
佐藤貴也が悲願のSG初戴冠
予選、準決と良走路で行われてきたSGオールスターオートレースは、優勝戦も良走路での競争になった。この優勝戦を勝ち切ったのは浜松の佐藤貴也。トップスタートを決め、最後まで先頭を譲らない完璧な走りだった。
試走は青山周平と佐藤貴也が一番時計で30。次いで、浦田信輔と高橋貢が31、中村雅人と新井恵匠が32。岩崎亮一が33で篠原睦が34だった。
レースは先述のとおり、佐藤が先行。ここに序盤で篠原と高橋が続く形。4番手で青山が隙を窺っていた。中村は最後方からのレース。浦田と新井、岩崎も展開的に苦しくなる。佐藤は自分のコースを自分のペースで走る。篠原と高橋は佐藤に仕掛けるまで行かず、青山も行き場を失っている。最後方から中村が番手を上げていた。レース中盤は佐藤の後ろで激しい競り合いがおきていた。中村が一気に2番手に立とうとしたが、この差しは流れてしまう。新井も競り込んで来てたが、やや被害があり後退。なかなか見ごたえのある競争になったが、最終的には佐藤の押し切り。嬉しいSG初優勝になった。
佐藤はこれまで記念レースを獲ったことはあったが、SGとなると縁が遠かった。思い当たる原因はスピード。近年の佐藤は、大きいコースを走るのではなく、インを小回りする走り方が体に染み付いていた。走るコースが小さいと、自然とスピードは出ないモノ。ただ、そのコース取りでもスピードが出る走り方が徐々に身に付いてきた様子もあった。その結果が今回の栄光を引き寄せた感がある。ある意味、オートレースの常識を覆した走法。いろいろな選手が個性ある走りをするからこそ、オートレースの魅力は倍増する。今後も佐藤の活躍を願って止まない。
有吉辰也が約6年ぶりに記念レース制覇!
山陽で行われていた第24回GI平成チャンピオンカップは、飯塚の有吉辰也が制した。0オープンの優勝戦でトップスタートを切り、最後まで後続に抜かせない走りで逃げ切った。記念タイトルから遠ざかっていた有吉は、これが約6年ぶりの栄冠となった。
試走タイム1番時計は佐々木啓と西原智昭で30。次いで、丹村飛竜と有吉辰也、角南一如、佐藤貴也が32。中村雅人と荒尾聡が33と、数字を落とした。
トップスタートは有吉。これに佐藤が乗って出る。スタート行くと思われていた荒尾は、むしろ外の西原に被されてしまう形。最内の丹村も行き切れず、当ブログ本命の中村は完全にへこんでしまい最後方からのレースになってしまう。
まずは有吉の逃げ。ハイペースというほどではないが、しっかりとコースを外さずに回っている。2番手は佐藤が走っていたが、佐々木が徐々に番手を上げ、ついに佐藤をも交わしてしまう。ただし、佐々木は有吉を仕掛けるまではいけず、むしろ荒尾や佐藤を交わしてきた西原にやられてしまう。そこから西原は有吉との差を詰めにかかる。周回ごとに差はつまったが、最終的には有吉がトップでゴール線を通過。優勝を決めた。
有吉は2013年9月の落車で長期欠場を余儀なくされた。翌年の4月には復帰できたが、同じ月に再び落車。7月に復帰も、翌年1月にも落車。これらの事があったからかどうかは分からないが、記念レースの優勝からは縁が遠く なってしまっていた。しかし、ここに来て復活のV。今回の優勝戦メンバーでトップスタートを切れたことは大きな収穫。かつては「カミソリスタート」の異名と共にSG連続優出記録を19に延ばすなど大活躍を見せていた。今回の優勝を契機に再び、「速攻逃げ切りの有吉」を見せ続けてもらいたい。
永井大介が8度目のプレミアムカップ制覇!
山陽で行われていた特別GIプレミアムカップは、川口の25期・永井大介が制した。最内の1枠からスタートを決め、そのまま誰にも抜かれずゴール。これでこの大会は8度目、川口のGIに続いて記念連覇になった。
試走は青山周平が一番時計の27。鈴木圭一郎が28、永井が29、西原智昭と荒尾聡が30、若井友和と鐘ヶ江将平が31、高橋貢が一番悪くて33だった。スタートは先述の通り、永井が先行。これに西原と鈴木圭が乗って出る。若井はややへこむ形。外枠では青山が悪くないスタートを決めていた。
永井の逃げをピタリマークは西原。道中で1回インに車を向ける素振りがあった。しかし、これは入りきれず車を引いてしまう。3番手では鈴木圭が様子をうかがっていた。なかなか番手に変動がなかったが、レース終盤でまず動いたのは鈴木圭。7周回1コーナーで西原のインに突っ込む。この仕掛けが決まると永井と一対一になる。残りの1周半は見応えがあった。ジワリと迫り来る鈴木圭に永井は冷静に対処していた。インコースをしっかり守り切り、ゴール前ではかなり差を詰められたが、最終的には永井が振り切った。
3着には後方から追い込んできた青山が西原を交わして入線。鐘ヶ江や高橋貢、荒尾は序盤の位置取りがうまくいかず苦戦。
見事に人気に応えた永井の走りは流石だった。包まれると失速する恐れがある0オープンの最内で、気負うことなく注文どおり先行。先頭に立ってからはペースが上がらないかに見えたが、上がりタイムを考えればスピードは出ていた。ここにきて記念を連覇するなど、永井は全く衰えていない。鈴木圭の躍進が目立つオートレース界だが、さまざまな選手が個性のある走りを見せ続ける限り、オートの魅力は保ち続けられていくことだろう。
永井大介が圧巻の走りで制す!
川口の第66回GI開設記念グランプリレースは、地元の25期・永井大介がスタート先行から悠々と逃げ切りV。永井はこの大会2004年以来となる2度目の優勝を達成した。
試走一番時計は大木光と佐藤貴也の27。次いで永井が28、若井友和が29、中村雅人と山田達也が30、森谷隼人が31、松本やすしが大きく落として34だった。
レースは1回目のスタートで森谷がフライング。再発走となった。最初のスタートでもタイミングは良かった永井は、2度目でもジャストのクラッチミートを見せる。2枠から先行すると、まずは逃げ態勢を整えた。2番手には佐藤が付けていたが、3番手にいた大木の差しをくらってしまう。4周目までは、2番手で佐藤と大木がやりあう展開になり、最終的には佐藤が大木に競り勝つわけだが、その間に大きなリードを広げたのは永井。最後は佐藤が多少、差を詰めてきたがトップでゴールを通過し見事に優勝。
2着には佐藤が入り、3着には7番手発進になった中村が、ジワジワと番手を上げて行き、道中で大木をパスして3番手入線。5番手以下は大きな動きがなく終了。
試走タイムやメンバー比較、好枠の魅力から一番人気に推された永井は、しっかりとその役目を果たした。流石は千両役者といったレース運びだった。近年は鈴木圭一郎の台頭により、SG戦線では結果を残せないでいた永井だが、ここにきて改めて存在の大きさを示せた形。エンジンとタイヤがマッチし、今回のようなスタートが切れれば、自身15度目となるSG優勝も夢ではない。中堅の域に入りつつある25期だが、まだまだオートレースを盛り上げるような強烈な走りに期待できる。
松尾啓史が劇的大逆転で記念レース連覇!
2月25日に行われた伊勢崎のGIIレジェンドカップは、山陽の26期・松尾啓史が制した。松尾は前走の浜松GI優勝に続き、記念レースで連続優勝。完全に好調の波に乗れている。
レースはまず0ハンの笠原三義が逃げ態勢に入る。10線の田方秀和は笠原を追うことができず、20線勢の標的にされてしまう。その20線でスタート行ったのは最内の谷津圭治に森且行の25期両者。大外の高橋貢も同ハンからは3番手発進と上々のスタートだった。笠原の逃げに対し、谷津や森は差を詰めることができない。序盤で好位を奪った高橋貢が4周回で笠原を捕え、独走態勢に持ち込む。残り4周を残し、高橋貢の勝利が決まったかにみえた。しかし、この高橋貢を追って行く車があった。それが松尾。2番手に立ってからは高橋貢を抜くタイミングを計っていた。最大のチャンスは青旗前の7周4コーナー。松尾はキッチリと抜く態勢を整え、高橋貢のインに車を向けたが入り切るまでは行かず、このままレースが終わるかに思えた。しかし、最後にドラマが待っていた。8周4コーナーでも高橋貢のインに車を向けると、ゴール手前でチョイ差しが決まり見事な大逆転が決まった。
このレースでも8番手からの競争となってしまった松尾。スタートを含めて序盤の動きには不安があり、長年それが解消しない状況が続いている。しかし、その弱点を補って余りあるレース後半の伸び。強烈な追い込みが松尾の最大の武器。今はエンジンも乗り手も絶好調で、周回が多いレースでは持ち味を最大限に発揮できている。今回のレースを見ても分かるように、松尾の走りはSG優勝戦の10周戦に向いている。もちろんレース序盤の動きが安定してくれば、チャンスは何倍も増してくる。そうでなくても今の状態を保てれば、もっと大きな栄冠がその手に近づいてくるだろう。今後の松尾が楽しみでならない。