荒尾聡が約10年ぶりにSG制覇!
前日の天気予報を覆し、最終日は6Rあたりのひと雨で、一時は重走路になった。そこから優勝戦までの時間に少しずつ走路が乾き始め、レースはブチ走路での競争になった。
試走でハプニングがあった。5号車の金子大輔がうまく回れず、結果的には車体不良で欠車。レースは7車での争いになった。試走タイムは鈴木圭一郎が一番時計の3・43。次いで、早川清太郎が3・46。青山周平が3・47、浦田信輔が3・50、佐藤貴也が3・51、荒尾聡が3・52、永井大介が3・53。
スタートは2号車の青山が飛び出す。これに3号車の鈴木が乗って行く。荒尾がインでこらえて3番手に付ける。早川と永井もマズマズの位置を取る。佐藤は、やや凹んでしまい、浦田は8枠からでは厳しく7番手発進。
レースは青山の逃げで始まる。その外に鈴木が付け、インには荒尾が追走していた。コースを外さずマイペースで青山が走り、鈴木も荒尾も仕掛けどころを探っていた。残り3周を切ったあたりだろうか、先に動いたのは鈴木。青山を捲ろうと外のコースを全速で開けていく。その時動いたのは荒尾。青山のインに強烈に叩き込んでいく。強引気味な差しで、コーナー回れず膨らむかと思いきや、綺麗に回って立ち上がっていく。その後はキッチリとインを回ってゴール。
これが荒尾にとって2度目のSG優勝。実に10年ぶりの栄冠となった。これまでSGの優勝戦には何度も乗っていた。優勝まであと一歩のレースも多かった。そして今回、見事に優勝をその手に掴んだ。本人のポテンシャルを考えれば、まだまだSGの優勝回数を重ねていける。鈴木圭や青山など若手の台頭が著しいオート界の昨今だが、この優勝を機に、再び荒尾が存在感を増していきそう。
早川清太郎がシルクカップ連覇を達成!
最近のオートレースは試走も競走も好タイムがよく出ているが、シルクカップの優勝戦でも驚異的な試走タイムが出た。8号車の松尾啓史が3・23をマーク。他の7車も全て3・2秒台で、スピードレースを予感させる試走タイムだった。
レースは2枠の木村武之が先行。これに早川が離されずに付いていく。4枠の荒尾聡は少しへこみ、5枠の青山周平が3番手に付ける。早川が序盤で木村を差し、先頭に躍り出る。やられた木村は逆転を狙うべく、早川に再三イン差しを試みる。その後ろでは、前2車の様子を窺いながら青山が3番手をキープ。4番手には好試走を出した松尾が浮上してくる。
早川は木村の攻めをこらえて1着ゴール。後半タレてきた木村を青山が交わし伊勢崎ワンツー決着となった。4番手まで上がってきた松尾は仕掛けどころがなく、4着のまま。好位を奪えなかった佐藤裕二、佐藤貴也、岩見貴史、スタート失敗した荒尾らは厳しいレース展開になってしまった。
これで早川はシルクカップを連覇。今年の地元GIを全て優勝し、地元での強さを改めて証明した。今回の勝因はスタートだろう。いつもは安定して切れるわけではない早川だが、大事な場面では集中力をマックスまで高めることができる。今回の準決でも厳しい枠から好ダッシュを見せた。優勝戦でも、トップスタートとは行かないまでも、勝負圏内に入れる飛び出しを決めた。道中のレース運びは定評ある早川なので、序盤の展開作りさえうまく行けば自ずと結果が付いてくる。地元での強さは十分知らしめる事ができた。今度は遠征先でも同様の走りっぷりに期待したい。
鈴木圭一郎が圧勝で完全Vを達成!
優勝戦の日の第1レースは、走路の一部がほんの少し濡れている状態だったが、徐々に乾き出し、優勝戦までには良走路になった。
試走タイム一番は1号車の浅香潤で3・28。次いで、鈴木圭一郎が30。越智尚寿、岩田裕臣、藤岡一樹、大木光、荒尾聡が31。有吉辰也が32でワーストだった。
10Mオープン戦のスタートは、3枠から岩田が飛び出した。これに有吉が乗って出るが、鈴木圭がすんなりパス。その後は鈴木圭が岩田を外から捲って行くと、後続を引き離す一方の独壇場。有吉は岩田を差し2番手奪取。荒尾や藤岡は序盤で好位を取れず後方のまま。試走タイム出た浅香は、スタート行けず見せ場を作れなかった。
それにしても鈴木圭は強かった。試走タイムは30で、正直物足りない感はあったが、結果的にはスタート一撃から速攻。持ち味のスピードをこれでもかと見せつけ、上がりタイムは脅威の3・336。更に今回の勝利でGI全場制覇も達成。記録を塗り替え続ける若手スターは、もうひとつ勲章を手にした。意外にもGIIでの優勝はまだないが、この強さならこれからいくらでも付いてくるだろう。レースを、オート界を盛り上げ続ける鈴木圭に、これからも目が離せない。
鈴木圭一郎が選手権連覇を達成!
第49回SG日本選手権は地元の鈴木圭一郎が圧巻の走りで連覇を達成した。2日目の2着以外は全て1着と、ほぼ完全優勝と言ってもいいレース内容。現況の勢いがそのままレース結果に表れたかたちだ。
試走は一番時計タイの27。1枠の木村武之も同様のタイム。次いで、金子大輔が28。29が藤岡一樹、佐藤貴也、山田達也、中村雅人。有吉辰也が32と、やや数字を落とした。
スタートは2枠から鈴木が飛び出す。最内から木村も離されずに続く。佐藤と藤岡が3番手争い。外枠勢は好位を奪えず後方からのレース。前半4周までは鈴木の逃げに木村がピタリとマークし、仕掛けるタイミングをうかがっていたが、5周目あたりから徐々に間隔が開きつつあった。6周目以降は、抜く態勢を作るどころか差を広げないよう走るのが一杯だった木村。更に離れて3番手で粘る藤岡に対し、金子も攻撃の手立てを失っていた。5周目以降、木村を引き離して逃げる鈴木がそのまま1着ゴール。上がりタイムは今節最高の3・335だった。まさに文句のつけようのない勝利。
それにしても、今回は鈴木の強さを見せ付けるシリーズだった。5日間の試走は27か28のみ。エンジンは連日仕上がっていた。上がりタイムも2着に敗れた2日目が3・381。初日は3・368。3日目以降は3・34を切る素晴らしい数字を立て続けにマーク。スピード面は今、間違いなく日本一。スタートに関しても7枠から先行した準決、2枠からシッカリと決めた優勝戦を見る限り日本一。捌くレースが少なかったので分かりにくいが、捌きに関しても日本一クラス。すでにSG5Vだが、デビュー5年目の若手は、まだまだ成長の伸びシロが大きい。これからどのような選手になっていくのか。オート界の勢力図が大きく変わっていくのは間違いない。
浅田真吾が嬉しい記念初優勝!
浜松のGIIウィナーズカップは、0ハンの浅田真吾がブッチ切りで快勝した。これまで5度優勝の経験がある浅田だが、記念タイトルとは無縁で、これが初めての記念制覇となった。
前日の天気予報通り、優勝戦の日は雨となった。走路もきれいに濡れており、完全な重走路だった。
好スタートを決めた浅田は、1周3コーナーから2周1コーナーにかけて、青木治親にインを狙われたが、更にそのインに入ろうとした西村龍太郎の攻めに青木がブレて失速。浅田が外から伸び返し、再び先頭を奪取した。その後はインコースをなぞるように丁寧に走り、青木を徐々に引き離していく。ゴールを迎えた時には大きなリードができていた。ずっと3番手で粘っていた五所淳だが、7周2コーナーの立ち上がりでややコースを外し、すぐ後ろにいた若井友和にインをすくわれてしまう。
浅田は選手生活17年目にしてタイトルホルダーになった。デビューしたての2級車の頃は、スタートが早くスピードもそれなりにあり将来を渇望された。1級車に乗ってからも着実に力を付けていたが、大舞台では結果を出せずにいた。ハンデ的にも最重ハンと、その10前を行ったり来たりの状態だった。しかし、その状態が今回は有利な方向に働いた。今の浜松で重走路の有利なコースはイン。そこを先取りできるハンデ構成は大きな味方になった。もちろん、それを生かした走りをシッカリこなした浅田は見事の一言。これを期に更なるレベルUPにつながる事を願う。