
6月1日 第29回岩手ダービー ダイヤモンドカップ(3歳オープン 盛岡ダート2000m)
(岩手ダービー ダイヤモンドカップ 1着・マヨノエンゼル 写真・佐藤到)
1着 マヨノエンゼル
戦前の宣言どおりリュウノアレスが出ムチを入れて果敢に先手を奪う。2番手にトーホクプリンス、3番手外にシルバーカテリーナがつけ、マヨノエンゼルは中団を追走する。1コーナー過ぎ、一気にペースが落とされ、マヨノエンゼルは2コーナーで先団の外まで進出。ラスト800mでマヨノエンゼルが動くと一気に流れが速くなり、連れてトキワノマツカゼもスパート。
3コーナーで例によってモタつくシーンもあったが、一瞬だけ。その後は馬なりで先陣に詰め寄り、ラスト200mでトキワノマツカゼとともに抜け出してマッチレースへ。外トキワノマツカゼが一旦抜け出したが、内からマヨノエンゼルが再び差し返してそのままゴールへもつれ込む。「ゴールに入っても勝ったか分からなかった」(小林騎手)そうだが、ハナ差振り切って二冠を達成した。
「テン乗りだったが、クセもなくて乗りやすかった。スタートに気をつけて出たなりと考えていたら好ポジションを取れた。道中の手応えも良かったが、板垣君(トキワノマツカゼ)も手応えも絶好。直線で一旦交わされてどうかと思ったら、また差し返すのだからかなり根性がある。無事に今後も使われて是非、三冠を目指してほしい」と小林騎手。
ジャパンダートダービー挑戦は今のところ未定。当面は連戦の疲れを取ることに専念させたいと葛西調教師。
2着 トキワノマツカゼ
マヨノエンゼルをマークする形でレースを進め、1周目スタンド前は外からマヨノエンゼルをにらみ、ペースが落ちてマヨノエンゼルが外から前に進出したときは内に入れてマークする。
スパートはマヨノエンゼルが動いたのとほぼ同時。3、4コーナーで前のマヨノエンゼルを見ながら先陣に取り付き、直線で内から外に出してマッチレースへ持ち込む。内マヨノエンゼル、外トキワノマツカゼの抜きつ抜かれつの攻防となったが、最後はハナ差先着を許して惜しくも2着。
「道中の手応え、展開も思ったとおりで反応も上々だったが、最後の詰めがちょっと甘い。これが今後も課題となりそう」と板垣騎手。
トライアル・七時雨賞は初コース、初の左回りに戸惑って物見ばかりしていたが、今回は2度目で慣れた印象。一旦抜け出したところ、また差し返されたのは残念だったが、収穫は大きく盛岡でも今後もいいレースができそう。
3着 センリグランピー
前半は脚を貯めることに徹して後方2、3番手を追走。3コーナーから満を持してスパートをかけると鋭く反応。前を走る2頭とは決定的な差だったが、自身の持ち味は十二分に発揮した。
6着 シルバーカテリーナ
3番手外の絶好ポジションをキープ。マヨノエンゼル、トキワノマツカゼが後ろからスパートかけたのを確認して追い出し始めたが、伸びがひと息。4コーナーですでにお釣りがなく、力なく失速した。
「この感じだと距離の問題かも。3コーナー過ぎで手ごたえが怪しくなっていた」と菅原勲騎手。
5月31日 「はまなす賞」(3歳オープン 盛岡芝1600m)
(はまなす賞 1着・アンダージョイナー)
1着 アンダージョイナー
マーチボーイが逃げ、2番手にアンダージョイナーがつけ、前半3ハロンが37秒1。芝では速くもなく遅くもなく、 平均ペースで道中は進み、ラスト600mから11秒台にペースアップ。これがアンダージョイナーにはベストの流れとなり、内で粘っていたマーチボーイをラスト100mで交わしてそのままゴール。これまで特別ではあやめ賞3着が最高だったが、3勝目がうれしい特別制覇となった。
「被せられると怯んでしまうので、3コーナーからリリーミッションが被せてきたのを見てスパートをかけた。マーチボーイが思った以上に粘っていたが、バテないのがこの馬の良さ。このメンバー相手に勝つことができてうれしい」と高松騎手。
次走は未定。前走・日高賞から体重が減り始め、今回はマイナス6キロの432キロ。「当面は疲れを取り、馬体回復に専念したい」と伊藤和調教師。
2着 マーチボーイ
大外から果敢に逃げてマイペースに持ち込み、直線を向いても渋太く粘っていたが、ラスト1ハロンで脚色が鈍る。それでも後続から伸びてくる馬がいなかったので2着確保できた。
今季は3戦ともしんがり負けを喫していたが、「春に比べると数段良くなっていた」(千葉四美調教師)ことと適性ある芝で一変。今回は直線で失速することなく最後まで粘って復調をアピールした。
「ラストの伸びが甘くなったのは距離。もっと短ければもっと粘っていたはずなので、次は福島の芝1200m戦を使ってみたい」と千葉四美調教師。
3着 テンショウスズラン
前半は無理をせず中団インに待機し、直線外に持ち出した時の反応は悪くなかったが、前2頭の競馬で決着なら3着も仕方なしか。「この馬なりに頑張っていたが、一線級に入るとこの着順が精一杯かも」(小林騎手)
4着 ダンストンジール
久々の芝に戸惑ったのか鞍上・村上忍騎手が手をしごいても前につけることができない。それで4番手からの競馬になったが、勝負どころの3コーナーでモタモタし、直線を向いても置かれてしまう。それでもラスト200mでようやくエンジンがかかって猛追したが、時すでに遅かった。
「完全に芝に戸惑っていて前回(七時雨賞)の反応の良さがまったくなかった。今後はダート1本に絞った方がいいかも」(村上忍騎手)
5月24日 あすなろ賞(みちのく大賞典トライアル 3歳以上 盛岡ダート1800m)
1着 アンダーボナンザ
サイレントエクセルが意表をつくように逃げ、カネショウエリートも手をしごいてハナをアピール。ダンディキング、ソーユアフロストも先行争いに加わり、前半3ハロン36秒7のハイペースを形成した。
アンダーボナンザはスタート直後、ヒカルメイオーがヨレたあおりも受けて後方7番手を追走。ペース落ち着いた2コーナー過ぎから徐々に前へ接近し、3コーナーからエンジン全開。その時の反応がすばらしく、直線入り口で3番手まで進出。
サイレントエクセルは3コーナーで早々と失速し、カネショウエリート、ダンディキング2頭の叩き合いとなったところ、外からアンダーボナンザが襲い掛かり、ラスト150mで先頭に立ち、そのまま押し切った。
「もう少し前で競馬をしようと思っていたが、スタートで不利があったので後方でもいいかな、と。いい脚を使えるのが最大の強み。今回はペースにも恵まれたし、決め手がある分で勝てた。多分、距離だと思うが、最後の伸びがヤヤ甘くなってしまった。1600mぐらいがベスト」と菅原勲騎手。
次走はみちのく大賞典になるだろうが、2000mが舞台。決め手を生かせる流れにならなければ正直、好勝負に持ち込むのは厳しいかもしれない。
2着 カネショウエリート
笠松遠征(オグリキャップ記念)の反動もなく、プラス3キロで出走。村上忍騎手のイメージは逃げだったようで、サイレントエクセルと激しいハナ争いを演じたが、1コーナーで2番手に控える。
3コーナーでサイレントエクセルが一杯となり、馬なりで先頭。ダンディキングが猛チャージをかけ、再びペースアップし、直線でダンディキングに交わされながら再び差し返す渋太さを披露。しかし外アンダーボナンザとは脚色が違い、2着確保までにとどまる。
今回の好走要因は馬場が軽くなったことと1800mの距離。先週までの盛岡だったら、ちょっときつかったが、昼過ぎから雨が降ったのも幸いした。
次走はもちろん、みちのく大賞典。2000mは望むところで、馬場が渋れば一発の可能性もある。
3着 ヒカルメイオー
先に行ける脚もあるが、今回は後方でジックリ構え、アンダーボナンザをマークする形でレースを進める。仕掛けもアンダーボナンザと同じタイミングたったが、反応の差が出て3、4コーナーで若干遅れる。
それでも直線で盛り返し、大外から鋭く伸びて2着ありそうな勢いだったのは収穫。A級挑戦2度目でこの3着は非常に価値が高く、今後のメドも十分に立った。
4着 ダンディキング
終始カネショウエリートの後ろにつけ、直線を向いて一度交わしたが、ラスト150mで力尽きた。ある意味で最も中味の濃いレースをしたのはこの馬。仮に前半のペースがもう少し遅かったら3着を確保できたかも。
5着 ソーユアフロスト
前回・シアンモア記念はスローに殺されたため、前半から積極的に攻める。その結果、3番手インにつけることができたが、今回は逆に末が甘くなって5着止まり。次走・みちのく大賞典で捲土重来を期したい。
7着 ショーターザトッシ
前半は中団に控え、向正面からスパートをかけたが、反応がもう一つ。勝負どころの3コーナーでも追走するのが精一杯で7着に沈む。
敗因は左回りもあるだろうが、体重が430キロまで減っていたこと。440キロ台まで回復しないと苦戦が続きそうだ。
5月17日 七時雨賞(3歳オープン 盛岡ダート1800m)
(七時雨賞ゴール 1着・ダンストンジール 写真・佐藤到)
1着 ダンストンジール
フジフーフーが逃げ、2馬身後ろインにトーホクプリンス、5馬身ほど離れた3番手外にダンストンジール。ペースアップしたのは2ハロン目だけ。あとはスローに近い流れで馬群がゴチャッと固まり、3コーナー手前から早めスパートをかける。「後ろの馬(マヨノエンゼル、トキワノマツカゼ)の2戦負けているので早めに動くしかないと思った」(村上忍騎手)。
3〜4コーナーでジワジワとフジフーフーに接近し、直線入り口で馬体を併せる。フジフーフーも渋太く粘ったが、ラスト150mで突き放し、そのまま押し切ってゴールに入る。
「道中、スムーズにレースが運べたし流れもこの馬に向いたかも。輸送してもプラス体重だったのも好走要因では」と村上忍騎手。
次走ははまなす賞(5月31日 盛岡芝1600m)、ダイヤモンドカップ(6月1日 盛岡ダート2000m)の両睨み。芝適性とメンバーを考えるとはまなす賞の線も有力だが、トライアルを勝ったからにはダイヤモンドカップにも挑戦してみてもいいかなと村上実調教師。
昨年はワタリシンセイキに完敗し、今季もマヨノエンゼル、トキワノマツカゼに完敗の格好だったが、今回の強さは展開に恵まれたにせよ間違いなく完勝内容。陣営はダンストンジールの強さに半信半疑の印象もあるが、今季は気性難を見せずまじめに走り、成長はっきり。もう少し馬体の張りが出てトモに肉がつけば、トップに立つことも決して夢ではない。
2着 マヨノエンゼル
有力3頭ダンストンジール3番手、その後ろにトキワノマツカゼ、さらに外にマヨノエンゼルがつけ、明らかに相手をけん制し合う格好。
マヨノエンゼルは1周目スタンド前では大外を追走したが、1〜2コーナーからスッと内に入れ、経済コースを進む。馬群がバラけたし、今開催の馬場は外が重く、内に進路を取ったのは正解。ダンストンジールが早めに動いて若干離されたが、インから徐々に前へ進出。そこで加速全開したが、4コーナーで前が壁になる不利があり、急きょ大外に進路を変更した。
そこからの伸びは鋭かったが、ダンストンジールのセーフティリードが最後でモノを言った。「内に入れすぎたかもしれない。もっと早く仕掛ければ」と山本政聡騎手。
確かに4コーナーでの不利は痛かったが、それでも直線で猛追。今回、ダンストンジール、マヨノエンゼルとの斤量差が2キロだったことを考えれば敗れてなお強し。これでダイヤモンドカップへのメドが立った。
3着 トキワノマツカゼ
人気を背負ったこともあって終始、不利のない4番手外を追走。ただ今の馬場はそのコースを採ると砂が深く伸びがひと息。直線の追い比べでダンストンジール、マヨノエンゼル2頭に遅れをとる。
馬体の良さ、初コースにも戸惑った印象もなかったが、追い出してからの反応がもう一つ。どうやら前走・阿久利黒賞のように早め早めに動かないと勝つのは難しいかも知れない。
4着 フジフーフー
トーホクプリンスがハナを譲らなかったため、手をしごいて先手を取り、大逃げを打ったが、2コーナーからガッチリ手綱を絞りスローに落とす。
道中は絶妙のペースで逃げ、直線でも粘っていたが、ラスト150mまで。あとは失速して3頭とは離されての入線。牡馬との能力差がはっきり出た。
5月10日 第35回シアンモア記念(ゴールドアリュール賞) (3歳以上・地方競馬全国交流 水沢1600m)
(シアンモア記念ゴール 1着・リュウノキングダム 写真・佐藤到)
1着 リュウノキングダム
ブローザウインドが逃げ、その後ろにサンキューウィン、3番手インにサイレントエクセル。リュウノキングダムは4番手外の絶好ポジションをキープしていつでも動かせる態勢。1周目スタンド前、ブローザウインドが14秒台の超スローに落とし、向正面から早々とスパート。3コーナーで2番手に進出し、4コーナーでブローザウインドに並び、ラスト100mで先頭。あとは後続を突き放す一方で2着に4番身差、余裕たっぷりでゴールに入った。
「ペースが遅くなったので早めにスパートをかけた。レース前は逃げの手も考えていたが、外枠だったのが逆に良かったのかも。指示にも素直に従い、非常に乗りやすかったし想像した以上に強かった。まだ4歳馬でこれからどんどん強くなるのでは」と菅原勲騎手。
「地元に戻ればまだA2条件に出られるのでそこでジックリ力をつけてからオープン戦線に殴り込みをかけたい」と斉藤敏調教師。
2着 ブローザウインド
先に行きたい馬がそろって先行激化が予想されたが、競りかける馬がなくスンナリ先手を取る。道中、超スローに落とせたのが好走要因。4コーナーでリュウノキングダムに交わされたが、前半で楽ができた分の貯金で2着に逃げ粘る。
「サンキューウィンが逃げると思ったら出足がつかなかったみたいで逃げの手に出た。マイペースで逃げたが、4馬身差では仕方なしでしょう」(関本淳騎手)
3着 オウシュウクラウン
「スタートで躓いたし、最初から行くつもりがなかったので中団は予定どおり」と関本浩司騎手。ラスト800mからペースが一気に上がったが、その流れにもついていくことができ、ジワジワと進出。あとひと押しが足りず首差3着に敗れたが、ようやく復調の兆しがうかがえた。
4着 アンダーボナンザ
後方待機策はいつもどおり。3コーナーでスパートをかけリュウノキングダムに劣らない上がりを使ったが、前半で長スローの流れに落とされたのが痛かった。
5着 ショーターザトッシ
赤松杯をパーフェクト内容で完勝し、1番人気に支持される。中団に控え、3コーナー手前からスパートは前走・赤松杯と同じだったが、直線で伸びを欠いて5着と案外の結果に終わってしまった。「赤松杯の疲れが残っていたかも」と小林騎手。
5月3日 第9回留守杯日高賞(3歳牝馬オープン 水沢1600m)
(日高賞ゴール 1着・シルバーカテリーナ 写真・佐藤到)
1着 シルバーカテリーナ
フジフーフーが逃げ、2番手にアンダージョイナー、少し離れてリリーミッション、その後ろ外にシルバーカテリーナ。前半はさほど速くはなく、シルバーカテリーナが2コーナー過ぎからスパート。リリーミッションの手応えが本物ではないこともあって菅原勲騎手は「相手をフジフーフー1頭に絞って」3コーナーで早くも馬体を併せる。
シルバーカテリーナの手応えが抜群で4コーナーでフジフーフーを交わして先頭。直線でややもたつくシーンもあったが、大勢に影響なし。ラスト50mでは菅原勲騎手が後ろを何度も振り返りながら余裕でゴールに入った。
「フジフーフーを追いかけようとしたら反応がすばらしく、早め先頭に立ってしまった。ちょっと強引なレースをしてしまったが、まだまだ強くなりそうな印象。これなら牡馬とも互角の競馬ができるかも」と菅原勲騎手。
次走予定は6月1日、ダイヤモンドカップ。そこで牡馬一冠目を制したマヨノエンゼルと雌雄を決することになる。
2着 フジフーフー
前回はマイナス13キロも体重を減らして反動が心配だったが、プラス9キロまで回復。パドックでもどっしり落ち着いて好状態で臨む。
予想どおり逃げの手に出てマイペースに持ち込む。しかしシルバーカテリーナが早めに仕掛けて外から馬体を併せられる。これでは道中で息を抜くことができず厳しい流れとなり、4コーナーで2番手に下がる。
それでも決してバテることなく半馬身差2着に粘る。シルバーカテリーナとの実力差ははっきり出たが、スピードは最後まで衰えなかった。
3着 テンショウスズラン
こちらはプラス15キロの428キロ。元々、飼い葉が細いタイプで体重増が最大の課題だったので明らかに好材料。本音を言えば骨格的に430キロから440キロ台はほしいところ。
道中は5番手インを進み、自身の能力をキッチリ出して離されたが、3着を確保。これで今後のメドが立った模様だ。