
青山周平が意地で勝利を掴んだ!
飯塚オートで行われていた特別GIプレミアムカップは、伊勢崎の31期・青山周平の優勝で幕を閉じた。同大会は昨年に初制覇しており、今回の優勝で2度目のタイトルとなった。
大会最終日は重走路で競走が始まったが、徐々に走路が回復していった。それでも優勝戦の時間までに完全に乾く事なく、ブチ走路でのファイナルバトルとなった。
試走タイムは丹村飛竜が一番時計の40。次いで青山と金子大輔が41、荒尾聡が42、有吉辰也と佐々木啓が43、木村武之が46、西原智昭が49だった。
スタート争いは、5枠から有吉が飛び出して行く。最内の荒尾が踏ん張る。西原も抵抗を見せるが木村が好位に付けていく。青山はスタート決まらず4、5番手発進。外枠では金子がまずまずのスタート。
有吉の逃げでレースは展開される。これに荒尾と木村武が追走していくが、青山がまずは木村をパスして3番手に付ける。ここからの攻めは早かった。2番手を走る荒尾のインに車を向けると、そのまま先頭の有吉まで交わしてしまう。ここで青山が一気に先頭に立つ。今度は青山の逃げになる。中盤はソコソコのペースで走っているが、終盤は車速が乗らなくなる。後ろに付けているのは有吉。そして、7周2コーナー。青山がコースを外してしまい、有吉がイン、荒尾が外から襲いかかる。これに対し、青山は冷静に対処。その後は最終回バックストレッチで荒尾が青山のインを狙うが、青山が必殺の抑え込み。ゴール前で再び荒尾が伸びてくるが、青山が僅差で振り切った。3着には後半に巻き返してきた木村が入った。
このレースでは青山の執念が感じられた。トップスタートを切れなかったのはまさかの展開だったが、その後の追い込みは凄かった。特別GIで2車駆りはなかなか見られない。走路状況が不安定だった事もあるが、勝負どころでは迷わず車を押し進めていける。1回コースを外した後も、絶対抜かせない意志が伝わるような走りで封じ込んでいた。最後のバックストレッチでは小さいコース取りながら、スピードに乗って回れていた。スタート力もスピードも超一流であるのは間違いないが、勝負根性は超一流の更に上に行くのではないかと思わせる一戦だった。
有吉辰也が猛烈ダッシュから押し切りゴール!
川口オートで行われていた第69回GI開設記念グランプリレースは、飯塚の25期・有吉辰也が制した。スタート一気からの鮮やかな速攻。同タイトルを初めて制した。これでGIは14度目の戴冠となった。
試走タイムは鈴木圭一郎が一番時計の25。若井友和と中村雅人が26、早川清太郎と青山周平が27、有吉が29、佐藤摩弥が30、黒川京介が31で一番悪かった。
10Mオープンで大事なスタート争いは、最内の黒川が先行するかに見えたが2枠の有吉が抑え込んで先制。これに3枠の佐藤摩が乗って行く。4枠の若井と5枠の早川は枠なり。6枠の中村は、ややへこんで最後方からのレースになり、青山は鈴木圭に先行する事ができた。
レース展開はトップスタートの有吉がマイペースの逃げに入る。2番手に付けていた佐藤摩を若井が交わしていく。ここからは有吉と若井の一騎打ち。後ろでは佐藤摩が3番手で踏ん張っていた。その後ろでは鈴木圭に先行した青山が慌てず、レースの動向をうかがって走っていた。チャンスどころでは番手を上げ、ついには佐藤摩をも交わして3番手に立つ。若井は有吉のインに入る姿勢も見せたが、突っ込みで有吉が伸び返してコーナーに先に入っていく。そして、最後まで先頭を譲る事なくゴール。見事に先行逃げ切りを果たしてみせた。2着には若井。3着には道中で番手を上げていった青山が入った。ちなみに、展開に恵まれなった鈴木圭は凡走。中村は故障で途中リタイアとなった。
コースを守る事に終始したかに見える有吉の逃走。しかし、上がりタイムを見ると3.343。ハイペースの流れだったのは間違いない。若井は強めに追えていたし、青山も車群を交わして行けていたが、他の選手は有吉を追う事はできなかった。しっかりとスピードに乗って逃げていた事の証明だ。それにしても、この優勝戦の走りは有吉の真骨頂とも言えるレースだった。小さいコース取りでインを抑えつつ、スピードも上げていく。更にはインから差しを狙ってくる選手に対し、柔軟に対処。過去に大怪我をして、戦力が衰えかけた時もあったが、近年ではGIIやGIで優勝するシーンが戻ってきた。絶頂期の動きが戻ってきた。次は最高峰のSGの舞台で完全復活する姿をぜひ見たい。
荒尾聡がSG全日本選抜を初制覇!
天候に恵まれたSG全日本選抜オートレース。優勝戦も良走路で行われ、試走タイムは鈴木圭一郎がトップの26、次いで青山周平と伊藤信夫が28。荒尾聡、佐々木啓、若井友和が30。木村武之と中村雅人が31だった。
0Mオープンでのスタート争いは、2枠から青山が飛び出した。ここに4枠の伊藤信が続いて行く。最内の鈴木圭は、なんとか3番手で踏ん張り、4番手以降は木村武、荒尾、佐々木、中村雅、若井と出て行った。
まずは逃げに入った青山だが、ペースが上がらない。ピタリとマークしていた伊藤信が仕掛けどころを探っていく。その後ろでは荒尾が鈴木圭と木村武をまとめ差しして3番手に付ける。そのままの態勢でしばらく周回を重ねた。決め手を欠く伊藤信に、荒尾も行き場がなく苦しんでいた。しかし、6周目に入るホームストレッチで動きがあった。3番手を走っていた荒尾が、伊藤信と青山をまとめ差し。これが綺麗に決まり、先頭に踊り出た。結果的にそのまま荒尾が押し切り優勝を手に入れた。2着には後半に巻き返してきた鈴木圭が入線。3着は伊藤信に競り勝った青山が入った。
今日の荒尾は強かった。試走タイムは30で、いい方ではなかったし、スタート争いでも有利な位置には付けられなかった。しかし、チャンスどころをしっかりとモノにした。まずは序盤。鈴木圭と木村武をまとめ差し。あの場面で行き切れてなかったら、勝負圏内に浮上できていなかったかもしれない。そして、3番手を走っている時も落ち着いていた。やり合う前の2車の様子をじっくりとうかがいながら待っていた。伊藤信が青山に対し車を外に振った一瞬を見逃さなかった。ここしかないというタイミングでインに突っ込み首位浮上。見事なレース運びだった。今の荒尾はかつての速攻一本の走りだけではない。レース道中でも十分勝負でき、戦略の幅が広がった。青山と鈴木圭の2強時代に割って入れる走力を示した。
高橋貢が大会三連覇を達成!
伊勢崎オートで行われていたGIIレジェンドカップは、地元の22期・高橋貢が優勝して幕を閉じた。高橋貢はこの大会2連覇中だったが、今年も優勝を決めてみせた。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは高橋貢が26で一番時計。松尾啓史と木村武之が27、永井大介と伊藤信夫が28、久門徹が30、浜野淳が31、岩沼靖郎が32だった。
スタート争いだが、まずは0ハン単騎の岩沼はしっかりと残していく。10線からは浜野のダッシュが決まらず、3枠の久門が先行。これに松尾が乗っていく。木村も外枠に行かれることなく発進。そこに高橋貢と伊藤信が続き、永井は最後方からのレースになってしまった。
逃げる岩沼はペースが上がらず、久門を突破した松尾が岩沼を交わして先頭を奪取。試走タイムが出ていた松尾はペースを上げて逃げに入る。そこへ、久門と岩沼をまとめ差しした高橋貢が浮上してくる。周回を半分以上残して一対一の形になった。ここからは高橋貢が松尾との差を徐々に詰め、交わす射程に入ると迷う事なくインに突っ込み首位浮上。そのまま押し切ってみせた。2着は松尾。3着は木村の攻めを抑え込んだ久門が入線した。
やはり高橋貢は強かった。試走タイムは一番時計。これまでも記念レースの優勝戦に乗ると、一番時計を出すケースが多かった。今回も地元走路できっちりとエンジンを仕上げてきた。そしてレース。スタートが特別決まった訳でもないが、レース運びはさすが絶対王者と思わせるモノを感じさせた。周りの様子を見る場面では落ち着いて観察し、勝負所では一気に攻める。今回は岩沼と久門をまとめて差す場面がそこだった。そして一対一。慌てる事なく車間を詰め、イケると思ったら仕掛けにかかる。この判断を誤ると勝てるレースも勝てなくなってしまう。しかし、高橋貢はその辺を熟知している。だからこそ記念レースで勝ち続けていけるのだろう。
高橋貢が存在感を再確認させた!
最終日は第1Rから重走路で競争が行われていたが、徐々に走路が乾き出し、優勝戦は良走路にまで回復した。試走タイムは高橋貢が一番時計で25。次いで荒尾聡と鈴木圭一郎が26、佐々木啓が27、平田雅崇が30、吉原恭佑が31、加賀谷建明が32、中尾貴志が36だった。
10Mオープンでのスタート争いは、鈴木圭がまさかのフライング。再発走となった。2度目のスタートは3枠の平田が先行。ここに佐々木啓が乗っていく。続いて高橋貢。フライングを切った鈴木圭だが、2度目のスタートでも悪くない発進を決め、荒尾は好位を奪えなかった。
レースは平田が逃げる展開。佐々木がピタリとマークして仕掛けどころを探している。しかし、交わすまでは行かず、逆に高橋貢が佐々木をパス。平田と一対一の態勢に持ち込む。その後は冷静に平田を捌き、そのままゴール。2着には平田が残った。3着には道中で鈴木圭を逆転した荒尾が浮上した。
高橋貢はさすがの走りだった。まず試走から一番時計をマーク。整備力の高さを改めて知らしめた。本番でもスタートで3番手発進。試走一番時計の機力を考えれば十分な序盤の位置取り。その後も落ち着いたものだった。記念レースは昨年のGIIレジェンドカップ以来の制覇。GIで言えば28回目の優勝となった。絶対王者はまだまだ健在。多少、衰えを感じさせる時期があってもそれは短期間。何度でも巻き返す。何度でも復活する。オートレースは盛り上がる。