今年3月限りで廃止となった福山競馬から、笠松競馬へと活躍の場を移した池田敏樹騎手にお話しを聞きました。
坂本:笠松に来てしばらく経ちましたが、慣れましたか?
池田:だいぶ慣れました。
坂本:笠松の雰囲気とかはどうですか?
池田:そうですね、関係者の方々に優しくしていただいて、とてもいい感じです。
坂本:聞くところによると、笠松は移籍候補地の第一希望ではなかったそうですが?
池田:まぁ、そうですね。ただ、家族といろいろ話をした結果、笠松に来ることに決めました。
坂本:家族の皆さんは、こちらにはまだいらっしゃっていない?
池田:そうです、まだ来てないです。夏前くらいにはこっちに来る予定です。
坂本:それまでは単身赴任ということですね。
池田:そうですね。
坂本:さみしくないですか?
池田:いや...まぁ...子供の顔があんまり見れないのはさみしいですね。でも、電話ではちょくちょく声を聞いてるので。
坂本:名古屋でも騎乗していましたが、池田騎手はどちらが乗りやすいですか?
池田:福山と違って、どちらも馬場が広いんで、乗りにくいという感じはないです。
坂本:ファンとの距離感という点ではどうですか?
池田:そうですね、みなさん声をかけてくださって、優しいですよね。
坂本:新天地に移って、今後の目標を聞かせてください。
池田:ひとつでも多く勝ち鞍を重ねて、ファンのみなさんや関係者のみなさんのご期待に沿えるようがんばりたいです。
慣れない土地で新たなスタートをきった池田騎手。今後、どんな活躍を見せてくれるか、楽しみです。
-------------------------------------------------------
インタビュー・写真 / 坂本千鶴子
福山競馬一筋で2200勝以上を挙げたベテラン・渡辺博文騎手が、この4月から新天地の佐賀競馬場で騎乗を始めています。福山競馬が廃止されたときの心境や、佐賀競馬の印象についてうかがいました。(取材は4月20日)
斎藤:佐賀に移籍して2週目ですが、慣れましたか?
渡辺:なんとなくやけど、まだちょっとわからん部分も多いかな。でも福山よりはぜんぜん乗りやすい。福山はコーナーがきついし、内を閉めて回るんで、内にハマッたらもう出られない。こっちはコースが広いし、乗りやすいです。
斎藤:そういう意味では、福山からは10名のジョッキーがいろいろな競馬場に移籍しましたが、どこに行っても乗りこなせるんじゃないですか。
渡辺:福山の場合はスタートで半馬身遅れたら、もう致命的なんですね。ここ(佐賀)なら半馬身くらいならすぐに取り返せる。それくらい福山のスタートはきつかったです。スタートから折り合いを考えて行けるんで、テンからビシバシ行くレースは少ないですね。
斎藤:すでに重賞でも、そこそこ人気の馬に乗っていらっしゃいますね。
渡辺:そうですね。ちょっとまだ馬のレベル的なことがわからない部分があるんですが、いい馬には乗せてもらっています。
斎藤:福山競馬のことをお聞きしたいのですが、廃止が決まってから、実際に廃止になるまでの心境は......。
渡辺:それは言葉に表すことができないですね。長く騎手をやってきたというのもあるし、思い入れがありますから。3年ほど前に亡くなったんですが、父が厩務員やってたし、兄も騎手だったんです。ぼくが騎手になったのは、その影響が大きいですね。いろんなことがこみ上げてきました
斎藤:福山で思い出に残っている馬は?
渡辺:特別にこれというのはいないんですけど、ミスターカミサマですかね。ファンも多かったしね。絶対勝たないといけないレースで、ちゃんと勝ってましたから。引退したあとも(地方競馬)教養センターにいることは、噂には聞いていました。
斎藤:印象に残ってるレースはありますか。
渡辺:福山ダービーを勝てなかったことですね。27年間乗ってきて、結局1度も勝てなかった。重賞は、それこそほとんどというくらい勝ってるんですけど、ダービーだけは......。
斎藤:佐賀への移籍は、所属している柳井宏之調教師と一緒でした。
渡辺:そうです。特に佐賀とのつながりはなかったですが、調教師さんと一緒に移籍ができる可能性があったのと、なんとなく佐賀に来てみたいというのがありました。
斎藤:ご家族はどうされていますか。
渡辺:子供は3人いるんですけど、一番下の子も福山で就職が決まって、3人とも社会人になっています。で、家内はついてきたいということで、何の心配もなく2人で佐賀に来ました。
斎藤:これまで佐賀競馬場で乗ったことは。
渡辺:西日本アラブ大賞典には、第1回(91年3月)にイケフジキング(5着)で来て、たしか3回か4回くらいは乗りに来てると思います。
斎藤:福山の騎手では、15人中10人が移籍しましたが、他のジョッキーの活躍とかは気にされていますか。
渡辺:はい、やっぱりチェックはしてますね。楢崎君が最初に勝ったレースは見ました。ぼくが佐賀で最初に勝ったときは、メールがたくさん来ました。騎手をやめて競馬を離れてるんですが、騎手会長だった黒川君からは、勝ったあとすぐ来ましたよ。やっぱり見ててくれてるんだなって、うれしかったです。
斎藤:福山から厩舎で連れてきた馬はいますか。
渡辺:今のところ6頭来ていて、全部で12頭来る予定です。転入時の格付け条件があまりよくないみたいで、通用するかどうかはわからないですけど、それでも馬場に合うか合わないかもあるんで、そこには期待しています。
斎藤:佐賀で競馬が続けられるということでは安心しましたか。
渡辺:この仕事をやるからには、現役にこだわりたいというのがあるし、あと何年乗って調教師になろうとかも思ってないし、乗れるだけ乗って、そのときになったら調教師になりたいと思うかもしれないけれど、それはまだぜんぜん考えてないです。今はただひたすら乗るだけです。福山で獲れなかったダービーを佐賀で獲りたいです。
斎藤:最後に、ネットで見てくれているファンへのメッセージをお願いします。
渡辺:現場で乗っているぼくらは、あんまり感覚がないんですけど、それでも遠くのファンの方から、たくさん手紙とか写真とか送ってくれるんで、ああ見てくれてる人はたくさんいるんだなあ、ありがたいなあと思います。
-------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 斎藤修
名古屋競馬場に、3人目となる女性ジョッキーが誕生しました。木之前葵騎手です。
デビューが1開催遅れたものの、2日目に初勝利を挙げると、1日1勝のペースで開催中3勝をマーク。明るく素直で誰からも愛される、そんな印象の木之前騎手に、騎手になっての感想などを聞きました。(取材は4月18日)
坂本:今日でデビュー3日目ですけど、今、どんな気持ちですか?
木之前:ん~、もっときれいなレースをしたいです(笑)
坂本:初日(4月15日)の第2レースで名古屋競馬デビュー、初騎乗だったわけですが、まずパドックに出てきたときの感想を教えてください。
木之前:今まで外から見ていた風景を、実際中に入ってみると『ああ、騎手になったんだなぁ』っていう実感が湧いてきました。
坂本:パドックの騎手待機室の中では、先輩騎手から何か言われましたか?
木之前:『とりあえず、まっすぐ走れよ』って言われました(笑)
坂本:騎乗命令がかかって、馬に跨りました。そこから見た風景というのもまた感じました?
木之前:そうですね、視界が全然違うし人もたくさんいたので緊張しました。
坂本:当日は、取材カメラも入ってました。
木之前:それはあまり気にはならなかったですけど、『人が多いなぁ』とは感じましたし、びっくりしました。
坂本:パドックでのお客さんからの声援は聞こえました?
木之前:はい、聞こえました。『落ちるなよ』とか『がんばって』とか。でも、その声援で一番心に響いたっていうか、ファンの声が聞こえたのが、初勝利したときが一番、観客席から聞こえてうれしかったです。
初勝利はデビューから9戦目
坂本:初勝利(17日第5レース)は、ご両親がみえてる間に挙げたかったですね。
木之前:そうですね。その前の第2レースでもっといい騎乗ができたら勝てたのに、それについてはすごく悔しいし、初勝利の勝ち方もまだまだ型にはまってないレースなので、もっとよくしていきたいなと思います。
坂本:勝った瞬間はどんな感じ?
木之前:『勝ってしまった...』(笑)。あれ?勝っちゃったなぁみたいな感じですね。
坂本:うれしかったですよね?
木之前:そうですね、うれしかったですけど、騎乗があまりちょっと......なので、100%は喜べないです。もっと内容をよくして、きれいなレースとかっこいい騎乗をスタイルにしていきたいです。
坂本:厩舎の先輩でもある大畑騎手からは、アドバイスとかいろいろ受けてるみたいですね?
木之前:一緒に走る馬の特徴とか、どういう展開になりやすいとか教えてもらって、私の乗る馬っていうのも大畑さんが乗ってた馬が多いので、その馬の特徴なども聞いてますし、『ま、とにかくまっすぐ走らせろよ』というのは言われてます(笑)
坂本:じゃあ、今はとにかく馬をまっすぐ走らせるということを意識して乗ってる?
木之前:そうですね、コーナーとかもまだ膨れてるので、もっとよくしていきたいです。
坂本:では、今後の目標ですが...?
木之前:とりあえず、きれいなレース(笑)。あと、かっこよく乗ることです。
坂本:もうひとつ、数字的な目標......といってもはっきりとは言えないですよね?
木之前:ん~、減量を自力で減らしていきたいです。
坂本:では、ファンの方々に向けて一言。
木之前:まだまだ足りない面が多いんですけど、応援していただくととてもうれしいです。よろしくお願いします。
馬場入場の際、ものすごい勢いで飛び出して行ったり、内柵に突っ込んでいきそうになったりと、関係者をヒヤリとさせる場面もまだまだある木之前騎手ですが、レース後には先輩騎手にアドバイスをもらい、また、レースの内容などをノートに記すなど勉強熱心なところも。そういった姿勢を、所属先である錦見調教師だけでなく他の調教師も高く評価しており、今後の活躍に期待したいですね。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 坂本千鶴子