
長田恭徳が記念レース初制覇!
山陽オートで行われていたGI第1回令和グランドチャンピオンカップは、地元の32期・長田恭徳が優勝を決めた。自身2度目の優勝は、嬉しいGIの大舞台。記念レースタイトルホルダーに名乗りを挙げた。
良走路で行われた優勝戦の試走タイムは、荒尾聡が31で一番時計。次いで、滝下隼平と田中茂、佐々木啓が32。有吉辰也が33、長田恭徳が34、青木隆浩と田中正樹が36だった。
レース展開だが、まずは0ハン単騎の青木はスタートを残した。10線からは長田がトップスタート。これに田中正、有吉が続いていく。大外の荒尾は5番手発進となった。
序盤からペースを上げたかった青木は、1周目で長田に捕まってしまう。有吉が素早く2番手に立ち、荒尾も3番手の位置に早々と付けた。ここからは長田がどこまでスピードに乗れるかが焦点になったが、2番手を走る有吉に対し常にセーフティリードを保つことができた。最終的にはこのままゴールし、長田が優勝。2、3着には有吉と荒尾が入った。
これまでの長田はGIIで2度の優出はあったが、GIは初めての優出だった。それにも関わらず初優出初優勝の快挙を達成してしまった。しかし、これはまぐれでもなんでもない。このところの長田の走りを見ると、一枚も二枚も成長の壁をぶち破り、強豪相手でも臆することなく思い切りのよい走りができていた。32期生と言うと、鈴木圭一郎に話題が集まりがちだが、ここにも注目すべき選手が現れた。これからの活躍に期待したい。
鈴木圭一郎がゴールデン2度目のタイトル奪取!
最終日は重走路で始まった第64回GI開場記念ゴールデンレースは、優勝戦では急激に走路が乾いて、競争タイムも凄まじい数字が出た。優勝は地元浜松の32期・鈴木圭一郎。2016年以来の同大会2度目の制覇となった。
試走の時は走路がまだ不安定でタイムもまばら。一番時計は青山周平の44、次いで鈴木圭が46、松山茂靖と中村友和が48、渡辺篤が51、柴田健治と早船歩が52、古木賢が最も悪くて56だった。
そこから急激に走路が乾いていったが、それでもスジ状に濡れている所があり、完全な良走路とは言えない状態。競争タイムは良走路の数字だが、公式発表はブチ走路だった。
まずはスタート。0ハンは柴田が飛び出し早船が乗っていく形。古木は後手を踏む。10線は鈴木圭が好ダッシュを決めていく。青山もそれに続いていき、好位置に付けていった。
いきなり先頭に立った柴田だが、ペースを上げる前に強力な車がやってくる。鈴木圭だ。鈴木圭は1周目のバックで一気に車を伸ばし、2周目に入る頃には柴田のインに突っ込み先頭を奪取。それから間を空けずに青山も2番手に立つ。あとは青山がどこまで鈴木圭を追えるかが焦点だったが、最終的に差を詰める事ができずゴールイン。3着には柴田を交わした松山が入線した。
今回は鈴木圭が地元の意地を見せる事ができた。今のオートレース界は青山と鈴木圭の2強状態。この両者が出場する記念レースは、どちらかが少しでもエンジンの仕上がりが良い方が勝つ。それか同等なら内枠に置かれた方が勝利を掴み取る。その流れは当分続きそうだが、時折りここに割って入る選手が現れる事もある。強豪の復調なのか、更なる若手の台頭なのか。一つ一つのレースの内容だけではなく、そういった見方でもまたオートレースを楽しめそうだ。
青山周平が全国ランク1位の威厳を示した!
伊勢崎オートで行われていたGII稲妻賞は、全国ランク1位の青山周平が昨年に続き連覇を達成した。
試走タイムは青山周平と高橋貢が一番時計で30、次いで大木光が31、西原智明が33、吉原恭佑が34、仲田恵一朗と鈴木清が36、鈴木清市が39だった。
スタート争いはまず、0ハン単騎の鈴木清市は残し、10線の仲田も残す。20線は最内から西原が飛び出し、鈴木清が乗って行く。ここに大外から青山がダッシュを決める。高橋貢もまずまずの位置に付けた。
レース展開は、ペース上がらない鈴木清市をあっさりと仲田が交わしていく。その仲田に西原が付けて回り、捲りを仕掛けたところで青山がインからまとめ差し。青山は早めに先頭に立ち、そこからは一人旅。グングンとペースを上げていき、そのまま逃げ切った。今回は2周目に波乱があった。試走一番時計タイの高橋貢がまさかの落車。2着には展開を活かした西原が入線。3着にも位置が良かった仲田が入った。
青山はこれでこの大会2度目の制覇。近年は総合戦力が増しているような印象がある。以前は攻めに焦って反則を犯したり、先頭に立ってからもペースが上がらず、コースを抑える走りになったりしていたが、それらの不安点を全て克服している。スタート、捌き、判断力、重走路、スピードと多くの点でレベルがアップしている。エンジンがよほど崩れない限りは、このまま全てのタイトルを制覇してしまうのでは、と思わせる強さを感じさせられる。
荒尾聡が強烈な走りで、その存在感をアピール!
第39回SGオールスターオートレースは、5日間のシリーズで最後まで好天に恵まれた。ファンの思いを乗せた優勝戦は地元の27期・荒尾聡が制した。荒尾は昨年に続き、この大会を連覇。地元の意地と執念を見せた。
試走タイムは荒尾聡と青山周平が27で一番時計。次いで、鈴木圭一郎、浦田信輔、金子が28。篠原睦、佐藤摩弥、中村雅人が29で、あまり差のない数字。近年のSG優勝戦では珍しいのではないか。
0Mオープンで肝心のスタート争いは、5枠から佐藤摩が飛び出す。これに2枠から鈴木圭が続く。以下は篠原、浦田、荒尾が続いていき、青山は苦しいレース展開になった。
その後は佐藤摩がペースを上げにかかるが、すばやく2番手に立った篠原がイン突っ込む。今度は篠原が逃げ態勢に入るが、そこまでペースは上がらない。この時、荒尾が2番手に浮上。鈴木圭は序盤で態勢を崩し、後方に下がってしまった。荒尾は篠原と一対一に持ち込むと、タイミングを見計らってイン突っ込む。きっちり交わすと、今度は荒尾が逃げに入った。この時、序盤で苦しい位置にいた青山が猛烈な追い込みを見せ、2番手まで浮上。しかし、荒尾は遥か前方にいたし、そこから差を詰めることはできなかった。荒尾が後続を引き離して栄光のゴールを迎えた。
荒尾はSGオールスターを連覇。2007年に初めてこのタイトルを制してから3度目のオールスター優勝。他のSGタイトルは2017年にスーパースターを制しているだけなので、4度のSG優勝の内、3度はこのタイトル。ファンの投票によって選出されるこの大会に、特別な思いがあるのだろう。しかし、荒尾の底力には感服させられる。以前はスタート力は全国屈指だが、独走時のスピードに不安がある感じだったが、今ではスタートはそこまででもなくても、道中の車速の乗りが良くなっている。スピード力が増している。これはSGなどの大舞台では大きな戦力。SG優勝回数も更に増えていくことだろう。
青山周平がプレミアムカップ初戴冠!
3月22日に飯塚オートで行われた特別GIプレミアムカップは、伊勢崎の31期・青山周平が制した。青山はこのシリーズで初めて優勝し、着実に記念タイトルを増やしていっている。
天候に恵まれた今回は、優勝戦も良走路で行われた。試走タイムは高橋貢が一番時計で27、次いで鈴木圭一郎が28、永井大介と青山が29、荒尾聡と中村雅人が30、若井友和と丹村飛竜が31だった。
0Mオープン戦の大事なスタート争いは、3枠の青山が先行。これに6枠から丹村が続いていく。荒尾が3番手の位置に潜り込んでいく。鈴木圭も好ダッシュを見せ、外のコースに付ける。
青山は逃げ態勢。2番手発進の丹村ではあったが、荒尾がインから交わしていく。しかし、その荒尾は2周1コーナーで鈴木圭に捲られてしまう。ここからは逃げる青山と追う鈴木圭で一騎打ち。いや、3番手に付けていた荒尾も隙を窺い、チャンスを待っていたので三つ巴の様相。
コーナーを小さく回りながらも、スピードに乗せて立ち上がっていくいつもの青山の走法。これに対し鈴木圭は捲り一本の仕掛けで時折り、前輪が青山の車の前にも出る事はあった。しかし、青山が終始、巧妙な走りに徹し、最後までスタイルを崩すことはなかった。ゴール前では外から鈴木圭が迫ってみせたが、結果的には青山が僅かに先着。執念の走りが実を結んだ。
この時期の8周戦で最初から逃げて上がり388なので、決して速いタイムではない。しかし、青山には大きな武器がある。独走でのペースアップではなくて、後続に抜かせない走り。スタートからゴールまでこのコースを通り続けるのは、さぞかし疲れる事だろう。それでも勝利を手にするために、強い精神力を維持して走り切る。車の操縦テクニックだけでなく、乗り手の内面にも成長が見られた一戦であった。