7月27日(日)のメインは重賞・第13回北斗賞。今季ここまでの3歳(4歳)以上による重賞は牝馬限定戦を除き2戦、ばんえい十勝オッズパーク杯(4月27日)、旭川記念(6月22日)ともに別定戦でしたが、このレースは800キロ(牝馬780キロ)の定量戦で行われます。ばんえい十勝オッズパーク杯の覇者カネサブラックや、同レースと旭川記念でともに僅差3着に入ったマルミシュンキの名がないのは寂しいですがそれでも強豪8頭が揃いました。
ここはナリタボブサップに期待します。ばんえい十勝オッズパーク杯はカネサブラックとの一騎打ちとなり2着、旭川記念は障害先頭から押し切る盤石のレースで優勝。前走のオープン戦で今季初めて連対を外しました(4着)が、高重量戦は障害巧者のこの馬にとって有利。今季5戦して、今回のメンバー中で先着された馬はおらず、重賞連勝が濃厚です。
このレースを2連覇中のミサイルテンリュウは、カネサブラック、ナリタボブサップ、マルミシュンキら若い世代の台頭もあり今季はここまで未勝利です。とはいえ旭川記念では、離れた障害クリアから4着と見せ場は作るなど、9歳になった現在もそれほど力落ちは感じません。メンバー的に楽になった今回は好勝負に持ち込めるはずです。
牝馬フクイズミは、旭川記念、続く前走白夜賞(芦毛馬選抜)ともに後方から鋭く追い込んで差のない2、3着に健闘しています。このところは課題の障害も安定しており、第2障害での苦戦が響き最下位だった昨年の雪辱を期したいところでしょう。
面白そうなのは5歳馬ホクショウダイヤ。同期に世代限定重賞3勝のマルミシュンキがいたため日陰の存在ですが、決め手ではオープン一線級に入っても見劣りしません。ばんえい十勝オッズパーク杯では僅差の4着、前走七夕特別では古馬オープン特別初制覇と勢いがあり、初の800キロでも楽しみがひろがります。
負担重量800キロなら、ばんえい記念2連覇など高重量戦で持ち味を発揮するトモエパワーにもチャンスがあるかもしれません。
出走表はこちら
【参考レース】
07/7/2207年度北斗賞(勝ち馬:ミサイルテンリュウ)
4/27ばんえい十勝オッズパーク杯(2着:ナリタボブサップ)
6/22旭川記念(勝ち馬:ナリタボブサップ)
浅田達矢騎手が、7月21日(祝・月)の第9レースをイサムフジで制し通算100勝を達成。05年1月のデビューから1010戦目にして区切りの勝利となりました。今年6月14日第11レースではギャンブラークインで古馬オープン初勝利を飾っており、今後は重賞制覇が目標となるでしょう。
7月27日(日)のメインレースは重賞・第16回北斗賞です。この日はトゥインクルレース開催中の大井競馬場で、北斗賞の場外発売(ふるさとコーナーでは全レース発売)が行われます。その大井競馬場では、『ばんえい十勝 in TCK』と題して、矢野吉彦アナと競馬キャスター梅田陽子さんのトークショーや、十勝うまいもん☆抽選会などのイベントが行われます。お近くの方はぜひお越しください。
なお7月25日(金)は、全11レース制で行われるため、第1レースの発走予定時刻がふだんより30分繰り下がり15:00となっております。ご注意ください。
7月25日(金)のメイン第10レースは入道雲特別(400万円未満)。
今年3月に3歳重賞・イレネー記念を圧勝したオレワスゴイが400万円条件に昇級してきました。近2走の400万円未満特別で2、3着と活躍しているイッスンボウシと300万円条件で差のない競馬をしていた実績があることから、昇級初戦でも好勝負が期待されます。3歳馬の20キロ減も有利でしょう。
イッスンボウシは、安定した障害力が最大の武器。昇級3走目の今回はクラス慣れが見込め、勝利をうかがう勢いです。
実績上位なのはグレートサンデー。前開催の文月特別(400万円未満)は1番人気を裏切り9着も、障害しだいでは巻き返してきても不思議ありません。
決め手あるシンザンウィーク、キングファラオも争覇圏でしょう。
7月26日(土)のメイン第11レースは虹色特別(500万円未満)。
注目したいのはバンゼン。ここ3走の500万円未満特別は馬場水分4.5〜7.6%のスピード馬場で行われました。障害で差をつけ押し切る同馬にとってはやや不利な条件でしたが、それでも4、3、2着に健闘しています。今週も中間雨が降りましたが、レース当日は晴れが予想され馬場は前回より乾きそう。今季初勝利の期待をかけたいところです。
相手は、ともに今季500万円未満特別(混合戦含む)で2勝を挙げ実績上位のハマナカキング、トカチタカラが有力でしょう。
予想以上に時計がかかる馬場状態なら、こちらも登坂力上位のライジングサンや、前開催の白夜賞(芦毛馬選抜)を制し昇級初戦となるトウリュウの上位食い込みもありそうです。
7月27日(日)のメイン第11レースは、重賞・第16回北斗賞(20:00発走予定)です。このレースは別掲の北斗賞プレビューをご覧ください。
この日の第7レースに2歳-A1戦が組まれています。
前開催の2歳-A1戦は、先頭で障害を越えたキンノカミが、3番手から猛追したホクショウバンクを半馬身退けて優勝しました。今回はこの2頭と、前開催は出走を回避したタワノアヤカによる三つどもえでしょう。
今週は7月19日〜21日、土・日・月曜の3日間開催となっておりますのでご注意ください。
21日(祝・月)は「JRAジョッキーDay」です。昨年も好評を博しましたが、今年は、安藤勝己、石橋守、勝浦正樹、四位洋文、武幸四郎、藤田伸二、松岡正海の7名(予定)のJRA所属騎手が帯広競馬場に来場し、エキシビジョンレースへの騎乗、レース協賛、メインレースの表彰などを行います。
そのほか場内では、エキシビジョンレースの優勝馬(騎手)を予想する勝ち馬予想コンテスト、渡辺和昭アナと元JRA騎手細江純子さんによるトークショーなど数々のイベントが予定されています。
7月19日(土)のメイン第11レースは夕立特別(300万円未満)。7頭が前走7月13日の勝入300万円未満に出走していました。
そこで3着のニシキタカラは、今季開幕から200万円条件で4連勝。このクラスに昇格後も6戦して3着以内5回と堅実さが光り、ここも好勝負は必至でしょう。
コブラダイオーは、今季2戦目(5月16日)の勝入混合300万円未満を制して以来勝ち星から見放されています。障害が安定しないのが原因ですが、もともとは登坂力で勝負するタイプ。負けても、積極的に先行する自分のスタイルは貫いており、きっかけひとつで巻き返してもおかしくありません。
300万円未満を3連勝中と勢いに乗るキタノイチオク、地力強化が著しく4歳馬の10キロ減も魅力のアアモンドヤワラ、このクラスの上位安定勢力ヤマトチカラらの食い込みもありそうです。
7月20日(日)のメイン第11レースは紅バラ賞(4歳オープン)。オープンから300万円条件までの9頭が集まりました。
今季ここまでに行われた4歳オープン戦は、すずらん賞(5月3日)、重賞・柏林賞(6月1日)、ライラック賞(6月29日)の3戦ともほぼ固定メンバーによる争いで、コーネルフジが柏林賞を除く2戦を制しています。その柏林賞でのコーネルフジは中団のまま伸びを欠いて7着でしたが、ほかの出走馬がいずれもすずらん賞より20キロ増だったのに対し、同馬だけ唯一30キロ増となったことが敗因として挙げられるでしょう。今回は、すべての馬がライラック賞より10キロ増(出走取消だったシベチャタイガーを含む)と、コーネルフジにとって負担重量面で不利はなく勝ち負けの期待がかかります。
相手探しの一戦で、ライラック賞で2着に入ったマルニゼウス、世代限定戦では安定した戦いを繰り広げているミサキスペシャル、プリンセスモモや、地力あるアローファイターらが候補として浮上します。
7月21日(祝・月)のメイン第11レースはオープンによるイーバンク銀行協賛JRAジョッキーDay特別(20:05発走予定)。
ここはヤマノミントが中心。前開催の北海道記者クラブ特別(オープン)は、中位での障害クリアから脚を伸ばし、前にいたカネサブラック、マルミシュンキらオープン一線級をゴール前でまとめて差し切る快勝劇でした。持ち前のスピードが生きる馬場状態だったこともありますが、力のあるところを示しました。今回は、相手関係が楽になっているのにもかかわらず、負担重量が据え置きの720キロであることから十分連勝を狙えるでしょう。
ニシキダイジンは、その北海道記者クラブ特別では先頭で障害を越え粘っていたものの、ゴール前で後続に飲み込まれて6着でした。とはいえヤマノミントと2秒7差なら悲観する必要はありません。ほかのニシキの馬との兼ね合いはありますが、すんなり先行できれば怖い存在です。
障害力上位で格上的存在のツジノコウフクや、牝馬重賞・カーネーションカップ勝ちがあるニシキユウらも争覇圏。時計がかかる馬場ならスターエンジェルの食い込みにも警戒したいところです。
第7回 ばんえい界期待のプリンス 西謙一
7回目は、NARグランプリ2007の優秀新人騎手賞を受賞し、デビュー2年目も活躍中。西弘美騎手の息子、西謙一騎手です。
--- お疲れのところ、ありがとうございます。昨日(7月11日)は笠松競馬場(岐阜)でイベントの手伝いをしてきたんですよね。模擬レースだけではなくて子どもをばん馬の上に乗せる手伝いもしてきたとか。今までイベントに行かれたことはありますか。
行かないす、行かないす、行かないす。はじめてです。やってみたら大変ですね。行ってみないとその辛さはわからないっていうか……。服部先生とかすごいっす。本当に。
--- さて、ここのところ大活躍ですが。デビューした頃から変わってきたことはありますか。
いやいやいや、たいしたことないですよ。変わってきたこと……。最初よりは気軽にレース乗れるし、あまり緊張することもなくなったし。
何回も乗っているうちに同じ馬ばっかり乗るから、どんだけ無理させれば山あがるとか、馬の特徴とかわかってきたから……。慣れですね。
--- 厩務員時代も含めて、思い出に残る馬はいますか。
あー、いるいる。自分の担当馬だった馬で、タケトップクイン。騎手デビューしたときも4連勝してくれたし。
ギャンブラークインですか? 今乗ってないですもん(笑)。
(重賞・特別は減量の)10kgもないから、その時に展開とかいろんなこと教えてもらった。特別4つも取らしてくれたし。
--- 高校を卒業してから厩務員になられましたね。厩務員時代から現在所属の大橋(和則)厩舎でしたか。
大橋厩舎。叔父さんにあたる人だから、気軽でいいし。俺のオヤジの奥さん……俺の母ちゃんの弟なんです。
高校出てからなんもすることないから、ひとまず競馬場入って(仕事)探そうかと思って。いつの間にか騎手になって現在に至る。
だから特別な思い、ないんです(笑)。
騎手試験は2回目で合格です。厩務員3年。で、今5年目ですね。
--- 子どもの頃は競馬場ではなくて、青森の実家にいたとか。子どもの頃から馬と生活していると、馬とのつきあい方も慣れたものでしょうね。馬が友達とか。
うーん、昔はよくわかってなかったな。それが普通だと思っていたし。青森にいるときも普通に馬いたし。
はじめて大きい馬見たらすごいなって思うけど、ちっちゃい時からずっと見てたから……特別な思いないんですよ。ハハハハハ。
青森の馬ですか? 育成。預かって馴らしてた。俺はやんないっすよ、エサやってただけ。昔は12月で競馬が終わっていたから、終わったら(父の弘美騎手が)帰ってきて馴らしていたから。
競馬場には、夏休みとか冬休みとか、休みの時に行ってバイトしてました。厩舎作業や運動したり。自分で操作はしないですけど、小学校の時から馬ソリに乗せてもらったり。中学校くらいから運動して。
--- へぇ〜。本当に競馬一家ですね。乗っている時に騎手になりたいとかは……。
思わない思わない、思わないっすよ。騎手試験も、うちの調教師が勝手に応募したみたいな(笑)。
--- ミスコンみたいですね(笑)。でも、上手だから受けてみれってことではないですか。
言われない、言われない。受かった時でさえ、自分では落ちたと思ってましたもん。だから騎手受かった時も1次(試験)受かって2次いくとき、これじゃだめだから、受かっても落としてくれって言ったんですよ。
競馬場に自分が入ってですか? 言葉遣い荒い人いっぱいいるけど、面白いっすよ。
酒は飲まないっすよ。ちょっと飲んだだけで真っ赤っ赤。
--- 競馬一家というメリットはありますか?
やっぱり乗り馬に不自由しない。馬まわしてもらったり。
馬見に行く時でも、オヤジのことは誰でも知ってるから、それで顔見知りになって乗せてもらえるようになったり。
一番大きいですよね。数乗らんとうまくならない。
最初はプレッシャーあったけど、今は別に。気にしないですね。
--- 結果残してるからね。
いい馬乗せてもらってるし。
レースのビデオは見てます……予想ばっかたててる(笑)。
今年はうちのいとこが(騎手試験)受けるって言ってます。叔父……西康幸の息子。騎手試験は8月末かな。いつも岩見沢の時でしたから。
--- ところで、(船山)蔵人騎手といつも一緒にいますよね。
同期だから話しやすいっていうか……気遣わんでいい。同期だけど蔵人のほうが年上なんですよ。ハハハ。
蔵人と比べるとだいぶ俺の方が楽だなって。
(蔵人騎手の所属している)鈴木(邦哉)さんのところは騎手多いから厳しいですよね。10kg(の減量)なくなったし。
勝堤さんのご飯つくったり、身の回りの世話して……俺なんか逆に作ってもらってるし。気軽でいい。
--- 厩舎作業はやっていますか? それだと休みも少ないですよね。
厩舎作業もやっています。休みは釣りに行くくらいですね。
一緒にいった奴のサオ借りて投げてるだけですけど。準備してまでは行かない。釣りする人多いけど、騎手とは行かないっすよ。厩務員とか普通の友達と行きます。そっちの方いいですもん。騎手同士だと気遣ってばっかりでやってらんないすよ(笑)。気休まるところないですもん。
--- それではばんえいのプリンスとして、アイドルトーク行きます(笑)。好みの女性のタイプを教えてください。
(アイドルなんて)ないっす、ないっす……。好みのタイプですか。ないっすよ、本当。自分と性格合う人ですね……。気遣ってばかりだから、気遣わない人がいい。最終的にはそうなる。
ファンレター? もらったことないっすね。オヤジはもらったみたいですけど。
高校時代は寮生活でした。団体行動。時間厳守、みたいな。名寄行けって(旭川の)家から出されたんです(笑)。
--- 勝負服はどのように決められたんですか?
勝負服ですか? 騎手のゲームあるじゃないですか。あれで自分で選びながら。これいいなって(笑)。
--- それでは、ばんえいに対して何か一言。
あ、最初にも言いましたが昨日イベントにはじめて行ってきて思ったのは……。積み重ねが大きいですね。昨日も一カ所で400万売れて……これを4箇所でやったら大きいですよね。
ちっちゃなことからコツコツやって、まとまったら大きくなるってことがわかった。そういったこと大事ですね。
笠松のイベントで同席した赤見千尋さんの協賛レースで約束通り勝利!
おとなしくてクールな印象を持っている西謙一騎手でしたが、話していくうちに気さくに自分のことを話してくれました。よく笑う明るい性格なのですね。
いまどきの若者だな、と思うこともありましたが、自然な流れで騎手になり、様々なことを体験して素直にそれを受け止め、成長している姿がうかがえます。その姿にとても好印象を持ちました。
今の20歳前後の子たちは、こうやって成長しているのだな……とお姉さんは思ったのであります。
取材・文・写真/斎藤友香