
青山周平が完全Vでシルクカップ初制覇!
伊勢崎オートで行われていたGI開場記念シルクカップは、地元の31期・青山周平が圧巻の走りで制した。予選中からハイスピードのレースが展開されていたが、優勝戦も試走タイムは全車が30を切る数字。その中でも青山がスピードの高さを見せ付けた。
試走一番時計は青山の22。次いで三浦康平と高橋貢が24、荒尾聡が26、浅香潤と鈴木宏和と金子大輔が27、仲田恵一朗が28だった。
スタート争いは3枠から鈴木宏が飛び出す。これに三浦が乗って行く。大外から青山がダッシュ乗せて3番手を奪取。スタート巧者の荒尾は後方からのレースになった。
トップスタートの鈴木宏は、逃げのペースを掴む前に三浦に差し込まれてしまう。そこからは三浦が逃げる番になったが、鈴木宏をパスした青山がジカ付けの態勢に。機力で勝る青山は三浦を難なく交わして先頭に立つ。そして、最後まで先頭を譲らずゴールを切った。2番手には三浦が粘っていたが、最後方から荒尾がやってきて最終3コーナーで差し込んでみせた。
青山は昨年のスーパースター王座決定戦に続き、記念レースで連覇。このシルクカップは初めての戴冠となった。しかも初日から負けなしの5連勝。今年初の出番で最高の滑り出しを見せた。全国ランク1位の青山は今年も絶好調。このまま快進撃を見せてくれそうだ。
この優勝戦では他にも見せ場が多かった。試走4番時計の荒尾がまさかの最後方スタート。しかし、ここから怒涛の追い込みで準優勝。近年はレース後半の動きがかなり良く、以前の先行から逃げ粘るスタイルからは完全に脱している。走力的に幅が広がっている。レースを組み立てる上で、作戦の引き出しが多くなるのは大きな強み。そして、高橋貢。準決までの動きでは機力不足だったが、大事な優勝戦で試走タイムの上昇が図れていた。これまでの豊富な整備経験がなせる業だ。オートレースは選手個々人に特徴がある。これらが折り重なって熱狂のレースが展開される。
青山周平がスーパースターで見事に連覇達成!
4日目は不安定走路で行われたSSフェスタだが、最終日の5日目は1Rから良走路。SS王座決定戦は、その名に相応しく試走タイムも見事な数字が並んだ。
最も試走タイムが良かったのは鈴木圭一郎の23。次いで伊藤信夫が24、早川清太郎が25。青山周平、荒尾聡、金子大輔、佐々木啓が26。4日目の落車の影響が心配された佐藤摩弥は30と大きく数字を落とした。
0Mオープンで肝心のスタート争いは、最内の青山が先行。4枠から鈴木圭が乗って出て、6枠から佐藤摩が続いていく。レースはそのまま青山の逃げへ。
1周目から青山の後ろに付けた鈴木圭は、仕掛けるタイミングを図っていた。エンジン的には鈴木圭の方が強めに見えたが、青山が巧みなコース取りで抜かせない走りを展開。インには入らせないし、捲りかけていくと外へ張り出しながら完全シャットアウト。ゴール前は鈴木圭がチョイ差しを狙ったが僅かに届かず、青山が最後まで先頭を譲る事なくチェッカーフラッグを受けた。3番手以下は激しい争いだった。荒尾が佐藤摩を序盤で交わすと、前2車の様子をうかがいながら追走。前が重なっていたため仕掛けどころがなかなか見つからなかった。そうこうしている内に、後ろから早川などが浮上してきそうだったが、これには冷静に対処して3着入線は保ってみせた。
上がりタイムは3・363。SG優勝戦で10周回なのと、トップスタートからいきなり独走に入れた展開にしては、それほど好タイムとは言えない。しかし、逆に言わせれば、その数字で勝ち切った青山の技量は半端ではない。実際にすぐ後ろでは鈴木圭がずっとプレッシャーをかけ続けていた。これに対し、まるで後ろに目があるかのような完璧な防御。エンジンが完調ならブッチ切って走ればいいのだろうが、そうでない時は作戦を変えなければならない。青山は自分のエンジン状態を把握し、それに合った走法を選択した。ただ速く走ればいいだけではないのがオートレース。2021年も青山がオート界の中心に君臨する事は間違いない。
ちなみに、SSシリーズ戦は昨年に続き重富大輔が制した。レースは中盤まで先頭を走る早船歩に角南一如がマークする展開で、重富は3番手で機会をうかがっていた。くしくも同期による争いになったが、重富が冷静に前2車を捌き、先頭に踊り出てゴール。こちらも見事に連覇を達成した。
木村武之が鈴木圭一郎を完全シャットアウト!
山陽オートで行われていたGIスピード王決定戦は、浜松の26期・木村武之が制した。木村武は2003年と2016年に同大会を制しており、今回で3度目のタイトル。スピードレースに強い印象が更に増した。
試走タイムは鈴木圭一郎が一番で23。次いで、木村武と青山周平が24、丹村飛竜と佐々木啓が26、人見剛志と浜野淳と藤岡一樹が27だった。試走タイムは数字が最も悪くても27。本走ではかなりのスピードバトルが展開されそうだった。
0Mオープン戦で肝心となるスタート争いだが、4枠から鈴木圭がトップ旋回に入りそうだったが、内から木村武が抵抗してバックストレッチでは先頭。3番手発進は青山。藤岡も8枠ながら4番手の位置に付けていた。最内の丹村と2枠の人見は完全に包まれてしまう形。
そこからのレース展開は、逃げに入る木村武と仕掛けどころを狙う鈴木圭で一騎打ち。その後ろに青山も付けていたが、前2車に割って入るまでの伸びはなく追走一杯。鈴木圭は再三、交わしにかかるが木村武はコースを外さず、更にスピードにも乗った走りを披露する。途中から鈴木圭は捲りを仕掛けようとして、直線では外に並びかけるシーンが何度もあったが、突っ込みの部分で捲り切るまではいかなかった。最後のゴール前もチョイ差しを狙ったが、僅かに届かなかった。
今回のレースでは改めて木村武の勝負強さが光っていた。ここ一番の大事な場面できっちりとエンジンを仕上げてくる。更にスタートもしっかりと決めていく。自分の展開を作ってからは、ちゃんと自分のやるべき事をこなしていく。今回はコースを守る事と車速を落とさない事。今のオートレース界は鈴木圭と青山の2強と言っていい。しかし、全ての条件が整った場合は今回の木村武のように、それを崩す存在が現れる。年齢的には中堅の域に入った木村武でも結果を出せる。鈴木圭より若い選手も育ってきている。オートレースの今後が楽しみでならない。
鈴木圭一郎がオーバルチャンピオンカップ初制覇!
飯塚オートで行われていたGIIオーバルチャンピオンカップは、浜松の32期・鈴木圭一郎が制した。鈴木圭はこの大会初制覇。また記念レースのタイトル一つ積み重ねた。
試走タイムは鈴木圭が一番時計で24。次いで滝下隼平が26、丹村飛竜と田中茂と早川清太郎が27、岩科鮮太が28、篠原睦が29、鈴木聡太が30だった。
0Mオープンで肝心のスタート争いは、5枠から鈴木圭が先行。最内から篠原が2番手発進を保ちそうだったが2コーナーの立ち上がりでは早川が出て行く。以下は岩科、田中茂などが続き、2枠の丹村は先立ち。大きく出遅れてしまった。
いきなり独走に入った鈴木圭は、試走一番時計のパワーを見せる。必死に食らい付こうとする早川を徐々に引き離していく。そこからはまさに一人旅。最後までスピードを緩めることなく、圧巻のレースを見せてくれた。2着は早川。3着にはレース序盤で田中茂の抵抗にあっていた滝下が、道中で篠原と岩科をまとめ差しで浮上していた。
それにしても鈴木圭は強かった。試走一番時計なら、スタートでそこまで好位に付けなくても巻き返してこれそうなものだが、トップスタートを決めてしまった。それもスタートの飛び出しからタイミングが抜群で、他車が一瞬止まって見えるようなダッシュだった。これにエンジン力の後押しもあるのだから、同じレースで競争をする他の選手はたまらない。これで鈴木圭はSG8V、GI12V、GII3V。GIIだけ異様に数が少ないように思えるが、これはデビューしてから快進撃の加速度が強烈だからだ。これからもこの数字はどんどん大きくなっていくことだろう。
鈴木圭一郎が大会連覇を達成!
浜松オートで行われていた第62回GI秋のスピード王決定戦は、地元の32期・鈴木圭一郎が制した。昨年の同大会優勝に続き連覇となった。
準決は重走路での競争だったが、優勝戦は良走路。試走は鈴木圭が一番時計で27、次いで高橋貢が29、金子大輔が31、平塚雅樹と荒尾聡が32、浅野浩幸と久門徹が34、吉田恵輔が最も悪くて35だった。
スタート争いだが、0ハンは内から枠なり発進。10線は最内の久門が飛び出すも高橋貢が被せて出る。その外に鈴木圭が位置付けた。金子と荒尾は鈴木圭に抑え込まれる形でのスタートになった。
浅野は逃げ態勢を作るもペースは上がらず、10線から好スタートを切った高橋貢が速攻で先頭に立つ。そこからは2、3番手を走っていた浅野と平塚が粘りを発揮する。4番手の鈴木圭は、なかなか攻略の糸口を見つけられないでいたが、慌てず騒がず落ち着いて1車ずつ交わしていく。残り3周とちょっとで2番手に立った鈴木圭だが、先頭を走る高橋貢との差は6~7車身。果たして追いつくのかどうかといった感じだったが、必死に差を詰めにかかる。そして、ゴール前。写真判定にまで持ち込まれる際どい争い。結果的に鈴木圭のチョイ差しが届き優勝。高橋貢は惜しくも準優勝になった。3着には追い込みを見せていた荒尾が食い込んだ。
鈴木圭の走りは凄かった。独走に入っていた高橋貢はセーフティリードかと思われたが、怒涛の追いで捕らえてしまった。試走タイムが一番出ていたので、エンジンがいいのはいいのだが、最後まで諦めない走りが勝利へとつながった。走りの技術だけでなく、精神面での強さもうかがえる一戦だった。現状で鈴木圭に足りない部分はない。それでも総合力はますますアップしていきそう。そうなった時には再び全国ランク1位の称号を得ることができるだろう。また、このレースでは高橋貢の存在感も光っていた。スタートの切れ、序盤の仕掛け、そしてスピード。まだまだ大舞台でレースを盛り上げるだけの余力がある。若手の成長だけでなく、高橋貢の今後も楽しみだ。