岩見貴史が地元のGI初制覇!
飯塚オートで行われていた第65回GI開設記念レースは地元の29期・岩見貴史が優勝した。GIは船橋オートで優勝の経験があったが、地元では初。GIは2回、GIIは1回優勝があり、記念レースは通算3Vとなった。
試走タイムは永井大介が一番時計で28。次いで桝崎陽介と岩見が29、松尾啓史と荒尾聡が30、青山周平が31、浦田信輔が32、辻大樹が35だった。
10Mオープンのスタート争いは最内の辻がなんとか持たせる。これに岩見が乗って行く。2枠の桝崎も踏ん張り3番手発進。浦田から外はほぼ枠ナリのスタートになった。
1周バックですぐに動きがあった。辻の外に付けた岩見が捲りで先頭に踊り出る。その直後に大きなアクシデントがあった。3番手に付けていた桝崎が辻のインに突っ込むが、車体同士が接触し両者落車。直後に付けていた浦田と永井もその影響で落車してしまった。1周を回らず4車が戦線離脱となる波乱。影響がなかった4車で残りの7周を戦う事になった。
逃げる岩見はしっかりと自分のコースを回っていく。すぐ後ろに付けたのは荒尾。なんとか抜きにかかるが、岩見が巧い立ち回りを見せた。インからもアウトからも抜かせない走りで周回を消化していく。そして、最終的に岩見はそのまま先頭を譲らずゴール。2番手に付けていた荒尾は最終3コーナーで少し流れてしまう。その隙を見逃さなかったのは3番手に付けていた青山。インから荒尾をパスし2着入線を果たした。
岩見はこの優勝戦で自分の走りがキッチリとできた。武器のスタート力を遺憾なく発揮して、早めに先頭に立つ事ができた。逃げる展開になってからは後続車に隙を与えず走り切る事ができた。試走タイムはしっかりと出ていたし、上がりタイムも375なら十分な数字。これからはSGの舞台でも活躍したいと本人は言っていたが、それをするには十分な総合戦力を持っている。SGで優勝争いをする姿を見てみたい。
鈴木圭一郎が圧巻の走りで同大会初優勝!
山陽オートで行われていたGII若獅子杯争奪戦は、浜松の32期・鈴木圭一郎が同タイトル初優勝を決めた。全国ランク1位の青山周平に対し、先手の攻めで勝利をもぎ取った。
良走路で行われた優勝戦は、試走一番時計が鈴木圭で26。次いで、上和田拓海と青山周平が29。丹村飛竜が30、緒方浩一が31、中尾貴志が33、吉原恭佑が34、青木隆浩が36だった。
0ハン単騎に置かれた青木だが、スタートで中尾に叩かれてしまう。中尾は絶好の展開になったが、すぐさま上和田に交わされてしまう。上和田にとっては記念レースで初優勝のチャンスが巡ってきたが、独走でもペースが上がらなかった。代わって先頭に踊り出たのは丹村。その丹村も後続を振り切るまではいかず、鈴木圭がしっかりと捌いて行く。青山は鈴木圭に先行されたのが痛かった。必死に追い上げては行ったが、最終的には3着までが一杯だった。
このレースでは鈴木圭が落ち着いて乗れている様子が印象的だった。もちろん、試走タイムが一番出ていたので慌てる必要もないし、無理な仕掛けをすることもない。前団の競り合いを冷静に見られる状況だった。そして、仕掛けどころがあれば1車ずつ、じっくりと交わしていけていた。鈴木圭は、このGII若獅子杯争奪戦は初めての優勝。SGはすでに10度の優勝を誇るが、GIIは意外にも今回で4度目の制覇。デビュー時から前評判が高く、1級車に乗り換わってからも急激に成長しているからこその状況と言える。これからもグレードの格を問わず、記念タイトルを積み重ねていくのは間違いない。
鈴木圭一郎が激戦を制し、日本選手権3度目の優勝!
SG日本選手権の優勝戦は良走路で行われた。レースは後半になって激しい上位争いが演じられたが、最終的には地元の32期・鈴木圭一郎がチャンスを逃さず勝利をもぎ取った。日本選手権は2017年以来、3度目の優勝。SGは通算10度目のVとなった。
試走は鈴木圭一郎が一番時計で26。次いで有吉辰也が27、永井大介と荒尾聡が28。金子大輔、早川清太郎、青山周平、滝下隼平が29だった。
スタート争いは、7枠から青山が飛び出していく。これに最内から金子が続き、2枠の早川も3番手を死守。その後ろでは永井、鈴木圭、有吉と出ていく。荒尾は7番手発進で、滝下は最後方からのレースになった。
青山の逃げで始まった優勝戦。青山はレース序盤からインを抑える走りになり、思うようにスピードが乗らない。金子にとって有利な状況だったが、その金子も追走が一杯。その後ろの早川も前を仕掛けるまではいかない。そうこうしているうちに、永井を突破した鈴木圭が4番手に浮上。そして、早川を抜きにかかるが、次のコーナーでコースが乱れてしまう。そのインに入ってきたのは荒尾。荒尾は3番手に立つと、追走一杯の金子を捲る。この流れに鈴木圭も便乗し、先頭は青山、2番手に荒尾、3番手に鈴木圭の態勢ができ上がる。荒尾はインから青山を抜きにかかるが、青山はインを締め上げてブロック。そして9周回3コーナーでドラマが起こる。荒尾が青山を外から抜きにかかるが、両者が軽く接触する形になり、空いたインに鈴木圭が入ってくる。青旗前で先頭に踊り出た鈴木圭が、そのまま最終周回をしっかり回ってゴール。2着は青山、3着は荒尾が入線となった。
試走一番時計をマークした鈴木圭だったが、レースは簡単ではなかった。5番手発進からの競争で、永井を抜く所ではしっかりと態勢を作って、綺麗に交わしていた。早川を抜く所では、やや厳しい仕掛けになったが、レースに大きな影響を残す事なく番手を上げていた。金子を捲る所では、荒尾の仕掛けに巧く付いていけた。3番手から先頭に立つ所では、青山と荒尾の動きを冷静に見る事ができた。そして、チャンスと見るや否やインに鋭く車を進めていけた。スタートしてからゴールするまで、その場その場で変幻自在に攻め手を操る事ができた。攻撃の幅が大きく広がった事を示した一戦だったと言えよう。
中村雅人がウィナーズカップ2度目のV!
浜松オートで行われていたGIIウィナーズカップは、川口の28期・中村雅人が制した。これが同タイトル2度目の優勝。久々に強い中村雅人の走りが見られた。
試走タイムは鈴木圭一郎が一番時計で29。次いで中村と荒尾聡が31、松本やすしが32、金子大輔が33、深谷俊太と掛川和人と有吉辰也が34だった。
スタート争いだが、0ハンの深谷はしっかりと残して逃げに入る。10線は最内の掛川が遅れてしまう。先行は松本やすし。そこからは外へを枠ナリに出て行った。
序盤からペースを上げたかった深谷だが、コースを外してしまい有吉にイン突っ込まれてしまう。今度は有吉が逃げる展開。これに金子が続いていた。その後ろでは中村が3番手を走行。金子は有吉を抜く態勢までいけず、逆に中村に捌かれてしまう。すると中村は有吉と一対一の態勢に。ここからは慌てず騒がず、しっかりと抜いていける態勢を整える。そしてチャンスとみるや否や、中村が有吉のインに車を向ける。きっちりと回り切り、中村はそのまま先頭ゴール。人気に推された鈴木圭は、4番手あたりで荒尾と競り合う形になり、優勝争いにまでは参加できなかった。
中村の記念レース優勝は2019年のプレミアムカップ以来。近年は記念での優勝が少なかったが、今回は中村らしい走りが見られた。最大の勝因は、スタートで外枠2車に行かれず、しっかりと枠ナリ発進できたことだろう。外枠に行かれるとレース展開はかなり厳しくなるが、枠ナリなら内枠勢やハンデが前の車を捌くのみ。レース道中も落ち着いて走れる。もちろんエンジンの状態も良かった。試走が2番時計なら中村にとって十分な数字。そこへきて、レースも絶好の展開。チャンスがあればしっかりとモノにする中村。今後は久々にSGの舞台でもパンチある走りを見たい。
青山周平がSGグランドスラムを達成!
飯塚オートで行われていた第35回SG全日本選抜オートレースは伊勢崎の31期・青山周平が制した。これでSGは9度目の優勝。更に全てのSGを制し、グランドスラムを達成した。
試走は永井大介が一番時計で28。次いで青山周平が29、荒尾聡と中村雅人が30、伊藤信夫が31、黒川京介と有吉辰也と佐藤貴也が32だった。
レースのカギを握るスタート争いは最内の青山が先行する。これに2枠の永井が乗って行く。伊藤信と荒尾が続き、黒川はやや後手を踏む展開。外枠勢は好ダッシュを決めることができなかった。
いきなり逃げに入った青山は、自分のコースをしっかり走って周回を重ねていく。追走する永井は、後ろから荒尾のプレッシャーがありつつも、前を走る青山の隙をうかがっている。何度か抜きにかかるが、青山はしっかりと抑え込む。そうこうしているうちに3番手を走っていた荒尾が永井を差す。そうなると今度は荒尾が青山を抜きにかかる。逃げている青山はペースが上がらないでいる。完全に抜かせない走りに徹していた。荒尾が外から捲りを狙うと青山は外へ張り出し、インからは徹底して抜かせないブロック走法。エンジン的には荒尾の方が強めに見えたが、最後まで青山は後続をシャットアウトし、先頭ゴール。苦しい競走を勝ち切ってみせた。
青山はこれで史上6人目のSGグランドスラムを達成。自身のタイトルをまた一つ積み重ねた。優勝戦の青山は強かった。大きなコースを回ってペースを上げられるエンジン状態ではないと早めに把握できていたのだろう。その状態で勝ちにつながる最善の走りを選択できた。この戦略の幅こそがナンバー1の強み。その時の状況に応じて走りを変えることができる。SG制覇は2020年のスーパースター王座決定戦以来となったが、この後もSG優勝回数を増やしていくのは間違いない。