11月15日 第37回南部駒賞(2歳・地方競馬全国交流 水沢1600m)
1着 ロックハンドスター
戦前の予想どおりモエレクリューガーが逃げ、絶好のスタートを切ったロックハンドスターが2番手でぴったりマーク。ペースが落ちたのは1~2コーナーの1ハロンだけ。は2頭がハイラップを刻んでレースを進める。
向正面から早くもマッチレースに持ち込まれ、後続を引き離す一方。逃げるモエレクリューガー、徐々に差を詰めるロックハンドスターの戦いがずっと続き、ロックハンドスターが直線入り口で馬体を併せる。
モエレクリューガーも内で渋太く粘ったが、ラスト50mでロックハンドスターが交わして先頭。その後も緩めずに追って2着に0・2秒差をつけて完勝。水沢での南部駒賞レコードを1・6秒も更新し、1分39秒8の破格タイムをマークした。
ロックハンドスターは前々走・ジュニアグランプリでは早め先頭に立ったため、ラストで脚が上がってしまったが、若駒賞をパーフェクト内容で圧勝。今回も好調サイクルをキープして臨み、自分で競馬を作って完勝。使われるごとに著しい成長を見せている。
「スタートが良かったので理想どおりのポジションが取ることができた。相手をモエレクリューガー1頭に絞ってレースを進めたが、乗っている自分も驚くほどの手応えと反応。2歳で1分40秒を切れるのだから相当なレベル。今後も大事に使っていけば大きいレースを勝てるかも」と菅原勲騎手。
今後については馬と相談してから、と瀬戸調教師。選択肢は川崎・全日本2歳優駿、地元の2歳三冠がかかった金杯もあるが、まだ白紙だという。
2着 モエレクリューガー
2番枠の好枠を引き当て、スタートもすばらしく予定どおりの逃げ。しかし道中ずっとロックハンドスターにマークされる形となり、息を抜くことができたのは1、2コーナーだけ。向正面から再びピッチが上がってもリードを保ち続けたが、ラスト50mでついに捕らえられてしまった。
もっと楽に逃げることができれば、と思わせるレースぶり。結果的に2着に敗れたが、こちらも1分40秒ジャストで駆け抜け、レベルの高さをアピール。昨年のワタリシンセイキと同様、相手が悪すぎた。例年レベルならアッサリ逃げ切っていたに違いない。
3着 リュウノボーイ
いつもより前めの4番手外をキープ。3コーナー手前から動いてその時の反応も上々だったが、前の2頭のレベルが高すぎた。結局、2頭から7馬身離された3着だったが、自己の能力はキッチリ出した。
4着 ショウリダバンザイ
前半は中団後ろにつけ、馬群にもまれても怯まなかった。リュウノボーイとはクビ差の4着に入線し、持ち味の堅実さを発揮した。
10月25日 第32回北上川大賞典(3歳以上・地方競馬全国交流 盛岡ダート2500m)
1着 リュウノキングダム
エイシンイッパツが逃げ、2番手にドリームスナイパー、3番手インにサイレントエクセル。リュウノキングダムは4番手外の絶好ポジションをキープ。いつもどおり1周目スタンド前からペースがガクンと落ちて超スローの流れになったが、しっかりと折り合いがついていた。
ラスト1000mからペースアップし、サイレントエクセルが脱落。3コーナー手前からリュウノキングダムが徐々に前へ接近し、後方に待機していたゴールドマインといっしょにスパート。
4コーナーでは最内エイシンイッパツ、中リュウノキングダム、外ゴールドマインが横一線で並んだが、それもわずか一瞬だけ。直線入り口でリュウノキングダムが先頭に立つと、あとは後続をグングン突き放して独走状態。
余裕たっぷりでゴールに入り、2着に4馬身差をつけて完勝。シアンモア記念に続いて岩手の根幹重賞2勝目をマークした。
「今回が初騎乗だったが、何度かいっしょのレースで騎乗して強いのは分かっていたので、自分がミスしなければ勝てると思っていた。
緩いペースで自分の馬の手ごたえも良かったが、前にいた馬も同様に余裕があったので自分から仕掛けていった。ただコーナーワークがあまりうまくなくて一瞬モタモタするところがあったが、気合いをつけたら鋭く反応。直線で勝利を確信した。
折り合いがまったく問題ないし、追い出してからの伸びも鋭く非常に乗りやすい馬。まだ若いので、これからもっと走ると思う」と村上忍騎手。
リュウノキングダムは今年5月のシアンモア記念で初遠征。アッサリ好位抜け出しを決めて初重賞を獲得。続いてみちのく大賞典へも参戦したが、ダートグレードの常連キングスゾーンに逃げ切られて2着。しかし半馬身差まで詰め寄り、成長確かなところを見せていた。
その後、地元に戻って1勝を積み重ね、重賞・埼玉栄冠賞へ挑戦。ハイペースに巻き込まれ2番手から5着に失速。今回はそのレースから中10日の強行軍に加え、輸送のハンデもあったが、まったく関係なく圧勝。
今後の予定については「ちょっと無理をさせて可愛そうだったので、疲れを取ることにまずは専念したい」と斉藤敏調教師。
2着 ゴールドマイン
前半は後方4番手にじっくり待機策に徹し3コーナーから一気にスパート。そのときの伸びがすばらしくリュウノキングダムと並んで先陣に襲い掛かり、4コーナーでは3頭が並ぶシーンもあったが、勢いはそこまででラスト200mで力尽きてしまった。
これまで最長が2000mで勝ち星が1600~1800mへ集中。距離が不安材料の一つだったが、前半で脚を貯める戦法で解消。関本淳騎手の好プレーが光った。
「3コーナーでの手ごたえは良かったが、直線で伸びを欠いた。最後は力の差」と関本淳騎手。
3着 マヨノエンゼル
リュウノキングダムをマークする形で進め、6番手を追走。3コーナーでゴールドマイン、リュウノキングダムが動いたのを見て追い出したが、反応がひと息。その遅れた分と未体験ゾーンの2500mにも戸惑って3着確保がやっとだった。
「いつもより気合いが足りなかったかも。それと3戦連続でマイルを使っていたので、いきなり長距離もきつかったのでは」と小林騎手。
4着 エイシンイッパツ
当初の作戦どおりだったようで、手をしごいて先手を奪う。スタート500mからペースダウンさせ、超スローに落としてマイペースに持ち込んで3、4コーナーまでは渋太く粘っていたが、直線で一杯となる。それでも見せ場を作って4着なら健闘だろう。
転入直前の南関東では1200mをメインに使われていたが、むしろ長い距離が合いそうな今回のレース内容だった。
10月19日 第29回若駒賞(2歳オープン 盛岡ダート1600m)
1着 ロックハンドスター
大外からパールレディがハナに立ったが、セイントビーナスがアッサリ交わして先頭。2番手インにダークライ、ロックハンドスターはその外、絶好の3番手をキープ。
前半はスローの流れで進み、完全に上がり勝負。3コーナーから各馬がスパートをかけ、ダークライが3コーナー過ぎに先頭に立ったが、ロックハンドスターは楽々と追走。
直線を向いてダークライは必死に粘っていたが、ラスト300mでロックハンドスターが捕らえると、あとは独走状態。2着に4馬身差をつけ、テシオ杯ジュニアグランプリの雪辱を晴らすとともに待望の初重賞タイトルを手に入れた。
「(菅原)勲さんにクセのない馬だと聞いていたし、実際攻め馬でも騎乗したが、素直で非常に乗りやすい馬だった。
人気を背負っていたので不利のないようにレースを進めたが、折り合いを欠くこともなく、追ってからの反応も抜群。瞬発力がすばらしかった。これからさらに強くなりそう」とピンチヒッターを勤めた阿部英俊騎手。
次走予定は南部駒賞(11月15日)。当面は地元を中心に使っていくそうだが、結果次第では遠征があるかも―と瀬戸幸一調教師。
2着 リュウノボーイ
ロックハンドスターを見る形で6番手中を追走し、スパートもほぼ同時。4コーナーでやや水を開けられ、直線では外に持ち出してロックハンドスターとの差を詰めにかかったが、逆に離されてしまった。
3着 リュウノムサシ
スタートで後手を踏んで後方4番手からの競馬。3、4コーナーでちょっとモタモタしたところがあったが、直線ではなかなかいい感じで伸びて内で粘るダークライをゴール前で交わした。
4着 ダークライ
パールレディに出鼻を叩かれたが、うまく3番手外につけ、3コーナー過ぎにセイントビーナスを交わして先頭。直線で早めにロックハンドスターに交わされて苦しくなったが、ひとまず4着に粘った。
9月27日 第11回岩手県知事杯 OROカップ(3歳以上・地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)
1着 コスモバルク
キングスゾーンが大外から果敢に先行。2番手アサクサロータス、離れた3番手にトロンハイム。コスモバルクは「前に行ってほしいが指示でしたが、外から被せられてちょっと折り合いを欠いた」(小林騎手)が、2コーナーでうまく外に出して4番手をキープした。
勝負どころの3コーナーから各馬が徐々にスパートをかけ、コスモバルクも同様にスパート。内をついてスルスル進出したボスアミーゴに対し、コスモバルクはもたつきが目についたが、直線を向いてようやくエンジン全開。
先に抜け出したボスアミーゴとの差をジワジワと詰め、ラスト50mで捕らえて完勝。最後は貫禄の違いを見せつけた。
「3コーナーの手ごたえがひと息だったが、直線での伸びはさすがだった。ボスアミーゴと一騎打ちと踏んで追ったが、着差以上に強いレース。この盛岡を勝ったことで勢いをつけて、もう一花咲かせるようがんばってほしい」と小林騎手。
前走(せきれい賞)比プラス11キロの510キロで出走したが、太め感はまったくなし。むしろ馬体の張りが戻ってきた印象で、小林騎手も「前回はおとなしかったが、今日は気合いも入っていた」とコメントし、好状態で臨めたのが最大の勝因。あとはせきれい賞とは一転して絶好の良馬場で行われたこともコスモバルクに幸いした。
今回の勝利はちょうど2年前のOROカップ以来の白星で国内外を含めて通算10勝目。この後は当初の予定どおり天皇賞・秋に向かいたいと田部調教師。
2着 ボスアミーゴ
終始6番手インの経済コースを進み、3コーナーからインから馬なりで進出。コスモバルクとは好対照で抜群の手ごたえを見せ、4コーナーでも不利なく外に出して早め先頭。完全な勝ちパターンに持ち込んだが、ゴール手前50mでコスモバルクに交わされてしまった。
「最後で少し脚が甘くなるので、どの馬かに交わされるかもと思ったが、3コーナーでの動きを見てコスモバルクではないだろうと考えていた。あのレースができて負けたのだから仕方がない」と菅原勲騎手。
3着 サウンドサンデー
初の芝に戸惑ったのか後方3番手からの競馬。勝負どころでも後方にいたが、直線だけで一気に突っ込んできた。「万全の態勢ではないと聞いていたが、思った以上に走ってくれた。前から芝も合うと思って一度使ってみたかったが、やはり適性がある」と今野騎手。
4着 キングスゾーン
大外もかまわず果敢に先行し、マイペースの逃げに持ち込む。直線でも渋太く粘っていたが、瞬発力勝負になるとさすがに苦しく4着に沈む。「どうしてもダッシュが速いので目標にされてしまうが、芝は問題なかった」と安部騎手。
5着 コスモヴァシュラン
せきれい賞と同じく中団7番手に待機し、3コーナーで勝負をかけたが、前がごちゃごちゃしたためうまく馬群をさばききれなかった。「3コーナーでうまく出せればもう少し上の着順を取れたかも」と町田騎手。
9月20日 第11回テシオ杯ジュニアグランプリ(2歳オープン・地方競馬全国交流 盛岡芝1600m)
1着 ボヘミアン
快速を生かしてアンダーフジコが逃げ、追っ付け加減でリュウノムサシが2番手をキープ。ボヘミアンは「思ったより前につけることができず、ちょっと慌てた」(五十嵐騎手)そうで、後方4番手からの競馬。向正面でペースが落ち着き、ロックハンドスターが前に接近したのを見てスパート。外を回るコースロスがありながら、追い出してからの反応がすばらしく4コーナーではロックハンドスターと4、5馬身後ろまで進出した。
直線を向いて4角先頭に立ったロックハンドスターに一完歩ごとに差を詰め、ゴール前でキッチリ交わして快勝。昨年のエイブルインレースに続いて北海道勢2連覇を果たした。
「追走するのにも大変になるかと思ったが、最後は芝の適性があって差し切ることができた。レース前から芝が合うと思っていたので盛岡を使えてよかった。2歳でこのようなレースができるのだから、今後も期待できそう」と五十嵐騎手。
気になる今後だが、一旦社台ファームへ戻ってリフレッシュ。地元のJpn?・北海道2歳優駿、そして朝日杯FSトライアルの優先権を行使するかは様子を見てから決めたいという。
2着 ロックハンドスター
4番手外の絶好ポジションをキープし、向正面から徐々にスパート。4コーナーで逃げたアンダーフジコをほぼ馬なりで捕らえ、そのままゴールまで押し切るかに見えたが、ラスト50mで脚が上がってしまった。
トライアル・若鮎賞(盛岡芝1600m)は極端な不良馬場だったため、走破タイムが1分42秒7。今回は良馬場のコンディションで行われ、タイムを一気に3・3秒も詰めて好タイムをマークしたが、これは勝った相手を誉めるべき。ただレース後、菅原勲騎手は「仕掛けがちょっと早かったかも」とコメントした。
3着 リュウノボーイ
終始、中団を追走して3コーナーからスパート。直線で最内を突いたのも好判断で2頭から差は開いたが、3着を確保した。
4着 コンバットジェット
ボヘミアンからさらに離れた後ろ3番手からの競馬。3コーナーで各馬がスパートかけた時点でも先頭からおそらく20馬身以上も後方におり、絶望的なポジション。しかし直線だけで一気に伸びてきて0・6秒差4着。
焦点が2頭の叩き合いに絞られ、コンバットジェットは視界から外れてしまったが、改めてレースリプレイを見てビックリ。今後、ハイペース模様の競馬になれば突き抜ける可能性も十分ある。
7着 ローズデュルワ
まず装鞍所で初めて実馬を見た瞬間、鳥肌が立った。胸前の筋肉、そして後肢の張りがすばらしく本当に牝馬かと疑うほど惚れ惚れする馬体だった。これがスピードの源だろうなと至極納得した。あとは1200mしか経験がなく、1600m延長が課題と思った。
北海道2戦は逃げ切りと2番手からレースを進め、先行するものだと踏んでいたが、意外にも7番手に控える競馬。スパートもボヘミアンが動いてからで一瞬、いい脚を見せたもののその後は伸び切れず7着に敗れた。もしかすると初の芝に戸惑ったかもしれない。