中村雅人が圧巻の走りでプレミアムカップ初制覇!
山陽オートで行われていた特別GIプレミアムカップは、川口の28期・中村雅人が初めて同タイトルを奪取した。レースは序盤で中村が先頭に立つ展開で、そのまま楽に逃げ切った。
試走タイムは新井恵匠が一番時計の24、次いで中村が25。そして青山周平と松尾啓史が26、藤岡一樹と若井友和が27、佐藤摩弥が28、最後が浜野淳の33だった。浜野は準決で落車し、ばたばたと整備せざるを得なかったので仕上がり不足だった感は否めない。
レースはまず、最内の青山が先行する。これに3枠の中村が乗って出る形。トップスタートを切ると予想していた佐藤摩は3番手発進だった。外枠は藤岡がやや遅れた以外は枠ナリ発進。
青山が逃げ態勢に入るかにみえたが、中村が珍しく序盤から仕掛けていく。しっかりと態勢を作ると青山のインに切れ込んだ。これが功を奏し、しっかりとコーナーを回り切る。結果的にこのままゴールを迎え、中村が優勝を決める。2番手にはトップスタートを切りながら中村に交わされてしまった青山が、3番手からプレッシャーをかけてくる佐藤摩を封じ込んで準優勝。4着には新井との争いを制した松尾が食い込んだ。
中村は2016年以来の記念レース制覇。一時は破竹の勢いを見せていた中村の実績からすれば意外とも思えるくらいの久々の栄冠。青山や鈴木圭一郎など、若手からの突き上げがあり、思うような結果を残せていなかった中村だが、捌きの腕だけに焦点を当てれば、オートレース界でも最上位グループに入るモノを持っている。エンジンが並以上、もしくはシリーズ中で5位までに入るようなら、的確かつ強烈な突っ込みを見せることができる。鈴木圭一強になりつつあるオートレース界に、待ったをかけるべく強力な存在感を示す選手の一人になるのはこの中村だ。
高橋義弘が約7年ぶりに記念レースを制覇!
川口で行われていたGI開設67周年記念グランプリレースは、地元の29期・高橋義弘が速攻逃げ切りでVを決めた。高橋はこの大会を2012年に制しており、同年に山陽のGIも制していたが、実にそれ以来の記念レース制覇。
試走は永井大介がトップの27。次いで、間中大輔、山田達也、荒尾聡の3者が29。仲田恵一朗、加賀谷建明、若井友和が30。高橋義弘が最も悪く31だった。
レースは戦前の予想通りスピードレース。序盤の展開が大きなカギを握った。間中は10線のスタートを残して逃げに入ったが、ペースはそこまで上がらない。10線は仲田がややへこんだ以外は、ほぼ枠ナリ。高橋がトップスタートを切った。
間中は2周目までは一人で走っていたが、高橋の差しに遭い後退。加賀谷も素早く続き、高橋を追う形。最後まで仕掛けるには至らず、この状態のままゴールを迎えた。ただし、2着入線の加賀谷は1周回2コーナーで内線突破の反則を犯し失格。最後方から番手を挙げ、3着で入線した永井が繰り上がりで準優勝だった。
高橋の上がりタイムは3・355。間中を交わした後は一人で走る展開だったとは言え、数字自体は立派なもの。2012年にGIを2つ取ったり、一時期は川口でナンバー1の座を奪ったこともある逸材。その後、成長の壁にぶち当たり、伸び悩んだ時期もあったが、ここにきて久しぶりの栄冠奪取。追い込むレースではやや不安はあるものの、逃げるレースなら快速を発揮できる。どちらかと言うとGIやSG向きの選手と言える。今後、そのスピードに磨きがかかると、SGでの優勝も十分見えてくる。
高橋貢がレジェンドの走りで激戦を制す!
伊勢崎で行われていたGIIレジェンドカップは、地元の22期・高橋貢が制した。レースはタイトル名に相応しい激しい競り合いになった。最後は技術に勝る高橋貢の貫禄勝ち。
レースはまず高橋貢のフライングで再発走となった。2回目のスタートは0ハンの桜井晴光が失敗し、大きく後退。10線勢の車に大きな被害を及ぼした。この行為により桜井は結果的に反則失格。10線からは佐藤裕二が好ダッシュを決める。これに最内の内山高秀が踏ん張って付いていく。篠原睦、高橋貢も悪くない位置に付け、松尾啓史と木村武之は厳しい展開に。
序盤の2周は先頭の入れ替わりがあったが、その後は佐藤が主導権を奪い、コースを丁寧に守る走りに徹する。篠原が2番手に付け様子をうかがう。その後ろでは内山と高橋貢がやり合う形。ただし、内山は高橋貢に競り勝つと篠原をも交わして2番手奪取。逃げに入っていた佐藤にプレッシャーをかける。高橋貢も3番手まで追い上げていた。このまま佐藤が逃げ切るかにも見えたが、終盤で内山の捲りが決まり先頭に踊り出る。しかし、その直後に高橋貢が内山を差し切ってゴールを迎えた。
先頭を走っていた佐藤も悪いペースではなかった。コースを外さず、後続は攻めにくい状況だった。結果、2番手以下は大渋滞。まさにレジェンドカップらしい競争が展開されていた。若手のスピードレースもいいが、混戦での技の競い合いも見応え十分。オートレースの魅力を再確認させてくれる貴重な企画レース。このような大会がこれからも続くことを切に願う。
それにしても高橋貢の強さは際立っている。前を走る選手たちが状況を打開できずに戸惑っていても、高橋貢は冷静にチャンスを待っていられるし、そのチャンスが来た時にはどのような対処をすればいいか熟知している。これでGIIは24度目の制覇。SG、GIを含めると72回目のタイトル。今回のようなレースを続ければ、まだまだ数字を積み上げていけそうだ。
鈴木圭一郎がスピード王決定戦を制す!
浜松で行われていた第60回GIスピード王決定戦は、地元の32期・鈴木圭一郎が落ち着いた走りで制した。鈴木圭はこの大会初めての制覇。これでまた一つ、保持タイトルが増えた。
優勝戦は試走から大きな衝撃があった。試走一番時計は鈴木圭と同期の中村友和で22。元々、スピードはある方だったが、22はなかなかない数字。再試走だった松山茂靖の32とは、まさに10も離れた値。独走に入れれば誰も追い付けないスピードを誇示した。
試走2番時計は鈴木圭の24。次いで、金子大輔の26、西原智昭の28、鈴木宏和と松尾啓史が29、木村武之が30だった。 スタート争いは戦前の予想通り、3枠から鈴木宏がダッシュを決めた。これに5枠の鈴木圭が乗って行き、最内の木村を抑える形で大外から西原が3番手奪取。7枠の金子も悪くない位置に付けた。試走一番時計の中村は、最後方からのレースになってしまった。
レースは序盤から鈴木宏がペースを上げていく。すぐに2番手に付けた鈴木圭は簡単には交わせそうになかった。それでもピタリとマークし、仕掛けるタイミングをうかがっていた。そして、5周1コーナーで鈴木圭が鈴木宏のインに車を向ける。しっかりと回り鈴木圭が先頭に立つ。ここからは後続を引き離す一方だった。
2番手以下では鈴木宏、西原、金子と隊形を作っていたが、その後ろで一人だけ進み方が良い車があった。松尾だ。レース後半になるほど動きが良くなる松尾が、一つずつ番手を上げていく。最終的には2番手で走っていた鈴木宏までパス。準優勝となった。
鈴木圭は今年に入り、5節走って4回優出の内、2回優勝。いつも通りの鈴木圭の成績っぷり。今年も前年以上に鈴木圭の活躍が見られそうだ。しかしながら、今回の優勝戦では鈴木圭の同期の躍進も目立った。スタート力は全国1と言っても過言ではない鈴木宏和。一方、スピードだけなら全国1とも言える中村友和。この両者は、お互いに足りないところを埋めていくことができれば、記念レースでいつ優勝してもおかしくはない。
荒尾聡が気迫の走りで勝利をもぎ取った!
飯塚オートで行われていたGIIオーバルチャンピオンカップは、地元の27期・荒尾聡が見事な速攻を決めて制した。この日、第1レースは重走路で行われたが、徐々に走路が回復。優勝戦の時間は、所どころ濡れている場所があり、公式発表はブチ走路だったが、選手が通るコースにはほぼ影響がなく、良走路のタイムが出ていた。
0ハンの桜木公和はスタートを残すことができず、10線最内の森且行に叩かれていく。しかし、5枠から荒尾も伸びて、バックストレッチに入る頃には先頭を奪取。6枠の篠原睦、8枠の鈴木圭一郎もそれに続いていく。
早い段階で鈴木圭が篠原をパスすると、その後は荒尾との壮絶なマッチレースとなった。インコースを外さず丁寧に周回を重ねる荒尾に対し、鈴木圭が攻略の糸口を探せないでいる。同じコースを通っても車速は一緒で、外に振りに行くと立ち上がりで戻ってこれなくなる。完全な良走路とは違うので、いつものようには仕掛けて行きづらいのか。荒尾は最後までミスすることなく走行を続け、ゴール前でチョイ差しを狙った鈴木圭を微差振り切る。3番手には、序盤の展開で苦しいレースになった新井恵匠が怒涛の追い込みで食い込んだ。
これで荒尾はGII8度目の制覇。SG、GIを含めると19個目のタイトルとなる。おととしの年末のSGスーパースターを制して以来の栄冠。デビューして2級車時代から27期でトップに君臨し、約18年経った今でも同期でトップ。ここまでモチベーションを保ち続けるのは容易ではないこと。オートレースに対する情熱、勝利にこだわる姿勢が好成績を持続させる基になっているのだろう。まだまだ荒尾は止まらない。抜群のスタート力と、粘り強いイン走法。この2つの持ち味を武器に、オートレース界で存在感を示し続けていきそうだ。