
篠原睦が歓喜のSG初優勝!
伊勢崎オートで行われていた第25回SGオートレースグランプリは、飯塚の26期・篠原睦の優勝でフィナーレを迎えた。篠原はSGで初めての優勝。レース直後はガッツポーズを連発し、嬉しさを爆発させていた。
前日の予報通り、優勝戦は重走路で行われた。試走タイムは鈴木圭一郎が一番で73。次いで、新井恵匠が74、若井友和が75、重富大輔が76、笠木美孝が77、金子大輔が78、篠原が81、田中茂が84だった。
スタートは笠木のフライングで再発走。2度目は重富がトップスタートを切るかに見えたが、1コーナーでは一つ内の篠原が突っ張って先頭をキープ。3番手には鈴木圭と若井。以下は金子、新井、笠木、田中茂となった。
先行した篠原はいきなりの逃げ。2番手発進の重富は、鈴木圭にすぐに交わされてしまう。後続はほぼレース終盤まで動きのない状況だった。残り8周からは篠原と鈴木圭の一騎打ち。3番手の重富も離されずに追走していたが、前2車が重なっていたので厳しい展開だった。逃げる篠原はインコースを丁寧に回り、周回を重ねていく。追う鈴木圭は仕掛けるタイミングを計りつつ、タイヤを滑らせないように落ち着いて走っていく。どちらも我慢比べの様相になっていた。篠原はワンミスでもあれば、鈴木圭にイン入られてしまうし、鈴木圭もタイヤを滑らせれば、隙を突ける距離から遠ざかってしまう。最終的には、篠原がゴールを迎えるまで、しっかりとコーナーを回り切り、鈴木圭の追撃を振り切ってゴール。2着には鈴木圭、3着には重富が入線した。
篠原にとっては待ちに待ったSGのタイトル。これまでにGIIは3度制した事があったが、SGタイトルには無縁だった。デビューしてから常に高い位置にランクし、安定感抜群の成績を残し続けてきた。スタートの切れが持ち味で、速攻を得意としていたが、SG優勝戦の10周回では最高の結果を残せないでいた。同期同地区の久門徹、田中茂と共に飯塚26期三羽烏との異名を持ちながらも、早々とSGで優勝した久門、一時代を築いた田中茂にSGタイトルでは遅れを取っていた。それでも今回、見事に先行押し切りを達成。自分のレーススタイルを貫き、待ち焦がれた最高のタイトルを奪取できた。この嬉しさは人一倍だろう。これからも高いポテンシャルを維持し、ファンの夢を乗せて走り続けてくれるだろう。
永井大介がプレミアムカップ9度目の優勝!
飯塚オートで行われていた特別GIプレミアムカップは、川口の25期・永井大介が制した。この大会と相性がいい永井は、これで9回目の制覇。最後に制したのは2018年だったが、プレミアム男の復活劇となった。
試走は鈴木圭一郎が一番時計で28。次いで金子大輔が31、早川清太郎と永井大介が32、伊藤信夫と荒尾聡と佐藤貴也が34、新井恵匠が36だった。
0オープンで肝心のスタート争いは新井がフライング。再発走となった。2度目のスタートは7枠から永井が行きかけたが、最内の伊藤信が1コーナーを先に回る。荒尾が2番手を死守し、永井は3番手につける。鈴木圭は後方からの競争になってしまった。
先頭を走る伊藤信は序盤からペースを上げていく。荒尾は進みが甘く、伊藤信に離されてしまう。やがて永井が荒尾を攻略。今度は永井が伊藤信を追っていく展開。周回は十分に残っていて、徐々に伊藤信との差を詰めていく。伊藤信は走るコースが小さくなってくる。そして、7周バックストレッチで永井が伊藤信を捲る。そのまま残りの周回を走行し、永井が1着でゴールを決めた。2着は伊藤信。3着には粘っていた荒尾が入線した。鈴木圭は、さすがに序盤の展開が悪く、追い込んでいくも4着入線が一杯だった。
久しぶりに強い永井が戻ってきた。記念レースは、2019年に浜松のGIゴールデンレースを制してから縁遠くなっていた。青山周平や鈴木圭一郎が頭角を現すと、大舞台で苦しいシーンが多くなっていた。しかし、オートレースと向き合う姿勢は変わらなかった。常に良いエンジン作りを目指し、勝利への渇望に飢えていた。その結果が今回の勝利へとつながった。これでGIは25度目のV。GII、SGを含めると53度目のV。まだまだ強い永井を見せ続けてくれることだろう。
岩科鮮太がGII小林啓二杯初優勝!
不順な天候で行われてきたGII小林啓二杯は、最終日の1Rは良走路で競争が始まったが、11Rの試走後から天候が崩れた。優勝戦は試走から重走路で、本番も濡れた走路で戦いが行われた。
試走は渡辺篤と佐々木啓が78で一番時計タイ。岩科鮮太、有吉辰也が79、鈴木圭一郎が80、角南一如が81、早船歩が82、前田淳が84だった。
10Mオープンのスタート争いは最内の早船がしっかりと枠ナリ発進。これに2枠の岩科が続いていく。前田と渡辺が3番手争い。外枠では有吉がいいスタートを見せた。
まず逃げ態勢を作った早船はインでもアウトでもなく、中バンクを選択し逃走。後ろでは岩科がインを回っている。割りと早い段階で動きがあった。2周4コーナーの立ち上がりで早船がやや流れてしまう。ここを難なく岩科がインから台頭。今度は岩科が逃げる展開になるが、ペースを上げてすいすいと逃げていく。結果的に、このまま後続との差を広げてゴール。3周目前に先頭に立つと、そのまま一人旅で優勝してみせた。後ろでは渡辺が早船と競り合う形になるが、早船が渋太く乗って2着をキープ。3着には残り1、2周でアウトから浮上を決めた鈴木圭が入線した。
岩科はこれまでGIとGIIを一つずつ獲っていたが、今回のを含めるとGIIは2つ目のタイトルとなった。デビューしてから早めに頭角を現した岩科。差しの強烈さをアピールポイントにランク上位に入っていたが、スタートに大きな課題を残していた。オープン戦や、同ハンに数車並ぶようなレースでは、序盤に好展開を作れず苦しむシーンが多く見られた。それでも差しの的確さで巻き返していけていたが、今回の優勝戦のように枠ナリのスタートが決められれば、展開はグッと楽になる。また、重走路も苦にしないどころか得意な部類なので、いろいろと条件が重なれば、これからも記念レースで見せ場を作ってくるだろう。
前田淳がGIIミッドナイトチャンピオンカップ初代王者!
飯塚オートで行われていたミッドナイトレース初の記念レース・GIIミッドナイトチャンピオンカップは、山陽の27期・前田淳が制した。前田はこれでGIIを3度目の制覇。GI1回を含めて、記念タイトルは4となった。
競争は良走路で行われ、試走は平田雅崇と伊藤信夫が27で一番時計。次いで、角南一如が29、東小野正道と有吉辰也が30、高宗良次と前田が31だった。
スタート争いは最内の高宗がしっかりと先行。これに2枠の東小野が乗っていく。前田も3番手発進できたが、すぐに有吉が交わしていく。角南と平田はダッシュがつかず、伊藤信は枠どおり7番手からのスタートになった。
まずは高宗が逃げる展開。後ろでは東小野が追走していたが、前田をパスした有吉が仕掛けの態勢を作っていた。そして、すぐに有吉は東小野を差す。逃げる高宗と追う有吉で一騎打ちムードになったが、割と早い段階で動きがあった。4周1コーナーで有吉が高宗のインに突っ込んでいく。しっかりと交わしたように見えたが、有吉が態勢を崩し、外にいた高宗を巻き込んで共に落車。後ろで東小野を交わしていた前田が先頭に踊り出た。今度は前田が逃げる展開。すぐ後ろには同期の角南がつけていた。残りの周回、角南は前田を抜こうと仕掛けのタイミングをうかがっているが、前田はコースを外さない走りで隙を与えない。結果的に最後まで先頭を譲らずゴール。後半に猛追を見せていた伊藤信が3着に入った。
前田は約3年ぶりに記念レースで優勝。元々、底力のある選手だが、近況は好成績が残らない時期もあった。それでもオートレースに取り組む姿勢は、以前と変わらず真剣そのもの。整備を含め、オートレースに真面目に向き合い続けた事が今回の結果につながったのだろう。スタート力は上位級、走りは小さいコースを通ってスピードに乗せる事ができる。この2つの武器がある限り、まだまだ記念タイトルを増やす事は可能だろう。
高橋貢がレース巧者ぶりを見せつけ優勝!
大会最終日は途中で軽く雨が降る時間帯もあったが、優勝戦までには走路が回復し、良走路で競争が行われた。試走タイムは青山周平が一番時計で28。次いで永井大介と高橋貢が29、松本やすしが32、谷津圭治と西原智昭が35、山中充智と穴見和正が36だった。
レース序盤の争いだが、まず0ハンの山中はスタートを残す事ができなかった。10線から叩いて行ったのは谷津。谷津がいきなりの逃げ展開に入った。1周目から2周目あたりは中団は混戦状態。それを抜け出して2番手に立ったのは高橋貢。そこからの仕掛けは早かった。3周目の1コーナーで谷津のインに突っ込んで行く。そして、先頭を奪取。そこからは落ち着いた走りだった。
人気を背負った青山は、スタートこそ良かったが最初のコーナーでやや流れてしまう。一時は最後方まで下がってしまった。その後も中団が重なり、思うように車を進めて行けなかった。混戦を抜けて2番手に立った時には、高橋貢は独走状態に入っており、遥か前方だった。そこからは多少、差を詰める事はできたが先頭までは行けなかった。
高橋貢は絶対王者の異名に相応しい貫禄を見せた。準決までは機力不足に思われていたが、決戦には整備でしっかりと仕上げてきた。試走は2番時計だったが、見た目にはかなり良さそうだった。そして、レース運びもさすがだった。スタート争いでは、外の青山に行かれていたが、最初のコーナーでの位置取りが巧かった。そこからは混み合う車群を見て、外のコースを選択。一気に番手を上げる事ができた。整備力、走行テクニック。この両方がマッチして最高の結果を手に入れることができた。全盛期ほどの迫力は薄れてきたと言われて久しい高橋貢だが、豊富なレース経験は決して裏切らない。まだまだタイトルを積み重ねられる。