10月26日 第2回きんもくせい賞(3歳以上・地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)
(きんもくせい賞ゴール 1着・カネショウエリート 写真・佐藤到)
1着 カネショウエリート
絶好のスタートを切り、一旦先頭に立ったが、コスモアンファングが手をしごいてハナをアピール。それを見て村上忍騎手がスッと2番手に控える。坦々とした流れで道中進み、勝負どころの3コーナーで各馬がスパート。
他の有力馬が雨を多く含んだ馬場に泣いて反応ひと息だったのに対し、カネショウエリートはスイスイ。4コーナーでコスモアンファングに並びかけ、直線を向いてアッサリ交わし、あとは後続を突き放す一方で2着に4馬身差。待望の重賞タイトルを手にした。
「強い相手(ボスアミーゴ)がいて、なかなか勝ち切れないレースが続いたが、今日は馬場、展開が味方してくれた。前回(パンジー賞)で逃げて手綱をがっちり押さえたが、それで伸びるタイプでないことは分かった。だから今回は2番手でもいいから気分良く走らせることだけを心がけたら、手応えも最高でこれなら行けると思った。これで今後の感触も掴めたし、ダートも力をつけた今なら問題なし。これからも期待が持てそう」と村上忍騎手。
そのコメントどおり今年本格化。2、3歳時に芝で1勝、水沢で1勝のみにとどまっていたが、6月から圧巻の5連勝マーク。未勝利だった盛岡ダートでも白星を飾り、奥手メイセイオペラの血が全面開花した。
A級昇級後、2戦目から芝路線を歩み、桂樹杯は直線の不利もあって4着。OROカップは4角で一旦先頭に立ちながら6着。そして前回・パンジー賞では逃げてスローに落としたが、ボスアミーゴに完敗2着。芝で要求されるピリッとした脚がないため、頭打ちのレースを繰り返していた。
しかし今回は村上忍騎手の好判断、そして馬場も味方につけて4馬身差で圧勝。ついに重賞ウィナーの仲間入りを果たした。
2着 コスモアンファング
スタートはそれほどでもなかったが、草地騎手が手をしごいて果敢に先手を奪う。あとはすいすいマイペース。直線入り口で早めに交わされたが、決め手がない半面、大きくバテないのが身上。また後続は不良の芝に手こずってモタモタしているのを尻目にまんまと2着を確保した。
同じ条件のかきつばた賞(6月21日)でもボスアミーゴの2着に入ったように芝2400mがベストの条件。今後も長い距離では目が離せない存在となりそう。
3着 オグリオトメ
道中はずっと4番手インでずっと我慢。OROカップでは1枠に入り、馬群に包まれてさばくのに苦労したが、今回は長丁場でバラけた展開。鞍上・佐藤友則騎手もコース適性を掴んでいたようで、直線に入ってからゴーサイン。一完歩ごとにコスモアンファングとの差を詰めたが、最後のひと伸びが足りずクビ差3着までに止まった。できれば良馬場でレースをさせたかった。
4着 クルセイズ
どんな展開にも対応が可能なタイプだが、今回は不利のない3番手外を追走。カネショウエリートが動いたのを見てスパートをかけたが、いつもの伸びが見られず4着。
5着 ボスアミーゴ
パンジー賞と同様、先陣からあまり離されない位置をキープ。向正面から早めスパートをかけたが、本来のシャープさが全くなし。他にも不良馬場に泣いた馬が多かったが、一番手こずったのがボスアミーゴ。意外にも芝の不良馬場は今回が初めて。やはり切れ味勝負型にこの馬場は合わなかったようだ。加えて馬体重がプラス5キロと若干太め残り。レース後、鈴木七郎調教師「追い切りが1本足りなかった」とコメント。
10月19日 第28回若駒賞(2歳オープン重賞・盛岡ダート1600m)
1着 ワタリシンセイキ
スタート直後にジェリーキングが内に切れ込み、その影響をモロに受けて接触。そのとき落鉄のアクシデントも重なり「一瞬、行く気がなくなってヒヤッとした」(関本淳騎手)が、鞍上が気合いをつけて挽回を図ると強い精神力で回復。
道中ずっと追い通しだったが、徐々に前に接近し3コーナーからエンジンが全開。4コーナーではマーチボーイが失速し替わってクラサッキーが先頭に立ったところダンストンジール、ワタリシンセイキが交わして直線は2頭のマッチレース。しかしダンストンジールの粘りもラスト200mまで。ワタリシンセイキがゴール100mで先頭に立つと、あとは独壇場。アッという間に後続を突き放し、2着ダンストンジールに4馬身差。けた違いの破壊力でダート4連勝を飾った。
「スタート直後の不利をモロに受けた上、ここのところ砂を被っていなかったので反応が一息だったが、エンジンがかかってからは楽。(ダンストンジールに)並んだとき手応えが良かったので、これで大丈夫だと思った。ダート戦は3戦3勝なので自信はあったが、盛岡ダートが初めて。それだけが気がかりだったが、まったく問題ない。ダートは本当に強い。このレースができれば遠征しても恥ずかしくない競馬ができるのでは」と関本淳騎手。
「不利が重なって正直厳しいかなと思ったが、改めてダートの強さにびっくり。次走は南部駒賞(11月16日 水沢1600m)を使う予定だが、その内容が良ければ全日本2歳優駿(Jpn?・川崎)に挑戦してみたい」と三野宮調教師。
2着 ダンストンジール
マーチボーイが逃げ、2番手クラサッキー、内アイビーが先陣を形成し、その直後外を追走。12秒台のラップを刻むペースだったが、マーチボーイが意外にも早く失速。クラサッキーが替わって先頭に立ったのもつかの間、外からワタリシンセイキが進出してきたのを見てスパート。直線でも内で渋太く粘ったが、それもラスト200mまで。ワタリシンセイキとの力差ははっきりだったが、2着確保なら納得。
ダンストンジールはデビュー戦をハイタイムで圧勝後、ダート2戦・ビギナーズC、りんどう賞で5着凡走。これで評価を落としたが、芝に替わった若鮎賞を完勝。再び株を上げたが、同じ芝・黄菊賞で8着。ちぐはぐなレースを繰り返し、気性面の課題が多かったが、今回は最後まで集中力が途切れなかった。
血統も父ウイングアロー、母父カコイーシーズと明らかにダート向き。その血統背景が今まで出てこなかったが、ようやくダートでも結果を出せた。470キロ台の恵まれた馬格を誇り、今後の成長も楽しみ。
3着 マヨノエンゼル
前半は最後方に待機し、自分の競馬に徹するかのようにずっと我慢。3コーナーから鞍上・山本政聡騎手がゴーサインを出すと、鋭く反応。直線で外からグングン蹴散らすかのように交わし3着入線。最後方だっただけに、着差は開いていたが、この結果は収穫が大きい。
マヨノエンゼルはデビュー戦芝1000mを快勝し、2ヶ月ほど休養後の水沢1400mを勝って2連勝マーク。続く特別・りんどう賞では3番人気に支持されたが、後方のまま11頭立て9着。その後もジュニアグランプリ9着、黄菊賞6着と凡走していたためブービーの10番人気まで評価を落としていた。
しかし今回は思い切った待機策が功を奏して3着。展開にも恵まれたが、この脚が使えるようなら今後のメドも立った。
10月13日 第21回マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn? 盛岡ダート1600m)
1着 ブルーコンコルド
逃げ馬2頭ジュリア、コンゴウリキシオーが激しく先行争いを演じると思ったが、コンゴウリキシオー=藤田騎手が手をしごいて譲らない構えを見せたので、ジュリアがスッと控える。それでコンゴウリキシオーがすんなりハナに立ち、半馬身差後ろキングスゾーン、内にジュリア、3馬身離れてメイショウバトラーがつける。
ブルーコンコルドは大外14番枠に入り、どのような戦法を取るか注目を集めたが、正攻法の5番手大外を追走する。当初、馬群をさばくのに苦労する可能性もあったものの、最初からバラけた展開になったのも味方して好ポジションをキープ。
3コーナー直後、コンゴウリキシオーが一杯になって失速。替わってキングスゾーンが先頭に立ったのもつかの間、メイショウバトラーが早めに交わして後続を引き離しにかかる。
直線入り口では3馬身以上のリードをつけ、そのまま押し切るかに見えたが、相手はメイショウバトラー1頭と踏んだブルーコンコルドが一完歩ごとに差を詰めにかかる。メイショウバトラーも必死に逃げ込みを図ったが、ラスト100mで脚があがる。
その一方でブルーコンコルドのスピードは衰えろどころか、さらに加速されラスト50mでメイショウバトラーを捕らえると、あとはぐいぐい突き放し最後は余裕を残してゴールに入った。
一昨年の着差がクビ差(2着ヒシアトラス)、昨年が半馬身差(2着ワイルドワンダー)に対し、今回は2馬身差(0・3秒差)もつけたのだから最も強いレースを披露したと言っていいだろう。
「今までで一番強いレースで勝ってくれた。道中、マークしていたのは前のメイショウバトラー、あとはワイルドワンダーの動向だったが、最初はメイショウバトラーを追いかける形で進め、直線に入ったとき、ハミを取ってくれたのでこれで大丈夫だと思った。3連覇は意識していなかったが、できれば嬉しいなと思って騎乗したらこの内容。盛岡コースとも相性がいいんでしょうね」と幸騎手。
「休養明けで追い切りが1本足りないかとちょっと不安な面もあったが、パドックへ入った段階で格好悪い競馬はしないなと思った。3、4コーナーでメイショウバトラーがあれ位のリードなら射程圏。これだったら捕まえ切れるなと思っていた。年齢を重ねているが、以前は淡白なレースしかできなかったが、今日は逞しいレース。昨年の南部杯を勝ってから白星がなく、G?7勝の壁は凄く厚いんだなと感じていただけに、今日の勝利は本当に嬉しい。今回の仕上がりでこの位の競馬ができたのも収穫だし、勢いをつけて8冠を取らしてやりたいね。次走はJBCクラシックではなくてスプリントを予定している」と服部調教師。
今年のJBCスプリントは11月3日、園田1400mが舞台。これが1200mなら微妙だっただろうが、ブルーコンコルドのベストは1400〜1600m。今回のレース内容、そして久々を叩かれた上昇度を加味すればダートG?8勝の可能性は非常に高くなった印象を受けた。
2着 メイショウバトラー
スタートから600m過ぎ、コンゴウリキシオー、キングスゾーンの2頭をにらんで3馬身後ろを追走。3コーナーでコンゴウリキシオーが失速したのを見て馬なりでスパート。一気にキングスゾーンも交わして後続をグイグイ突き放しにかかり、直線入り口では3馬身以上のリード。
意表とも言える武豊騎手の絶妙の手綱さばきでそのままゴールまで押し切るかと思ったが、ラスト100mで脚色が一杯。ブルーコンコルドの勢いには抗しきれなかったが、ワイルドワンダーの追撃は封じて2着を死守した。
「うまくいったと思ったが、相手が強すぎた」と武豊騎手。こちらもJBCスプリントへ向かう予定。
3着 ワイルドワンダー
5番手を追走するブルーコンコルドを完全にマークする形で3、4馬身あとを追走。スパートをかけたのもほぼ同時で等間隔のまま直線へ。昨年はブルーコンコルドとの差をグングン詰めて半馬身差まで肉薄したが、今年はブルーコンコルドの上がりが36秒5に対し、ワイルドワンダーの上がりは36秒8。道中の位置取り、そして上がり比較でも明らか。ブルーコンコルドとの着差は如何ともしようがなかった。
敗因を探れば前走(プロキオンステークス)からプラス10キロ。3ヶ月ぶりの実戦だったにせよ、これまでの連対時の最高馬体重が461キロ(昨年の南部杯)で、それよりもプラス4キロの465キロ。これが本来の伸びを欠いた原因だったかもしれない。
4着 キングスゾーン
逃げたコンゴウリキシオーの外にぴったりとつけ、押し出される格好で3コーナー先頭。そこからリードを取ろうとしたところ、出し抜け的にメイショウバトラーに交わされる。この展開になるとさすがに苦しかったが、昨年同様、何とか4着を確保した。
9月28日 第10回岩手県知事杯OROカップ(3歳以上オープン地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)
1着 クルセイズ
メンバー中一番のスタートを決めたが、モエレフェニックスが先手をアピールしたのを見て4番手インにスッと控える。道中ずっと同じポジションを取り、3コーナーで展開が動いてもじっと我慢。
3コーナーで先頭に立ったカネショウエリート、それを追いかけるサクラエキスプレス、大外から伸びてきたボスアミーゴが直線入り口で並んだところ、クルセイズはぽっかりと開いた最内から絶妙のタイミングで抜け出す。
3頭がけん制し合って外にコースを選んだ一方でクルセイズはコーナー、コーナーを最経済コースで回って先頭。盛岡芝の特性を最大に活用した沢田騎手の奇襲戦法がズバリはまり、大外強襲ボスアミーゴの追撃をハナ差封じてそのままゴール。重賞初制覇を大金星で飾った。
「好スタートを切ったので逃げようかと思いましたが、それでは目標になるだけと我慢してとにかく内々を進むことにした。直線では先頭に立ったけれども、ボスアミーゴは姿が見えたと思ったら、次の瞬間には交わされているような馬だから、今日も後ろに姿が見えた時はすっかり観念したが、なかなか近づいてこない。それで必死に追ったら凌ぎ切ってくれた。この勝利は本当に嬉しいですね」と沢田騎手。
今後は当初の予定どおり芝2レース、パンジー賞(10月12日)から重賞・きんもくせい賞(10月26日 両レースとも盛岡芝2400m)を最大目標に置いている。その後はダートでも悪いわけではないので、狙えるところは狙っていきたいと佐々木由則調教師。
2着 ボスアミーゴ
トライアル・桂樹杯のレース後、「勝つには勝ったが、ズブさが出てきて道中の反応がひと息」と菅原勲騎手が語ったが、その印象があったのだろう、今回は積極的に中団外目を追走。
勝負どころの3コーナーでピッチが上がり、鞍上・菅原勲騎手もゴーサインを出したが、いつもの爆発力が見られない。ひとまず4コーナーでカネショウエリート、サクラエキスプレスに並び2頭を突き放し、最内クルセイズを一完歩ごとに差を詰めたが、捕らえ切れずには到らず。史上初の盛岡芝重賞を完全制覇は達成できなかった。
「追ってからの動きが物足りない。完全にズブくなってしまってシャープさが影を潜めてしまったのか、現時点では分からない」と菅原勲騎手。
こちらもクルセイズと同様、パンジー賞からきんもくせい賞のローテーションで行くという。
3着 ピンクゴールド
じっくり待機策に徹し、後方3番手を追走。3コーナーでも小林騎手は動かなかったが、馬なりで徐々に先陣へ接近。直線を向いて満を持してスパートをかけ、大外からメンバー中最速の上がりを使って伸びる。1、2着とのタイム差は0・2秒と勝負付けが済んでからの入線だったが、初の古馬オープン相手にこの結果は上々といえる。
「初の一線級が相手なので持ち味を最大限出せるように心がけた。馬場が柔らかくノメっていたが、それでこれだけ走れば立派でしょう」と小林騎手。
4着 オグリオトメ
位置取りはボスアミーゴとほぼ同じ。こちらは内に入れ、スパートも同じく3コーナーからでジワジワと前へ進出。同世代のピンクゴールドに首差負けだったが、前走・ローズステークスからわずか1週間。その疲れも残っていたことを考えれば4着も納得ではないか。「ダートでもソコソコの結果を出しているが、本質的には芝が合うと思っていた」と佐藤友則騎手。
5着 サクラエキスプレス
「無理に行かない方が脚を使えるので控える戦法にした」と関本淳騎手の言葉どおり先陣5番手の外を追走。3コーナーでモエレフェニックスが失速し、カネショウエリートが先頭。それに合わせて動き、4コーナーではカネショウエリート、ボスアミーゴの間に入って横一線。直線でも渋太く粘っていたが、最後は勢いがなくなって5着。「芝専門にもちょっと厳しい馬場になった」(関本淳騎手)
6着 カネショウエリート
前回は大外だったこともあって4、5番手からの競馬だったが、今回は内3枠に入り2番手を追走。3コーナーで早め先頭に立ったものの後続のマークもきつく直線で一杯となる。
「決め手勝負に持ち込むと分が悪いので前で粘る形を取ったが、本物の芝馬ではないので切れるオープン馬が相手だとちょっと苦しい」(村上忍騎手)
9月21日 第10回テシオ杯ジュニアグランプリ(2歳・地方競馬全国交流 盛岡芝1600m)
1着 エイブルインレース
マーチボーイが逃げ、2番手にアンダージョイナー。エイブルインレースはその外3番手の絶好ポジションをキープ。1コーナーでちょっと行きたがったが、うまく宮崎騎手がなだめて折り合いをつけ、終始3番手外を追走。
道中いつでも前の馬を交わせる態勢だったが、宮崎騎手は追い出しをギリギリまで我慢。直線を向いてから満を持して追い出しをかけたが、一瞬もたもたするシーンも。これは「物見をしたから」だそうで、ラスト100mでマーチボーイを交わすとあとは独壇場。あっと言う間に後続を3馬身突き放し、余裕たっぷりでゴールに入った。
「地元3戦とも逃げたが、スピードが違うため押し出される格好となったから。早め先頭に立つとソラを使うので、追い出しをできるだけ遅らせようと心がけた。前回・クローバー賞では初芝だったにもかかわらず、いい競馬をしてくれたが、4コーナーで前がふさがれる不利。それで脚を余して負けたので、今回は絶対に勝たなければと思って乗ったが、理想的な競馬ができた。まだ気性的に幼い面があるが、これからもっと良くなってくれるはず」と宮崎騎手。
前回・クローバー賞3着、そして今回ジュニアグランプリを完勝し芝の適性十分。父フジキセキ、母父デピュティミニスターの配合はカネヒキリと同じ。牝馬で480キロ前後と馬格も申し分なく、大物の雰囲気を漂わせ、気性面などを考えると今後さらに飛躍しそうな予感。
JRA芝路線をメインにローテーションを組んでいくという話だから、これからの動向にも目が離せなくなった。
2着 イシノイングランド
道中は中団インにつけ、向正面から内をついてスパート。4コーナーで馬群がごちゃっと固まったが、うまく間を割って抜け出しゴール寸前でマーチボーイを交わす。
デビュー3戦とも7着に沈み、しかも離されての入線を繰り返す。スタートで出遅れるクセと気性難でなかなか頭角を現せなかったが、徐々にレース勘を身につけ7戦目に待望の初勝利をマーク。しかし前回、直線鋭く追い込んできたが5着に止まったため、10番人気の低評価に甘んじていた。
当日の馬体重がプラス4キロの422キロ。連闘で使ってきてこの体重増も好走につながっただろうし、南郷騎手の早め積極策も功を奏した。
今回もゲートが開く直前に立ち上がったように、精神的な成長が待たれるとことだが、なかなかいい脚を持っている。
3着 マーチボーイ
初の盛岡、初芝、初の1600m、初輸送など初モノ尽くめだったが、パドックでは入れ込まず堂々としたもの。絶好の1枠を引き当てた上、競りかける馬も不在でマイペースの逃げに持ち込む。マーチボーイの特長はスピードと折り合いの良さだが、それを全面に生かして4コーナーまで手綱はガッチリ。
さすがに初距離が響いてラスト100mで一杯となったが、諸条件を克服できたのは何よりも収穫だったに違いない。
4着 カミノフジ
デビュー芝1000m、ダート1200m戦を連勝してJRA新潟・マリーゴールド賞へ挑戦。しかし中央の壁は厚く、レコード決着のしんがり負け。その後は立て直しを図り、りんどう賞(水沢1400m)へ駒を進めようとしたが、挫石のアクシデントが発生して自重。それで復帰まで2ヶ月ほどかかってしまったが、当日のパドックではその影響は見られなかった。
道中はエイブルインレースをマークする格好で進め、勝負どころで反応ひと息。それでエイブルインレースからちょっと離されてしまったが、直線で盛り返して僅差の2着争いに加わる。
5着 ワタリシンセイキ
1周目スタンド前では最後方を追走。スローの流れを意識して早めに向正面からスパートをかけ、4コーナーでは一旦エイブルインレースに並ぶシーンもあったが、見せ場はそこまで。直線では脚色が鈍って5着に沈む。
デビュー2戦は芝で4、10着。その後、地元水沢のダート戦に替わって別馬のような反応を披露し特別2勝含めてダート3連勝をマーク。
「デビュー2戦は芝1000mの忙しい競馬が合わなかった。今の充実度なら芝でも好走できるのでは…」(三野宮調教師)と踏んでこのレースに臨む。
確かに芝そのものには戸惑わなかったようだが、ワタリシンセイキの良さはいい脚を長く使える点。半面、ピリッとした脚がないため瞬発力を要求される芝は、本質的には向かない印象だった。