5月17日 七時雨賞(3歳オープン 盛岡ダート1800m)
(七時雨賞ゴール 1着・ダンストンジール 写真・佐藤到)
1着 ダンストンジール
フジフーフーが逃げ、2馬身後ろインにトーホクプリンス、5馬身ほど離れた3番手外にダンストンジール。ペースアップしたのは2ハロン目だけ。あとはスローに近い流れで馬群がゴチャッと固まり、3コーナー手前から早めスパートをかける。「後ろの馬(マヨノエンゼル、トキワノマツカゼ)の2戦負けているので早めに動くしかないと思った」(村上忍騎手)。
3〜4コーナーでジワジワとフジフーフーに接近し、直線入り口で馬体を併せる。フジフーフーも渋太く粘ったが、ラスト150mで突き放し、そのまま押し切ってゴールに入る。
「道中、スムーズにレースが運べたし流れもこの馬に向いたかも。輸送してもプラス体重だったのも好走要因では」と村上忍騎手。
次走ははまなす賞(5月31日 盛岡芝1600m)、ダイヤモンドカップ(6月1日 盛岡ダート2000m)の両睨み。芝適性とメンバーを考えるとはまなす賞の線も有力だが、トライアルを勝ったからにはダイヤモンドカップにも挑戦してみてもいいかなと村上実調教師。
昨年はワタリシンセイキに完敗し、今季もマヨノエンゼル、トキワノマツカゼに完敗の格好だったが、今回の強さは展開に恵まれたにせよ間違いなく完勝内容。陣営はダンストンジールの強さに半信半疑の印象もあるが、今季は気性難を見せずまじめに走り、成長はっきり。もう少し馬体の張りが出てトモに肉がつけば、トップに立つことも決して夢ではない。
2着 マヨノエンゼル
有力3頭ダンストンジール3番手、その後ろにトキワノマツカゼ、さらに外にマヨノエンゼルがつけ、明らかに相手をけん制し合う格好。
マヨノエンゼルは1周目スタンド前では大外を追走したが、1〜2コーナーからスッと内に入れ、経済コースを進む。馬群がバラけたし、今開催の馬場は外が重く、内に進路を取ったのは正解。ダンストンジールが早めに動いて若干離されたが、インから徐々に前へ進出。そこで加速全開したが、4コーナーで前が壁になる不利があり、急きょ大外に進路を変更した。
そこからの伸びは鋭かったが、ダンストンジールのセーフティリードが最後でモノを言った。「内に入れすぎたかもしれない。もっと早く仕掛ければ」と山本政聡騎手。
確かに4コーナーでの不利は痛かったが、それでも直線で猛追。今回、ダンストンジール、マヨノエンゼルとの斤量差が2キロだったことを考えれば敗れてなお強し。これでダイヤモンドカップへのメドが立った。
3着 トキワノマツカゼ
人気を背負ったこともあって終始、不利のない4番手外を追走。ただ今の馬場はそのコースを採ると砂が深く伸びがひと息。直線の追い比べでダンストンジール、マヨノエンゼル2頭に遅れをとる。
馬体の良さ、初コースにも戸惑った印象もなかったが、追い出してからの反応がもう一つ。どうやら前走・阿久利黒賞のように早め早めに動かないと勝つのは難しいかも知れない。
4着 フジフーフー
トーホクプリンスがハナを譲らなかったため、手をしごいて先手を取り、大逃げを打ったが、2コーナーからガッチリ手綱を絞りスローに落とす。
道中は絶妙のペースで逃げ、直線でも粘っていたが、ラスト150mまで。あとは失速して3頭とは離されての入線。牡馬との能力差がはっきり出た。
5月10日 第35回シアンモア記念(ゴールドアリュール賞) (3歳以上・地方競馬全国交流 水沢1600m)
(シアンモア記念ゴール 1着・リュウノキングダム 写真・佐藤到)
1着 リュウノキングダム
ブローザウインドが逃げ、その後ろにサンキューウィン、3番手インにサイレントエクセル。リュウノキングダムは4番手外の絶好ポジションをキープしていつでも動かせる態勢。1周目スタンド前、ブローザウインドが14秒台の超スローに落とし、向正面から早々とスパート。3コーナーで2番手に進出し、4コーナーでブローザウインドに並び、ラスト100mで先頭。あとは後続を突き放す一方で2着に4番身差、余裕たっぷりでゴールに入った。
「ペースが遅くなったので早めにスパートをかけた。レース前は逃げの手も考えていたが、外枠だったのが逆に良かったのかも。指示にも素直に従い、非常に乗りやすかったし想像した以上に強かった。まだ4歳馬でこれからどんどん強くなるのでは」と菅原勲騎手。
「地元に戻ればまだA2条件に出られるのでそこでジックリ力をつけてからオープン戦線に殴り込みをかけたい」と斉藤敏調教師。
2着 ブローザウインド
先に行きたい馬がそろって先行激化が予想されたが、競りかける馬がなくスンナリ先手を取る。道中、超スローに落とせたのが好走要因。4コーナーでリュウノキングダムに交わされたが、前半で楽ができた分の貯金で2着に逃げ粘る。
「サンキューウィンが逃げると思ったら出足がつかなかったみたいで逃げの手に出た。マイペースで逃げたが、4馬身差では仕方なしでしょう」(関本淳騎手)
3着 オウシュウクラウン
「スタートで躓いたし、最初から行くつもりがなかったので中団は予定どおり」と関本浩司騎手。ラスト800mからペースが一気に上がったが、その流れにもついていくことができ、ジワジワと進出。あとひと押しが足りず首差3着に敗れたが、ようやく復調の兆しがうかがえた。
4着 アンダーボナンザ
後方待機策はいつもどおり。3コーナーでスパートをかけリュウノキングダムに劣らない上がりを使ったが、前半で長スローの流れに落とされたのが痛かった。
5着 ショーターザトッシ
赤松杯をパーフェクト内容で完勝し、1番人気に支持される。中団に控え、3コーナー手前からスパートは前走・赤松杯と同じだったが、直線で伸びを欠いて5着と案外の結果に終わってしまった。「赤松杯の疲れが残っていたかも」と小林騎手。
5月3日 第9回留守杯日高賞(3歳牝馬オープン 水沢1600m)
(日高賞ゴール 1着・シルバーカテリーナ 写真・佐藤到)
1着 シルバーカテリーナ
フジフーフーが逃げ、2番手にアンダージョイナー、少し離れてリリーミッション、その後ろ外にシルバーカテリーナ。前半はさほど速くはなく、シルバーカテリーナが2コーナー過ぎからスパート。リリーミッションの手応えが本物ではないこともあって菅原勲騎手は「相手をフジフーフー1頭に絞って」3コーナーで早くも馬体を併せる。
シルバーカテリーナの手応えが抜群で4コーナーでフジフーフーを交わして先頭。直線でややもたつくシーンもあったが、大勢に影響なし。ラスト50mでは菅原勲騎手が後ろを何度も振り返りながら余裕でゴールに入った。
「フジフーフーを追いかけようとしたら反応がすばらしく、早め先頭に立ってしまった。ちょっと強引なレースをしてしまったが、まだまだ強くなりそうな印象。これなら牡馬とも互角の競馬ができるかも」と菅原勲騎手。
次走予定は6月1日、ダイヤモンドカップ。そこで牡馬一冠目を制したマヨノエンゼルと雌雄を決することになる。
2着 フジフーフー
前回はマイナス13キロも体重を減らして反動が心配だったが、プラス9キロまで回復。パドックでもどっしり落ち着いて好状態で臨む。
予想どおり逃げの手に出てマイペースに持ち込む。しかしシルバーカテリーナが早めに仕掛けて外から馬体を併せられる。これでは道中で息を抜くことができず厳しい流れとなり、4コーナーで2番手に下がる。
それでも決してバテることなく半馬身差2着に粘る。シルバーカテリーナとの実力差ははっきり出たが、スピードは最後まで衰えなかった。
3着 テンショウスズラン
こちらはプラス15キロの428キロ。元々、飼い葉が細いタイプで体重増が最大の課題だったので明らかに好材料。本音を言えば骨格的に430キロから440キロ台はほしいところ。
道中は5番手インを進み、自身の能力をキッチリ出して離されたが、3着を確保。これで今後のメドが立った模様だ。
4月19日 第9回阿久利黒賞(3歳オープン 水沢1600m)
(阿久利黒賞ゴール 1着・マヨノエンゼル 写真・佐藤到)
1着 マヨノエンゼル
マーチボーイが大逃げを打ち、離れた2番手にリュウノシンゲン、内にダンストンジール、外にトキワノマツカゼ。マヨノエンゼルはスプリングカップで出遅れたが、今回は好スタート。前半は無理をせず中団でトキワノマツカゼを見る形でレースを進め、2コーナー過ぎから徐々に前へ接近する。
ラスト600mから一気にペースが上がり、ダンストンジールがまずスパートをかけて先頭。連れてトキワノマツカゼも動き、「相手はトキワノマツカゼ、ダンストンジールの2頭に絞った」(山本政騎手)マヨノエンゼルは外に持ち出してエンジン全開。
直線入り口でダンストンジールが一杯となったが、トキワノマツカゼの手応えが抜群でマヨノエンゼルはなかなか捕らえることができなかったが、ゴール寸前で交わして1着。鞍上・山本政聡騎手ともども待望の初重賞制覇を果たした。
「人気の重圧を感じていたが、スタートで後手を踏まなくてホッとした。トキワノマツカゼの手応えが良かったので厳しかったが、(馬の)根性で交わしてくれた。これで一冠目を無事取ることができたので、二冠目を目標に今後も頑張りたい」と山本政聡騎手。
次走以降は未定。3連闘で臨んだので疲れをまず取ることに専念したいとのこと。照準を6月1日、ダイヤモンドカップに絞った。
2着 トキワノマツカゼ
前走・スプリングカップは1枠に入り、包まれるのを避けて逃げたが、今回は大外10番枠。終始4番手外の絶好ポジションをキープし、ダンストンジールが動いたのに合わせてスパート。4コーナーまでほぼ持ったまま絶好の手応えで仕掛けも絶好。一瞬、勝つかと思ったが、最後の最後で力尽きる。
「4コーナーの感触が良かったので、これならいけるかもと思った。ただピリッとした脚がないため、決め手勝負になると苦しい」と菅原勲騎手。
5ヶ月ぶりを叩かれてマイナス8キロで出走。変わり身も十分でいわゆる勝ちパターンに持ち込んだが、今回はマヨノエンゼルの根性を誉めるべき。
ダイヤモンドカップは盛岡ダート2000mが舞台。決して器用なタイプではなく、コース広い盛岡で雪辱を晴らしたい。
3着 ダンストンジール
村上忍騎手は2頭との差を十分了解の上、早め早めのスパートに心がける。この思い切ったプレーで見せ場を作ったが、直線で失速。前走比マイナス8キロ、そして毛ヅヤも本物ではなく、前回よりも調子落ちの印象。その影響で2頭から3馬身差も離されたが、中味は上々。体調さえ戻れば反撃の余地はありそうだ。
4着 センリグランピー
ずっと後方からの競馬だったが、今回は一か八かの積極策に出て先に行く意思が満々。結果的に4番手インの競馬となり、前半で脚を使ったため勝負どころで3頭から遅れていく。いつもどおり待機策だったら3着を確保できたかもしれないが、勝ちに行っての4着は仕方なし。むしろこの果敢なレースぶりに好感が持てた。
(赤松杯ゴール 写真・佐藤到)
1着 ショーターザトッシ
オウシュウクラウンが逃げ、2番手カネショウエリート、その外にサイレントエクセル。ショーターザトッシは行く気にまかせて6番手を追走し、3コーナー手前から徐々に進出する。その時の反応がすばらしく、馬なりで次々と交わして4角で先頭。一瞬、直線でソラを使うシーンもあったが、小林騎手が気合いをつけるともうひと伸び。転入初戦だったが、2着に1馬身半差をつけ、岩手古馬陣をまとめて一蹴した。
「自分が調教も乗っているが、手応えを感じなかったので前日にもサーッと流した。マイナス7キロの433キロはそれが理由。折り合いもつくし、追い出してからの反応の絶好。直線でとぼけたのは久々に先頭に立った(笑)からかもしれないが、レースにはまったく影響なし。これならば今後も勝ちを計算できる」と小林騎手。
ショーターザトッシは笠松4戦を使ったあと、南関東へ移籍。通算7勝をマークし、07年・重賞サンタアニタトロフィーを優勝。二冠馬シーチャリオットを破る金星をあげたこともある。
その後も重賞戦線の常連に名前を連ねていたが、着止まりに終始。転入直前の金杯が1秒差7着、東京シティ盃1・3秒差に甘んじていたが、今回のレースに見るにつけ、南関東と岩手のレベル差は明白。今後、相当気合いを入れないと厳しくなるのは間違いない。
2着 ソーユアフロスト
前回同様、上々のスタートを切って5番手につける。勝負どころでショーターザトッシが動いて、遅れまいとソーユアフロストもスパートをかけたが、ちょっともたつく。「できれば外に出したかったが、勲さん(アンダーボナンザ)がそのコースに入ったので、思い切ってインを選んだ」(高松騎手)。その決断がズバリ功を奏し、最内を鋭く伸びて2着を確保した。
3月の特別開催で見事1着。ただ、その時は8頭立ての少頭数だったのに加え、超ハイペースになったのも幸い、外から豪快に抜け出した。しかし今回は12頭立てで忙しいマイル戦で馬群をさばくのが最大ネックだったが、高松騎手の好騎乗でカバーした。
3着 アンダーボナンザ
道中はショーターザトッシの後ろを追走。3、4コーナーでは追走するのに手こずったが、直線では大外からグイグイ。結果3着にとどまったが、以降に期待を抱かせた。
今回は3ヶ月ぶりの実戦でプラス7キロ。見た目ではさほど太くは映らなかったが、追い切りで3歳馬相手にも遅れ、仕上がり途上は明らか。次走・シアンモア記念で気配上昇は間違いない。
4着 オウシュウクラウン
内枠に入ったこともあってスンナリ先手を取り、マイペースに持ち込んだが、3コーナーで早くも手が動く。前回はハイペースをしのいで最後まで見せ場を作ったが、今回はアッサリ退いてしまった。「道中で気を抜くところが出てきた」と関本浩司騎手。
6着 サイレントエクセル
3番手外の絶好ポジションをキープしたが3、4コーナーで手応えが怪しくなり、早々と失速。「スタートも悪くなかったし、ペースも遅く追走も楽だったが、直線は全然。変わり身もあって期待していたが、まだ敗因が分からない」と板垣騎手。