荒尾聡が強烈な走りで、その存在感をアピール!
第39回SGオールスターオートレースは、5日間のシリーズで最後まで好天に恵まれた。ファンの思いを乗せた優勝戦は地元の27期・荒尾聡が制した。荒尾は昨年に続き、この大会を連覇。地元の意地と執念を見せた。
試走タイムは荒尾聡と青山周平が27で一番時計。次いで、鈴木圭一郎、浦田信輔、金子が28。篠原睦、佐藤摩弥、中村雅人が29で、あまり差のない数字。近年のSG優勝戦では珍しいのではないか。
0Mオープンで肝心のスタート争いは、5枠から佐藤摩が飛び出す。これに2枠から鈴木圭が続く。以下は篠原、浦田、荒尾が続いていき、青山は苦しいレース展開になった。
その後は佐藤摩がペースを上げにかかるが、すばやく2番手に立った篠原がイン突っ込む。今度は篠原が逃げ態勢に入るが、そこまでペースは上がらない。この時、荒尾が2番手に浮上。鈴木圭は序盤で態勢を崩し、後方に下がってしまった。荒尾は篠原と一対一に持ち込むと、タイミングを見計らってイン突っ込む。きっちり交わすと、今度は荒尾が逃げに入った。この時、序盤で苦しい位置にいた青山が猛烈な追い込みを見せ、2番手まで浮上。しかし、荒尾は遥か前方にいたし、そこから差を詰めることはできなかった。荒尾が後続を引き離して栄光のゴールを迎えた。
荒尾はSGオールスターを連覇。2007年に初めてこのタイトルを制してから3度目のオールスター優勝。他のSGタイトルは2017年にスーパースターを制しているだけなので、4度のSG優勝の内、3度はこのタイトル。ファンの投票によって選出されるこの大会に、特別な思いがあるのだろう。しかし、荒尾の底力には感服させられる。以前はスタート力は全国屈指だが、独走時のスピードに不安がある感じだったが、今ではスタートはそこまででもなくても、道中の車速の乗りが良くなっている。スピード力が増している。これはSGなどの大舞台では大きな戦力。SG優勝回数も更に増えていくことだろう。
青山周平がプレミアムカップ初戴冠!
3月22日に飯塚オートで行われた特別GIプレミアムカップは、伊勢崎の31期・青山周平が制した。青山はこのシリーズで初めて優勝し、着実に記念タイトルを増やしていっている。
天候に恵まれた今回は、優勝戦も良走路で行われた。試走タイムは高橋貢が一番時計で27、次いで鈴木圭一郎が28、永井大介と青山が29、荒尾聡と中村雅人が30、若井友和と丹村飛竜が31だった。
0Mオープン戦の大事なスタート争いは、3枠の青山が先行。これに6枠から丹村が続いていく。荒尾が3番手の位置に潜り込んでいく。鈴木圭も好ダッシュを見せ、外のコースに付ける。
青山は逃げ態勢。2番手発進の丹村ではあったが、荒尾がインから交わしていく。しかし、その荒尾は2周1コーナーで鈴木圭に捲られてしまう。ここからは逃げる青山と追う鈴木圭で一騎打ち。いや、3番手に付けていた荒尾も隙を窺い、チャンスを待っていたので三つ巴の様相。
コーナーを小さく回りながらも、スピードに乗せて立ち上がっていくいつもの青山の走法。これに対し鈴木圭は捲り一本の仕掛けで時折り、前輪が青山の車の前にも出る事はあった。しかし、青山が終始、巧妙な走りに徹し、最後までスタイルを崩すことはなかった。ゴール前では外から鈴木圭が迫ってみせたが、結果的には青山が僅かに先着。執念の走りが実を結んだ。
この時期の8周戦で最初から逃げて上がり388なので、決して速いタイムではない。しかし、青山には大きな武器がある。独走でのペースアップではなくて、後続に抜かせない走り。スタートからゴールまでこのコースを通り続けるのは、さぞかし疲れる事だろう。それでも勝利を手にするために、強い精神力を維持して走り切る。車の操縦テクニックだけでなく、乗り手の内面にも成長が見られた一戦であった。
高橋貢が2年連続でレジェンドの称号を手にした!
伊勢崎オートで行われていたGIIレジェンドカップは、地元の22期・高橋貢が昨年に続き優勝を決めた。試走一番時計タイで、見事に地元ファンの期待に応えてみせた。
試走タイムは高橋貢と池田政和が29で一番時計。ついで浦田信輔と森且行が31、岩崎亮一と永井大介が32、内山高秀が33、五所淳が一番悪くて35だった。
0Mオープンで肝心のスタート争いは、5枠の岩崎が1コーナーをトップ旋回。まずは逃げ態勢を作った。これに最内の浦田が続き、高橋貢が3番手に付けた。
ペースを上げたかった岩崎だが、早々と浦田に差し込まれてしまう。高橋貢もすかさず岩崎を捲っていく。先頭に立った浦田だったが、エンジン力が勝った高橋貢が難なく捌いていく。このあとは態勢が変わることなく高橋貢が先頭ゴール。浦田が準優勝。岩崎が3番手入線を果たした。4番手以降では池田と永井が競り合う形。内山、森、五所は見せ場を作ることができなかった。
高橋貢は改めてその強さを示した。優出したメンバーの中では最も古い22期ではあったが、試走はしっかりと一番時計。地元走路での利があるとはいえ、エンジンをきっちりを仕上げてみせた。レース運びも実に落ち着いたもの。スタートで遅れずに出られた点も流石だし、その後も前を走る2車の動向を余裕を持って見ていられた。仕掛けどころを探りながらチャンスがあれば素早く攻める。交わせるタイミングなら迷いなく車を進めていく。今回は26期以前の選手による戦いだったが、そういった縛りがない、全ての選手が参加する大会でも存在感を見せ続けていけるだろう。
佐藤摩弥が鮮やかな逃げ切り勝ち!
山陽オートで行われていたGII若獅子杯争奪戦は、川口の31期・佐藤摩弥が先行逃げ切りを決め、同大会初制覇を成し遂げた。
試走タイムは丹村飛竜が27で一番時計。次いで佐藤摩、丸山智史、新井恵匠、渡辺篤が30。岩見貴史と吉原恭佑が31。小林瑞季が32と最も数字を落とした。
0Mオープン戦で肝心のスタート争いは、最内の佐藤摩が先行。これに岩見と小林が乗っていく。中枠から外ではアクシデントが発生。5枠からソコソコのスタートを決めた新井が、チェンジミスで外の3車に被害を与えてしまう。4枠の丸山は結果的に5番手発進と同様の状況に。
その後の展開は単純明快。佐藤摩がグングンとペースを上げて一人旅。最後まで影を踏ませないどころか、後続をこれでもかと引き離してゴール。上がりタイムは脅威の337。近年のSG優勝戦でもマークされない数字を叩き出していた。後続では岩見と小林が頑張っていたが、新井がこれを攻略。2番手入線を決めたが、スタート後の他車に与えた行為が反則を取られ失格。レース終盤で小林を交わした丹村が2着となり、小林が3着。
佐藤摩はホントに強くなった。昨年末のスーパースター王座決定戦トライアルで、強豪と互角に渡り合えたのが一つの要因になっているだろう。スタート力は元々、高評価を得ていた。一時期は先頭に立ってからのペースに課題を残していた。インを抑えて後続に抜かれにくい走りはできていたが、逆にスピードに乗って逃げる走りができていなかった。しかし、今の佐藤摩は独走時に車速を乗せることができるようになった。更に言えば、0Mオープン戦などではなく、ハンデ戦でも最後方から追い込んでいける捌きを身に付けている。選手としてこれと言って死角が見当たらない。このエンジン状態を維持できる限り今後、数多くのタイトルを獲得するだろう。
鈴木圭一郎が見事に完全優勝を達成!
飯塚オートで行われていたGI開設63周年記念レースは、浜松の32期・鈴木圭一郎の圧勝劇で幕を閉じた。ナンバー1らしい横綱相撲で優勝戦も力強い走りを披露した。
試走タイムは永井大介が一番時計の27、次いで、重富大輔と池田政和が28、鈴木圭と荒尾聡が29、松本やすしと鈴木宏和が30、東小野正道が31だった。
0Mオープンで肝心となるスタート争いは、戦前の予想通り最内の鈴木圭が飛び出す。ここに7枠から鈴木宏がダッシュを乗せ2番手奪取。2枠の松本が踏ん張り3番手発進。荒尾も6枠ながら4番手に付けてみせた。
トップスタートを切った鈴木圭は完全に独走状態。ゴールを切るまで影を踏ませないどころか、後続をこれでもかと引きちぎってみせた。全く文句のつけようのない激走。あとはタイムアタックをするかのような走りだった。結果的に上がり332の好タイムをマーク。タイヤが良かった2000年代前半にはよく計時されたタイムだが、近年は稀に見る数字。再び鈴木圭の快進撃が始まりそうだ。
このレースでは鈴木圭と同じ32期の活躍が目立った。2番手発進を決めた鈴木宏は、そのスタート力を改めて示したし、3番手発進の松本もこれだけの走りができると証明してみせた。悔やまれるのは道中で全くペースが上がらなかった鈴木宏のスピードと、その鈴木宏を抜けずに苦しんだ松本の捌きの甘さ。両者がお互いに不足点を克服できれば、32期勢がオートレース界を当分の間、引っ張っていく集団になりそうだ。