
6月22日(日) 「第49回ウイナーカップ」(水沢1400m)
1番人気に支持されたポマイカイが予想どおり逃げたが、道中は掛かりっ放し。鞍上は抑えるのに苦労した。2番手にサンカリプソ、3番手外にステイクラッシー。2番人気ピカンチフラワーは4番手インを追走し、5番手にノヴェルウェイ、キングミニスターは7番手、リュウノナポレオンは後方2番手に控えた。
ポマイカイは終始、先頭をキープして直線に入ったが、インを追走したピカンチフラワーが残り200mでポマイカイを捕らえる。一方、後方に待機していたリュウノナポレオンは3コーナーからスパートをかけると鋭く反応。直線は大外からグングンと伸びてピカンチフラワーをあっさり交わして1馬身差。重賞初挑戦でタイトルを獲得した。
1着・リュウノナポレオン=塚本涼人騎手
「先生(板垣吉則調教師)に無理して行かなくていいと言われましたから、馬のペースに任せました。前との距離は開いたが、後方でも落ち着いてスムーズにレースを運べたと思う。ペースも流れていましたからね。勝負どころの3コーナーでハミをかけたら、ボクがビックリするぐらいの脚を使ってくれた。ですから4コーナーを回った時には勝てそうだなと思いました」
板垣吉則調教師
「当初は1600mを使う予定だったが、繰り上がりでウイナーカップへ選ばれた。今回は格上馬が相手でしたからね。ペースについていけないだろうと思い、鞍上には馬任せでいいと伝えた。南関東時代に勝ち切れなくて戦法も定まっていなかったのが正直なところ。今日はペースにも恵まれたが、いい脚を使ってくれた。1400m戦を勝ったが、距離が延びた方がいいので次走はやまびこ賞になると思います」
リュウノナポレオンは南関東2着2回3着3回から転入。あっさり2連勝を飾り好発進を決めたが、以降は4、2、2着。逃げても2着、控えても2着と伸び切れずにいたが、今回は思い切った待機策が奏功。鮮やかなまくりを決めた。レイデオロ産駒は総じて奥手タイプが多いが、リュウノナポレオンも同じクチ。馬格にも恵まれて今後の成長も楽しみになった。
2着ピカンチフラワーは再転入戦のあやめ賞を快勝し、2ヵ月休養。復帰戦のイーハトーブマイル2着からウイナーカップへ駒を進め、理想的なレース運びを見せたが、今回は勝った相手をほめるべき。
3着キングミニスターは2歳時の門別代表で芝からダート変更の交流・ジュニアグランプリを優勝。その後、南関東へ移籍して今年5月に転入。3戦連続で3着止まりだが、今回で復調のメドが立った。
4着ポマイカイは前走、盛岡1600mへ出走して3着。折り合いに難を抱える内容だったが、今回はコーナー入りが早い水沢1400m戦。スプリングカップの再現かと思われたが、終始行きたがって押さえるのに苦労。2番手につけたサンカリプソが10着、3番手ステイクラッシーが7着と先行馬が総崩れとなるハイペースもたたった。次走はハヤテスプリントを予定しているが、やはり折り合いが最大課題となるだろう。
今週の岩手競馬
6月29日(日)メイン12R「第53回一條記念みちのく大賞典」(オープン 水沢2000m)
6月30日(月)メイン12R「小暑特別」(A級一組 水沢1600m)
7月1日(火)メイン12R「スプリント特別」(オープン 水沢1400m)
6月8日(日) 「第33回東北優駿」(3歳オープン 水沢2000m)
ブリスタイムが絶対にハナを譲らない構えを見せ、手をしごいて先手を主張。2番手にユウユウコラソン、3番手インにミヤギヴォイジャー、続いてサウザンドマイル。1番人気リケアカプチーノはスタートひと息だったが、1周目4コーナーでは3番手外まで押し上げた。
ブリスタイムは大逃げを打って後続を10馬身以上も離したが、向こう正面で早々と失速。替わってユウユウコラソン、リケアカプチーノの2頭が先頭。中団に待機したサンロックンロールも3コーナー前からスパートをかける。ユウユウコラソンは粘れたのは3~4コーナー中間まで。リケアカプチーノがあっさり交わすと、あとは独走状態。2着サンロックンロールに7馬身差をつけてゴールに入った。
1着・リケアカプチーノ=吉原寛人騎手
「転入戦(ダイヤモンドカップ)は初の左回りだったが、今回は走り慣れた右回りだったし、仕上がりも良かったので安心して乗れた。もう少しスタートを決めたかったが、行き脚がつかないのは想定内。3番手はイメージどおりでした。強い馬なので強くに攻めたが、その期待に応えてくれた。距離はまったく苦にしない。むしろ1800m~2000mの方が乗りやすいと思います」
菅原勲調教師
「前回と同様、いい状態で臨めた。レースは吉原騎手にお任せでした。前走でクセもわかっていますからね。スタートが良くなかったが、どこからでも競馬ができるし、このメンバーでは力が違う。東北優駿を勝つのが一番の目標だったので、ホッとしている。次走は未定だが、古馬のみちのく大賞典、3歳ならやまびこ賞になると思います」
リケアカプチーノは高知デビューで8戦5勝2着3回から転入。初戦のダイヤモンドカップは離れた2着だったが、1着シーソーゲームはJpnI・東京ダービーでも3着に健闘。以降は東北優駿に照準を合わせて調整し、仕上がり万全。今回のパフォーマンスを見ると2000m向きは明らか。
2着・サンロックンロール
前半は中団に控え、残り800mから徐々にスパートをかけ、リケアカプチーノに7馬身差をつけられたが、2着を確保。3着ユウユウコラソンとは9馬身差もあり、岩手デビュー馬とは能力差が歴然。これで通算成績7戦4勝2着2回3着1回とした。
3着・ユウユウコラソンは南関東から再転入。2戦目から3連勝を飾り、重賞・イーハトーブマイルを優勝。今回は実績の低い水沢、距離2000m克服が課題だったが、離されたにせよ3着確保。成長の跡がはっきりうかがえた。
今週の岩手競馬
6月15日(日) メイン11R「第10回早池峰スーパースプリント」(オープン 水沢850m)
6月16日(月) メイン12R「種山高原賞」(C1級 水沢1400m)
6月17日(火) メイン12R「撫子特別」(A級三組 水沢1600m)
6月1日(日) 「第26回あすなろ賞」(オープン 盛岡ダート1800m)
好スタートを決めたグラシアスが先手を主張。2番手にサンビュート、3番手外にミニアチュール、4番手インにスズカゴウケツ、続いてノーブルサターン。ヘリオスはスタート直後につまづいたが、位置を取りにいかず前半は中団外を追走、その内にサクラトップキッド。
1コーナーを回ってグラシアスが後続を離して逃げたが、4コーナー手前で一杯。その外からミニアチュール、さらに外ヘリオスの2頭が交わして先頭。直線の叩き合いに持ち込まれたが、残り200mで抜け出して2馬身半差。2着ミニアチュール、3着は直線でじわじわと伸びてきたサクラトップキッドがノーブルサターンを交わして確保した。
1着・ヘリオス=岩本怜騎手
「指示は2、3番手だったが、スタート直後につまづいてちょっと焦った。ですが、無理にポジションを取ると脚を使ってしまうのでリズムを重視。レースも流れていたので中団に控えたが、逆にコースロスなく立ち回れたと思う。2コーナー過ぎにヘリオスがハミを取りましたからね。気分を害さないように行ってしまおうと決めた。直線でミニアチュールを交わしたあと、少し勢いを失ったが、最後まで一生懸命に走ってくれた。今回が初騎乗でしたが、どこからでも競馬ができるタイプですし、操作性も高い馬。1800m以下ならどんな流れにも対応できると思います」
千葉幸喜調教師
「転入2戦が案外の結果でしたから、今回は中央時代と同様、ブリンカーを着用して臨んだ。鞍上には2、3番手につけてほしいと言ったが、つまづいてしまいましたからね。中団もやむなしだったが、うまく乗ってくれた。それと今回は連闘でしたから運動量を控えたが、高齢馬ですから結果的にそれも好走要因だったかもしれない。次走予定は登録を済ませたさきたま杯だが、みちのく大賞典の優先出走権も獲得しましたから、改めてオーナーと相談して決めたいと思っています」
ヘリオスは中央ダート8勝。2022年のマイルチャンピオンシップ南部杯でハナ差2着などを含めて2着6回。ダートグレードの常連で鳴らし、今年一番の大物転入。しかし栗駒賞、シアンモア記念と伸びを欠いて4着止まり。前途に暗雲が立ち込めたが、今回きっちり完勝。岩手限定とはいえ、初の重賞タイトルを獲得した。千葉幸喜調教師のコメントにもあるとおり、次走はさきたま杯か、一條記念みちのく大賞典になる模様だ。
2着・ミニアチュール
今季3着、2戦目・栗駒賞8着と凡走したが、元々が実戦を使われながら調子をあげていくタイプ。シアンモア記念3着で復調の手ごたえをつかんで今回2着。ヘリオスの格に屈したが、これで勢いを取り戻したと判断していいだろう。
3着・サクラトップキッド
昨年11月、岩手競馬の最長距離2500m・北上川大賞典を優勝。3歳馬初の快挙を果たし、桐花賞0秒4差5着後、完全休養。あすなろ賞が今季初戦となったが、3着入線。収穫の多い一戦となった。この一戦を叩いて一條記念みちのく大賞典は予定どおりのステップ。
今週の岩手競馬
6月8日(日) メイン11R「第33回東北優駿」(3歳 水沢2000m)
6月9日(月) メイン12R「ジューンカップ」(B2級 水沢1900m)
6月10日(火) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B2級 水沢1600m)
5月25日(日) 「第13回イーハトーブマイル」(3歳 盛岡ダート1600m)
3歳トップは次開催の東北優駿へ直行し、重賞路線の狭間。あとはマイル適性を重視したメンバーが顔をそろえた。逃げたのは笠松から転入ブリスタイム。門別未勝利から移籍後、3連勝を飾り、ネクストスター笠松を逃げ切り勝ち。前後して大敗は先手を取れなかったとき。それを考えて鞍上・高橋悠里騎手は何が何でもハナを奪いたいと手をしごくが、反応ひと息。先手を取れたのは1ハロンすぎだった。
一方、ユウユウコラソンは絶好のスタートを切り、ハナに立つシーンもあったが、ブリスタイムの動きを見て2番手に控える。3番手インにステイクラッシー、その外にピカンチフラワー、直後をマツリダマスラオが追走した。
3コーナー過ぎ、ユウユウコラソンがブリスタイムを馬なりで交わして先頭。連れてピカンチフラワーも動き出し、マツリダマスラオも遅れずスパートをかけたが、反応ひと息。直線はユウユウコラソン、ピカンチフラワーの叩き合いとなったが、ラスト200mでユウユウコラソンが突き放してゴール。3着にはインを突いて伸びたステイクラッシーが確保した。
1着・ユウユウコラソン=佐々木志音騎手
「今日の馬場が前残りだったので前目に付けたいと思っていたが、悠里さんのブリスタイムが結構強気で来たので2番手でも良いなと思って切り替えた。元々少し気が悪い面があって、手応えもひと息だったが、直線に向けば頑張ってくれるだろうと追った。普段はおっとりしていてペットみたいな感じなんですけどもレースになると頑張ってくれます」
佐藤祐司調教師
「小柄な馬なので10頭の中に入って見比べるとちょっと見劣るようなところはあるが、頑張って走ってくれる。これからももうちょっと強くなってほしいなと思う部分はあるが、馬体の成長にかかってくると思う。ここまで来たら重賞に挑んで行くことになるでしょうし、もうワンステップ上に行ってくれることを考えると。東北優駿にぶつけていくのが筋でしょうね」
ユウユウコラソンはコパノリチャード産駒で2歳時に2勝マーク後、南関東へ移籍。3戦3着1回から帰郷し、初戦のネクストスター北日本は11着に終わったが、地元同士の戦いに戻って2連勝をマークしてイーハートーブマイルへ出走。重賞挑戦7度目で待望の初重賞を手にした。今回の勝利でも盛岡11戦4勝2着2回。次走・東北優駿は相手強化とコース克服が課題となる。
2着・ピカンチフラワー
2歳牝馬交流・プリンセスカップ4着後、南関東へ移籍。大井2戦を使って里帰り初戦の牝馬重賞・あやめ賞を快勝。その後の選択が注目されたが、一度放牧に出て帰郷。イーハトーブマイルへ照準を合わせて調整を進めてきた。今回は初のマイルもこたえて2着だったが、これで距離対応の目が立った。
今週の岩手競馬
6月1日(日) メイン11R 「第26回あすなろ賞」(オープン 盛岡ダート1800m)
6月2日(月) メイン12R 「初夏特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
6月3日(火) メイン12R 「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1200m)
5月18日(日) 「第50回シアンモア記念」(オープン 盛岡ダート1600m)
昨年の覇者グランコージーが最内1番枠を引き当て、逃げも想定されたが、大外からヒロシクンがハナを主張した。スタートから12秒6-11秒4-11秒9-11秒9-12秒1。前半1000m59秒9は地元同士の戦いでは超ハイペースだったが、当日は馬場が軽く、逃げ有利。結果的に高松亮騎手が好判断、好プレーとなった。
ヒロシクンは残り600mから再び加速。フジユージーンも3、4コーナー中間からスパートかけて接近したが、ラスト3ハロン11秒5-11秒5-13秒7=36秒7でまとめてフジユージーンの追撃を完封。赤松杯に続いて重賞2連勝を飾った。
1着・ヒロシクン=高松亮騎手
「素晴らしいメンバーがそろって自分も楽しみでした。先生(佐藤雅彦調教師)には"自分を信じて思い切って乗ってこい"と送り出されました。3~4コーナーでフジユージーンが動いてくると思っていましたから迷いなく行こうと決めていましたし、ヒロシクンもそれに応えてくれました。今回は大きな大きな1勝だったと思います。多くのファンが集まってくれた中でフジユージーンと戦い、熱いレースを見せることができましたし、自分が勝つことができて本当にうれしいです」
佐藤雅彦調教師
「(ハナに)行けてもいけなくても思い切って乗ってこいとジョッキーに言いました。グランコージーがちょっとゲート出が遅かったので大外でも先手を取ることができた。前の盛岡戦(11月11日)は着差が微妙だったので、コース替わりが若干不安でした。これだけのメンバーがそろいましたからね。運のいい馬が勝つだろうなと思っていたが、それが自分の馬でした。次はみちのく大賞典へ直行します」
ヒロシクンは昨年、中央1勝クラスから転入。B1級で3連勝を飾り、伝統の一條記念みちのく大賞典へ挑戦。鮮やかな逃げ切りを決め、重賞初挑戦で制覇の快挙を果たした。その後も青藍賞、トウケイニセイ記念と重賞3勝。桐花賞は4着に敗れたが、4歳以上最優秀馬に選出された。今季はフジユージーン相手に圧巻の逃げ切り2連勝を飾り、今度はみちのく大賞典2連覇の偉業達成へ臨む。
2着・フジユージーン
今シーズンはシアンモア記念トライアル・赤松杯から始動。楠賞以来、久々の実戦もこたえてクビ差2着に敗れたが、今度はコース広い盛岡が舞台。主役奪回の期待が集まり単勝1・8倍の1番人気に支持されたが、またもや2着。瀬戸幸一調教師「高松騎手にうまく乗られたが、水沢へ帰郷後、順調さを欠いたのが尾を引いたかもしれない。今後については白紙。放牧に出すことも考えている」
今週の岩手競馬
5月25日(日) メイン11R「第13回イーハトーブマイル」(3歳 盛岡ダート1600m)
5月26日(月) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B2級一組 盛岡ダート1600m)
5月27日(火) メイン12R「マグオート賞」(B1級一組 盛岡ダート1200m)