有吉辰也がGII7度目の優勝!
山陽オートで行われていたGII小林啓二杯は、飯塚の25期・有吉辰也の優勝で幕を閉じた。最終日の12日は1Rから重走路。優勝戦の12Rまでずっと不安定走路でレースが行われた。
試走タイムは佐々木啓が一番時計で45。次いで岩見貴史が49、有吉が50、角南一如が54、緒方浩一と長田恭徳が55、藤岡一樹が56、片岡賢児が最も悪くて60だった。
まずはスタート争いだが、0ハン単騎の片岡はしっかりと残した。10線は最内の緒方が飛び出し、4枠の角南が続く。7枠の有吉が3番手発進となった。
片岡を追う緒方と角南だが、その前に有吉が1周半でインから浮上し首位を奪取。速攻が決まった。その後は有吉がマイペースの逃げを打ち、後続を寄せ付けず逃げ切った。後ろでは角南が2番手に立ち、追ってきた岩見の猛攻を封じ切り準優勝。岩見は3着。佐々木は追ってきたが4番手で足が止まってしまった。
有吉は得意の勝ちパターンに持ち込み、今年の初優勝が記念レースとなった。昨年はGIIを2つ獲り、その前の年はGIでも優勝している。全盛期ほどの迫力ではないが、着実に底力を取り戻しつつある。これでSG3V、GI13V、GII7V。記念タイトルの積み重ねは、本人の自信回復に大きな影響を与えるだろう。今年はSGでも本来の姿を見せるべく、復活の力走に期待したい。
青山周平が川口オートで夜の死闘を制した!
川口オートで行われていたGII川口記念は、伊勢崎の31期・青山周平が怒涛の追い込みで制してみせた。青山はこの大会、初めての制覇。記念レースのタイトル数をまた一つ増やした。
試走タイムは永井大介と青山周平が一番時計で31。次いで森且行が33。高橋義弘と中村雅人が34、鈴木清と大木光が35、若井友和が36でワースト。
レース展開は3枠の鈴木清がトップスタート。これに7号車の永井が乗って行く。森も悪くない位置に付けたが自落により戦線離脱。青山は前を叩く事ができず8番手発進になる。
2番手発進の永井は早々と鈴木清と交わして先頭に踊り出る。青山は1周目の展開が厳しかったが、中団をまとめ差しで好位置に躍り出る。割りと早い段階で永井と一対一に持ち込んだ。まず動いたのは青山。しっかりと抜く態勢を作る前に永井のインに突っ込んでいく。これにより先頭に立った青山だが、永井の逆襲に遭う。際どい突っ込みに対し永井が反撃の差しを決めていく。これも綺麗に決まったわけではなく、青山がやり返していく。この攻防はしばらく続いたが、最後に決闘を制したのは青山。このままゴールを迎える。
今回の優勝戦は0ハンに7車並び、単独10Mに1車。完全にスーパーハンデの厳しさを背負った青山だが、きっちりと跳ね返してみせた。GII競争ではあったが、この勝利はSGで勝ち切るより難しい。この後のSGでこのハンデ構成が組まれるかは疑問だが、青山がそれでも栄冠をもぎ取った時、また新たなオートレースの新時代が幕を開けるだろう。
長田恭徳が記念レース初制覇!
山陽オートで行われていたGI第1回令和グランドチャンピオンカップは、地元の32期・長田恭徳が優勝を決めた。自身2度目の優勝は、嬉しいGIの大舞台。記念レースタイトルホルダーに名乗りを挙げた。
良走路で行われた優勝戦の試走タイムは、荒尾聡が31で一番時計。次いで、滝下隼平と田中茂、佐々木啓が32。有吉辰也が33、長田恭徳が34、青木隆浩と田中正樹が36だった。
レース展開だが、まずは0ハン単騎の青木はスタートを残した。10線からは長田がトップスタート。これに田中正、有吉が続いていく。大外の荒尾は5番手発進となった。
序盤からペースを上げたかった青木は、1周目で長田に捕まってしまう。有吉が素早く2番手に立ち、荒尾も3番手の位置に早々と付けた。ここからは長田がどこまでスピードに乗れるかが焦点になったが、2番手を走る有吉に対し常にセーフティリードを保つことができた。最終的にはこのままゴールし、長田が優勝。2、3着には有吉と荒尾が入った。
これまでの長田はGIIで2度の優出はあったが、GIは初めての優出だった。それにも関わらず初優出初優勝の快挙を達成してしまった。しかし、これはまぐれでもなんでもない。このところの長田の走りを見ると、一枚も二枚も成長の壁をぶち破り、強豪相手でも臆することなく思い切りのよい走りができていた。32期生と言うと、鈴木圭一郎に話題が集まりがちだが、ここにも注目すべき選手が現れた。これからの活躍に期待したい。
鈴木圭一郎がゴールデン2度目のタイトル奪取!
最終日は重走路で始まった第64回GI開場記念ゴールデンレースは、優勝戦では急激に走路が乾いて、競争タイムも凄まじい数字が出た。優勝は地元浜松の32期・鈴木圭一郎。2016年以来の同大会2度目の制覇となった。
試走の時は走路がまだ不安定でタイムもまばら。一番時計は青山周平の44、次いで鈴木圭が46、松山茂靖と中村友和が48、渡辺篤が51、柴田健治と早船歩が52、古木賢が最も悪くて56だった。
そこから急激に走路が乾いていったが、それでもスジ状に濡れている所があり、完全な良走路とは言えない状態。競争タイムは良走路の数字だが、公式発表はブチ走路だった。
まずはスタート。0ハンは柴田が飛び出し早船が乗っていく形。古木は後手を踏む。10線は鈴木圭が好ダッシュを決めていく。青山もそれに続いていき、好位置に付けていった。
いきなり先頭に立った柴田だが、ペースを上げる前に強力な車がやってくる。鈴木圭だ。鈴木圭は1周目のバックで一気に車を伸ばし、2周目に入る頃には柴田のインに突っ込み先頭を奪取。それから間を空けずに青山も2番手に立つ。あとは青山がどこまで鈴木圭を追えるかが焦点だったが、最終的に差を詰める事ができずゴールイン。3着には柴田を交わした松山が入線した。
今回は鈴木圭が地元の意地を見せる事ができた。今のオートレース界は青山と鈴木圭の2強状態。この両者が出場する記念レースは、どちらかが少しでもエンジンの仕上がりが良い方が勝つ。それか同等なら内枠に置かれた方が勝利を掴み取る。その流れは当分続きそうだが、時折りここに割って入る選手が現れる事もある。強豪の復調なのか、更なる若手の台頭なのか。一つ一つのレースの内容だけではなく、そういった見方でもまたオートレースを楽しめそうだ。
青山周平が全国ランク1位の威厳を示した!
伊勢崎オートで行われていたGII稲妻賞は、全国ランク1位の青山周平が昨年に続き連覇を達成した。
試走タイムは青山周平と高橋貢が一番時計で30、次いで大木光が31、西原智明が33、吉原恭佑が34、仲田恵一朗と鈴木清が36、鈴木清市が39だった。
スタート争いはまず、0ハン単騎の鈴木清市は残し、10線の仲田も残す。20線は最内から西原が飛び出し、鈴木清が乗って行く。ここに大外から青山がダッシュを決める。高橋貢もまずまずの位置に付けた。
レース展開は、ペース上がらない鈴木清市をあっさりと仲田が交わしていく。その仲田に西原が付けて回り、捲りを仕掛けたところで青山がインからまとめ差し。青山は早めに先頭に立ち、そこからは一人旅。グングンとペースを上げていき、そのまま逃げ切った。今回は2周目に波乱があった。試走一番時計タイの高橋貢がまさかの落車。2着には展開を活かした西原が入線。3着にも位置が良かった仲田が入った。
青山はこれでこの大会2度目の制覇。近年は総合戦力が増しているような印象がある。以前は攻めに焦って反則を犯したり、先頭に立ってからもペースが上がらず、コースを抑える走りになったりしていたが、それらの不安点を全て克服している。スタート、捌き、判断力、重走路、スピードと多くの点でレベルがアップしている。エンジンがよほど崩れない限りは、このまま全てのタイトルを制覇してしまうのでは、と思わせる強さを感じさせられる。