青山周平が執念の走りで勝利を手繰り寄せた!
伊勢崎オートで行われていた第22回SGオートレースグランプリは、地元の31期・青山周平が制した。青山はこのタイトルを初制覇。これでまた一つ、SGのタイトルを手中に入れた。
0オープンで行われた優勝戦は、2枠の青山がスタート先行。すぐ後ろには佐藤貴也が付けたが、鈴木圭一郎が1周バックでインに入って2番手に付ける。そこからの先頭争いは青山と鈴木圭。
青山は自分のコースを外さず丁寧な走行を重ねる。2番手の鈴木圭はピタリとマークで、青山にプレッシャーを与えていく。エンジンの仕上がり的には鈴木圭の方に分があった。何度か揺さぶりをかけて青山を抜きにかかるが、青山がそれを阻止。鈴木圭からすれば、青山のミス待ちの状態になる。無理すればインに入って行けたかもしれないが、はたして綺麗にコーナーを回れたかどうか。最終的には青山がマイペースを保って逃げ切る。SGオートレースグランプリのタイトルを初めて獲得することになった。
2着には早川清太郎が入った。1枠だった早川はスタートこそ4番手発進。一時は5番手まで位置を下げたが、そこから猛烈な追い込みを見せた。3番手で粘る同期の佐藤貴をじっくりと捌き、先頭争いをしている前の2車にジカ付け。そして、鈴木圭を外から交わしてしまう。その後は青山に襲いかかるが周回は足りなかった。あと1、2周あったら...、と思わせる力走。SG初タイトルは持ち越しとなってしまった。
鈴木圭は、序盤で好位置に付けながら、最後まで先頭に立つことはできなかった。エンジン面では勝っていたように見えたが、決め手に欠けていた。逆に言わせれば、青山が気迫で抑え込んでいた。単純なエンジン差では語れないモノが、この優勝戦には流れていた。青山は立派だった。勝負に徹することができていた。これでSGは3Vになるが、青山のポテンシャルを考えれば、まだまだ物足りない。鈴木圭という若手のスーパースターが出てきたが、他の選手も奮起してのオートレースだと思う。これからどのような方向に進んで行くのか、オートレース界の先が楽しみでならない。
永井大介がキューポラ杯を連覇!
7月30日に行われた川口のナイターGIキューポラ杯は、地元の25期・永井大介が制した。昨年に続く同大会で連覇を達成した。
試走タイムは8号車の鈴木圭一郎が一番時計の29。優勝した永井は、それに次ぐ30のタイムだった。松尾啓史が31で、他の選手はそれより大きなタイムで35以上となった。
レース展開だが0ハン単騎の中山光がしっかりとスタートを残し逃げ態勢。10線からは最内の佐藤摩弥が飛び出していく。その一つ外の鈴木宏和が乗って出る。その後には池田政和が続いていく。0ハンの中山はそこまでペースが上がらなかった。追撃態勢を整えていた佐藤摩が隙を見てインに突っ込む。今度は佐藤摩が逃げに入る。しかし、すばやく2番手まで上がっていた永井が、インに入って佐藤摩を交わす。そこからは8号車の鈴木圭が迫っていたが、永井が振り切ってゴール。展開作りがうまくいき、最高の結果となった。
今回のレースでの永井は円熟味を増していた。記念レースで優勝するには、さまざまな条件をクリアしなければ成し遂げられない。今回はエンジン悪くなかった永井だが、試走の一番時計は鈴木圭で、ここに勝つためには最良のレース運びをしなければならなかった。まずはスタート。鈴木圭に先行されてしまっては、優勝への道が閉ざされてしまう。ここをきっちりとこなすことができた。その後は、鈴木圭より先に前団を捌くことが絶対条件。ここもすんなりクリア。簡単にできるように思えて、なかなかできないのがプロスポーツの本番。しかし、ここで自分の力を最大限に発揮できる永井は、まぎれもなく一流のアスリート。揺るぎないスピリッツを見せ続けていってもらいたい選手の一人だ。
前田淳が地元の記念を初制覇!
小林啓二杯GII山陽王座チャレンジカップは、地元の27期・前田淳がスタート先行から鮮やかな逃げ切りを決めた。前田はこれまで地元の記念とは縁がなく、これが初めての制覇となった。
10Mオープンの優勝戦はスタートが大きなポイントだった。緊張が高まる中、大時計の針が真上をさす。発走。2枠の前田淳が空回りし、1枠の長田恭徳が不利を受ける形。先行したのは3枠の丸山智史だったが、1コーナーを回ったあたりで赤旗。不適正発走でスタートはやり直しになった。原因車は前田。
2度目のスタートで先行したのは前田。丸山がすぐに2番手に取り付く。長田は桝崎陽介にイン入られ後退。このシーンはレース後に審議になったが結果的にはセーフ。外枠勢では岩崎亮一が、マズマズのスタートを切って好位に付けた。
その後の展開は、最後方からのレースになった早川清太郎が徐々に番手を上げて行く以外は、大きな動きがなかった。早川は猛追撃も空しく、結果としては4着止まり。いきなりの独走に入った前田が、丸山の攻めを抑え切り1着ゴール。丸山はイン狙いかけたが前田に隙は生まれなかった。3番手の桝崎も追走が一杯で、そのまま3着入線。外枠勢も浮上のチャンスがなかった。
前田は地元で嬉しい記念初優勝。今節は初日から全般的に追い込みが効きづらく、軽ハン勢の活躍が目立つ灼熱走路だったが、前田はその条件を生かしスタートを決めてみせた。先頭に立ってからは、いつもの小さめのコースを回り、後続に付け入る隙を与えなかった。夏場で走路温度が高い条件が続く限りは、この前田の走法は他の選手にとって大きな脅威になる。今年、大活躍を見せている佐藤貴也もそうだが、この走法は今後のオートレースのトレンドになるのか。
早川清太郎が大会連覇を達成!
伊勢崎オートで行われた第25回GIムーンライトチャンピオンカップは、地元の29期・早川清太郎が制した。昨年度も早川が制しており、これで大会連覇となった。
優勝戦は中村友和のフライングで、スタートは仕切り直しになった。0ハンから飛び出したのは仲田恵一朗。これに高宗良次が乗っていく。木村享平は後手を踏んでしまう。10線からはフライングをした中村がへこみ、早川清太郎が先行しかけたが、内から若井友和が盛り返していく。しかし、1周3コーナーで若井は木村のインに突っ込んで接触落車。若井と木村は戦線離脱となってしまう。
先頭を走る仲田に高宗は追走がいっぱい。仕掛けるまではいかなかった。若井がいなくなり、10線勢で最も好位に付けた早川は冷静だった。強引に仕掛けていくことなく、まずは高宗をパス。すると、先頭を走る仲田の動きをじっくり見ながら、落ち着いて態勢を整え万全の状態で捌いていった。後方からは鈴木圭一郎が追い上げてきたが、2番手に立ったときには早川との差が大きかった。結果的に早川が1着、鈴木圭が2着になった。絶対王者・高橋貢は後方のままで全く進めなかった。
それにしても、早川は地元のGIで無類の強さを発揮している。ムーンライトを連覇しただけではなく、今回で地元のGIで4連勝となった。走り慣れた走路でやりやすいのはあるだろうが、それだけで結果を残し続けるのは簡単ではない。おそらく地元ファンの声援がしっかり届いているのではないか。事実、伊勢崎オートレース場では早川のファンが多い。積極果敢なレーススタイルは、かつての伊勢崎のエース・田代祐一を彷彿させるものがある。前を走る選手のインに車を向ければ必ず突っ込んでいってくれる。これは車券をもっているファンからすれば、最も嬉しい戦闘スピリッツ。仮に車券が外れたとしても、納得のいく走りを見せてくれる。このようにファンを魅了し続ける走りをする選手が増えてくることを祈りたい。
圧巻の走りで鈴木圭一郎が完全優勝達成!
ほぼ天候に恵まれた浜松のGIIウィナーズカップのシリーズは、優勝戦も良走路で行われた。予選準決を負けなしできていた鈴木圭一郎は試走31で3番時計となったが、レースは果たして。
試走一番時計は中村友和と新井恵匠で30。次いで、鈴木圭が31、阿部剛士と重富大輔が32、青島正樹と金子大輔が35、鈴木静二が最も悪く36だった。
0ハン単騎の鈴木静二はスタートを残す。10線のスタートは凄まじいシーンが見られた。7車並びの大外に置かれた鈴木圭が、内枠勢を全て包み込んで1コーナーに突っ込んで行く。つまり、この時点で2番手を奪取。そして1周4コーナーで鈴木静のインをすくって先頭に立つ。ここからは完全に一人旅。後ろでは新井がすぐに2番手に付けていたが、鈴木圭との差を詰めることはできなかった。そこから大きく離されて阿部が3着をキープ。金子は試走タイムが表すように、レースに参加できなかった。
それにしても鈴木圭は強かった。優勝戦に限らず5日間全てで全く不安のない走り。鈴木圭を1着固定で車券を持っているファンからすれば、まさに安心してレースを見ていられた。「任せて安心レーサー」の異名は一時、浦田信輔に与えられていたが、今や鈴木圭に移行する時期に来ているだろう。現在23歳の鈴木圭。まだまだ伸び代があるにも関わらず、すでに不動の王者に君臨している。今後どのような発展段階を見せてくれるのか、またオートレースを魅せつづけてくれるのか、ほんとうに楽しみでならない。