永井大介が鈴木圭一郎との一騎打ちを制す!
浜松オートで行われていたGI開場63周年記念ゴールデンレースは、川口の25期・永井大介が鮮やかな速攻から鈴木圭一郎を封じ込んで優勝をもぎ取った。永井は同タイトルを2000年、2017年に続く3度目の戴冠となった。
試走は永井と鈴木圭が一番時計で29。次いで木村武之が30。浦田信輔が32、山田達也が33、佐藤摩弥が34、山崎進が35、遠藤誠が36だった。
スタート争いは0ハンが遠藤の先行に山崎も叩かれず出た。10線は佐藤摩が最内から飛び出す。しかし、7号車の永井がダッシュを決め鈴木圭も離されずに出て行く。
そのまま永井は一気に0ハンをパス。鈴木圭も遅れずに付いて行く。3周目からは早くも永井と鈴木圭の先頭争いになった。2番手から鈴木圭は仕掛けどころを探りながら周回を重ねる。チャンスは1回だけあった。道中で鈴木圭が永井のインに車を向けたが、入り切れないとみるや車を引く。そこからは鈴木圭は永井の外に車を付けたが、スピードで上回ることはできなかった。ゴール前のチョイ差し狙いも、同じ車速で交わし切るまでは行かなかった。
永井は最後までしっかりとコースを守って走れた。コース取りとしてはけっして大きくなかったが、スピードを落としてインを締めているわけではなく、ペースを上げながら走れていた。近年では佐藤貴也が得意とする走法で、粘りの走りではなく、スピードとコースの両面で後続を苦しめる戦法。永井は、かつて開け開け走法でスピードに乗せるのを得意としていたが、新しい走法にも柔軟に対応できている。選手としての作戦の幅は大きく広がった。若手選手からの突き上げが著しい近年のオートレース界だが、適応能力が高い永井は、まだまだ存在感を示し続けられる。
鈴木清が永井大介との激闘を制す!
川口オートレース場で行われた川口記念の優勝戦は、地元の23期・鈴木清が制した。長らく川口の上位で活躍していた同選手だが、記念タイトルは意外にも今回が初制覇。走りの鋭さを改めて認識させられたレースになった。
優勝戦の試走タイムは、永井大介が一番で29。次いで中村雅人が30。吉田祐也、越智尚寿、阿部剛士が32。高塚義明、鈴木清が33。平川博康が最も悪く35だった。
スタート争いは0ハン最内の高塚が先行し3枠の吉田が乗って行く。平川は、やや遅れる形。これを10線から鈴木が叩き気味に出る。その一つ外の永井が乗って出る。中村は最後方からのレースになった。
先行した高塚を吉田が1周3コーナーでイン突っ込むも、膨らんでしまい高塚が差し返す。しかし、2周3コーナーでは鈴木が、吉田と高塚をまとめ差し。そのまま逃げ態勢に入る。中団からは永井と中村が徐々に差を詰めてくる。そして7周1コーナーで永井が鈴木を差しにかかる。これは無理突っ込みでコーナーではらんでしまい、鈴木が差し返す。更に最終周の1コーナーでも永井は鈴木のインに突っ込むが、再び膨らんでしまい鈴木が冷静に対処する。
鈴木はこれまで14度の優勝経験があったが、それらは全て一般開催でのもの。今回、15度目の優勝は記念レースでのものになった。鈴木はデビューしてからずっと鋭いスタートを武器に、速攻派として存在感を示してきた。そのスタート力は全く衰えることなく、デビュー27年目にして記念タイトルホルダーになった。永井の突っ込みに対しても落ち着いて対応できたのはレーサーとしての経験からという理由もあるだろう。年齢的に中堅の域に入ってきたからこそ出せる味がある。オートレーサーは、いろいろなタイプが存在してレースが盛り上がる。オートレースの楽しみは尽きない。
令和初めてのSG覇者は荒尾聡!
新元号に切り替わった初日に行われたSGオールスターオートレースの優勝戦。この記念すべき日に栄冠を勝ち取ったのは飯塚の27期・荒尾聡。オールスターはSGタイトルを初めて獲得した思い出の大会。これで2017年のスーパースターと合わせて3度目のSG制覇となった。
優勝戦は前日の予報にもあったとおり、重走路で行われた。試走タイムが一番良かったのは荒尾聡の69。次いで青山周平が73、丹村飛竜と内山高秀と吉原恭佑が74、高橋貢と黒川京介が75、前田淳が最も悪く78だった。
肝心のスタート争いは4枠から荒尾がトップスタート。これに丹村が乗って出る。吉原も離されずにマーク。内山や青山も頑張ったが、1周を回る頃には高橋貢が4番手に付けていた。先頭争いは全くなく、荒尾が序盤から後続を引き離しにかかる。インコースをしっかり回った荒尾が独走態勢に入った。そして、最後まで危なげない走りで1着ゴール。圧巻のレース運びだった。
2番手争いが熾烈だった。丹村がインを抑えて走り、ピタリと追走していた吉原と高橋貢は仕掛けのタイミングが掴めないでいた。インは丹村が締めて回っているし、外に振るとインに戻って来れず、距離をロスするだけの状態だった。こう着状態が動いたのはゴール前。最終4コーナーで丹村がふくれてしまう。そこへ吉原が隙を逃さず車をインに向けると、綺麗に番手が代わって2着ゴール。丹村は3着に後退してしまった。4番手以下は全く動きがないまま周回を重ねていった。
荒尾はこれでSG3V。初めてSGで優勝してから2度目の制覇までは実に10年かかった。しかし、そこから約1年半で3度目のV。最近のオートレース界は、若手の突き上げが激しくなっているが、荒尾はスタート力とコースを外さない走りがある限り、まだまだSGのタイトルを積み上げそうだ。
佐藤貴也が平成最後の平成チャンピオンカップ制覇!
山陽オートで行われていたGI第25回平成チャンピオンカップは、浜松の29期・佐藤貴也が熱戦を制した。走路温度が40度まで高まる中、序盤で好位置に付けられたのが大きな勝因。これで佐藤貴はGI4つ目、記念タイトルは9回目の制覇となった。
試走タイムは青山周平が一番時計の30、これに佐藤貴、伊藤信夫、渡辺篤が続き31、若井友和が32、有吉辰也と浦田信輔が33、新村嘉之が大きく数字を落として36だった。
10Mオープン戦で肝心のスタート争いは、最内の新村が先行。これに有吉と佐藤貴が乗って行く。他では大外の青山がマズマズのスタートを切ってみせた。
1周3コーナーでは有吉が新村のインを狙うも、新村が強引に抑え込む。これで逆に有吉は番手を下げてしまう形。2番手に躍り出たのは佐藤貴。その後、数周は新村が軽快に逃げるが、佐藤貴がマーク追走からタイミングをうかがう。そして5周目でついに佐藤貴が新村のインに突っ込み、これが功を奏しそのままゴール。3番手に付けていた青山も新村を抜きにかかるが、最後まで番手が入れ替わることはなく3着入線。4番手以下はレース中盤から動きがないまま終わってしまった。
昨年にSGオールスターを制してからの佐藤貴は、ハンデ位置が厳しかろうが相手が強かろうが、好成績を残し続けている。インからインで回る走法を完全に身に付け、状況によっては外から捲っていくこともある。スタート力は全国屈指で、これから走路温度が上がってくる時期になると、これは更に有利に働いてくるハズ。スタートを決め、インを高速で回る走り。これには他の選手も苦心させられるだろう。記念タイトルをまだまだ積み上げていきそうだ。
有吉辰也が1年ぶりに記念レース制覇!
飯塚オートで行われていたGIIオーバルチャンピオンカップは、地元の25期・有吉辰也が10線最内から速攻逃げ切りで制した。有吉は2018年4月に山陽でGI平成チャンピオンカップで優勝して以来の記念レースV。これで21回目の記念レース制覇となった。
試走タイムは高橋貢が27でトップ。次いで、永井大介が30、有吉と鐘ヶ江将平と桝崎陽介が31、荒尾聡が32、佐久間健光が34、田中進が36だった。
レースは10線最内の有吉がスタートで佐久間を叩いて始まる。1周バック線では、さらに田中進をも差して先頭を奪取。後方ではレース序盤でアクシデントがあった。10線から枠ナリ発進を決めた桝崎がスリップ落車。これに荒尾と永井が巻き込まれて落車となった。7周を残し5車での争いになる。結果的には速攻を決めた有吉がそのまま先頭を譲らずゴール。
2番手では鐘ヶ江が有吉に離されながらも粘っていたが、試走一番時計の高橋貢が追い込んで交わす。田中進が鐘ヶ江を逆転しようと捲りかけるが、交わし切るまでにはいかず4着で、鐘ヶ江が3着で入線した。
有吉は大きなケガを乗り越えてから2つ目の記念タイトル奪取。全盛期ほどの動きは戻っていないが、それでも記念レースで優勝できるのはセンスの高さの証明と言える。かつての有吉を知っているファンからすれば、完全復活に期待がかかる。仮にそこまでいかなくても、SGの大舞台で十分通用する走りが戻ってきているのは嬉しい現況。これからもオートレースを盛り上げるべく、その走りを楽しみにしたい。