
木村武之がプレミアムカップで完全優勝達成!
飯塚で行われていた特別GIプレミアムカップは、浜松の木村武之が制し、2015年以来2度目の制覇となった。最内からスタートを決めると、インコースを最後まで守り切ってのゴール。見事な走りを見せ付けた。
試走タイムは各車、30~33でそれほど差のない状況だった。0オープンの肝心のスタートは、2枠から鈴木圭一郎が好ダッシュを決めたが、最内から木村が突っ張って先行。2番手は鈴木圭が確保。3番手には永井大介が付ける形。3枠の青山周平は、ややへこむ形になった。外枠勢では6枠の中村雅人がマズマズの位置に付けた。
そこからはレース中盤まで木村と鈴木圭のマッチレース。インコースを丁寧に走る木村は明らかにペースが上がっていなかった。2番手に付けた鈴木圭はインを狙ったり、外から揺さぶりをかけたが木村は動じない。やがて3番手に付けていた永井が、鈴木圭の隙を突いて2番手に浮上する。ここからは粘る木村に対し永井が攻勢に出る。車間を図りながら永井は仕掛けるタイミングを狙うが、最後までそれは訪れなかった。
上がりタイムは3・402。記念レースの優勝戦で8周回のタイムにしては速くない数字。それだけ木村のエンジンは仕上がってる状態ではなかった。しかし、そのエンジンで勝ち切るには走りの方で工夫をするしかない。木村が取った戦法は、とにかくインからは抜かせない走り。外に競りかけてこられたら多少強引にでも突っ張る姿勢を見せた。インもアウトもどちらからも抜かせない執念の走り。これが実を結び、最終的には栄冠を掴んだ。
ここ10数年の記念の優勝戦は、スタート飛び出した選手が後続を引き離してブッチ切るスタイルが流行っていた。しかし、それはエンジンに確かな手応えを感じて初めてできる戦略。若手から中堅の域に達してきた木村は、走法の幅が広がっている。現状で勝ち切る戦略的な頭脳を持っている。デビューしてから常にトップで走り続けてきた木村は、今でも進化が止まらない。
3節連続完全優勝を狙った鈴木圭は残念な結果に終わった。レース前半はエンジン強めに見えたが、木村の好走の前になす術がなかった。鈴木圭の勢いが止まらず、一強時代に突入したかに思えたオートレース界だが、今回はこの競技の奥深さが垣間見えた気がする。誰もが簡単に予想できるようなレースなどない。だからこそオートレースの魅力は尽きないのか。
鈴木圭一郎が連続完全優勝を決める!
伊勢崎で行われていたナイターGII稲妻賞は、浜松の鈴木圭一郎が初日から負けなしの完全優勝で幕を閉じた。鈴木圭は前節の地元ではスーパーハンデからのレースで完全優勝。これで連勝を9に延ばし、もはや敵なしの状態になった。
今回の優勝戦では試走から鈴木圭が他を圧倒していた。鈴木圭が28、次いで、高橋貢と早川清太郎が31、浅香潤が32、森谷隼人が33、高宗良次が34、渋沢憲司が35、新井淳が大きく数字を落として38だった。
レースは高宗のフライングで再発走となった。2回目のスタートでは0ハンから新井淳が先行し、10線は高橋貢が飛び出す。新井がインコースを抑え、浅香は攻略に手間取る。その間に高橋が渋沢と浅香をパス。新井と一対一の形に持ち込んで、あっさりと交わす。ここからは高橋貢がリードを作っていく。
当ブログの本命、鈴木圭はスタートで内枠勢を包むことができず8番手発進。いい展開を作ることができなかった。ただ、そこからの攻めは慎重でありながら的確だった。慌てず騒がす捌いていく。まず森谷を、そして高宗を。ゆっくりとだが、着実に番手を上げていき、残り2周の頃には2番手に立った。先頭を走る高橋貢との差はマアマアあった。ここから追い込みが届くのかどうかは、微妙なところではあった。しかし、徐々に差を詰め、最終周のバックストレッチで高橋貢のインに切れ込む。最後のコーナーもしっかり回って1着ゴール。ただただ強さを見せつけた。
レース後の本人のコメントで、スタートは行けなかったけど、いつもより2周増えるので落ち着いて行こうと、というような発言から鑑みるに、本人が望むような展開にならなくても冷静に対処できている姿が窺える。エンジン状態に関わらず、これからも結果を残し続けていきそう。
準優勝だった高橋貢は悔しかっただろう。10線からトップスタートを決め、絶好の展開に持ち込めたのだから。ただ、高橋貢の強さは何かと考えるときに、それは逆境に置かれた時の精神力の強さにあると思う。これまでも勝てそうなレースで負けると、厳しい言葉が浴びせられていたが、ことごとくそれらを跳ね返してきた。今回のレースもそれを踏まえ、再び進化を遂げそうな予感がある。前にも述べたが、いろいろな魅力ある個性の選手がいて、オートレースの魅力は高まる。これからのオート界の勢力図がどのように変化していくのか。これもオートファンにとっての楽しみの一つである。
重富大輔が嬉しいGI初優勝!
GI第61回ダイヤモンドレースの最終日は、第5Rの試走の後から雨が降り出し、優勝戦は重走路での競争になった。試走の気配が良かったのは丹村飛竜と中村雅人。2人とも試走で前の選手との差をグッと詰めていた。
その見た目のとおり、試走一番時計は中村の65。次いで丹村が66。中尾貴志と久門徹が67、浦田信輔が69、重富大輔と吉原恭佑が70、池田政和が大きく落として74だった。この日の重走路は、レース序盤の2~3周で態勢が決まると、その後の変動が少ない競争が多かったが、果たして優勝戦は。
優勝戦も、ほぼ走るコースは一本道だった。スタートで先行した重富が最後までインコースを走り上げ、1着でゴール。2番手に付けていた中尾が仕掛ける姿勢を見せたが、それを見事に抑えた。次は中尾を交わした丹村が重富に襲いかかる。これにも冷静に、自分のコースを守る走りで付け入る隙を与えなかった。中尾が2番手に再浮上したが、これもインからは抜かせない走りで先頭を守り通した。周回ごとに走るコースは小さくなっていったが、これがまさに功を奏した形。
重富は今回でGI初制覇。デビュー時から高いセンスを見せつけ順調に成長していったが、何年目かに大きな壁にぶち当たる。周りの選手からも高い潜在能力を認められながら、ある一定の走力から上には行けないでいた。それでも挫けることなく、諦めることなく真摯にオートレースと向き合っていった。それが今回、大輪の花を咲かせた要因。スピードに関しては全国区、雨走路も得意、スタートが今回の優勝戦のように常に切れれば、もう一つ上の舞台でも通用するだろう。
青山周平が執念の走りで勝利を手繰り寄せた!
伊勢崎オートで行われていた第22回SGオートレースグランプリは、地元の31期・青山周平が制した。青山はこのタイトルを初制覇。これでまた一つ、SGのタイトルを手中に入れた。
0オープンで行われた優勝戦は、2枠の青山がスタート先行。すぐ後ろには佐藤貴也が付けたが、鈴木圭一郎が1周バックでインに入って2番手に付ける。そこからの先頭争いは青山と鈴木圭。
青山は自分のコースを外さず丁寧な走行を重ねる。2番手の鈴木圭はピタリとマークで、青山にプレッシャーを与えていく。エンジンの仕上がり的には鈴木圭の方に分があった。何度か揺さぶりをかけて青山を抜きにかかるが、青山がそれを阻止。鈴木圭からすれば、青山のミス待ちの状態になる。無理すればインに入って行けたかもしれないが、はたして綺麗にコーナーを回れたかどうか。最終的には青山がマイペースを保って逃げ切る。SGオートレースグランプリのタイトルを初めて獲得することになった。
2着には早川清太郎が入った。1枠だった早川はスタートこそ4番手発進。一時は5番手まで位置を下げたが、そこから猛烈な追い込みを見せた。3番手で粘る同期の佐藤貴をじっくりと捌き、先頭争いをしている前の2車にジカ付け。そして、鈴木圭を外から交わしてしまう。その後は青山に襲いかかるが周回は足りなかった。あと1、2周あったら...、と思わせる力走。SG初タイトルは持ち越しとなってしまった。
鈴木圭は、序盤で好位置に付けながら、最後まで先頭に立つことはできなかった。エンジン面では勝っていたように見えたが、決め手に欠けていた。逆に言わせれば、青山が気迫で抑え込んでいた。単純なエンジン差では語れないモノが、この優勝戦には流れていた。青山は立派だった。勝負に徹することができていた。これでSGは3Vになるが、青山のポテンシャルを考えれば、まだまだ物足りない。鈴木圭という若手のスーパースターが出てきたが、他の選手も奮起してのオートレースだと思う。これからどのような方向に進んで行くのか、オートレース界の先が楽しみでならない。
永井大介がキューポラ杯を連覇!
7月30日に行われた川口のナイターGIキューポラ杯は、地元の25期・永井大介が制した。昨年に続く同大会で連覇を達成した。
試走タイムは8号車の鈴木圭一郎が一番時計の29。優勝した永井は、それに次ぐ30のタイムだった。松尾啓史が31で、他の選手はそれより大きなタイムで35以上となった。
レース展開だが0ハン単騎の中山光がしっかりとスタートを残し逃げ態勢。10線からは最内の佐藤摩弥が飛び出していく。その一つ外の鈴木宏和が乗って出る。その後には池田政和が続いていく。0ハンの中山はそこまでペースが上がらなかった。追撃態勢を整えていた佐藤摩が隙を見てインに突っ込む。今度は佐藤摩が逃げに入る。しかし、すばやく2番手まで上がっていた永井が、インに入って佐藤摩を交わす。そこからは8号車の鈴木圭が迫っていたが、永井が振り切ってゴール。展開作りがうまくいき、最高の結果となった。
今回のレースでの永井は円熟味を増していた。記念レースで優勝するには、さまざまな条件をクリアしなければ成し遂げられない。今回はエンジン悪くなかった永井だが、試走の一番時計は鈴木圭で、ここに勝つためには最良のレース運びをしなければならなかった。まずはスタート。鈴木圭に先行されてしまっては、優勝への道が閉ざされてしまう。ここをきっちりとこなすことができた。その後は、鈴木圭より先に前団を捌くことが絶対条件。ここもすんなりクリア。簡単にできるように思えて、なかなかできないのがプロスポーツの本番。しかし、ここで自分の力を最大限に発揮できる永井は、まぎれもなく一流のアスリート。揺るぎないスピリッツを見せ続けていってもらいたい選手の一人だ。