
高橋貢がレース巧者ぶりを見せつけ優勝!
大会最終日は途中で軽く雨が降る時間帯もあったが、優勝戦までには走路が回復し、良走路で競争が行われた。試走タイムは青山周平が一番時計で28。次いで永井大介と高橋貢が29、松本やすしが32、谷津圭治と西原智昭が35、山中充智と穴見和正が36だった。
レース序盤の争いだが、まず0ハンの山中はスタートを残す事ができなかった。10線から叩いて行ったのは谷津。谷津がいきなりの逃げ展開に入った。1周目から2周目あたりは中団は混戦状態。それを抜け出して2番手に立ったのは高橋貢。そこからの仕掛けは早かった。3周目の1コーナーで谷津のインに突っ込んで行く。そして、先頭を奪取。そこからは落ち着いた走りだった。
人気を背負った青山は、スタートこそ良かったが最初のコーナーでやや流れてしまう。一時は最後方まで下がってしまった。その後も中団が重なり、思うように車を進めて行けなかった。混戦を抜けて2番手に立った時には、高橋貢は独走状態に入っており、遥か前方だった。そこからは多少、差を詰める事はできたが先頭までは行けなかった。
高橋貢は絶対王者の異名に相応しい貫禄を見せた。準決までは機力不足に思われていたが、決戦には整備でしっかりと仕上げてきた。試走は2番時計だったが、見た目にはかなり良さそうだった。そして、レース運びもさすがだった。スタート争いでは、外の青山に行かれていたが、最初のコーナーでの位置取りが巧かった。そこからは混み合う車群を見て、外のコースを選択。一気に番手を上げる事ができた。整備力、走行テクニック。この両方がマッチして最高の結果を手に入れることができた。全盛期ほどの迫力は薄れてきたと言われて久しい高橋貢だが、豊富なレース経験は決して裏切らない。まだまだタイトルを積み重ねられる。
荒尾聡がダイヤモンドレース連覇を達成!
飯塚オートで行われていた第64回GIダイヤモンドレースは、地元の27期・荒尾聡が制した。昨年に続く制覇で、同大会3度目のV。1着でゴールした後は、ガッツポーズを連発させていた。
レースは良走路で行われ、試走一番時計は金子大輔の28。次いで有吉辰也が29、岩見貴史と重富大輔が30、荒尾聡と角南一如と新井恵匠が31、青島正樹が34だった。
スタートは重富がフライングで再発走になった。2度目のスタートは有吉が6枠からダッシュを乗せる。1コーナーをトップ旋回しそうな勢いだったが、最内の荒尾が突っ張ねる。バックストレッチではしっかりと荒尾が先頭に立った。以下は有吉、岩見、金子、新井、角南と続いていく。
逃げる荒尾は全く不安のない走りだった。結果的に最後まで先頭を譲ることなくゴール。上がりタイムは351素晴らしい数字だった。2番手争いは変動があった。好スタートを決め2番手を走っていた有吉だったが、岩見が6周3コーナーで渾身の差し。これが見事に決まり2番手を奪取。その後は角南が有吉を捲って3番手に立った。4番手以下は大きな変動が見られなかった。
今の荒尾は充実している。デビューしてからずっと第一線で活躍していたが、一時期はやや勢いが衰えていた期間もあった。しかし、2017年に久々にSGで優勝すると、総合力が完全にパワーアップした感がある。独走時のペースアップが著しく向上した。これによりレーススタイルの幅が大きく広がり、勝利への勝ちパターンが増えたように感じる。現在は2強とも言えるオートレース界だが、近況の荒尾の活躍を見ているとそれは不適格。今のオートレース界は3強。青山周平、鈴木圭一郎に荒尾を加えた3強時代の到来と言っても過言ではないだろう。
青山周平がGII川口記念連覇を達成!
川口オートで行われていたGII川口記念ナイターレースは、伊勢崎の31期・青山周平が昨年に続き優勝した。重走路になった優勝戦だったが、青山が一番人気にしっかりと応えてファンを沸かせた。
試走一番時計は青山と若井友和で78。次いで、鈴木清が80。間中大輔が81、黒川京介と丸山智史が83、中村雅人が84、鈴木宏和が85だった。
10Mオープンのスタート争いは、最内から間中が先行。それに、2枠の鈴木清と鈴木宏が続いて行く。ほぼ枠ナリ発進となった。
レースの展開だが、逃げに入った間中はそこまでペースが上がらない。鈴木清も追走が一杯の状態。丸山が捲りで抜け出しにかかったが、うまくいかない。青山はアウトコースを選択。スピードに乗せて捲りで突破を図っていたが、ついに3周4コーナーで先頭に踊り出た。そこからは後続をブッチ切る展開になるかと思えたが、中村が後方から猛追を見せる。青山にジカ付けして交わしにかかるが、タイヤが滑り出す。青山はなんとか中村を振り切って先頭ゴール。見事に勝ち切ってみせた。
青山は昨年に続き、この大会で優勝。スタートはそこまで行けなかったが、レース序盤で順当に番手を上げていけたのが良かった。先頭に立ってからは盤石の走りではなかったが、中村の追いに対しても落ち着いて対処できていた。独走に入ればブッチ切るスタイルだけではなく、その後に後方から追い込んでくる選手がいても、勝利をもぎ取れるパターンを身に付けた青山は更にパワーアップしたと言える。
佐藤貴也がゴールデンレース初優勝!
浜松オートで行われていたGI開場65周年記念ゴールデンレースは、地元の29期・佐藤貴也が優勝した。優勝戦は重走路になったが、スタート一気からの速攻を見せた。佐藤貴はこの大会初制覇。また一つ記念タイトルが増えた。
試走は荒尾聡が一番時計で70。次いで鈴木圭一郎が72、佐藤貴と藤波直也が73、金子大輔が76、渡辺篤が78、木村武之が83、鈴木宏和が84だった。
0Mオープン戦で大事なスタート争いは6枠から佐藤貴が飛び出す。最内の荒尾が2番手発進。4枠から鈴木圭が続いていった。
レース展開は好スタートを切った3者の争い。トップスタートを決めた佐藤貴が、マイペースの逃げに入る。荒尾がすぐにジカ付け。鈴木圭は少し離れた位置。まずは荒尾が佐藤貴にプレッシャーをかける。佐藤貴は自分のコースを丁寧に、そしてスピードを乗せて回っていく。荒尾はインから交わそうと、仕掛けのタイミングを図っていたが、インを締め上げる佐藤貴に隙はなかった。そうこうしているうちに3番手を走っていた鈴木圭が荒尾をインからパス。今度は鈴木圭が佐藤貴のインを狙うが、入り切るまではいかなかった。そして、7周3コーナーでは捲りを仕掛けようと車を外に持ち出したが、逆にこれは佐藤貴との車間が離れてしまう。最終周回も佐藤貴はしっかりとインを回り、ゴール前で迫ってきた鈴木圭を振り切った。
この戦いでは佐藤貴の真骨頂とも言えるレース運びが見られた。一時期、切れ味を失っていたスタート力を、大事な場面できっちりと取り戻していた。そして、先頭を走ってからは自分の走りができていた。荒尾を抑え込んだのも見事だが、鈴木圭が近づいてからは更に小さなコースを回って、インからは抜かせないように走っていた。ワンミスでもあれば、タイヤを滑らせ失速してしまう際どいコース取り。これを8周回、コースを外すことなく回ってみせた。この走りができる限りは、記念タイトルをまだまだ積み重ねられる。現オート界の2強プラス荒尾の間に割って入れるだろう。
鈴木圭一郎が2度目のオールスター制覇!
川口オートで行われていたSG第40回オールスターオートレースは、浜松の32期・鈴木圭一郎が制した。重走路での決戦になったが、道中で抜け出し、最後は後続を引き離して快勝。2017年以来2度目のオールスター優勝となった。
試走タイムは鈴木圭が一番時計で79。次いで黒川京介が81、青山周平82、春本綾斗と佐藤摩弥が83、永井大介が85、岡谷美由紀と鈴木宏和が86でワーストだった。
10Mオープン戦のスタートは5枠から佐藤摩が飛び出した。これに3枠から鈴木宏が続いて行く。鈴木圭と黒川が3番手争い。岡谷は1周バックでタイヤを滑らせ、青山と春本が浮上。永井は最後方からのレースになった。
いきなり逃げ態勢を作れた佐藤摩だがペースは上がらない。後ろから鈴木圭がプレッシャーをかけていく。そして、4周目に入った所で鈴木圭が佐藤摩に捲りを仕掛ける。2コーナー過ぎてバックストレッチに入っても交わすまでは行かなかったが、3~4コーナーではきっちり捲って先頭を奪取。そこから鈴木圭はハイペースの逃げで1着ゴール。後ろでは黒川が佐藤摩を捲り、2番手に立っていたが、青山がインからパスして準優勝。黒川は3着だった。
鈴木圭は完璧なレース運びだった。10Mオープン戦の7枠は決して楽な位置ではない。しかし、スタートでしっかりと3番手あたりに付けると、そこからは慌てず騒がず落ち着いて走れていた。先頭に立つ場面でも無理な仕掛けではなく、佐藤摩との車速を測りながら捲りを選択。独走になってからも自分のペースを保って走る事ができた。昨年はSGでの優勝はなかったが、今年は早くも1つ獲った。これでSGは通算9V。オート界のトップの選手でありながら、まだまだ成長の余地を残している。SG10Vも遠くないだろう。
そして、今回のSGは初優出の選手が多かった。5つあるSGの中でもオールスターは特殊な大会。ファン投票による選出もそうだが、初日からハンデ戦がほとんどで、どの選手にも優出の可能性が出てくる。SGの優勝戦で0Mオープン戦でなかったのは久々ではないだろうか。その時に応じていろいろなハンデ構成が楽しめるのもオートレースの醍醐味。また、新たに注目の選手が出てくるのも今後の楽しみだ。