松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。
松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。9月28日(日) 「第6回オータムティアラ」(3歳牝馬 水沢1900m)
サンカリプソが好スタートを決め、すんなり先手を奪う。2番手にミナトミナイト、3番手に1番人気クラリティー、4番手外オールニッポン、5番手インにプレシャスアセット。ナムラクレープは外から被せられるのを避け、後方に下げて9番手からの競馬となった。
3歳牝馬には未知の1900m戦。ペースはスローに落ちて2コーナー過ぎからクラリティーが手をしごいて前へ接近。ナムラクレープも徐々に進出した。一方、先行グループはサンカリプソの1馬身後ろをミナトミナイトがピッタリ追走。4コーナーまで持ったままと抜群の手応えで直線入り口で先頭。プレシャスアセットも早めにスパートをかけたが、。ミナトミナイトが4馬身差で完勝。ひまわり賞(オークス)に続いて牝馬二冠を達成した。
1着・ミナトミナイト=高橋悠里騎手
「先行馬がそろっていそうなメンバーだったが、自分は馬のリズム重視。ゲートの出方次第では2、3番手もありだなと考えていた。向こう正面からペースが上がったが、距離を保たせるように心がけた。4コーナーあたりでは勝てるかなと思ったが、直線半ばで外から馬が来た時にもうひと伸びしてくれた。2歳の頃から乗せて貰っているが、とにかく性格が素直。ひまわり賞前のレースを勝ったあたりからレースに対する考え方が変わってきて、ひまわり賞を勝ってさらに精神的に成長したように感じた。これからももっと良くなっていくと思います」
伊藤和忍調教師
「前走(ビューチフルドリーマーカップ)で強い馬にぶつけたのが今回に繋がったと思う。道中の手応えが良さそうだったし、仕掛けてペースが上がったところで後ろも離れたので、これなら大丈夫だという感じで見ていた。やはり春からだいぶ成長したなという感じがする。ここまで成長する馬もそうそういないので、自分も毎回のレースを楽しみに見ている。次走以降はロジータ記念も視野に入れています」
ミナトミナイトは2歳時5戦2着3回。未勝利に終わったが、今季2戦目で初勝利。以降は足踏みが続いたが、3歳B2戦、重賞・ひまわり賞を連勝。一気に素質を開花させた。伊藤和忍調教師のコメントにもあるとおり、前走で古牝馬交流・ビューチフルドリーマーCへ挑戦した経験がプラスに大きく作用。この勝利で3歳牝馬ナンバー1を確定させた。
2着プレシャスアセットは中央3戦とも大敗に終わって岩手入り。初戦2着以降は伸び悩んでいたが、芝をきっかけに覚醒。3歳芝交流・オパールカップで3着に健闘し、3歳B1(盛岡ダート1400m)、JRA交流(芝1700m)を連勝。オータムティアラでも優勝馬とは4馬身差があったが、2着を確保。オルフェーヴル産駒らしい目覚ましい成長力を見せた。
3着ナムラクレープは中央未勝利から高知へトレード。2戦目から連勝を飾って直後に転入。初戦を快勝し、今回2番人気に支持されて3着。メンバー最速の上がりをマークしたが、結果的に先行有利の流れ。ペースにも泣いた印象だった。
今週の岩手競馬
10月5日(日) メイン12R「第12回ヴィーナススプリント」(牝馬オープン 水沢1400m)
10月6日(月) メイン12R「神無月特別」(A級一組 水沢1600m)
10月7日(火) メイン12R「スプリント特別」(オープン 水沢1400m)
9月21日 「第33回青藍賞」(水沢1600m)
内2番枠に入ったヒロシクンが好スタート決め、楽に先手を取った。2番手インにヘリオス、3番手マイネルアストリア、4番手にスプラウティング。7番手ライアン、注目のフジユージーンはダッシュひと息で8番手からの競馬となった。
ペースが落ち着いた2コーナー過ぎからフジユージーンが進出。3コーナーでヒロシクンに1馬身差まで詰め寄ったが、高松亮騎手=ヒロシクンは折り込み済み。一気にスパートをかけるとヒロシクンも反応。直線を向いて3馬身ほどリードし、あとは余裕でゴール。2着フジユージーンに4馬身差をつけて完勝した。
1着・ヒロシクン=高松亮騎手
「自分がやるべきレースは分かっていた。序盤はフジユージーンの位置を確認しながらでもあったが、自分のマイペースに持ち込むことができた。勝負どころで迫ってきた時には、もちろん来るだろうなということは分かっていたから、自分からペースを上げていくつもりでいた。久しぶりのフジユージーンとの直接対決でどうなるかなと思っていたが、強いヒロシクンを見せることができました」
佐藤雅彦調教師
「どういうレースをするかは高松騎手もよく分かっているでしょうから全部任せていた。フジユージーンがどこから来るか、それは鞍上も予想していたと思うので、そこもしっかり乗ってくれた。3~4コーナーあたりまで来たところでいけるかなと思った。マーキュリーカップの疲れが残っていて厩舎に戻ってきたのが8月下旬。牧場でもしっかりケアしてくれた分、ちょっとギリギリでしたが状態は問題なかった。次走については今はまだ考えていない。馬主さんと相談しながら決めたいと思っています」
ヒロシクンは今春の重賞2戦でフジユージーンの追撃を封じて連勝。夏は宮城県の牧場で休養し、青藍賞で復帰。堂々2連覇を飾った。青藍賞2連覇は2018年のエンパイアペガサスを皮切りに、ヒガシウィルウィン、ゴールデンヒーラー、そして今回のヒロシクンと4頭連続となった。
フジユージーンはシアンモア記念2着後、静岡県御殿場の富士ファームで完全リフレッシュ。8月上旬に帰厩し、予定どおり青藍賞で戦列復帰を果たしたが、プラス20キロ。大幅な増加も敗因だったと思うが、馬体の張りは春に比べて数段上。ヒロシクンのマイペースに持ち込まれたにせよ、0秒7(4馬身差)で完敗。当初予定は青藍賞を叩いてマイルチャンピオンシップ南部杯が青写真だったが、現時点では白紙。次走については決断を待ちたい。
今週の岩手競馬
9月28日(日) メイン12R「第6回オータムティアラ」(3歳牝馬 水沢1900m)
9月29日(月) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B1級 水沢1400m)
9月30日(火) メイン12R「アレキサンドライト賞」(B1級一組 水沢1600m)
9月15日(月)「第45回若駒賞」(2歳 水沢1600m)
1番人気セイクリスティーナが絶好のスタートを切ったが、イタズラベガが枠差を利して先手を主張。2番手インにウェズン、その外にジェイエルビット、セイクリスティーナは4番手外をキープした。門別1勝から転入ロジータサンライズは3番人気に支持され、最後方を追走した。
坦々とした流れでレースは進み、3コーナー過ぎからセイクリスティーナがイタズラベガ、ジェイエルビットに接近。プレッシャーをかけながら4角手前で先頭に立ち、あとは後続を突き放す一方。直線は独走状態に持ち込み、2着イタズラベガに6馬身差をつけてゴール。芝重賞2勝に続き、ダートでも圧勝。自身の重賞連勝を3に伸ばした。
1着・セイクリスティーナ=山本聡哉騎手
「ゲートに不安があるので出方次第だったが、いいスタートを切って理想的なポジションを取れた。ペースが流れていたから仕掛けどころを考えていたが、3コーナーで反応を見たらハミを取ったので大丈夫だなと思った。今回もしっかり能力を示せたと思う。あくまでもテンション次第だが、相当レベルの馬だと見ています。ダートも距離もまったく問題ありませんので、今後も楽しみです」
佐々木由則調教師
「テンションが上がる性格なんだが。それがレースでいい方向に出るんでしょうね。今日は速いタイム決着だったから(同厩の)ジェイエルビットに有利かなと踏んでいたが、思った以上に強かった。見た目は迫力がないように映るが、レースセンスがすばらしい。次走はプリンセスカップを考えています」
セイクリスティーナはデビュー戦の盛岡ダート1000mは出遅れもあって2着に敗れたが、2戦目の水沢1300mを1秒6差で圧勝。続いて芝に駒を進めて若鮎賞、交流・ジュニアグランプリを連勝。今回は地元同士の戦いに戻り、6馬身差で圧勝。牡馬はレジェンドバローズ、牝馬はセイクリスティーナが断然のトップを突っ走っている。
ただ課題は気負いすぎること。今回もパドックで当初は落ち着いて回っていたが、徐々に気合いアップ。コースに入ってからさらにテンションが上がったため、山本聡哉騎手は落ちかせるためにゲート前にグルグル周回させていた。加えて今回は大外枠だったため、ゲート入りして直後にスタート。これも勝利を後押しした。次走は2歳牝馬の全国交流・プリンセスカップ。どの枠順を引き当てるか―をチェックしたい。もちろん陣営は織り込み済みだが、正直に言うと気になるところである。
今週の岩手競馬
9月21日(日) メイン11R「第33回青藍賞」(オープン 水沢1600m)
9月22日(月) メイン12R「焼石岳賞」(C1級 水沢1400m)
9月23日(火) メイン12R「スプリント特別」(オープン 水沢850m)
9月7日(日) 「第51回ビューチフルドリーマーカップ」(牝馬・地方競馬全国交流 盛岡ダート2000m)
逃げが想定されていたザオが出遅れを喫し、4番手外に押し上げる。各馬がけん制し合いながらクイーンカードが先手を取り、2番手に1番人気ミニアチュール、3番手外にローリエフレイバー。マテリアルガールは5番手、2番人気ラブラブパイロは7番手を追走した。
残り1000mでクイーンカードが一杯となって失速。替わってミニアチュールが先頭に立ち、その外をローリエフレイバーがぴったり追走。終始、プレッシャーをかけ続け、4コーナー手前で外に並び、直線入り口でクビ差ほどリード。ミニアチュールも渋太く粘ったが、ローリエフレイバーがラスト1ハロンで振り切り、外から伸びてきたザオ、ラブラブパイロの追撃を封じた。
1着・ローリエフレイバー=野畑凌騎手
「理想の競馬ができたが、最後まで分からなかった。気難しい女の子なので機嫌を損なわないようにレースを進めた。相手はミニアチュールだけ。それを相手にレースを進め、4コーナーで突き抜けると思っていたが、最後は後から詰め寄られました。今日もまだ力を出し切っていない。出し切ってくれれば、もっと強い競馬ができると思います」
月岡健二調教師
「ここ2走はいい競馬ができなかったから、今回勝ててホッとしました。前々走(エンプレス杯)はグレードレース、前走(中原オープン)は男馬が相手。その後はビューチフルドリーマーカップに合わせて北海道のファンタストクラブで休養。リフレッシュして臨めたし、馬はできていた。この馬は切れるというより長くいい脚を使えるタイプ。次走はレディスプレリュード。再度、強豪と戦うが、どのような競馬ができるか楽しみ」
ミニアチュールはトライアル・フェアリーカップを2秒差で圧勝。今季初勝利を飾り、Bドリーマーカップ2連覇を狙って出走。1番人気に支持されたが、ローリエフレイバーに徹底マークされる展開。さすがにラスト1ハロンで一杯となったが、終始プレッシャーをかけられたのは貴重な経験になったはず。次走以降への糧としてほしい。
今週の岩手競馬
9月14日(日) メイン11R「セプテンバーカップ」(B2級 水沢1600m)
9月15日(月) メイン12R「第45回若駒賞」(2歳 水沢1600m)
9月16日(火) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)
9月2日(火) 「第57回不来方賞」(3歳・JpnII 盛岡ダート2000m)
メイショウズイウンが若干つまづいたが、ほかは一斉。各馬がけん制し合う中、大外からナルカミが馬なりで先頭に立ち、2番手にルヴァンユニベール、3番手外にハグ、4番手にメイショウズイウン。先団4頭から5馬身ほど離れてロードラビリンスが追走。
スタートからハロンタイムは12秒0-11秒5-11秒6-12秒8-12秒9-12秒4-12秒7-11秒8-10秒6-12秒9。リケアカプチーノは経験がなかったハイラップ競馬にとまどい7番手につけるのがやっとだった。
残り3ハロンからピッチが上がり、ハグ、メイショウズイウンがナルカミに接近を図ったが、4コーナーまで持ったまま。直線を向いて鞍上・戸崎騎手がゴーサインを出すと、ナルカミが鋭く反応。10秒6の脚を使い、あとは余裕でゴール。2着ハグに2馬身半差をつけて初重賞を獲得。ダート三冠目・ジャパンダートクラシックの優先出走権を獲得した。
1着・ナルカミ=戸崎圭太騎手
「この馬はフットワークが大きい馬。ごちゃつくと心配だったが、今回は大外だったので問題なかった。ポジションはゲートを出てから。ほかの様子を見ながら併せる形よりもリズムを優先させたら、いいペースで行けた。道中の手応えが良かったし、仕掛けてもまだまだ余裕があったので、強いレースだったと思う。まだ揉まれた経験がないのでそこだけが未知だが、左回りも2000mも特に問題ない。次走も楽しみです」
田中博康調教師
「デビュー2戦後にうちのきゅう舎に来たが、左右のバランスが気になった。それが左回りでパフォーマンスを出せなかった要因だったのではないかと思った。不来方賞を選んだのは左回りでも走りやすいだろうと考えたから。思った以上にしっかり応えてスタミナ、ストライドとも最後まで力尽きなかった。新馬戦をあれだけに勝ち方をするのだから、ポテンシャルが相当高いと思っていた。今回はジャパンダートクラシックから逆算して臨んだローテーション。無事に権利を取りましたから、大井へ行きたいと思っています」
6着・リケアカプチーノはJRAの壁が厚かったが、自身の走破タイムは2分2秒9。気になって調べてみたら2014年、JBCクラシックでコパノリッキーが樹立した2分00秒8の盛岡2000mレコード時、ナムラタイタンがマークした2分2秒6が岩手所属馬での最高タイム。それを考えれば3歳時点でリケアカプチーノは破格タイムで走ったことになり、一條記念みちのく大賞典優勝も納得。入着は果たせなかったが、大健闘といっていいだろう。
9月7日(日) メイン11R「第51回ビューチフルドリーマーカップ」(牝馬・地方競馬全国交流 盛岡ダート2000m)
9月8日(月) メイン12R「白露特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
9月9日(火) メイン12R「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1200m)