
鈴木圭一郎が執念の追い込みでチャンスを掴んだ!
浜松オートで行われていたGI開場記念ゴールデンレースは浜松の32期・鈴木圭一郎の優勝で幕を閉じた。鈴木圭は同大会3年ぶり3度目のV。またGIの優勝回数を一つ増やしてみせた。
前日の天気予報にもあったが、最終日は雨が降り、第1Rから重走路で行われた。優勝戦の試走タイムは有吉辰也と鈴木圭一郎が66で一番時計タイ。次いで、森本優佑が68、岩崎亮一が69、高橋義弘と木村武之が71、平塚雅樹が72、浅野浩幸が75だった。
優勝戦の展開は、まず0ハンの浅野はスタートを残して出る。10線からは最内の平塚が先行。そこから外枠はほぼ枠ナリだが、8枠の鈴木圭はまずまずのスタート。木村武は好位置につけられなかった。
逃げる浅野は良いペースで走っていて、2番手に付けていた平塚には大きな差を付けていた。平塚は車を押し上げることができず追走一杯。そんな平塚を交わしたのは岩崎だった。今度は岩崎が浅野を追う展開。しかし、岩崎も浅野との差を詰めることができない。今度は有吉が岩崎を交わし2番手を奪取。すると一気に浅野との差が詰まったが、最終周回3コーナーでドラマが待っていた。有吉が浅野をまくりに行くところで、両者がタイヤを滑らせ失速。そこへ、3番手に付けていた鈴木圭がインから2車を交わしていく。そのまま鈴木圭が先頭でゴールを迎えた。
鈴木圭の走りは冷静そのものだった。もっと早く攻めていきたかったところだが、レース序盤からずっと有吉が前を走っていて我慢のレースを強いられた。無理やり交わそうとすれば交わせたかもしれないが、場合によっては反則になってしまう可能性がある。そこで鈴木圭は慌てなかった。有吉の攻めにしっかりと付いて行き、最後に巡ってきたチャンスを逃さなかった。最後の展開は「幸運」と言えるものかもしれないが、それをモノにできたのは、スタートしてから落ち着いて走れていた鈴木圭のレーサーとしての総合力。また一つ、勝ちパターンの引き出しが増えた一戦だったのではないだろうか。
鈴木圭一郎がオールスター3連覇を達成!
飯塚オートで行われていたSGオールスターオートレースは、浜松の32期・鈴木圭一郎の優勝で幕を閉じた。鈴木圭は昨年、2年前に続き同大会で優勝。見事にファンの期待に応えてみせた。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは鈴木圭一郎が一番時計で27。次いで荒尾聡と青山周平が28、佐藤摩弥が29、金子大輔が30、西原智昭と篠原睦が31、角南一如が33だった。
10Mオープンのスタート争いは、2枠の西原が飛び出した。これに篠原と佐藤摩が続いていく。最内の角南はスタート行けなかった。外枠の鈴木圭と青山も悪くないスタートを切った。
まずは逃げに入った西原。篠原は追走一杯で、佐藤摩が道中で交わしていく。これで先頭争いは西原と佐藤摩の一騎打ち。佐藤摩は仕掛けるタイミングを計っていた。チャンスは1回あったが、インに入り切るまでにはいかなかった。そうしている内に3番手に付けていた鈴木圭が佐藤摩を捌く。その勢いで鈴木圭は西原の逃げを捕え先頭でゴール。青旗過ぎで佐藤摩が西原を差して準優勝。青山は必死の追いでゴール前、西原を交わして3着入線となった。
鈴木圭は万全の走りだった。昨今のSG優勝戦にしては珍しく10Mオープンとなったハンデ構成で、7枠からまずまずのスタートを決めてみせた。そこからは前を走る選手たちの動向を冷静に判断していた。無理な仕掛けはせず、しかし、捌く態勢が整ったら迷わず仕掛けにいけた。試走一番時計が出ていたので、追い上げ途中も余裕を持って走れていたのかもしれない。それにしても勝てる状況でしっかり勝ち切るのは流石。これでSGオールスターは4度目の優勝。SGは通算で14度目の栄冠。現在、最もSG優勝回数が多いのは高橋貢で21Vだが、2位は永井大介と片平巧の15回。この数字にリーチがかかった。この勢いのままいけば、SG通算優勝回数2位タイに届くだろう。
中村杏亮が嬉しいGI初制覇!
山陽オートで行われていたGI令和グランドチャンピオンカップは飯塚の33期・中村杏亮の優勝で幕を閉じた。これまでGIIは2度制していた中村杏亮だったが、GIのタイトルは初めての獲得となった。
試走タイムは佐藤貴也が一番時計で69。次いで鐘ヶ江将平が70、長田恭徳が71、中村杏亮が72、山本将之が73、松本やすしと小林瑞季が75、広瀬勝光が78だった。
1回目のスタートは小林瑞季がフライング。再発走となった。2回目のスタートは0ハン単騎の広瀬がしっかり残す。10線からは鐘ヶ江が飛び出し長田が乗って出る。そこに中村と松本が続いていく。山本はやや遅れてしまった。
レースは序盤で動きがあった。広瀬は逃げ態勢を作る前に鐘ヶ江に差されてしまう。その流れに長田も続いていく。そこからは逃げる鐘ヶ江に長田がマークする展開。3番手には小林と中村が付けている。佐藤貴は5番手で様子をうかがっている。更に動きがあったのは4周1コーナー。中村が鐘ヶ江のインに入っていく。これがうまく決まり、今度は中村が先頭を走る展開。佐藤貴も鐘ヶ江を交わし、最後は中村に迫っていくが、中村が振り切り先頭ゴール。優勝を決めてみせた。準優勝は佐藤貴。3着には鐘ヶ江が粘った。
中村は今年GIIオーバルチャンピオンカップを制し、GIIタイトルは2つ獲得していたが、今回でGI制覇へとステップアップしてみせた。優勝戦は重走路ではあったが、良走路でも中村はスピードを上げて走れる選手。スタートにも磨きがかかっている。すでにSGでも優出の経験がある。着実に力を付けている中村は、SGの大舞台でも輝ける準備が整っている。まずは今月末。地元飯塚でSGオールスターオートレースが待っている。この勢いが続くなら、必ずや存在感をアピールできるだろう。
黒川京介が完全Vでウィナーズカップを制した!
浜松オートで行われていたGIIウィナーズカップは川口の33期・黒川京介の優勝で幕を閉じた。黒川は初日から負けなしの5連勝。優勝戦でも快走を披露した。
良走路で行われた優勝戦の試走タイムは佐藤貴也、有吉辰也、若井友和、鈴木圭一郎が一番時計タイで27。次いで黒川京介が28、佐藤摩弥が32、柴田健治が33、佐藤裕二が34だった。
10Mオープンのスタート争いは黒川が先行。佐藤摩は何とか2番手にこらえたかに見えたが、佐藤貴が捲っていく。有吉も悪くないスタート。最内の柴田と2枠の佐藤裕は包まれる形でいきなり後方に。鈴木圭は8番手発進と苦しい展開になった。
いきなり逃げに入った黒川。佐藤貴が直後にピタリと付け、常にプレッシャーを受けながらの逃走。佐藤貴は隙をうかがいつつ、インに車を向けて距離を測る。そのまま周回を重ね、青旗過ぎで黒川のインを狙うが、車が届かず交わすまではいかなかった。結果的に黒川は先行逃げ切り。佐藤貴は2着入線。後方から猛烈な追いを見せていた鈴木圭が有吉を交わして3番手入線となった。
黒川は今節、オール1着の完全優勝となった。連日スタートが切れていたし、上がりタイムも出ていた。優勝戦は楽な逃げ展開ではなかったが、それでも上がり3・345をマーク。走路温度が上がりつつあるこの時期を考えれば十分な数字だった。エンジンが仕上がった時の黒川は本当に強い。今回のを含めて、まだ記念タイトルが3つなのが不思議なくらいだ。それには理由がある。エンジンが不調になると、なかなか上向かない時がある。今後の課題は調整力。これが備わり、エンジンを高いレベルで保つことができるようになった時、SGのタイトルに手が届くだろうし、記念タイトルも量産されるだろう。
荒尾聡がプレミアムカップ初優勝!
山陽オートで行われていた特別GIプレミアムカップは、飯塚の27期・荒尾聡の優勝で幕を閉じた。荒尾の代名詞であるスタート速攻。レース序盤でケリを付けて、自分のペースで走り切ってみせた。
重走路で行われた優勝戦。試走タイムは若井友和が一番時計で66。次いで金子大輔と荒尾聡が67、高橋貢と篠原睦が69、松尾啓史が70、青山周平と鈴木宏和が71だった。
0Mオープンのスタート争いは2枠の青山が先行。4枠から荒尾が続くかにみえたが、最内の金子が踏ん張り2番手を死守。若井や鈴木宏もまずまずのスタートを切った。高橋貢と篠原はダッシュが乗らなかった。
動きがあったのは1周2コーナー。2番手発進を決めた金子が青山のインに切り込んで先頭を奪取。荒尾も1周を回るころには青山を交わして2番手に立つ。金子はペースを上げて逃げたかったが、2周バックストレッチで荒尾が金子を交わす。今度は荒尾が逃げる番。荒尾は丁寧なコース取りをしつつ、ペースを上げていく。周回ごとに2番手以下を徐々に引き離していく。後ろでは金子と青山がピタリ追走。4番手に付けていた若井は3番手浮上をうかがっていたが、最後までチャンスは訪れなかった。結果的に荒尾が逃げて快勝。金子が準優勝。青山が3番手入線を果たした。
荒尾は意外にもプレミアムカップ初めての制覇。近年では青山周平と鈴木圭一郎の2強状態が続いているオートレース界だが、この両者に割って入れる一番手は荒尾だ。ここ一番でのスタート力や整備力は流石。重走路に関してもデビューしてからずっと好成績を残せている。勝負強さに関してもオートレース界で上位に入るモノを持っている。レースに向き合う姿勢は誰にも負けない。今回の優勝でGIは12度目のタイトル。荒尾の総合力を持ってすれば、まだまだこの数字は大きくなっていくことだろう。