません。もちろん、ネット投票も大歓迎ですが、1月から就任した騎手会長の立場から言わせて頂くと、やっぱり場内でも見てもらいたいですね。騎手はみんな、今日はお客さんがたくさん来ているなとかコースからスタンドを見ています。たくさんお客さんがいると、いいところを見せたいとモチベーションも上がります。ジョッキーみんな頑張ってますので、ライブ観戦にも来て下さい。よろしくお願いします。
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※インタビュー / 松浦渉