鈴木圭一郎が大会連覇を達成!
川口オートで行われていた第41回SGオールスターオートレースは、浜松の32期・鈴木圭一郎の優勝で幕を閉じた。鈴木圭は昨年に続いての優勝で、この大会連覇。オールスターは3度目の制覇になった。
優勝戦が行われた大会最終日は良走路で始まったが、5Rの試走後に降雨。そこからは重走路での競争になった。優勝戦の試走は加賀谷建明が一番時計で73。次いで丹村飛竜が74、永井大介と鈴木圭一郎が76、篠原睦が77、有吉辰也と高宗良次が78、早川清太郎が81だった。
0オープンのスタート争いは2枠から鈴木圭が飛び出す。永井が最内で踏ん張る。4枠の丹村が3番手発進。加賀谷が4番手で、他は枠ナリの発進となった。
いきなり逃げに入った鈴木圭は、コースを外さず落ち着いて走れていた。3番手発進の丹村が永井をパスして2番手に浮上。ここからは一騎打ちの様相になった。丹村は必死に追走していくが、抜く態勢を作るまでにはいかない。瞬間的に鈴木圭との差を詰める場面はあったが、それでも交わせる態勢まではいかなかった。結果的に鈴木圭はトップスタートからそのまま押し切り。丹村が準優勝。一旦、最後方まで下がった加賀谷が巻き返しを決めて3着に食い込んだ。
鈴木圭は試走タイムこそそれほど出ていなかったが、レースではミスすることなく走り、後続に隙を与えなかった。これまでSGで10回優勝している経験からの冷静さなのか。レース序盤の展開が大事な0オープンの重走路で、しっかりとスタートを決める事ができた。重走路での優勝は今後、本人の経験的余裕につながるだろう。いろいろな状況で結果を出す事が、本人の総合力を増してくれる。今回でSGは11回目の制覇。この数字は当然、今後も伸び続けていくだろう。
平田雅崇が執念の走りで優勝をもぎ取った!
山陽オートで行われていたGI第3回令和グランドチャンピオンカップは、川口の29期・平田雅崇が制した。平田は2007年以来のGI制覇。GIタイトルは2つ目となった。
試走タイムは鈴木圭一郎が一番時計で29。次いで丹村飛竜と松尾啓史が30、平田雅崇が31、若井友和が32、山際真介と人見剛志が36、田中正樹が39だった。
10Mオープンで肝心のスタート争いは、最内の田中正が先行したかに見えたが、山際が外から抑え込んで行く。これに平田がすぐさま続く。大外から鈴木圭がダッシュを乗せて行くが中枠勢の抵抗にあう。丹村と若井がまずまずのスタートを見せた。
山際はペースを上げたかったが、2周目に入る所で平田がインに突っ込んで行き、先頭を奪取。若井も山際を交わして2番手に付ける。その後、若井は平田との差を詰めにかかるが、思うように車が進まない。そうこうしている内に、鈴木圭が丹村を差して3番手に浮上。残り2周になる所で鈴木圭が若井を差して2番手に進出。ここからは鈴木圭が平田を追う形になったが、仕掛ける態勢まではいけない。最後にゴール前でチョイ差しを狙った鈴木圭だが、平田が僅かな差で振り切り1着ゴール。
平田は約15年ぶりに記念レースで優勝した。平田は今年、3月に入ったあたりからエンジンが良くなっていた。今回と同じ山陽走路で3月3日にミッドナイトで優勝。直前には地元川口で準優勝し、そのままの勢いで今回に臨めた。今回も初日から好走を見せ、優勝戦でも好スタートを切ってみせた。
デビューしてから順調に成長し、4年目に川口でGI制覇。飯塚所属から川口所属になった時は、すぐにでも川口でナンバー1になるのではないかと評されていた。しかし、その後は高いレベルの競走を見せ続けていたものの、最後のひと壁を乗り越えられない印象だった。ただ、今回の記念優勝で再び高い位置に上がれた。SG優出はこれまで6回ある。次に目指すはSG優勝だ。
丹村飛竜がGIIミッドナイトチャンピオンカップを制した!
山陽オートで行われていたGIIミッドナイトチャンピオンカップは地元の29期・丹村飛竜の優勝で幕を閉じた。初日からオール1着の完全優勝だった。
試走タイムは田中茂が27で一番時計。2番時計タイは4人いて西村龍太郎、中山光、岡部聡、丹村飛竜が28。久門徹が33、緒方浩一が34だった。
10Mオープンのスタート争いは最内の西村が先行。これに3枠から中山が乗って出る形だが、大外から丹村もダッシュを乗せていく。他の4人は好位置に付ける事はできなかった。
西村の逃げで始まったレースだが、早めに動きがあった。1周バックで3番手発進の丹村が中山を捲ると、2周目に入るところで西村をも差してしまう。丹村は1周とちょっとを走って先頭に踊り出る。そのまま後続を引き離しにかかり、残りの周回を消化していく。圧巻の速攻劇だった。準優勝はスタート先行からマイペースで走っていた西村。3番手争いは岡部がインで粘っていたが、中山がアウトから攻略し3着入線を果たした。
それにしても丹村の走りは盤石だった。10Mオープンの大外からのレースで3番手発進は十分すぎるスタート攻勢。道中で捌く車が少なくなるのは大きな利点。その後の攻めも素早かった。カマシ気味に出た勢いで中山を捲ると、先頭を走る西村がペースを上げる前に捕えていた。これこそ速攻のお手本のような走り。エンジンが長らく良い状態で保てているのもあるが、乗り手の技量がしっかりしているからなせる業。丹村は、本人の実力を考えれば記念タイトルが多い方ではない。しかし、これから記念タイトルを量産させるかも知れない。
久門徹が熱戦を制し、レジェンド覇者の仲間入り!
伊勢崎オートで行われていたGIIレジェンドカップは、飯塚の26期・久門徹の優勝で幕を閉じた。久門はこれでGII3つめのタイトル。記念レースの優勝は7回となった。
良走路で行われた優勝戦の試走タイムは伊藤信夫が一番で27。次いで高橋貢が28、若井友和が29、篠原睦と荒尾聡が31、田中茂が32、久門徹が34、押田和也が36だった。
スタート争いは0ハンの押田が残して出る。10Mからは最内の久門が飛び出し、篠原が乗って行く。伊藤信、高橋貢、若井と出て、田中茂と荒尾は後方からの競争になった。
レースはすぐに動きがあった。10Mから先行の久門が押田を捲る。高橋貢は差しで続いたかに見えたが、外から篠原が抑え込む。そこからは久門と篠原の一騎打ち。後ろでは高橋貢が様子をうかがっている。4周目に入る所で、篠原が久門を差し先頭を奪取。今度は篠原が逃げに入る。2番手になった久門は、高橋貢の攻めを封じながら必死に追走。ただし、途中からは必死に、というよりは余裕を持って追走していた。そして7周目に入る所で久門が篠原を差し返す。そのまま残りの周回をコース外すことなく回り歓喜のゴール。2着には篠原が入り、3着は高橋貢となった。
久門が初めて記念レースで優勝したのが2000年のGIIジュニア選手権。デビュー翌年で、2級車での記念制覇だった。そこから22年が経ち、今度はGIIレジェンドカップを制覇。真逆のコンセプトの大会。時間の流れを感じさせる。久門はデビューしてからすぐ活躍していた。2級車時代にすでに5回の優勝。その中にはGIIジュニア選手権も含まれる。更には2級車でSG優出2回。グリップの開けっぷりが良く、ハイスピードでコーナーを回っていた印象がある。1級車に乗ってからも強かったが、2度目のSG優勝を果たしてからは長く苦しむ時期もあった。しかし、整備と練習に対する熱意は誰よりも強く、オートレースに取り組む姿勢は後輩達のお手本になった。そして今回、再び結果を出してみせた。これからもどのような活躍をするのか、久門の今後が楽しみだ。
小林瑞季がGI2度目の優勝を達成!
川口オートで行われていた第70回GI開設記念グランプリレースは、地元の32期・小林瑞季の優勝で幕を閉じた。小林瑞はこれでGI2度目の優勝。一流レーサーへの階段を着実に上り始めている。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは鈴木圭一郎と青山周平が一番時計で27。次いで木村武之と永井大介が28、小林瑞季と加賀谷建明が29、中村雅人が30、大木光が32だった。
10Mオープンで肝心のスタート争いは2枠から小林瑞が先行。大木は何とか踏ん張り2番手を死守。加賀谷、木村武、中村雅、青山と続き、永井は遅れてしまう。
いきなり独走に入った小林瑞はペースを上げていく。後ろでは加賀谷が大木を交わし2番手に付ける。青山も素早い攻めで3番手に付ける。加賀谷が小林瑞に追走している間に、後ろでは木村武が青山を逆転し、3番手に付ける。その後はし烈な先頭争いが演じられた。加賀谷が小林瑞のインに入るが、すぐさま小林瑞が加賀谷を差し返す。これが何度も繰り返され、木村武は仕掛けのタイミングが掴めないでいる。そうこうしているうちに小林瑞が先頭でゴール。木村武も最後は迫ってきたが、加賀谷が2番手を守り抜いて準優勝。
このレースでは小林瑞が心臓の強さを見せ付けた。先頭を走っている時は、自分の好きなコース取り、好きなグリップ開閉ができるのでペースを上げやすい。逆に抜かれてしまうと一時的に車速が落ちるのが常。しかし、小林瑞は抜かれた後もスピードを落とす事なく、逆転の差しを狙い続けた。なかなかできる芸当ではないし、精神面も強くないと気持ちが折れてしまうもの。走りの技術は確実に上達しているし、レーサーとしてのハートも成長が感じられた一戦だった。