加賀谷建明が嬉しいGI初制覇!
飯塚オートで行われていたGI開設記念レースは川口の27期・加賀谷建明が制した。加賀谷はGIタイトル初めての奪取。思い出に残る大会になった。
優勝戦は重走路で行われ、試走タイムは加賀谷が53で一番時計。次いで青山周平が56、浦田信輔が57、松尾啓史と木村武之が58、中村杏亮が59、岩崎亮一が61、鈴木宏和が63だった。
10Mオープンで肝心のスタート争いはほぼ枠ナリ。7枠から木村がカマシ気味に出て行くが、4枠の加賀谷が突っ張った。岩崎の逃げでレースは始まったが、早い段階で中村がパス。今度は中村が逃げる態勢を築いたが、浦田を差した加賀谷が早々と登場し、中村を捲っていく。ここからは後続を引き離す一方のブッチ切り勝利。大きなリードを作ってチェッカーフラッグを受けた。2着と3着には粘っていた中村と浦田が入った。青山は追い上げていたが、木村や松尾の抵抗に遭い、最終的には5着入線。
加賀谷は完全に自身の勝ちパターンに持ち込んでみせた。スタート力は元々定評があり、今回の優勝戦でも枠ナリ発進は死守できた。その後の攻めも素早かった。他の選手が逃げ態勢を作る前に先頭に踊り出ることができた。独走力も選手の間では昔から評判だ。重走路だったのも加賀谷にとっては味方したかも。加賀谷の特徴は上位級のスタート力と独走力、そして重走路対応力。一般開催などのハンデ戦よりも、オープン戦などが多い記念レースで活躍できるタイプ。これまでにGIIは3度制しているが、今回がGI初制覇なのは不思議なくらいだ。むしろSGでも十分通用するだけの戦力はある。今回は約3ヶ月ぶりの実戦だったが、レース勘に全く不安を感じさせていない。年末にはスーパースタートライアルが待っている。最高の形で今年を終えるための準備は整ったとみていいだろう。
青山周平が3度目の日本選手権制覇!
飯塚オートで行われていたSG日本選手権オートレースは、伊勢崎の31期・青山周平の優勝で幕を閉じた。青山は3年ぶり3度目の日本選手権優勝。再び日本一の称号を手に入れた。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは鈴木圭一郎、高橋貢、青山周平が一番時計タイで27。荒尾聡と早川清太郎が30、松尾啓史と有吉辰也が31、三浦康平が32だった。
スタート争いは最内の鈴木圭が飛び出し、4枠の青山が乗って出る。7枠から有吉がダッシュを乗せ、2枠の荒尾も踏ん張ってみせた。
鈴木圭の逃げでレースは始まったが、2周3コーナーで動きがあった。2番手につけていた青山が鈴木圭のインに突っ込む。仕掛ける態勢が整わず、やや無理気味な差しでコーナーはらんでしまうが、何とか回り切り先頭を奪取。そこからは青山が逃げる番になった。その青山だが、なかなか思うようにペースが上がらない。2番手になった鈴木圭は仕掛けるタイミングをうかがう競走。その後ろでは荒尾が控えていて、両者の動向を見ながら走っていた。鈴木圭は何度か青山のインに入りかけたが、青山は必殺のブロックを炸裂。結局、最後まで先頭を奪うことはできなかった。3着には終始追走していた荒尾が入線した。
それにしても青山の勝利に対する執念は凄かった。なにがなんでも先頭に立ってやろうという強い気持ちが、優勝という二文字を手繰り寄せたといっても過言ではない。独走に立ってからペースが上がらなかったように、エンジン自体は鈴木圭の方が強めだった。早めに仕掛けなければ鈴木圭がブッチ切りの独走に入っていたかもしれない。そうなるかもしれないことを予見し、勝負になる段階で動いてみせるのは勝利への嗅覚の強さがなせる業。エンジンだけではない、スタートだけではない、技量だけではない、メンタルこそが最後の最後でモノをいうのかもしれない。
地元の佐藤貴也がスピード王決定戦を制した!
浜松オートで行われていたGIスピード王決定戦は、地元の29期・佐藤貴也が制した。同大会は2007年にも勝っており、今回が2度目の制覇。GIは通算6度目の勝利となった。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは鈴木圭一郎が一番で28。次いで佐藤貴也と若井友和が30、荒尾聡が31、鈴木宏和が32、渡辺篤と高橋貢が33、佐藤摩弥が35だった。
10Mオープンのスタート争いは最内の佐藤摩が先行。これに鈴木宏が乗って出て佐藤貴が続いていく。高橋貢と荒尾もまずまずのスタートを切った。
まずは逃げに入った佐藤摩。試走タイムこそ劣勢だったが、コースを外さずペースも落とさず軽快に逃げていく。鈴木宏は仕掛ける機会をうかがっていたが、コーナーでふくらみ後退してしまう。そして、2番手に立ったのは佐藤貴。そこからは2人の一騎打ちになった。佐藤摩は変わらず丁寧にコースを守って走っていたが、7周目3コーナーで佐藤貴が渾身の突っ込み。これが綺麗に決まり、佐藤貴が先頭を奪取。するとそのままゴールを決めてみせた。準優勝は佐藤摩。3着は序盤の展開作りがうまくいかなかった鈴木圭が追い込んでなんとか車券に絡んでみせた。
佐藤貴は万全のレース運びだった。トップスタートを切れればその方が展開は楽だったが、しっかりと3番手発進を確保すると、そこからはチャンスをじっくり待ち勝利をものにした。今回は試走2番時計タイだったので、エンジン的にも余裕があっただろう。そういった時は更に乗り手は落ち着いて走れるもの。佐藤貴はこれまでSG1V、GI5V、GII5Vの実績を誇っていたが、今回で更にGIの優勝回数を増やしてみせた。今回のようなエンジン作りができれば、これらの数字はもっと増すだろう。乗り手の技量は最上位グループ。今後も記念レースで活躍を見せてくれるはず。
新人・佐藤励が快挙を達成!
山陽オートで行われていたGII若獅子杯争奪戦は川口の35期・佐藤励が優勝した。自身初優勝がなんと記念レース。それも2級車での栄冠で、本人にとっても思い出に残るレースになっただろう。
良走路で行われた試走は泉田修佑が一番時計で35。次いで小林瑞季の36、落合巧と緒方浩一が37、中尾貴志が38、佐藤励と藤本梨恵が39、林稔哲が43だった。
スタート争いだが0ハンは林が先行。佐藤励は藤本のスタートを残して出る。20線は緒方が先行。これに中尾、小林瑞、泉田、落合と続いていく。
序盤でレースに動きがあった。1周3コーナーで佐藤励が林を捲っていく。すると、そこからは佐藤励がペースを上げていく。2周3コーナーでは緒方が林を捲りにいくところで、泉田がまとめ差し。泉田が2番手に立って佐藤励を追っていたが、なかなか差が詰まらない。結果的に佐藤励がそのまま押し切り先頭ゴール。後ろでは緒方が泉田を交わしたが、最終3コーナーで流れてしまい泉田が再び2番手に立ち準優勝。緒方が3着で入線した。
佐藤励は新人らしからぬ落ち着いた走りを見せた。スタートで先行できれば展開は楽だったが、さすがに1級車の林が先行。それでも1周3コーナーという早い段階で林をパス。その後はしっかりとコースを守りつつ、スピードに乗せる走りができた。今回の勝因はなんと言っても1周目の仕掛け。独走で最も持ち味を出せる2級車の特性を、早々と出せる展開に持ち込めた。同期ナンバー1の評価を受けている佐藤励は、その期待を裏切らぬ快走を見せることができた。2級車での記念レース制覇は久々なのではないか。このまま成長を続け1級車に乗り換わった時、どれほどの怪物レーサーが誕生するのか。今から楽しみでならない。
青山周平がプレミアムカップ3度目の制覇!
浜松オートで行われていた特別GIプレミアムカップは伊勢崎の31期・青山周平の優勝で幕を閉じた。好スタートから最後まで先頭を譲ることなくそのままゴール。まさに圧巻の走りを見せた。
試走タイムは青山と木村武之が一番時計タイで31。次いで三浦康平が33。若井友和と金子大輔が34、西原智昭が35、伊藤信夫と佐藤摩弥が37だった。
0Mオープンのスタート争いは最内の青山が先行。これに木村武が続いて行く。西原も良い飛び出しを見せたが、一つ内の伊藤信が突っ張る。以下は若井、金子、三浦、佐藤摩と出て行った。
レース展開は冒頭のとおり。トップスタートを決めた青山が、いきなり逃げに入り押し切った。後ろもほぼ、変動がない状態だった。2番手に付けた木村武は終始追走から仕掛けのタイミングをうかがっていた。なかなか隙を見せない青山に対し、一度だけチャンスが訪れる。木村武は車をインに向けて差しに構えたが、青山が抑え込んでしまう。その後は仕掛ける射程から離れてしまい、先頭浮上の機会はなくなってしまった。結局、木村武が準優勝。伊藤信が3着に入った。
青山はほぼ盤石の走りだった。スタートから注文どおりトップスタートを決めたし、独走の時もミスすることなく走ることができた。木村武に一度狙われかけた時も、追う方の強みで射程内に入れたという程度。抑え込みに関しては、それほど窮屈なものではなかったし、自然の流れで防ぐことができた。前走ではスーパーハンデで地元の記念を優勝した青山にとって、今回の通常最重ハンはいくらか展開が楽だったかもしれない。あえて死角を挙げるなら、レース場ごとの重走路か。今回も3日目の重走路では苦戦を強いられた。重走路はレース場ごとに、更に言えば時期ごとに特徴が変わることがある。それにも問題なく対応するようになると、青山の無双時代が完全に訪れるだろう。