
G2浜松記念 曳馬野賞の展望
昨年1~6月に7度優勝した鈴木圭一郎。今年の前半は優勝まだ2度のみ。その2Vは山陽G1『令和グランドチャンピオンカップ』と浜松G1『開場記念ゴールデンレース』のグレードレース2つだが、昨年1~6月は17度の優出で最も大きかった着順は4着(3度)。今年はここまで13度優出して着外を7度も喫している。例年に比べると波に乗りきれていない感はあるが、歯車が噛み合ってスムーズに回転し始めれば、賞金王と年間114勝の新記録を達成した昨年の勢いを取り戻してくれるはず。
2節前の浜松デイレース5日制は、初日に昨年10月ぶりの妨害判定をくだされて勝ち上がり権利を失ったが、残る4日間に全勝。直近節の浜松デイレース4日制は決勝戦で20メートル前の石田啓貴に振り切られたが初日~3日目は3連勝。勝利のリズムをつかめてきた様子がうかがえる。
黒川京介が直近に浜松へ出場したのは今年3月のデイレース『G1プレミアムカップ』で、5日制の初日から4連勝して優出3着(優勝は青山周平、準優勝は鈴木圭一郎)。近1か月間には、夜開催だが川口『川口記念』と山陽『ミッドナイトチャンピオンカップ』のG2レース連続で制覇している。2023年4月のデイレース『G2ウィナーズカップ』に5戦5勝で完全優勝、今年2月のデイレース『SG全日本選抜』へ優出と、浜松走路にもしっかりした実績があり、今回の活躍も大いに期待できる。
今月中旬の川口ナイトレース決勝戦の道中に黒川を捲ってゴールでも先着したのは森且行。浜松では今年の『SG全日本選抜』と『G1プレミアムカップ』でそれぞれ1勝ずつを挙げて、『G1ゴールデンレース』では2度の2連対がある。
その決勝戦で彼ら10メートル前のハンデ位置から抜け出して優勝したのは早津康介。浜松は昨年11月『G1スピード王決定戦』の初日から1着・2着・3着と好走。準決勝戦は道中に大きな不利を受けて優出は逸したが、走路との折り合い面は心配なさそうだ。
青山周平の直近の浜松は準決勝戦3着で優出できなかった5月『G1ゴールデンレース』だが、その前に参戦した3節、昨年11月『G1スピード王決定戦』~今年2月『SG全日本選抜』~3月『G1プレミアムカップ』の全てに全勝優勝。まさに非の打ち所がない実績を残している。
今月中旬の伊勢崎ナイター『G2稲妻賞』は、この大会ならではの傾向どおり不順な天候に見舞われたが、晴雨が日替わりの条件でも連日エンジンを安定させて4戦3勝で決勝戦へ進んだ安定感はさすがといえる。
『G2稲妻賞』で青山周や佐藤励と同ハンで戦って撃破し、念願のグレードレース初制覇を果たしたのが、青山周と同じ31期の渡辺篤。その決勝戦の2日後から参戦した浜松一般開催は、直前のナイターから熱路のデイレースへ替わってコメントによるとタイヤの滑りに苦しんだようだが、その1節で走路の感触を体感できた今回は対策を施して臨めるはず。
『G2曳馬野賞』前年覇者の高橋貢は、『G2稲妻賞』は5戦1勝・3着3回にとどまったが、過去1年間の浜松では12走して着外わずか3度と、高い安定度を示している。『稲妻賞』の前節までは川口ナイター『SGオールスター』から3節連続で優出しており、エンジンは高水準をずっと維持している。
今年4月上旬の他落事故から約2か月間の休養。今月上旬に復帰してから3節に出場した栗原佳祐は、走りの内容が休養前のレベルへ着実に戻りつつある。
1級車へ乗り換えたばかりにもかかわらず、今年1~3月の間だけで7度も優出して3V。キャリアがまるで異なるのに、同じ期間に8度優出して5Vの黒川京介と横並びに近いペースで優出&優勝していた。
直近に出走した今月中旬の浜松デイレースは、4日制の3日目準決勝戦に他落をこうむってしまったが、第5レースに出走した最終日4日目は試走タイムを前日よりも上昇させて、2日目に捌いた鈴木辰己を再び内から交わして勝利し、落車の影響にまつわる不安を吹き飛ばした。その勝ちタイム3.435秒はこの日の全選手の中で、第11レース決勝戦1着の石田啓貴、2着の鈴木圭一郎に次ぐ3番目の速さ。同じく決勝戦を走った木村武之・佐藤貴也・伊藤信夫よりも優秀なタイムだった。
早くも最重ハンにすっかり定着した本年。自身のデビューと同じ2023年にグレード開催へ格上げされた、いわば同い年の『曳馬野賞』で、タイトル戦への初優出を果たせるか注目したい。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-6(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-8(29期)〕
渡辺 篤〔浜松 S-36(31期)〕
栗原 佳祐〔浜松 A-25(36期)〕
北市 唯〔浜松 B-20(37期)〕 ※まだB級ながら追加斡旋。昨年『G2若獅子杯』以来2度目のグレード出場
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-13(22期)〕
森 且行〔川口 S-16(25期)〕
浦田 信輔〔飯塚 A-5(23期)〕
松尾 彩〔山陽 A-33(34期)〕
早津 康介〔川口 A-55(34期)〕
文/鈴木