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レース回顧(10/21~10/23)

2006年10月24日(火)

 21日(土)に行われた温根湯特別(3歳以上800万円未満)は、1番人気のホクショウファイトが優勝。近2走1番人気ながら7、10着と大敗していましたが、ここで見事に巻き返しました。第2障害に真っ先に挑んだホクショウファイトは、そのままひと腰で上がってトップ通過。少し離れてスーパークリントン、ナリタボブサップ、イッスンボウシが続きましたが、北見特有の最後の坂を力強く歩き続け、そのまま先頭でゴールを果たしました。ジワジワ伸びたイッスンボウシが2着で、4歳馬同士の争いとなった3着には、スーパークリントンが入線しました。
 22日(日)のメインレースには二世ロッシーニ記念特別(3歳以上オープン)が行われました。ここを勝ったのは6番人気のフクイズミ。2着に4番人気カネサブラックで、馬連単は4,350円と、意外な高配当となりました。障害を先頭で越えたのはカネサブラックで、差なくトカチプリティーという展開。フクイズミは4番手から続きました。末脚に絶対の自信を持つフクイズミとしては、先頭を射程に入れて障害をクリアした時点で勝ち負け必至。グイグイ脚を伸ばし、残り20メートル付近で先頭に躍り出たところで勝負あり。そのまま後続を突き放してゴールしました。トカチプリティーに追われ、終始苦しい展開だったカネサブラックが粘って2着。そのトカチプリティーはゴール寸前で失速し、プリンセスサクラコが交わして3着となりました。
 23日(月)に行われた川湯特別(3歳以上650万円未満)は、2番人気のプリティブライトが優勝。障害後の大混戦からゆうゆうと抜け出し、好調ぶりをアピールしました。第2障害はスーパーロイヤルが先頭でクリアし、差なくユウセイマーチ、プリティブライト、トカチタカラも抜け出して一団に。しかしそこから豪快にプリティブライトが伸び、残り30メートル付近で難なく先頭に躍り出ると、独走態勢を築きました。前走も同様の脚を発揮しており、好調をキープしているようです。スーパーロイヤルは前走の8着から巻き返しての2着。ユウセイマーチが3着。

映像はこちら

やっぱり馬が好き(第26回)  旋丸 巴

2006年10月20日(金)

坂本東一騎手の「名人芸」

 「坂本さんは凄いよ~」と、谷さんから聞き及んでいた。そして、本欄でも自慢したけれど、8月の共進会で初めてお話をさせてもらって、この名手の「ばんえい競馬」に対する真摯な姿勢も実感させてもらった。

 けれども、しかし、である。それ以前から私は、坂本騎手のファンなのである。何たって、かなりの確率で馬券に絡んで下さるから、私の薄い財布に、何度、暖かい風を送り込んでくださったことか。

 加えて、我が豚娘も坂本騎手のファンである。娘もまた、薄い財布を同騎手によって暖められて……ということではない。娘は未だ小学生。従って、不肖の母のように「金銭欲」に発した好意ではなく、純粋に坂本東一という騎手が好きなのである。で、その理由を聞けば、

 「だって、坂本さん、ソリの上でジャンプするんだもん。カッコいい」とのこと。

 言われてみれば、この名手は第二障害を越えたゴール前、ここぞ勝負! という時には決ってソリの上でジャンプする。

 コースの砂に足を突き立てて進む馬に合わせて、上半身を反らせて手綱を引いたかと思えば、今度は体をかがめて馬を推進し……という、ばんえいならではの大きなアクションで馬を追いつつ、その一連の動作の中で、時折、坂本さんはジャンプする。恐らくは、馬が前進する瞬間、少しでも負荷を減らすための技だと想像するのだけれど、これが確かに「カッコいい」。きっと、下手っぴーな騎手がやっても大した効果はないだろうし、第一、格好も悪いだろう。その証拠に、草ばんばなんかで、ねじり鉢巻のオジサン達が、これを真似たと思しきジャンプをするのを幾度か目撃したことがあるけど、例外なく馬は無駄に苦労していたし、オジサン達はメッチャカッコ悪かった。

 という訳で、このジャンプは、名手にこそ許される「名人芸」なのだろうと、勝手に考察しているのだが……。

 「でもさぁ、どうして坂本さんは、レースの時、馬の尻尾に触ろうとするの?」と、これまた、娘の疑問。

 これまた、そう言えば……、坂本さんは前述の追い込みアクションの中で、身をかがめる刹那、何故か左手で「馬の尾をすくい上げるようなしぐさ」を見せる。

 はて?

 とっても気になったから、9月のセリで再び坂本さんの姿を見つけた時には、すかさず飛んで行って、挨拶もそこそこに上記の件、お尋ねした。

 共進会の時同様、変なオバサンの変な質問に、しかし、坂本さんは嫌な顔もせず、私と娘の質問に明快に答えてくださった。

 「尾に触ろうとしているわけじゃないんですよ。ばんえいの騎手は、レース中、馬の体に触ってはいけないって規則があるんでね。そうじゃなくて、あのアクションは手綱で馬の後肢をスッと撫で上げているんです。そうすることで、少しでも馬の踏み込みが良くなるようにしてるんですよ」

 坂本さんの言葉を正確に再現できているか否か、至って心許ないけれど、こういう趣旨の御答えをいただいて、大いに得心し、なおかつ、大いに感心もした。

 馬にソリを引かせた経験のない私には、細かな技術は解りかねる。けれど、ジャンプといい、この手綱さばきといい、とにもかくにも、坂本さんという人は、勝利のためには、どんな小さなことにも最大の努力を試みる人なのだ、と、そういうことだけは判然した訳で、やっぱり凄いわ、この名手は。

 本年6月12日、ばんえい史上2人目の2500勝を挙げた坂本東一騎手。ミスターばんえい・金山明彦現調教師の記録3299勝に向かって、只今、驀進中……と私なんかは勝手に興奮しているけれど、坂本さんにすれば、きっと、そんな外野の姦しさなんか、どこ吹く風。冷静に1レース1レースで最善を尽くされているのだろう。ある時は華麗なジャンプで、ある時は豪快な手綱さばきで。

 武豊ばかりが一流騎手じゃない。坂本東一騎手の「名人芸」にも、ご注目を!

今週のみどころ(10/21〜10/23)

 先週行われた「全道祭典ばん馬1歳馬決勝大会」は、雄の部はゴールドシャインが、雌の部はニシキフジが優勝しました。ゴールドシャインは父ブラックジョージ、母タケノレンショウ(その父キタノローメイ)という血統。ニシキフジは父シンリュウザン、母ツベツユウ(その父富士)の血統で、現2歳で活躍しているコーネルフジの半妹に当たります。そのコーネルフジも昨年のこのレースを制しており、兄妹制覇となりました。この日走った彼らのデビューを、期待して待ちたいと思います。
 21日(土)は温根湯特別(3歳以上800万円未満)が行われます。650万クラスからの昇級組も多くやや難解ですが、ここはイッスンボウシの実力に期待したいと思います。近2走は4着に敗れていますが、戦ってきた相手がカネサブラックやプリンセスサクラコ。オープン混合戦での入着は、単純に評価できるでしょう。北見では未勝利というのが気がかりですが、このクラスなら争覇圏です。もちろん前走の北見えぞまつ特別快勝のホクリュウイチも有力。ナリタボブサップやスーパークリントンなどの昇級組にも期待できそうです。
 22日(日)のメインレースは、二世ロッシーニ記念特別(3歳以上オープン)。サダエリコやミサキスーパーなどのオープン一線級がエントリーしていますが、注目はなんといってもカネサブラックフクイズミの2頭でしょう。これまでのように楽なレースとはいきませんが、上位陣が近走モタついている印象だけにチャンス十分です。トカチプリティーは先週中1日で連続2着。安定したレースぶりは評価できるもので、ここでも上位争いに加わる可能性は大きいといえます。同じくタケタカラニシキも好勝負圏内。実績馬の巻き返しも期待でき、楽しみな一戦といえそうです。
 23日(月)は川湯特別(3歳以上650万円未満)が行われます。混戦が予想されますが、まず注目されるのはプリティブライトでしょう。前走阿寒湖特別はミスターハヤサキの2着で、障害6番手から豪快に伸びました。そのレースぶりからも注目でしょう。その阿寒湖特別で4着だったユウセイマーチの巻き返しも期待。前走は昇級戦ということもあり「メドが立った」と見るべきでしょう。ほかトミサトクイーンやイケダガッツ、ミスターセンプーも争覇圏です。

レース回顧(10/13~10/16)

2006年10月17日(火)

 8日(日)の代替開催として行われた13日(金)のイオンカップ(3歳以上オープン)は、岩見沢の勢いをそのまま持ち込んだアンローズが優勝。ばんえいグランプリ以来の連勝を4に伸ばしました。道中は、馬場水分が3.9%ということもあって早めの展開。第2障害をトップでクリアしたアンローズは、いったんトカチプリティーに先頭を譲るようなシーンも見られましたが、確実な末脚を発揮してこれを振り切ると、そのまま先頭でゴールしました。アンローズには突き放されたトカチプリティーでしたが、こちらも後続の追撃を振り切って2着。3着はタケタカラニシキが障害3番手から粘り込みました。
 14日(土)のメインレースは阿寒湖特別(3歳以上650万円未満)。近走不振が続いていたミスターハヤサキが、復活を告げる快勝を演じました。第2障害は3、4頭と並んで下りましたが、そこからジリジリと脚を伸ばして他馬を突き放す強い勝ち方。6番人気と低評価だったものの、初夏に4勝を挙げた実力をいかんなく発揮しました。2着は2番人気のプリティブライトで、障害6番手から豪快に追い込んで連対を確保。トミサトクイーンが僅差の3着に入線しています。
 15日(日)に行われた北見えぞまつ特別(3歳以上800万円未満)は、2番人気のホクリュウイチが優勝。近2走連続2着の鬱憤を、ここで晴らしました。道中はアオノキセキが引っ張る流れでしたが、障害を先頭で越えたのはツルマキシンザン。これを2番手から追走したホクリュウイチが交わすと、終いはやや甘くなったものの、こらえきってゴールを迎えました。ゴール寸前まで2番手をキープしていたツルマキシンザンは、3頭に交わされて5着。中団から追い込んだキングシャープ、カツテンリュウが、それぞれ2、3着に食い込んでいます。
 その前、第10レースに行われたのは、3歳以上オープン勝入混合別定。7日の石北特別、13日のイオンカップ出走馬による2度使い戦です。ここを勝ったのはカネサブラックで、障害先頭クリアから他馬の追撃をしのぎきりました。イオンカップ2着のトカチプリティーがここでも2着。中1日の強行軍ながら好成績を残しています。3着はプリンセスサクラコで、障害3番手から粘り込みました。
 16日(月)はメインレースに屈斜路湖特別(3歳以上混合650万円未満)が行われました。ここを制したのはナリタボブサップ。障害巧者らしく先頭でこれをクリアすると、並んで越えたスーパークリントンをいったん突き放す展開に。例によって終いは甘くなりましたが、スーパークリントンの逆襲を振り切り、6月以来久々の勝利を挙げました。2着スーパークリントンで、3着は久々の出走となったエンジュダイヤ。なお4着にウィナーサマーが入り、4歳勢の上位独占となりました。

14日以降の映像はこちら

馬券おやじは今日も行く(第25回)  古林英一

2006年10月14日(土)

ばん馬の人たち~獣医さんの巻~

 昨今、北海道では、ばんえい競馬の存廃をめぐる報道が新聞紙上を賑わしている。特に、道内最大手の新聞(名指ししてるようなもんだわな)の掲載する記事数が多いのだが、どうも今ひとつよくわからん報道なのである。これは小生の当て推量なのだが、どうも競馬の法制度的仕組みをまったく理解していない記者が、市役所かどこかからリークされた情報をよくわからないままに書いているような印象である。おかげで、小生は心穏やかならざる日々を送っているのである。

 さて、このコラムでは、これまでも、小生の気の向くまま、ばんえいの周辺をちょこちょこ紹介してきたが、今回は獣医さんを紹介する。

 映画「雪に願うこと」に、突然倒れた馬のもとに獣医さんが駆けつけるシーンがある。映画に登場する獣医さんはひげ面のワイルドな先生である。そういえば、獣医さんって、映画やドラマではたいていワイルドな風貌で描かれますわなあ。

 「実際のばんえい競馬の診療所の所長さんは?」というと、これが、映画の獣医さんとは大違い、映画の獣医さんよりはるかにさわやかでスマートな好男子なのである。

 競馬場には馬主会が経営する診療所があり、この診療所の所長が森田獣医師である。まだ32歳とお若いが、すでにばん馬を相手に8年のキャリアがある。

061014  岩見沢の診療所にお邪魔したとき、ちょうど笹針治療の最中であった。笹針とは、ご承知の方も多いだろうが、馬体のあちらこちらにメスを入れ、静脈血を放出させる施術である。知識として知ってはいたのだが、小生も見るのは初めてであった(写真は笹針治療中の森田所長)。

 森田所長は「軽種とばん馬は別の動物だ」という。それはばん馬の疾患が軽種のそれとあまりにも違うからだ。ばん馬の疾患の9割は蹄の病気だそうだ。これには理由がある。ばん馬の馬力はあの巨体あってのものである。したがって鍛えながら巨体をつくっていくのである。体をつくるためには高カロリーのエサが必要である。高カロリーのエサを食ってしっかり運動することであのたくましい馬体がつくられるのである。だが、高カロリーのエサを投与し続けると蹄葉炎の発生確率が高まる。これは、喩えて言えば、糖尿病が力士の職業病であるというのに近いものがある。森田所長によると、高カロリーの濃厚飼料やストレスが胃腸障害を引き起こし、それが蹄に影響するのだそうだ。

 獣医師として重要なことは「決断のための知識」であると森田所長はいう。家畜は口をきくことができない。「何が原因なのか」「誤診のおそれはないのか」、常に自問自答しつつ、果敢に診断を下さざるを得ない。直るのか直らないのか、仮に直るとしても高い費用のかかる手術が必要かもしれない。安楽死を選ばざるを得ないこともあろう。馬主にこれらすべてのことを短時間に納得してもらわねばならない。この精神的な負担が大きいと森田所長はいう。果敢な決断を下すためにはそれだけの知識と経験が必要だ。

 「ばん馬の獣医としては自分は日本一だ」と森田所長は自負する。ばん馬を専門にしている獣医は殆どいない。日本一であるという自負は、日本一であらねばならないという使命感の裏返しでもある。セカンドオピニオンのない世界なのである。

 獣医さんの目から見た強い馬とはどのような馬かと尋ねてみた。馬券オヤジとしてこれはぜひ聞いておかねばならないところである。筋肉のつきかたとか内臓の強靱さといった馬体そのものに関わる答えを小生は予期したのだが、森田所長の答えは実に意外なものだった。「“意志力”の強い馬が強い」というのが森田所長の答えであった。確かに、スーパーペガサスの走りっぷりを見ると、2障害を越えてゴールに向かう直線の足取りはいつもしっかりしている。これは類い希な意志の力なのかもしれない。

 「気合いと根性じゃあっ!」。これは小生が大学時代世話になった先輩の口癖だ。確かに馬でも人でも最後は気合いと根性であろう。自分でいうのもなんだが、学者として小生はせいぜい「170万円下」(未勝利と言わないあたりが自分への甘さである)である。下級条件に甘んじてしまったのは、やはり「気合いと根性」が欠落していたからである。あらためて「スーパーペガサスに脱帽!」なのである。

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