
先週12日から盛岡競馬がスタート。開催替わり初日に3歳芝交流・オパールカップが組まれていたが、降雨のため芝からダート変更。当日朝の豪雨を考えると仕方なしだった。
芝レース仕切り直しは翌日13日、B1・レインボーカップ(盛岡芝1600m)。馬場は稍重まで回復したが、シーズン最初の芝を考えると先行有利かと思っていた。
しかし、フタを開けてみると3コーナーまで最後方にいたロンリーウェイが鮮やかなイン強襲を決めて快勝。レース上がりが37秒9に対し、ロンリーウェイは36秒6。まさに芝ならでは―の切れを披露。
高松亮騎手に聞いた。「芝開幕は内コースの状態がいいので最初から狙っていました。最後方でしたが、ペースも速かったので馬のリズムを大事にしただけ。返し馬の感触も良かったので、いけそうだなと思って臨みました。乗っている自分自身も芝ならではの競馬でした」
ところが翌日、B2・ジュライカップ(盛岡芝1700m)は絶好枠を引き当てたサンエイバラードが逃げ切りを決めて完勝。前日のレインボーCがハイペースだったため、一転して流れがスローになったことも好走要因。このあたりの駆け引きも勝敗を左右した。
結果2レースとも高配当。今週も20日にオープン「OROターフ特別」(芝1600m)、C1・芝1600m戦が組まれ、心して臨もうと思っている。
19日メインは「第52回岩鷲賞」(盛岡ダート1200m)。JpnIII・クラスターカップへの最終切符を争う。
コンサートドーレは北海道3戦1勝から岩手入りし、5戦2着1回から南関東へトレード。その後、大井1勝からJRA入り。2戦0勝から再び南関東へ移籍。通算7勝をマークしてB1まで駆け上った。
今年4月、岩手へ戻って初戦を7馬身差で圧勝し、早池峰スーパースプリントへ駒を進めて0秒2差で完勝。サインズストームのコースレコードを塗り替え、58秒2の時計を叩きだした。
その後、栗駒賞をスキップして岩鷲賞へ照準ピタリ。中間に4本の追い切りを消化して万全万全。1200m延長も過去6勝から大歓迎。重賞2連勝のお膳立ては整った。
プレシャスエースは中山ダート1200m3勝、函館ダート1000m1勝。3勝クラスから岩手入りし、初戦は太目がこたえて3着。逃げ馬に厳しい馬場も敗因だった。
しかし、ひと叩きされた栗駒賞で余裕の逃げ切りを決めて2着に0秒3差。あっさり1400m延長もクリアーした。今回は左回り盛岡に替わるが、所属が櫻田康二きゅう舎なら調教で走り慣れたコース。
むしろ1200m短縮の方に魅力を感じるし、枠順も手ごろ。コンサートドーレは強力だが、距離適性は互角以上。逆転首位も十分あり得る。
リュウノヴィグラスも南関東から再転入。赤松杯、シアンモア記念はマイルが長く10、9着。逆に早池峰SSは1000mが短く7着だったが、続く1200m戦で鮮やかなまくりを決めて快勝。栗駒賞でも3着を確保し、調子も良化一途。ベストの1200mなら2頭に割って入るシーンまで。
サマニーは岩手の水が合って5戦1勝2着2回。前走は6頭立て6着と案外の結果だったが、コーナー4つに嫌気がさした印象。コーナー2つの盛岡1200mなら反撃に転じて不思議はない。
サインズストームは休養明け後、6、9着と粘りを欠いているが、大型馬が走り頃の3戦目。昨早池峰賞レコード圧勝からも軽視できない。
シャドウパーティーは短距離戦で必ずひと脚を使い、入着を確保。追い込み一辺倒ゆえ1200mを勝つのが至難だが、一連の結果からもマーク必要。
◎①コンサートドーレ
〇⑤プレシャスエース
▲③リュウノヴィグラス
△②サマニー
△④サインズストーム
△⑥シャドウパーティー
<お奨めの1頭>
6R プレシャスメール
前走は1年1ヵ月の長期休養を問題にせず完勝。地力の違いを見せつけた。ひと叩きされ、さらに信頼度が増す
1月11日 第10回トウケイニセイ記念(4歳以上オープン 水沢1600m)
1着 マヨノエンゼル
1枠からロケットスタートを決め、5番手インを追走。レース前から想定したポジションだったようで1周目スタンド前でスローに落とされて掛かる仕草を見せてもジッと我慢する。
追い出しを始めたのは3コーナー手前からだったが、一瞬モタモタするシーンも。その外からスパートをかけたリュウノケンシロウの動きがすばらしくヒヤッとさせたが、3~4コーナー中間からエンジン全開。
その後の反応がすばらしく直線で5頭が馬群を形成したが、間を割ってグイグイ抜け出しラスト50mで先頭。大外を強襲したゴールドマインを0・2秒差封じ、桐花賞2着の雪辱を見事晴らした。
「南部杯のあとは何かイライラしたところがあったが、今回は落ち着いていつもより雰囲気が良かった。思ったよりペースが速くならなかったが、前の馬が4コーナーまで引っ張ってくれるだろうと信じてインで我慢させた。勝因は(ゴールドマインと)3キロのハンデ差もあっただろうが、1年間ずっと崩れなく結果を出してきたことがすごい」と小林騎手。
2着 ゴールドマイン
59キロのトップハンデが影響したのかダッシュがつかず後方2番手からの競馬。前半は無理をせず待機策に徹し、3コーナーから外を回ってスパート。しかし直線入り口でマヨノエンゼルとは5馬身ほどもあり、直線で鋭く伸びてきたが、0・2秒差までにとどまる。
桐花賞は中団5番手をキープし、早めに動いて完勝したが、今度は逆のポジション。直線で見せた末脚はさすがだったが、マヨノエンゼルとの上がりは今回もほぼ同じ。この着順は道中の位置取りの差と言っていいかも。いずれにせよ59キロが最後まで影響した印象だった。
3着 アンダーボナンザ
外からマヨノエンゼルを見る形でレースを進め、早めにスパートをかけたが、上位2頭との脚いろ差は明らか。ひとまず見せ場は作ったが、力差がハッキリ出た。
4着 リュウノケンシロウ
戦前は逃げか先行策に出る予想だったが、スタートで出遅れて後方3番手を余儀なくされる。それでも3コーナーからの反応がすばらしく直線入り口で先陣に並びかけたが、そこで一杯となる。
5着 アルディ
終始3番手インを追走し、勝負どころからペースアップされてもいっしょに進出。3コーナーで一旦先頭。さすがに直線では苦しくなってしまったが、このメンバーで5着確保なら立派。
12月31日 第35回桐花賞(3歳以上オープン・ファン投票 水沢2000m)
1着 ゴールドマイン
戦前の予想どおりエイシンイッパツが逃げ、2番手トキワノマツカゼ。3番手インにハルサンヒコ、その外にダンストンリアルがつけ、4頭で先陣を形成。
ゴールドマインは先陣から4、5馬身ほど離れてポツンと1頭で追走。「1枠に入ったが、外に出せ指示でした」と斎藤騎手。願ってもない5番手を追走することができた。
3コーナー手前からゴーサインを出し、斎藤騎手がムチを一発入れるとすばやく反応。4コーナーで逃げたエイシンイッパツに並びかけ、ラスト100mで先頭。この早めに仕掛けたのも功を奏し、大外から伸びてきたマヨノエンゼルを0・2秒差押さえて完勝。待望の重賞タイトルを獲得した。
「決め手があるオープン馬に乗ったことがないので、外を回って大丈夫かなと不安もありましたが、一鞭入れたらすばらしい動きを見せてくれた。勝利を確信したのは直線を向いてから。思わずガッツポーズを出してしまいました。
乗る前は自分でいいのかな―とちょっと緊張しましたが、大役を果たせてホッとしました」
櫻田浩三調教師はこれまでのレースを振り返り、2頭の上がりタイムはほぼ同じ。それならば前で競馬をすれば何とかなると判断。斎藤騎手への指示がずばりだった。
2着 マヨノエンゼル
道中はゴールドマインより3馬身ほど後ろを追走。向正面から早めスパートをかけたが、一瞬モタモタするシーンも。しかし3コーナーを回ってからはいつもどおりの伸びを披露したが、先にも記したとおり道中の位置取りの差が結果2着となった。しかし脚質からこの戦法しかなかった。
3着 ダンストンリアル
終始4番手外につける積極策に出る。ゴールドマインがマクリに遭い、厳しい展開になったが、最内でギリギリ粘って3着を確保。3連複、3連単で高配当を演出した。
4着 ヒカルメイオー
スタート直後はマヨノエンゼルの内にいたが、ペースが落ち着いた1周目スタンド前ではゴールドマインに内から並びかける。
勝負どころでゴールドマイン、マヨノエンゼルのスピードについていけなかったが、直線で盛り返した。
1月2日 第36回金杯(3歳オープン 水沢1600m)
1着 モエレデフィニット
ダークライが逃げ、2番手外にロックハンドスター。モエレデフィニットは3番手インにつけ、ロックハンドスターをマークする形でレースを進める。
「1枠だったので押し出されて逃げになるかと思ったが、ダークライがハナをアピールしたので内でジックリ待機した」(村上忍騎手)
勝負どころの3コーナー手前でロックハンドスターに外から並びかけ、一気にペースアップ。3ハロン標識で2頭が抜け出して早くもマッチレース模様となる。
直線を向いても互いに譲らず、直線半ばでモエレデフィニットが一旦抜け出したが、ロックハンドスターが驚異の根性を見せて再び差し返す。2頭はそのまま譲らずゴールまでもつれ込んだが、わずかハナ差モエレデフィニットが先着。転入2勝目が嬉しい初重賞制覇となった。
「結果的に3番手になったが、(ロックハンドスターの)目標にされる競馬だったらどうだったか。北海道のレースリプレイを見て、1頭だとソラを使いそうだと思った。だから転入戦で逃げの手で確かめてみたら、気を抜くところがあったのでやっぱりなと。2頭の実力は非常に接近していると思うし、もっと体重が増えればさらに強くなりそう。今後も楽しみ」と村上忍騎手。
2着 ロックハンドスター
抜群のスタートを切って2番手外を追走。相手はモエレデフィニット1頭のみと菅原勲騎手も考え、モエレデフィニットが動いたのと同時にスパート。直線は抜きつ抜かれつの攻防となり、わずかハナ差負け。三冠達成ならず、菅原勲騎手の悔しさも半端ではなかった。
今回は競り合いに負けた格好だったが、直線で差し返しす根性を披露。改めて強さを証明した。あえて敗因を探せば前走比プラス8キロの馬体重。あとは前日に砂を大量に補充し、南部駒賞より4秒以上かかる深い馬場が合わなかったかもしれない。
3着 ダークライ
最初から先手を取るつもりだったようで出ムチを入れて逃げる。ペース配分も悪くはなかったが、3コーナーで2頭に交わされる苦しい競馬。それでも7馬身離されたにせよ、3着死守は評価するべき。
11月22日 第41回不来方賞(3歳・地方競馬全国交流 水沢2000m)
1着 グレードアップ
「調教師の指示は4、5番手だったが、好スタートを切ったし他に競りかける馬がいなかった。それで包まれるよりは行ってしまおうと判断した」(菅原勲騎手)。
戦前の展開予想はスギノブライアンだったが、確かにスタートダッシュがすばらしくグレードアップがハナに立ち、2番手にポアントゥブルボン。スギノブライアンが3番手につける。
テン3ハロンは結構速かったが、1周目スタンド前でペースダウン。2コーナーまで13秒台に落ちたが、向正面から再びペースアップ。他に競りかけられた訳ではなかったが、「初コースに物見をしてフワフワして走っていたので、気合いをつける意味もあって早めに動いた」(菅原勲騎手)
それを見て各馬がスパートをかけ、ポアントゥブルボンは3コーナー手前で脱落。スギノブライアンは何とかペースアップに対応できたが、それも4コーナーまで。
直線を向いてグレードアップの独走状態に入るとこと、ラスト600mでようやくエンジンがかかったマヨノエンゼルが一完歩ごとに差を詰めたが、半馬身差まで。仮にゴールがもっと先にあってもグレードアップはまだ余力が残っており、交わすことはできなかっただろう。
「3月、大井で一度騎乗したことがあるが、一段と逞しくなっていた。多分、逃げたからだと思うが、道中遊び遊び走っていたのでレースに集中させる意味で気合いをつけて早めに動いた。マヨノエンゼルが外から来たのは分かっていたが、まだ余裕があったので交わされることはないと思っていた。キャリアも浅いし今後の成長が楽しみ」(菅原勲騎手)
グレードアップはこれで8戦5勝。クラウンC5着後、5ヶ月の休養を余儀なくされてクラシック戦線に乗れず出世も遅れたが、復帰後3連勝をマークして重賞タイトルも獲得。それでも南関東へ戻ればA2格付けだそうで、確実に一戦一戦を勝ちあがっていずれは重賞に挑戦してみたいと松代調教師。
2着 マヨノエンゼル
いつもどおり出たなりで中団7番手を追走する。向正面から一気に流れが速くなり、遅れずスパートをかけたが、一瞬モタモタする。ようやく3コーナーからエンジンがかかり、外から鋭く伸びてジワジワとグレードアップとの差を詰めたが、水沢2000mに0・9秒迫るハイタイム決着だったため、半馬身差まで詰め寄るのが精一杯だった。
「思った以上にペースが落ち着いてしまったのが痛かった。ラスト600mからはいい感じで伸びてくれたが、前の馬のペースになったので仕方がない」(小林騎手)
前走・北上川大賞典ではマイル戦を3回連続で使った影響で珍しく折り合いを欠いて3着止まり。しかし今回は向正面で反応ひと息だった以外は本来の動きを披露。惜しくも三冠達成はならなかったが、これは勝った馬を誉めるべき。自身の力は出し切った。
3着 スギノブライアン
スタート直後、外2頭の勢いを見て3番手に控える。それで1周目スタンド前で内に包まれて一瞬、掛かり気味になったが、吉田稔騎手がうまく外に出す。
グレードアップのスパートにも対応し4コーナーまで渋太く食らいついたが、直線で力尽きて徐々に失速。2頭から離されていったが、それでも3着を死守した。
この流れにも対応できたのは収穫。まだ成長途上だから強い相手に揉まれてさらにパワーアップしてほしい、と原口調教師。
11月15日 第37回南部駒賞(2歳・地方競馬全国交流 水沢1600m)
1着 ロックハンドスター
戦前の予想どおりモエレクリューガーが逃げ、絶好のスタートを切ったロックハンドスターが2番手でぴったりマーク。ペースが落ちたのは1~2コーナーの1ハロンだけ。は2頭がハイラップを刻んでレースを進める。
向正面から早くもマッチレースに持ち込まれ、後続を引き離す一方。逃げるモエレクリューガー、徐々に差を詰めるロックハンドスターの戦いがずっと続き、ロックハンドスターが直線入り口で馬体を併せる。
モエレクリューガーも内で渋太く粘ったが、ラスト50mでロックハンドスターが交わして先頭。その後も緩めずに追って2着に0・2秒差をつけて完勝。水沢での南部駒賞レコードを1・6秒も更新し、1分39秒8の破格タイムをマークした。
ロックハンドスターは前々走・ジュニアグランプリでは早め先頭に立ったため、ラストで脚が上がってしまったが、若駒賞をパーフェクト内容で圧勝。今回も好調サイクルをキープして臨み、自分で競馬を作って完勝。使われるごとに著しい成長を見せている。
「スタートが良かったので理想どおりのポジションが取ることができた。相手をモエレクリューガー1頭に絞ってレースを進めたが、乗っている自分も驚くほどの手応えと反応。2歳で1分40秒を切れるのだから相当なレベル。今後も大事に使っていけば大きいレースを勝てるかも」と菅原勲騎手。
今後については馬と相談してから、と瀬戸調教師。選択肢は川崎・全日本2歳優駿、地元の2歳三冠がかかった金杯もあるが、まだ白紙だという。
2着 モエレクリューガー
2番枠の好枠を引き当て、スタートもすばらしく予定どおりの逃げ。しかし道中ずっとロックハンドスターにマークされる形となり、息を抜くことができたのは1、2コーナーだけ。向正面から再びピッチが上がってもリードを保ち続けたが、ラスト50mでついに捕らえられてしまった。
もっと楽に逃げることができれば、と思わせるレースぶり。結果的に2着に敗れたが、こちらも1分40秒ジャストで駆け抜け、レベルの高さをアピール。昨年のワタリシンセイキと同様、相手が悪すぎた。例年レベルならアッサリ逃げ切っていたに違いない。
3着 リュウノボーイ
いつもより前めの4番手外をキープ。3コーナー手前から動いてその時の反応も上々だったが、前の2頭のレベルが高すぎた。結局、2頭から7馬身離された3着だったが、自己の能力はキッチリ出した。
4着 ショウリダバンザイ
前半は中団後ろにつけ、馬群にもまれても怯まなかった。リュウノボーイとはクビ差の4着に入線し、持ち味の堅実さを発揮した。