
高橋義弘が約7年ぶりに記念レースを制覇!
川口で行われていたGI開設67周年記念グランプリレースは、地元の29期・高橋義弘が速攻逃げ切りでVを決めた。高橋はこの大会を2012年に制しており、同年に山陽のGIも制していたが、実にそれ以来の記念レース制覇。
試走は永井大介がトップの27。次いで、間中大輔、山田達也、荒尾聡の3者が29。仲田恵一朗、加賀谷建明、若井友和が30。高橋義弘が最も悪く31だった。
レースは戦前の予想通りスピードレース。序盤の展開が大きなカギを握った。間中は10線のスタートを残して逃げに入ったが、ペースはそこまで上がらない。10線は仲田がややへこんだ以外は、ほぼ枠ナリ。高橋がトップスタートを切った。
間中は2周目までは一人で走っていたが、高橋の差しに遭い後退。加賀谷も素早く続き、高橋を追う形。最後まで仕掛けるには至らず、この状態のままゴールを迎えた。ただし、2着入線の加賀谷は1周回2コーナーで内線突破の反則を犯し失格。最後方から番手を挙げ、3着で入線した永井が繰り上がりで準優勝だった。
高橋の上がりタイムは3・355。間中を交わした後は一人で走る展開だったとは言え、数字自体は立派なもの。2012年にGIを2つ取ったり、一時期は川口でナンバー1の座を奪ったこともある逸材。その後、成長の壁にぶち当たり、伸び悩んだ時期もあったが、ここにきて久しぶりの栄冠奪取。追い込むレースではやや不安はあるものの、逃げるレースなら快速を発揮できる。どちらかと言うとGIやSG向きの選手と言える。今後、そのスピードに磨きがかかると、SGでの優勝も十分見えてくる。
高橋貢がレジェンドの走りで激戦を制す!
伊勢崎で行われていたGIIレジェンドカップは、地元の22期・高橋貢が制した。レースはタイトル名に相応しい激しい競り合いになった。最後は技術に勝る高橋貢の貫禄勝ち。
レースはまず高橋貢のフライングで再発走となった。2回目のスタートは0ハンの桜井晴光が失敗し、大きく後退。10線勢の車に大きな被害を及ぼした。この行為により桜井は結果的に反則失格。10線からは佐藤裕二が好ダッシュを決める。これに最内の内山高秀が踏ん張って付いていく。篠原睦、高橋貢も悪くない位置に付け、松尾啓史と木村武之は厳しい展開に。
序盤の2周は先頭の入れ替わりがあったが、その後は佐藤が主導権を奪い、コースを丁寧に守る走りに徹する。篠原が2番手に付け様子をうかがう。その後ろでは内山と高橋貢がやり合う形。ただし、内山は高橋貢に競り勝つと篠原をも交わして2番手奪取。逃げに入っていた佐藤にプレッシャーをかける。高橋貢も3番手まで追い上げていた。このまま佐藤が逃げ切るかにも見えたが、終盤で内山の捲りが決まり先頭に踊り出る。しかし、その直後に高橋貢が内山を差し切ってゴールを迎えた。
先頭を走っていた佐藤も悪いペースではなかった。コースを外さず、後続は攻めにくい状況だった。結果、2番手以下は大渋滞。まさにレジェンドカップらしい競争が展開されていた。若手のスピードレースもいいが、混戦での技の競い合いも見応え十分。オートレースの魅力を再確認させてくれる貴重な企画レース。このような大会がこれからも続くことを切に願う。
それにしても高橋貢の強さは際立っている。前を走る選手たちが状況を打開できずに戸惑っていても、高橋貢は冷静にチャンスを待っていられるし、そのチャンスが来た時にはどのような対処をすればいいか熟知している。これでGIIは24度目の制覇。SG、GIを含めると72回目のタイトル。今回のようなレースを続ければ、まだまだ数字を積み上げていけそうだ。
鈴木圭一郎がスピード王決定戦を制す!
浜松で行われていた第60回GIスピード王決定戦は、地元の32期・鈴木圭一郎が落ち着いた走りで制した。鈴木圭はこの大会初めての制覇。これでまた一つ、保持タイトルが増えた。
優勝戦は試走から大きな衝撃があった。試走一番時計は鈴木圭と同期の中村友和で22。元々、スピードはある方だったが、22はなかなかない数字。再試走だった松山茂靖の32とは、まさに10も離れた値。独走に入れれば誰も追い付けないスピードを誇示した。
試走2番時計は鈴木圭の24。次いで、金子大輔の26、西原智昭の28、鈴木宏和と松尾啓史が29、木村武之が30だった。 スタート争いは戦前の予想通り、3枠から鈴木宏がダッシュを決めた。これに5枠の鈴木圭が乗って行き、最内の木村を抑える形で大外から西原が3番手奪取。7枠の金子も悪くない位置に付けた。試走一番時計の中村は、最後方からのレースになってしまった。
レースは序盤から鈴木宏がペースを上げていく。すぐに2番手に付けた鈴木圭は簡単には交わせそうになかった。それでもピタリとマークし、仕掛けるタイミングをうかがっていた。そして、5周1コーナーで鈴木圭が鈴木宏のインに車を向ける。しっかりと回り鈴木圭が先頭に立つ。ここからは後続を引き離す一方だった。
2番手以下では鈴木宏、西原、金子と隊形を作っていたが、その後ろで一人だけ進み方が良い車があった。松尾だ。レース後半になるほど動きが良くなる松尾が、一つずつ番手を上げていく。最終的には2番手で走っていた鈴木宏までパス。準優勝となった。
鈴木圭は今年に入り、5節走って4回優出の内、2回優勝。いつも通りの鈴木圭の成績っぷり。今年も前年以上に鈴木圭の活躍が見られそうだ。しかしながら、今回の優勝戦では鈴木圭の同期の躍進も目立った。スタート力は全国1と言っても過言ではない鈴木宏和。一方、スピードだけなら全国1とも言える中村友和。この両者は、お互いに足りないところを埋めていくことができれば、記念レースでいつ優勝してもおかしくはない。
荒尾聡が気迫の走りで勝利をもぎ取った!
飯塚オートで行われていたGIIオーバルチャンピオンカップは、地元の27期・荒尾聡が見事な速攻を決めて制した。この日、第1レースは重走路で行われたが、徐々に走路が回復。優勝戦の時間は、所どころ濡れている場所があり、公式発表はブチ走路だったが、選手が通るコースにはほぼ影響がなく、良走路のタイムが出ていた。
0ハンの桜木公和はスタートを残すことができず、10線最内の森且行に叩かれていく。しかし、5枠から荒尾も伸びて、バックストレッチに入る頃には先頭を奪取。6枠の篠原睦、8枠の鈴木圭一郎もそれに続いていく。
早い段階で鈴木圭が篠原をパスすると、その後は荒尾との壮絶なマッチレースとなった。インコースを外さず丁寧に周回を重ねる荒尾に対し、鈴木圭が攻略の糸口を探せないでいる。同じコースを通っても車速は一緒で、外に振りに行くと立ち上がりで戻ってこれなくなる。完全な良走路とは違うので、いつものようには仕掛けて行きづらいのか。荒尾は最後までミスすることなく走行を続け、ゴール前でチョイ差しを狙った鈴木圭を微差振り切る。3番手には、序盤の展開で苦しいレースになった新井恵匠が怒涛の追い込みで食い込んだ。
これで荒尾はGII8度目の制覇。SG、GIを含めると19個目のタイトルとなる。おととしの年末のSGスーパースターを制して以来の栄冠。デビューして2級車時代から27期でトップに君臨し、約18年経った今でも同期でトップ。ここまでモチベーションを保ち続けるのは容易ではないこと。オートレースに対する情熱、勝利にこだわる姿勢が好成績を持続させる基になっているのだろう。まだまだ荒尾は止まらない。抜群のスタート力と、粘り強いイン走法。この2つの持ち味を武器に、オートレース界で存在感を示し続けていきそうだ。
浅香潤がまんまと逃げ切り勝ち!
伊勢崎で行われていたGI第42回シルクカップは、地元の23期・浅香潤が制した。0ハン単騎から8周回、先頭を守り切り2度目のGI制覇となった。
試走は浦田信輔と池田政和、早川清太郎が一番時計タイの25。次いで田中賢と伊藤信夫が26、吉原恭佑が28、浅香潤が29、鈴木聡太が30だった。
序盤の動きだが、まずは浅香がしっかりとスタートを切る。10線は最内の鈴木聡が先行し、浦田が準決同様の好ダッシュを決める。しかし、レース序盤のホームストレッチで浦田の車がブレる。これに鈴木聡以外の10線勢がやや不利を被る。この隙に、前を走る浅香と鈴木聡はリードを広げることができた。
その後は浅香がマイペースの逃げに入る。鈴木聡はレース前半、差を詰めることができないでいたが、残り3周あたりから徐々に浅香との間隔を詰め始めた。そして、最終周回のバックストレッチではインに切り込めそうなチャンスがあったが、入り切るまでは行かず、浅香がなんとか逃げ切った。3番手以下は中団を捌いて追撃態勢を作っていた早川が、前の2車に詰め寄ったが3着一杯だった。
浅香はこれで2度目のGI制覇。1997年に勝って以来なので、実に22年ぶりの栄冠。逃げ粘る苦しいレースではあったが、上がりタイム3・356は素晴らしい数字。追い込む方にとっては浅香以上に苦しいレースだったハズ。23期の浅香は、そろそろベテランの域に入ってくるが、これからもまだまだそのスピード力を発揮して、オートレースを盛り上げていくことだろう。