永井大介が圧巻の走りで制す!
川口の第66回GI開設記念グランプリレースは、地元の25期・永井大介がスタート先行から悠々と逃げ切りV。永井はこの大会2004年以来となる2度目の優勝を達成した。
試走一番時計は大木光と佐藤貴也の27。次いで永井が28、若井友和が29、中村雅人と山田達也が30、森谷隼人が31、松本やすしが大きく落として34だった。
レースは1回目のスタートで森谷がフライング。再発走となった。最初のスタートでもタイミングは良かった永井は、2度目でもジャストのクラッチミートを見せる。2枠から先行すると、まずは逃げ態勢を整えた。2番手には佐藤が付けていたが、3番手にいた大木の差しをくらってしまう。4周目までは、2番手で佐藤と大木がやりあう展開になり、最終的には佐藤が大木に競り勝つわけだが、その間に大きなリードを広げたのは永井。最後は佐藤が多少、差を詰めてきたがトップでゴールを通過し見事に優勝。
2着には佐藤が入り、3着には7番手発進になった中村が、ジワジワと番手を上げて行き、道中で大木をパスして3番手入線。5番手以下は大きな動きがなく終了。
試走タイムやメンバー比較、好枠の魅力から一番人気に推された永井は、しっかりとその役目を果たした。流石は千両役者といったレース運びだった。近年は鈴木圭一郎の台頭により、SG戦線では結果を残せないでいた永井だが、ここにきて改めて存在の大きさを示せた形。エンジンとタイヤがマッチし、今回のようなスタートが切れれば、自身15度目となるSG優勝も夢ではない。中堅の域に入りつつある25期だが、まだまだオートレースを盛り上げるような強烈な走りに期待できる。
松尾啓史が劇的大逆転で記念レース連覇!
2月25日に行われた伊勢崎のGIIレジェンドカップは、山陽の26期・松尾啓史が制した。松尾は前走の浜松GI優勝に続き、記念レースで連続優勝。完全に好調の波に乗れている。
レースはまず0ハンの笠原三義が逃げ態勢に入る。10線の田方秀和は笠原を追うことができず、20線勢の標的にされてしまう。その20線でスタート行ったのは最内の谷津圭治に森且行の25期両者。大外の高橋貢も同ハンからは3番手発進と上々のスタートだった。笠原の逃げに対し、谷津や森は差を詰めることができない。序盤で好位を奪った高橋貢が4周回で笠原を捕え、独走態勢に持ち込む。残り4周を残し、高橋貢の勝利が決まったかにみえた。しかし、この高橋貢を追って行く車があった。それが松尾。2番手に立ってからは高橋貢を抜くタイミングを計っていた。最大のチャンスは青旗前の7周4コーナー。松尾はキッチリと抜く態勢を整え、高橋貢のインに車を向けたが入り切るまでは行かず、このままレースが終わるかに思えた。しかし、最後にドラマが待っていた。8周4コーナーでも高橋貢のインに車を向けると、ゴール手前でチョイ差しが決まり見事な大逆転が決まった。
このレースでも8番手からの競争となってしまった松尾。スタートを含めて序盤の動きには不安があり、長年それが解消しない状況が続いている。しかし、その弱点を補って余りあるレース後半の伸び。強烈な追い込みが松尾の最大の武器。今はエンジンも乗り手も絶好調で、周回が多いレースでは持ち味を最大限に発揮できている。今回のレースを見ても分かるように、松尾の走りはSG優勝戦の10周戦に向いている。もちろんレース序盤の動きが安定してくれば、チャンスは何倍も増してくる。そうでなくても今の状態を保てれば、もっと大きな栄冠がその手に近づいてくるだろう。今後の松尾が楽しみでならない。
松尾啓史が2度目のGI制覇!
浜松で行なわれていたGI第59回スピード王決定戦は、山陽26期・松尾啓史が強烈な追い込みで優勝した。松尾は2006年に地元のGIスピード王決定戦を制して以来、2度目の記念制覇となった。
走路が冷え込んだこともあり、各車が試走タイムから強烈な数値をマークしていた。優勝した松尾が一番時計の24。鈴木圭一郎が26。渡辺篤、伊藤信夫、青山周平が27。佐藤貴也が28。池田政和が29。桜井晴光が31だった。
レース展開は、まず0ハンの桜井が逃げに入る。10線はほぼ枠ナリ発進だが、池田が少しヘコみ、佐藤と松尾が好位に付ける。序盤から大きなコース取りでペースを上げていた桜井だが、ひと滑りした隙を渡辺につけ込まれる。すぐさま桜井は逆転の差しを狙うが入りきれず後退。今度は渡辺が先頭でペースを作り始めた。ここに伊藤がピタリと追走する。松尾は佐藤と桜井を交わし3番手まで浮上。逃げる渡辺に伊藤が重なる形で、松尾は攻略の糸口を見い出せないでいたが、2車の間隔が少し開くと、まずは伊藤のインに突っ込んだ。2番手に立った松尾は最終周回の3コーナーで渡辺のインに車を叩き込み先頭を奪取。そのままゴールを迎えた。一番人気だった鈴木圭は序盤で好位を奪えず、最後まで厳しいレース展開になってしまった。青山も同様に上位進出の機会がなかった。
松尾はこれまで記念はGIの1勝のみだった。SGでは3位に入ったり、記念レースで優勝戦まで進む機会は何度もあったが、優勝までは行けないことが多かった。本人も自覚しているように、スタートの安定感がないことが一番の要因。また、大事な場面でドドドが来てしまい、思うような走りができないことも多かった。しかし、今回はスタートでマズマズの位置に付けられたのに加え、ドドドも全くなかったようだ。条件さえ整えば、GIでもSGでもグレードを問わず活躍できる腕を持っている。記者の間でも、松尾の捌きには定評がある。中堅の域に入りつつある26期だが、まだまだ記念タイトルを積み重ねられる底力の持ち主だ。
金子大輔が若獅子杯争奪戦2度目の制覇!
山陽オートで行われていたGII若獅子杯争奪戦は浜松の29期、金子大輔が制した。前日の天気予報通り天候は崩れ、走路は重走路になった。
試走は新井恵匠が一番時計の3・50。次が青山周平の51。吉原恭佑と渡辺篤が52。金子が53。人見剛志が54。岩見貴史が55。佐藤貴也が57と数字を落とした。
肝心のスタートは6枠から青山がカマシ気味に出ていく。これを最内の佐藤が受け止める形になる。捲らせないように外に突っ張りに行ったところを、2枠の金子がインを突いて先頭を奪取。4枠の新井も状況判断巧く続いていく。渡辺と岩見はスタート悪くなかったが、やはり遠い枠からで厳しい位置取りになる。吉原は完全にへこんでしまった。
早々と逃げ態勢を作った金子。その直後に新井が付ける。3番手以下は大きく離される。金子はコースを外さず、ペースも落とすことなく綺麗な走りで逃げていく。新井は追走一杯というよりはエンジン的に強めな感じだった。道中で何度か仕掛けるタイミングを図っているかのような素振りを見せる。金子の方も、そんな新井の動向に気づいたのか、より丁寧な走りをしているように見えた。1度、2度はチャンスがあったかもしれない。しかし、仕掛けるまでには行かず、そのまま金子、新井の態勢でゴールを迎える。
3番手には吉原が入った。吉原は最後方からのレースを強いられたが、レース序盤、中団の混戦のインに鋭く切れ込み3番手に付ける。しかし、その前を走る新井とは大きく離されており、差を詰めるまでは行かなかった。4着は渡辺。渡辺も一回は後方に下がってしまったが、最後まで諦めぬ走りで巻き返してきた。青山と佐藤は道中で立て直しが効かず苦しい展開に。
今回の優勝戦で、改めて金子のクレバーさが目立った。スピードはあるが経験的には不足気味な選手が多い若手のシリーズで、金子は常に落ち着いて乗れていた。スタートやスピード、レース道中の強行などに、これと言って強烈な決め手があるわけではない金子だが、レース運びの巧さや冷静さでは全国でも屈指のレベルにある。その金子が自分の走りをしっかりと披露できたのだから、他の選手にとっては付け入る隙がなかっただろう。若手だけのシリーズではなくても、この金子の武器は大きな力を発揮する。現在SGは2Vの金子だが、これからもその数を増していくのは難しくない。
鈴木圭一郎が6度目のSG優勝!
前日の天気予報通り、優勝戦当日は雨になった。更に、優勝戦のちょっと前から雪が降り、選手からしたらレースしづらいコンディションになった。そんな厳しい状況でも力を発揮できたのが鈴木圭一郎。デビューから4年半でSG6Vは偉業と言えるのではないか。
試走は高橋貢がトップタイムの3.63。次いで金子大輔が66。鈴木圭一郎と新井恵匠が68。青山周平、荒尾聡、中村雅人、木村武之が70だった。
レースは鈴木圭がスタート先行。そのあとは後続との差を引き離す一方のブッチ切りゴール。まさに圧勝と言えるレース内容だった。勝因はなんといってもスタートだろう。トップで1コーナーに飛び込み、インを丁寧に走り上げ、更にペースをも上げて回っていた。元々、雨走路も苦手ではない鈴木圭だが、SGを取ったことによりその強さをより一層印象付けた。スタートが早く、スピードもあり、天候にも左右されない強さがある鈴木圭。これからどれだけSGを勝ち続けていくのだろう。
準優勝は荒尾。スタートで2番手に出て、直後に木村の強襲にあうが、これをこらえて番手キープ。鈴木圭には離されていったが、最後まで2番手を死守しゴール。昨年末のスーパースター王座決定戦優勝の勢いを維持していた。ここにきて乗り手がパワーアップしている感じだ。今後の記念レースにつながる走りになった。そして、3着には新井が入線。スタートこそ8番手発進になったが、大外のコースをブン回って着順を上げていく。道中では、抵抗にあっていた中村をインから抜き去り、大きな自信になったはず。今後が楽しみだ。