
鈴木圭一郎が大会2連覇
勝負どころで巧みなレース運びを見せた鈴木圭一郎が通算3度目の『小林啓二杯』制覇。
試走トップタイムの鈴木圭一郎が大外枠でも総合力が信頼を集めて1番人気。鈴木圭以外にもSGタイトルホルダーが4名もいる中、グレード未獲得の山本翔が2番人気に推された。
カクテル光線に照らされた8名がスタートを切り、その山本翔と2枠の佐々木啓が先頭集団を形成し、6枠から飛び出した有吉辰也が3番手、鈴木圭はその外4番手へ付ける形で3周目までレースは進行。
2周回3コーナーでは鈴木圭のイン攻めを封じた有吉が、4周回2コーナーでタイヤを滑らせて大きく後退。代わって3番手へ浮上した鈴木圭は5周回2コーナーで佐々木啓を切り返して2番手まで上がると、やや変則的なコース取りでブロックしてきた山本翔を6周回3コーナーで捲り先頭へ立ち、残る2周で後続を突き放して圧勝のゴール。通算86度目の優勝、グレードは44度目の制覇となった。
有吉は終盤に巻き返しを図ったが、荒尾聡のインへ突っ込んだあと松尾啓史に接触してしまい、残念ながら両名とも落車してしまった。山本翔は8周目バックストレッチで佐々木啓の差しを抑え込んで2着を守り、今後の更なる躍進を予感させた。
文/鈴木
黒川京介が大会初制覇
黒川京介が鈴木圭一郎と青山周平をくだして『第3回 G2浜松記念 曳馬野賞』を初制覇。
3連単オッズは試走31秒で並んだ外枠3車が3強の評価を受けたが、全国ランキング今期S1青山周平でもS2鈴木圭一郎でもなくS3黒川京介が1番人気に推された。
その黒川が1周回3コーナーで鈴木宏和を捲って、10線6車から先制する形を作り、右ななめ後ろに鈴木圭一郎がピタリ追走。大きな勝負どころとなったのは2周回4コーナー。黒川は鈴木圭に切り返しを狙われたが、まだ先頭で粘っていた赤堀翼へ自分の車を接近させて2車を重ねることによって内から抜きづらい態勢を作り、鈴木圭の攻撃を封じ込めることに成功。ここの巧みな戦術が勝因のひとつといえるだろう。
その直後に赤堀を捌いて先頭を奪った黒川は、すぐに車間を拡げ始めた。レース中盤以降に鈴木圭と青山周が競り合ったこともあり、黒川は2着以下に20メートル以上の差を付けて1着ゴール。今年早くも10度目の優勝。グレードは通算11度目、今年だけで4度目のG2制覇となった。
文/鈴木
渡辺篤が念願のグレード初制覇
濡れ走路の準決勝戦で2着になったレース後、「伊勢崎では良走路だとエンジン合わないことが多い」と語っていた渡辺篤にとって、決勝戦の数時間前に降ったひと雨、天も味方したか。渡辺篤が初のグレードタイトルを獲得した。
決戦の火蓋が切られると、10線の最内枠から先行した石本圭耶が1周目から2周目にかけて、単独0ハン金山周平を退けて逃げ態勢に入った。その外へ追走する形を早々に作ったのは、松本康をスタート突っ張って好位置につけた渡辺篤。しばらくは併走の続いた両者が3周回4コーナーから直線へと立ち上がる際に、内側を走っていた石本の車がブレて、外を伸びきった渡辺篤が4周目には後続との差を10メートルほど付けて先頭へ立った。レース終盤は石本に再接近されたが首位は譲らずにゴール。デビュー15年目でついにグレード覇者への仲間入りを果たした。
3番手には平田雅崇が離れて続いていて、更にその後方では金子大輔・佐藤励・青山周平が何周にもわたり出入りの激しい競り合いを繰り広げ、7周目に頭ひとつ抜け出した佐藤励が8周目へ入る直線で平田を捲って3番手へ。残る1周で2番手の石本までも急速に差を詰めてみせた。あのメンバーとの三つ巴戦に勝てたことは、佐藤励の成長を改めて示すとともに、彼自身にとっての自信ともなるだろう。
文/鈴木
黒川京介が連覇 村田光希が大健闘
完全に濡れた走路でおこなわれた決勝戦。7番の黒川京介と6番の篠原睦の組み合わせが2連単・2連複とも1倍台というオッズ。しかし伏兵が前方に潜んでいた。
20線にグレードレース常連の強豪が6名並ぶ、その20メートル前に置かれた単独0ハンの村田光希が大きなコース取りで逃げペースを掴んだ。20線から先行した佐々木啓は前半の周回で横へ並ぶまでに接近したが、村田は隙をみせず抜かせない。3周で佐々木啓を捌いた黒川もまた村田になかなか仕掛けられず、中盤の周回では逆に車間を拡げられたほどであった。
デビュー2年目37期の新鋭がグレード初優出で初制覇の快挙なるかと、周回ごとに現実味を増すムードとなったが、8周戦の残り1周を迎えた7周回4コーナーから8周回1コーナーにかけて、ついに黒川が村田を差して先頭に立った。今年3月の前回大会に続く2連覇。先月の『川口記念』からのG2連続優勝、通算では10度目のタイトル獲得となった。
だが村田の健闘ぶりは、今後の成長と活躍に大きな可能性を感じさせた。
文/鈴木
黒川京介が2度目の大会制覇
3連単オッズひとけた配当は上位3点で、全て黒川京介の8枠を首位に採った組み合わせ。佐藤励の7枠首位車券もかなりの人気を集め、この両名とともに試走タイム2秒台をマークした平田雅崇の3枠が首位および2着の車券もかなりの売れ行きを見せた。
発走は1度では決まらず、5号車の大木光がフライングを犯して再発走に。2度目のスタートは10線最内2枠の山際真介が単独0ハン谷島俊行を叩いて1周回1コーナーで先頭、3枠の平田雅崇も良いスタートを切ったが、1周回2コーナーからの立ち上がりで黒川が平田を外から交わして3番手、直後の3コーナー突っ込みで谷島を退けて早くも2番手。トップ旋回こそできなかったが絶好の展開に持ち込めた。そして2周回で山際を捌いて先頭を奪うと、残る6周回を3.341秒のハイペースで独走。3回前の2022年大会に続く2度目のG2川口記念Vを決めた。来週に開幕する山陽G2『ミッドナイトチャンピオンカップ』でも好結果を挙げるか期待大だ。
黒川が首位に立ったちょうどその頃、佐藤励は平田と谷島を捌いて3番手へ浮上したが、今回は黒川のスピードが一枚上だった。オールスター決勝戦のように黒川へ攻撃を仕掛ける射程には入れなかったが、それでも3着以下を離しての2着は、キャリアの浅さも考え合わせて見事な成績。
加賀谷建明はスタートは後手を踏んだが、レース終盤は追い上げてきており、今節に乗り換えたエンジン『アップテイル』号は素性が良さそう。
この両名とも6月は伊勢崎G2『稲妻賞』、7月は川口G1『キューポラ杯』での活躍をめざす。
文/鈴木