9月13日 第17回青藍賞(3歳以上・地方競馬全国交流 水沢1600m)
1着 マヨノエンゼル
リュウノケンシロウが逃げ、2番手インにフリーモア、その外にグッドストーン、馬群がちょっと開いてオウシュウクラウン。マヨノエンゼルは「位置取りはスタート次第と考えていたが、思ったより前へつけることができた」(小林騎手)そうで、5番手外を追走した。
リュウノケンシロウが快調に飛ばし、逃げペースと小林騎手=マヨノエンゼルは判断。3コーナー手前からスパートをかけ、途中でもたつくところもありながら徐々に前へ進出。
4コーナーではリュウノケンシロウに1馬身圏内につけ、いつでも抜け出せる態勢。ラスト150mまで内でリュウノケンシロウが必死に粘ったが、マヨノエンゼルが交わして先頭に立つとあとは独走状態。ゴール前では持ったままで2着に3馬身差。余裕たっぷりでゴール板を駆け抜けた。
「道中、砂をかぶって嫌がる場面もあったが、指示を出すと素直に従う。これで5度目の騎乗となるが、一戦ごとに成長し続けているのを実感。もし南部杯に選ばれれば相手は強いだろうが、地元の期待に応えてがんばってほしい」と小林騎手。
これで古馬相手に3連勝。小林騎手のコメントどおり、レース内容が走るたびに良くなっている。この時期の3歳馬で古馬相手にこれほどの成績を残した馬はほとんど記憶にない。レベル低下と指摘されればそれまでだが、マヨノエンゼルの成長ぶりには本当に驚かされる。今後も楽しみになった。
2着 リュウノケンシロウ
大外11番枠でも果敢に逃げてマイペースに落とす。どうやら菅原勲騎手はレース前からその戦法で行くつもりだったようだ。
ペースは速くもなく遅くもなく。2コーナーで13秒台に一度落として再び12秒台にペースアップ。理想的な逃げに持ち込んだが、直線入り口から50mでマヨノエンゼルに交わされて一杯。それでも2着確保なら上々の結果だったと言える。
3着 グッドストーン
リュウノケンシロウがハナをアピールしたが、2番手は譲れないと手をしごいて1周目スタンド前でマイポジションをキープ。3コーナーでやや置かれ加減になったが、あきらめず追い続けた菊地騎手の好プレーで3着に粘る。交わされるともろさを出すので、これがベストの戦法だった。
7着 ダンストンリアル
外のマヨノエンゼルを見る形で直後、インを追走。スパートもほぼ同時で3、4コーナーではいい感じで伸びていたと思ったが、直線では伸び切れず逆に失速。マヨノエンゼルからどんどん離されていった。
元々、好走が続かないタイプでポカも多いが、それにしても反応がもう一つ。昨年の南部杯では岩手最先着の6着に健闘したが、よほど気合いを入れて迫力を取り戻さないと今年は苦しい。
9月6日 ビギナーズカップ(2歳オープン 水沢1400m)
1着 ベルデンアイン
アンダーフジコが手をしごいて逃げ、2番手にフラットリア、3番手インにダンストンルティー。ベルデンアインはペースが速すぎて追走に手こずって後方3番手からの競馬を余儀なくされた。
2コーナー過ぎからスパートをかけたが、頭を上げてモタモタする場面も。しかし3コーナー手前からようやく前に接近し、4コーナーでは馬群が開いたインを村上忍騎手が思い切って突く。
直線入り口で先頭に立ったトーホウデート、その外からサンデーゴールドが伸びたところ、最内からベルデンアインが鋭く強襲して2番身リード。ゴール前でサンデーゴールドにジワジワ詰め寄られたが、0・2秒差をつけて快勝した。
「前が速すぎて後方からの競馬になったが、砂をかぶっても馬群に突っ込んでもひるまない。ちょっと2歳とは思えない精神力がある。だから直線ではインコースを突いたが、追えば追うほど伸びるタイプ。距離が長いほうはいいと思う」と村上忍騎手。
次走はテシオ杯ジュニアグランプリ、若駒賞の両睨み。芝ダートと条件は違うが、距離1600mならどちらもこなせるかもしれない。
2着 サンデーゴールド
ダートに戻って圧倒的な1番人気に支持される。終始、不利のない中団外目につけ、トーホウデートが動いたのを見てスパート。4コーナーではいつでも抜け出せる態勢かに見えたが、イン強襲されたベルデンアインとの脚色さははっきり。
ラスト50mから再び盛り返したものの、ベルデンアインを捕らえるほどの勢いはなかったようだ。
「敗因はコース取りの差かもしれない」と小林騎手。ただパドックでの気合いがすごく、見た目にはやる気満々にも見えたが、逆の見方をすればちょっと入れ込みすぎかも。恵まれた馬体、持てる能力を出すためには精神的な成長が必要だろう。
3着 セイントネイティブ
道中はサンデーゴールドをマークに徹し、サンデーゴールドが動いてからワンテンポ遅らせてスパート。直線ではサンデーゴールドの外から差を詰めようとしたが、現状は交わせるまでは至らなかった。
「前回は早め先頭に立って末をなくしたから我慢させてみたが、そうしたら伸び切れない。仕掛けどころがちょっと難しい」と板垣騎手。
4着 トーホウデート
サンデーゴールドより1馬身前につけ、2コーナー過ぎから最初にスパート。追い出してからの手応えも上々で4角で一旦先頭。直線ではさすがに一杯となってしまったが、見せ場は十分。これで今後のメドも十分に立った。
8月30日 第35回ビューチフル・ドリーマーカップ(3歳以上牝馬 水沢1900m)
1着 クインオブクイン
ジュリアが逃げ、クインオブクインは2、3馬身離れた2番手をキープ。決して速くはない流れだったが、掛かるところもなくぴったり追走。「リラックスしすぎたのか折り合いがつきすぎて逆に心配になったが、3コーナーからハミを取ってくれたので大丈夫だと思った」(村上忍騎手)。
結果的に上がりの競馬となり、直線を向いてもジュリアが粘っていたが、それもラスト100mまで。クインオブクインが先頭に立つと一瞬のうちに後続を突き放して4馬身差。今回も役者の違いをマザマザと見せつけた。
「中間、大事に乗りすぎた影響か気合い不足だったかもしれない。それでも2番手をキープできたし、ムチを一発入れたらスッと伸びてくれた。気難しい面は確かにあるが、レースになると本当に強い」と村上忍騎手。
次走予定について桜田康二調教師は「馬の状態と相談の上だが、日本テレビ盃に挑戦してみたいと思っている」とコメント。
仮に実現すれば船橋遠征は3度目となる。これは楽しみになった。
2着 マツリダワルツ
前半は後方3番手に待機し、3コーナーからインを突いてスパート。クインオブクインが独走し、内で粘っていたジュリアをゴール寸前で捕らえる。
「ようやく本来の切れが戻ってきた。これまで脚元に不安があったため思い切った調教ができなかったが、今回はきっちり絞れて反応も良かった」と南郷騎手。
3着 ジュリア
今季は順調さを欠いて前走が2ヵ月半ぶりの実戦だったが、無理をしなかったのが功を奏し、叩かれた変わり身がはっきり。クインオブクインに可愛がったこともラッキーで、昨年ウィナーの面目が立った。
「去年の状態と比べるのは酷だが、ひと叩きされて気合いが戻ってきた」と斉藤騎手。
5着 サイレントエクセル
腰を落とした瞬間にゲートが開き、痛恨の出遅れ。5馬身以上の不利があって5番手からの競馬。「クインオブクインの直後につける予定だったが、これでは5着も仕方がない。互角なら2着は確保できたはず」と阿部騎手。
8月14日 第14回クラスターカップ(Jpn? 盛岡ダート1200m)
1着 バンブーエール
地方勢はもちろんのこと、JRA勢でもバンブーエールを上回るスピードを持っている馬はおらず、大外から果敢に逃げの手に出る。前半3ハロンが34秒6、あがり3ハロン35秒4。テン良し、中良し、終い良し。このペースで逃げられてしまっては、他はつけ入る隙がまったくなかった。さすがG?ホース。59キロのトップハンデもまったく問題にしなかった。
「ペースが遅くなりそうだったので、この馬のスピードを生かすことに心がけた。1頭だととぼけるところがあるのでクビ差でも完勝。これで弾みがついたので秋はG?連覇を目指したい」松岡正海騎手。
ドバイ(ゴールデンシャヒーン)で4着に大健闘し、帰国後は2、3着とひと息のレース。これは遠征疲れが残っていたためで本調子を取り戻した今回、貫禄の逃げ切りを決めて快勝。元々、爪が弱い馬だそうで夏がベストの季節。今後は東京盃→JBCスプリント(名古屋)のローテーションを踏むことになりそうだ。
2着 トーセンブライト
前半は5番手外を追走し、4コーナー手前からスパート。行き脚がついてからの伸びがすばらしく、大外を通ってバンブーエールにクビ差まで肉薄したが、先行競馬の流れに持ち込まれては2着も仕方なしだった。
「1400m戦だと一瞬、ガーッと行きたがるところがあるので1200mの方が合う。今日は2着だったが、前半もっと速いペースだったら逆転したかも」と安藤勝己騎手。
今回が生涯初の1200m戦となったが、むしろ適性あると安藤勝己騎手はコメント。その意味で今後にもつながるレースとなった。
3着 メイショウバトラー
バンブーエール、2番手タマモホットプレイのイン3番手につけ、トーセンブライトといっしょに前へ進出。4コーナーを回ったときは同じポジションにいたが、その後は前2頭に水を開けられてしまった。
「盛岡コースが合うし、この馬なりに良く頑張っている。でも牡馬一線級に入ると厳しいかも」と武豊騎手。
4着 タマモホットプレイ
終始2番手を追走し、直線入り口で一瞬、バンブーエールに並びかけるシーンもあったが、それが精一杯。次第に離されていき、外から伸びたトーセンブライト、メイショウバトラーの後塵を拝す。
「タイム差もそれほどないし、頑張ったと思う。ダートでも走れるようになり、選択肢が増えたのが収穫」と熊沢騎手。
8月9日 サファイア賞(3歳オープン 芝1700m)
1着 センリグランピー
全馬が初の芝2400m戦もあって当然のことだが、前半は超スローペース。しかしあわてずジックリ後方3番手に待機し、前走・オパールカップと同様、ラスト800mからロングスパート。4コーナーで先陣に取り付け、直線入り口で先頭に立ったトキワノマツカゼに並びかける。
内でトキワノマツカゼも渋太く粘ったが、ラスト100mでセンリグランピーが抜け出して外マルブツコンバットの追撃も封じて快勝。デビュー20戦目にして待望の特別タイトルを手に入れた。
「スローの流れは分かっていたが、折り合いがつくタイプなので心配はなかった。前回(オパールC)の芝でいい脚を使ったので、同じポジションからスパート。追ってからしっかり伸びるのがこの馬の持ち味。これまで掲示板に載ってもなかなか勝てなかったが、ようやく勝てた。自分もオープンタイトルは初めてだったので本当に嬉しい」と菅原俊吏騎手。
同騎手はオーストラリアでデビューした異色ジョッキー。かの地でも23勝したが、どうしても日本で騎手になりたいと厩務員を経て騎手免許を取得。07年4月、晴れて岩手所属のジョッキーとなった。
センリグランピーは追い込み一辺倒の脚質のため、いい脚を使いながら届かないケースの連続。ひと頃、脚質転換を図って先行策に転じたが、結果が出ず再び追い込みに戻っていた。
その目が出たのは3走前のダイヤモンドC3着。そして前走・オパールCでも僅差3着まで詰め寄っていた。これまでの2勝はダート戦だったが、ここ2戦を見ると芝の方が合いそうな印象。今後は強いことは百も承知で古馬の芝にチャレンジしてみたいと菅原右吉調教師。
2着 トキワノマツカゼ
終始4番手外を追走し、3コーナーから徐々に前へ進出。3コーナー過ぎに逃げたマイネルビバーチェが失速し替わってダンストンジールが先頭。連れて2番手に上がって直線入り口で先頭に立ったが、センリグランピーとの末脚勝負ではかなわなかった。
前走・オパールCが初の芝だったが、6着ながら0・6秒差にまとめ芝もこなせる感触をつかんで今回のサファイア賞へ臨む。
学習能力の高い馬で2度目の芝にも慣れてスムーズなレース運びができたが、ダート戦と同様、どうしても瞬発力で見劣って今回も惜しい2着となった。
3着 マルブツコンバット
道中はセンリグランピーの前を走り、脚をじっくり貯める競馬に心がける。3コーナーでも無理をせずに4コーナー手前からエンジン全開。大外から鋭く伸びてメンバー中最速の上がりを披露したが、惜しくも2着トキワノマツカゼとはハナ差3着に敗れた。
8月10日 若鮎賞(2歳オープン 盛岡芝1600m)
1着 ロックハンドスター
ダンストンルティーが逃げ、その直後2番手を追走。4コーナーでダンストンルティーを交わすとアッという間に突き抜けて9馬身差。このメンバーでは実力が違うとばかり、1頭だけ別次元の競馬を披露した。
「雨を含んだ芝にのめって合わない印象だったが、能力で勝った感じ。追い出してからの反応がいいので距離が伸びて実力を発揮したのでは。芝が合うか、ダート向きかはこれからの走り次第」と菅原勲騎手。
デビュー戦の芝1000mでは3番手を追走し、楽勝パターンかと思ったが、直線の伸びが案外で3着。しかし地元水沢に戻って1300m戦を中団から力強く抜け出して快勝。
今回は芝適性が心配されたが、アッサリ克服。これからも主導権を握っていくに違いない。
2着 リュウノヒーロー
道中ずっと6番手インにつけ、経済コースを進む。それが功を奏してインからスルスルと進出から2着を確保した。
メンバー最多の4出走のキャリアがあり、2着1回3着1回。人気がなかったので気楽に乗れたことも好走要因だったと思うが、キングリファール産駒ながら芝の方が合うかも。
3着 セイントネイティブ
スタートがもう一つだったが、今回はすんなり出て5番手を追走。3コーナーから外を回ってスルスル伸びて3着。他の有力馬の凡走にも助けられ、3着に食い込んだ。