浅香潤がまんまと逃げ切り勝ち!
伊勢崎で行われていたGI第42回シルクカップは、地元の23期・浅香潤が制した。0ハン単騎から8周回、先頭を守り切り2度目のGI制覇となった。
試走は浦田信輔と池田政和、早川清太郎が一番時計タイの25。次いで田中賢と伊藤信夫が26、吉原恭佑が28、浅香潤が29、鈴木聡太が30だった。
序盤の動きだが、まずは浅香がしっかりとスタートを切る。10線は最内の鈴木聡が先行し、浦田が準決同様の好ダッシュを決める。しかし、レース序盤のホームストレッチで浦田の車がブレる。これに鈴木聡以外の10線勢がやや不利を被る。この隙に、前を走る浅香と鈴木聡はリードを広げることができた。
その後は浅香がマイペースの逃げに入る。鈴木聡はレース前半、差を詰めることができないでいたが、残り3周あたりから徐々に浅香との間隔を詰め始めた。そして、最終周回のバックストレッチではインに切り込めそうなチャンスがあったが、入り切るまでは行かず、浅香がなんとか逃げ切った。3番手以下は中団を捌いて追撃態勢を作っていた早川が、前の2車に詰め寄ったが3着一杯だった。
浅香はこれで2度目のGI制覇。1997年に勝って以来なので、実に22年ぶりの栄冠。逃げ粘る苦しいレースではあったが、上がりタイム3・356は素晴らしい数字。追い込む方にとっては浅香以上に苦しいレースだったハズ。23期の浅香は、そろそろベテランの域に入ってくるが、これからもまだまだそのスピード力を発揮して、オートレースを盛り上げていくことだろう。
永井大介が3度目のSS覇者に!
SG第33回スーパースター王座決定戦は、地元の25期・永井大介が制した。2008年、2014年に同大会を制していた永井は、これで3度目のタイトル奪取となった。
試走一番時計は高橋貢の23。次いで、永井、青山周平、木村武之が25、鈴木圭一郎が26、池田政和が27、新井恵匠が28、丹村飛竜が30と一番悪かった。
レースは最内の永井が先行、これに青山と丹村が乗って出る。すかさず木村が丹村を交わす。永井はこのまま勝ちパターンのブッチ切り独走に入るかに見えたが、思ったようにペースが上がらない。すると永井はインコースを抑えて後続に抜かせない走りに切り替える。これを2番手に付けていた青山が、抜くタイミングを計るように終始追走。この青山に対し、3番手の木村もプレッシャーを与える。抜かれそうになる永井が必死のブロックを見せ続け周回を消費する。4番手以下では鈴木圭と高橋貢が差を詰めてくる。動きがあったのは残り2周。木村が後退し、鈴木圭をパスした高橋貢が最終バックストレッチで青山を差し込む。これにより青山が失速し、鈴木圭も3番手に浮上する。しかし、最終的には永井がスタートからゴールまで先頭を譲らずゴール。
ペースが上がらなかった永井にとっては苦しいレースになった。それでも後続の攻めをことごとく封じ、なんとかもぎ取った勝利。以前の永井はスピードに任せた独走が得意だったが、ここ数年はエンジン状態に合った走りで結果を出せるようになっていた。今回もまさに永井の経験勝ち。勝利への執念が、栄冠を手繰り寄せた。これでSGは15V。オート界のカリスマと言われた片平巧の記録に並んで見せた。永井はまだまだ終わらない。これからもSGのタイトルを積み上げていくに違いない。
鈴木圭一郎がスピード王連覇を達成!
山陽で行われていた第53回GIスピード王決定戦は、浜松の鈴木圭一郎が昨年に続いて制覇した。優勝戦当日は1レースから重走路で、最終レースまで走路が乾くことはなかった。
試走一番時計は鈴木圭の54。次いで、佐々木啓、岩崎亮一、松尾啓史が56。阿部仁志が60、鈴木宏和と別府敬剛が61、丸山智史が63で最も数字が悪かった。
レースはまず0ハンの阿部が逃げていく。周回を重ねるごとに大きなコース取りになり、スピードを増しているような走りだった。2番手には序盤戦を制した岩崎が付ける。コース取りが大きくなる阿部の内側に車を向けて、岩崎が突っ込んでいく。これが綺麗に決まり先頭を奪取。岩崎が逃げる展開になった。この時、鈴木圭は5~6番手。岩崎の後ろには同じようなコース取りで阿部、別府、佐々木が付ける。このまま順位変動が起きにくい隊形になったが、鈴木圭だけは違っていた。各車のコース取りが大きくなる中、一枚内側のコースを選んでいく。スピードが乗りにくいコースではあったが、鈴木圭の技術がその常識を覆していく。6周目に入る頃には先頭に躍り出ていた。そして、そのまま先頭でゴール。見事に優勝を決めてみせた。
このレースでは鈴木圭の強さが改めて証明された。後ろから追う者の強みではあるが、レース展開を冷静に分析し、最良のコース取りを選択できていた。これが仮に前を走る車の外に付けていたら、車群を交わせていたかどうか分からない。思い切ってコースを変える決意が、勝因の一つになった。これでまた走りの幅が広がった。この後は地元で一般開催もあるが、年末に行われるスーパースター王座決定戦に向け、最高の弾みになったのではないだろうか。
金子大輔がクレバーな走りで飯塚開設記念レースを制す!
飯塚で行われていた第62回GI開設記念レースは、浜松の29期・金子大輔が制した。レースは0ハン両者が激しくやり合う展開。それを落ち着いて見ていた金子が冷静に捌いた。
試走は鈴木圭一郎の26が一番時計。次いで金子が27。渡辺篤が28、浦田信輔と篠原睦が29、岩崎亮一が30、0ハンの森本優佑と山浦博幸が32だった。
スタートは0ハンが枠ナリ発進。10線は最内の岩崎が先行し、これに篠原が乗って行く。他は渡辺が後手を踏んだ以外は枠ナリのスタートだった。
記念レースの優勝戦で8周回の内、6周までは0ハン両者が先頭争いを演じていた。何度も先頭が入れ替わる動きのある展開で、先に脱落したのが山浦。2番手から先頭を奪い返そうと捲りを狙ったが、これが流れてしまう。0ハン両者の後ろでは、序盤の速攻が決まった金子が付けていた。金子は、競り合う0ハンの中に割って入れそうではあったが、3番手で様子を見続けていた。無理に仕掛けず、チャンスを待っていた。山浦がミスすると、すかさず金子が動く。まずは山浦をパスし、先頭を走る森本も難なく交わす。残り1周は、猛追してきた鈴木圭との争い。ゴール前で鈴木圭が鋭く迫ってきたが、かろうじて振り切り先頭ゴール。このタイトル初制覇を決めてみせた。
金子は前節の地元完全Vに続き、2節連続優勝となった。ここに来て調子を上げてこれたのは、年末のスーパースター王座決定戦に向けて大きな弾みになる。この後の出走予定は、飯塚と地元で一般開催が3つ。この動きを保ちつつ、更に細かい調整で上積みができれば、2015年以来のSG優勝、そしてスーパースター初制覇が見えてくる。
最後に、今回の優勝戦は0ハンの両者が大きな見せ場を作った。独走力ある両者がただ逃げるだけではなく、何度となく差し返しを見せてくれた。それによって10線勢の動きを封じることができた。オートのレース展開は単調ではない。さまざまな駆け引きがあって感動が生まれる。今後はどのような競争を見せてくれるのか。楽しみは増すばかりだ。
青山周平が執念の走りで日本選手権初制覇!
第50回SG日本選手権は伊勢崎の青山周平が、早めに先頭に立つとインを抑え切り見事に1着ゴール。日本選手権のタイトルを初めて奪取した。上がりタイムは3.392。決して早い数字ではないが、気迫のこもった魂の走りで勝利をもぎ取った。
5レースの発走前に雨がパラつき一時はブチ走路になっていたが、優勝戦までには完全に走路が乾き良走路。試走も30近辺の数字が並んでいた。
スタートを決めたのは4枠の青山周平。これに2枠の篠原睦が続き、大外の丹村飛竜が3番手に付ける好ダッシュ。1周を回る頃には青山を差して丹村が先頭を奪取。1回は一番前を走る展開になったが、すかさず青山がやり返す。ここに中団の競り合いを制した若井友和が2番手に付ける。インを抑える青山に対し、若井も気力では負けてなかった。仕掛ける態勢を何度か作りかけるがイン入るまでは行かない。そうこうしているうちに最後方から早川清太郎が怒涛の追い込みを見せ、3番手に付ける。エンジン的には余裕ありそうだったが、青山と若井が重なり仕掛けどころを見いだせない。しかし、なんとか早川が若井を交わすと、青山との一騎打ち状態に。それでも最後まで青山を交わすまでは行かず2着ゴール。青山が押し切ってみせた。
青山はこれでSGは4度目の優勝。この日本選手権は初めて制することになる。表彰式では笑顔を弾けさせてみせた。今年はSGオートレースグランプリを制し、乗り手のリズムも悪くなかった。節間を通してスタートが切れており、選手権を制するのに条件は整っていた。試走タイムも一番時計を出し、オッズ的にも一番人気に押された。その重圧も見事に跳ねのけての快走。青山らしい走法で栄冠をつかみ取った。これで青山は全日本選抜を残しSGグランドスラムに王手。
近年のSG優勝戦では、ここ10数年の勝ちパターンとは違う内容が目立っている。早めに先頭に立った選手がブッチ切りの独走ではなく、先頭を走る選手の後ろで渋滞が起きていて、最後まで優勝者が分からないレースが多い。好きなレース展開は人それぞれだが、今回のようなレースは最後まで興奮できるので楽しい。青山や佐藤貴がそういった走りをするので、オートレースの魅力の引き出しが増えてきてると言える。