中村杏亮が初Vを記念で達成!
山陽オートで行われていたGII若獅子杯争奪戦は、飯塚の33期・中村杏亮が制した。デビュー初Vが記念となり、喜びもひとしおだ。
準決勝は重走路での競争だったが、優勝戦は良走路だった。試走は田村治郎が31、鈴木宏和と渡辺篤と吉原恭佑が32。平田雅崇が33、黒川京介が34、中村と小林瑞季が35だった。
0ハンのスタートは内枠から中村が先行。黒川も遅れずに付いていく。30線は小林が飛び出したが、鈴木がすぐさま交わして行く。他は枠なりの発進。
まずは中村がペースを上げていく。黒川との同期争いがレース序盤の焦点だったが、黒川は中村のペースに付いて行けなくなる。 30線から主導権を取った鈴木がジワリと差を詰めていく。やがて黒川の後ろに付けるとインからパス。マーク追走していた小林も離されずに続いていく。
この時、残り周回がけっこうあったので、鈴木が中村を捕らえるのは時間の問題かと思われた。しかし、直線で詰め寄る鈴木に対し、中村はコーナースピードを上げ、仕掛ける態勢を作らせない。それが結局ゴールまで続き、中村が見事に逃げ切ってみせた。
上がりタイムは3.395。自身のベストを大幅に更新してみせた。この数字を出されては追い込む方は酷だ。3着には最後方から猛追を見せた吉原が食い込んだ。平田と渡辺は序盤から見せ場を作ることができなかった。
これでまたオート界にスター候補が誕生した。同期の中では、黒川などの川口勢の活躍に隠れる形になっていたが、元々の素質は高く評価されていた。それが今回、爆発した。後ろから1級車が追ってきても自分の走りを保てたのは大きな収穫。オート界を盛り上げるべく、これからも着実に成長していってもらいたい。
鈴木圭一郎がSG全日本選抜3連覇を達成!
浜松で行われていたSG第32回全日本選抜オートレースは、地元の32期・鈴木圭一郎が制した。これでこの大会3連覇、更に初日からオール1着の完全優勝となった。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは鈴木圭が29でトップ。次いで木村武之が30。中村雅人、佐藤貴也、伊藤信夫が32。加賀谷建明、篠原睦、金子大輔が34と、やや数字を落とした。
肝心のスタート争いは6枠から木村が好ダッシュを決めるも、1コーナーでは鈴木圭が先に回り先頭に立つ。そこからは一人旅だった。2番手にいた佐藤貴と木村が競り合う形。これによって鈴木圭は、より楽にリードを作れていた。その後も鈴木圭はハイペースの独走で、結果的に上がりタイム3・355をたたき出し快勝。一番人気に見事、応えてみせた。
2番手争いは佐藤貴が木村に競り勝ち2着ゴール。3着には最後方からのレースになった金子が、ジワリジワリと追い上げて入線。中村や篠原は道中で伸びを欠き、4日目までエンジン仕上がっていた加賀谷はスタート行き切れず見せ場を作れなかった。
これで鈴木圭はSG7V。デビューして5年チョイでこの実績は半端ではない。当時とは時代背景が違うので単純比較はできないが、現在SG21Vの高橋貢でさえ、デビュー5年目はまだSG優勝の経験すらなかった。鈴木圭は若い上に、4期連続で全国ランク1位の実力。これからどこまでタイトルを積み上げていくのか。どこまで快進撃を続けていくのか。興味は尽きない。
木村武之がプレミアムカップで完全優勝達成!
飯塚で行われていた特別GIプレミアムカップは、浜松の木村武之が制し、2015年以来2度目の制覇となった。最内からスタートを決めると、インコースを最後まで守り切ってのゴール。見事な走りを見せ付けた。
試走タイムは各車、30~33でそれほど差のない状況だった。0オープンの肝心のスタートは、2枠から鈴木圭一郎が好ダッシュを決めたが、最内から木村が突っ張って先行。2番手は鈴木圭が確保。3番手には永井大介が付ける形。3枠の青山周平は、ややへこむ形になった。外枠勢では6枠の中村雅人がマズマズの位置に付けた。
そこからはレース中盤まで木村と鈴木圭のマッチレース。インコースを丁寧に走る木村は明らかにペースが上がっていなかった。2番手に付けた鈴木圭はインを狙ったり、外から揺さぶりをかけたが木村は動じない。やがて3番手に付けていた永井が、鈴木圭の隙を突いて2番手に浮上する。ここからは粘る木村に対し永井が攻勢に出る。車間を図りながら永井は仕掛けるタイミングを狙うが、最後までそれは訪れなかった。
上がりタイムは3・402。記念レースの優勝戦で8周回のタイムにしては速くない数字。それだけ木村のエンジンは仕上がってる状態ではなかった。しかし、そのエンジンで勝ち切るには走りの方で工夫をするしかない。木村が取った戦法は、とにかくインからは抜かせない走り。外に競りかけてこられたら多少強引にでも突っ張る姿勢を見せた。インもアウトもどちらからも抜かせない執念の走り。これが実を結び、最終的には栄冠を掴んだ。
ここ10数年の記念の優勝戦は、スタート飛び出した選手が後続を引き離してブッチ切るスタイルが流行っていた。しかし、それはエンジンに確かな手応えを感じて初めてできる戦略。若手から中堅の域に達してきた木村は、走法の幅が広がっている。現状で勝ち切る戦略的な頭脳を持っている。デビューしてから常にトップで走り続けてきた木村は、今でも進化が止まらない。
3節連続完全優勝を狙った鈴木圭は残念な結果に終わった。レース前半はエンジン強めに見えたが、木村の好走の前になす術がなかった。鈴木圭の勢いが止まらず、一強時代に突入したかに思えたオートレース界だが、今回はこの競技の奥深さが垣間見えた気がする。誰もが簡単に予想できるようなレースなどない。だからこそオートレースの魅力は尽きないのか。
鈴木圭一郎が連続完全優勝を決める!
伊勢崎で行われていたナイターGII稲妻賞は、浜松の鈴木圭一郎が初日から負けなしの完全優勝で幕を閉じた。鈴木圭は前節の地元ではスーパーハンデからのレースで完全優勝。これで連勝を9に延ばし、もはや敵なしの状態になった。
今回の優勝戦では試走から鈴木圭が他を圧倒していた。鈴木圭が28、次いで、高橋貢と早川清太郎が31、浅香潤が32、森谷隼人が33、高宗良次が34、渋沢憲司が35、新井淳が大きく数字を落として38だった。
レースは高宗のフライングで再発走となった。2回目のスタートでは0ハンから新井淳が先行し、10線は高橋貢が飛び出す。新井がインコースを抑え、浅香は攻略に手間取る。その間に高橋が渋沢と浅香をパス。新井と一対一の形に持ち込んで、あっさりと交わす。ここからは高橋貢がリードを作っていく。
当ブログの本命、鈴木圭はスタートで内枠勢を包むことができず8番手発進。いい展開を作ることができなかった。ただ、そこからの攻めは慎重でありながら的確だった。慌てず騒がす捌いていく。まず森谷を、そして高宗を。ゆっくりとだが、着実に番手を上げていき、残り2周の頃には2番手に立った。先頭を走る高橋貢との差はマアマアあった。ここから追い込みが届くのかどうかは、微妙なところではあった。しかし、徐々に差を詰め、最終周のバックストレッチで高橋貢のインに切れ込む。最後のコーナーもしっかり回って1着ゴール。ただただ強さを見せつけた。
レース後の本人のコメントで、スタートは行けなかったけど、いつもより2周増えるので落ち着いて行こうと、というような発言から鑑みるに、本人が望むような展開にならなくても冷静に対処できている姿が窺える。エンジン状態に関わらず、これからも結果を残し続けていきそう。
準優勝だった高橋貢は悔しかっただろう。10線からトップスタートを決め、絶好の展開に持ち込めたのだから。ただ、高橋貢の強さは何かと考えるときに、それは逆境に置かれた時の精神力の強さにあると思う。これまでも勝てそうなレースで負けると、厳しい言葉が浴びせられていたが、ことごとくそれらを跳ね返してきた。今回のレースもそれを踏まえ、再び進化を遂げそうな予感がある。前にも述べたが、いろいろな魅力ある個性の選手がいて、オートレースの魅力は高まる。これからのオート界の勢力図がどのように変化していくのか。これもオートファンにとっての楽しみの一つである。
重富大輔が嬉しいGI初優勝!
GI第61回ダイヤモンドレースの最終日は、第5Rの試走の後から雨が降り出し、優勝戦は重走路での競争になった。試走の気配が良かったのは丹村飛竜と中村雅人。2人とも試走で前の選手との差をグッと詰めていた。
その見た目のとおり、試走一番時計は中村の65。次いで丹村が66。中尾貴志と久門徹が67、浦田信輔が69、重富大輔と吉原恭佑が70、池田政和が大きく落として74だった。この日の重走路は、レース序盤の2~3周で態勢が決まると、その後の変動が少ない競争が多かったが、果たして優勝戦は。
優勝戦も、ほぼ走るコースは一本道だった。スタートで先行した重富が最後までインコースを走り上げ、1着でゴール。2番手に付けていた中尾が仕掛ける姿勢を見せたが、それを見事に抑えた。次は中尾を交わした丹村が重富に襲いかかる。これにも冷静に、自分のコースを守る走りで付け入る隙を与えなかった。中尾が2番手に再浮上したが、これもインからは抜かせない走りで先頭を守り通した。周回ごとに走るコースは小さくなっていったが、これがまさに功を奏した形。
重富は今回でGI初制覇。デビュー時から高いセンスを見せつけ順調に成長していったが、何年目かに大きな壁にぶち当たる。周りの選手からも高い潜在能力を認められながら、ある一定の走力から上には行けないでいた。それでも挫けることなく、諦めることなく真摯にオートレースと向き合っていった。それが今回、大輪の花を咲かせた要因。スピードに関しては全国区、雨走路も得意、スタートが今回の優勝戦のように常に切れれば、もう一つ上の舞台でも通用するだろう。