
今週は、こんな↑写真を皆様にご覧頂きましょう。これは盛岡競馬場の管理棟玄関ホールに展示されている、ダートコースと芝コースの“カットモデル”。見ればわかると思いますが、右が芝、左がダートの走路です。
驚くのは、馬が走れるように砂が敷きつめてありさえすれば良いようなダートコースであっても、相当に深いところからしっかりと造成されているということ。この深部にある砕石層のおかげで、盛岡のコースは水はけが良く保たれているのですね。そして砂の部分も、同じ砂と言っても芝とダート、表層と基礎部分で質の違うものを使い分けているのがわかります。おそらく各地の砂を比較吟味した上で、適切なものを選定したのでしょう。余談ですが、表示されている3種の砂の産地、雫石町・大和町・協和町はいずれも内陸の土地。自然のまっただ中にあるオーローパークは環境への影響に最新の注意を払って造られたと聞いていますので、塩分を含んでいて、流れ出すと周辺の山林や農地に悪影響を及ぼす海砂は使わないようにしたのだと思われます。
芝コースの方を見ますと、芝の品種が書かれているのが興味深いですね。ペレニアルライグラス・ケンタッキーブルーグラス・トールフェスクというと、なんだかとっても素敵な名前に聞こえますが、これらは全て牧草としてポピュラーな種類。放牧場、採草地の多い岩手ではたくさん植えられていますし、ケンタッキーブルーは公園の芝生などでもよく使われますので、種子が飛んで道端などに生え、「雑草」として日常的に皆さんの目にもとまっているハズです。
岩手競馬にはもうひとつ、水沢にもダートコースがありますが、関係者によりますと両競馬場の表面のクッション砂は同じものなのだそうです。しかし実際にそれぞれの競馬場でコースを見てみると、盛岡の方が白く明るい色をしており同じ物には思えません。私は撮影で露出を決めるとき、よく砂をカメラの内蔵露出計で測って参考にするのですが、このとき盛岡と水沢では、経験上、絞り半分〜一段分は明るさに差があります。とすれば、盛岡の方がより水はけが良く、含水率が少ないために、表面の“反射率”が高くなっているということなのでしょう。確かに水沢は雨が続いたり、あるいは蒸発量が少なくなる冬期間には水気が多く溜まって田んぼのような馬場になりますが、盛岡がそこまでなることはほとんどありません。
今年の盛岡開催もあと1ヶ月ほどで終わりますが、水沢に開催場が移ると、もう馬場はほとんど重〜不良。すると芝でしか良績の無い馬が突然激走ということがあり、これも冬の水沢名物(?)のひとつになっています。馬券検討の際には思い出して下さいね。
(文・写真/佐藤 到)
私が盛岡や水沢の撮影に行くとき、持ち物はけっこう多くなります。
競馬で使う撮影機材は、カメラが一眼レフ2台にレンズ6本。これはカメラマンとしては多い方ではないですが、やはり通称サンニッパと呼ばれる大口径の望遠レンズが大きくて重い。一方、広角レンズは競馬ではほとんど使いませんが、しかし無いときに限って競馬場の風景写真が撮りたくなったりするので、後悔しないように一応持って行きます。同じくフラッシュも念のため。ノートパソコンは撮影した画像データをバックアップするために使います。これも別に帰宅してからでもいいのですが、メモリーカードが壊れてしまうと撮ったものが全てパーになってしまうので少しでも早く安全にという意味と、撮影しないレースの間には以前撮った画像を整理したりするので。
これに雨具や昼メシ(手弁当だったり、前日にスーパーで買った見切り品のパンだったり)も加わり、コーヒーやカップラーメンが作れて便利な熱湯入りのステンレスボトルなどなど、撮影道具以外にも荷物は増えてしまいます。これらを背中のザックと大袈裟なウエストバッグ、右肩にPCバッグを下げ、一番かさばる300mm望遠レンズはラーメン屋のおかもちにも似た専用のトランクケースで左手に。別にこのまま山に登ろうという訳ではなく、駐車場から記者席や馬場管理室まで歩けばいいのでたいしたことはありません。しかし体中に大荷物をくっつけて歩く姿は、見る人にはインパクトが強いようですね。いろいろな方に「うわっ、カメラマンって大変だねぇ」と心配して頂いております。
かのイーストマン・コダック(フィルム会社の創設者で、撮影旅行に現像用品一式を背負って行ったというエピソードがある)ほどではないですが、まぁ地元での仕事の時はスリム化の努力をするよりいろいろと余計な物まで持参しますね。そこで、いつもの道具を全て身につけ体重計で総重量を測ってみました。結果は89kg。私自身の体重は60kg弱ですから、約30kgの道具を積載して歩いているということになります。これでも400mm、500mmといったもっと長い望遠レンズを持ち歩くよりはよほど軽いですね。ああいうレンズ、私も欲しいことはとっても欲しいのですが、その質量以上にサイフに対して負担重量になるので、当分は我慢です。
ところで先日、同じく機材満載の状態で、競馬場にある馬体重計測用の秤に乗ってみました。するとこちらの表示はジャスト90kg。サラブレッドの500kg前後の体重を量る機械ですから、100kg未満はもっと精度が落ちるだろうと思ったのですが、なかなかどうして正確に量れるものだなぁと感心しました。
装鞍所入り口にある、馬体重を計量するところ。
正式には「馬衡所」(ばこうじょ)と呼ばれています
あ゛ーっ!悔しいですね。実力があるのは間違いないのに、どこか歯車が噛み合わずにそれを発揮できない。本来の力を信じているだけに、歯がゆい想いがつのります。
何の話かって? フランスはパリで行われた柔道ワールドカップですよ。この大会は各階級1人・計7名の団体戦で争われ、これに柔道発祥の地のメンツをかけて臨んだ日本チームでしたが、女子が準々決勝でフランスに敗れ3位。男子はなんと初戦で、こちらもフランスに敗北を喫し敗者復活戦にまわったものの、今度は3位決定戦で韓国に完敗しメダルを逃してしまいました。特にオリンピック金メダリストの野村選手が明らかに調整不足。チーム全体の流れを担う先鋒でつまずいてしまったのが大きかったと思います。
ほぼ同期間に開催されていたシンクロナイズドスイミングのW杯では、日本は全種目メダルを獲得したものの(これでも相当スゴイことですが)、完璧な演技を見せたロシアには全く歯が立たない状態。F1では鈴木亜久里が率いる日本チーム「スーパーアグリ」が現実的な目標である最下位脱出さえままならず、WRC世界ラリー選手権ではスバルが長いトンネルから抜け出せずにいます。もちろんサッカーのW杯もでしたが、このごろ私が応援する勝負事はなかなか良い結果になりません。なんかこう、夢の中ではしっかりと掴んだ勝利が指の間をすり抜けていくような感じ。心の底から応援した選手の勝利の笑顔を見て、私もすっきりとした気持ちになりたいものです。
さて、フェイントはこのぐらいにしてオウシュウクラウンです。どうも本調子ではなかったようで(本ブログ9/19参照)、掲示板を外す7着という結果に終わってしまいました。調整も順調、「パドックでは良く見えたんだけどね」という声も多く聞かれ、これがいわゆる“見えない疲れが溜まっていた”という状態なのでしょうか?しかし忙しいローテーションの中で遠征したジャパンダートダービーであの走りを見せたのに、前走から1ヶ月おいてじっくりと仕上げたはずの今回がこうなってしまうとは… 馬って本当に難しいですね。
一方、実力を存分に発揮したのは牝馬サイレントエクセルでしょう。彼女の健闘で我ら岩手のファンも多少は溜飲を下げることが出来ました。地元でレースを見ていない方が馬柱だけ目にすれば、この馬は牝馬同士では連勝しているけれど男馬とGIの舞台で競ってはどうか?と思っても無理ありません。地元のトラックマンでさえ予想紙の印はあまり回せませんでしたが、しかしサイレントエクセルの勝ちっぷりを生で見ている我々には、煌めきというかオーラというか、すごく迫力があって大物感がビシビシと伝わってくる感じなのです。この調子で成長を続け、2001年のJRA福島・ラジオたんぱ賞GIIIでネイティヴハートに次ぐ5着に入着した、セイントリーフをも超える存在になって欲しいですね。
それにしても、サイレントエクセルが勝馬から首+1馬身半の着差。オウシュウクラウンが100%の力を出していればサイレントエクセルの2〜3馬身前にいたと思われ……いや、タラレバは止めましょう。あのメイセイオペラもダービーグランプリ10着からGIへの階段を登りました。今はただオウシュウクラウンの実力を信じ、復活を祈ることにします。
(文/佐藤 到)
今度の週末からは再びの盛岡開催。そしていよいよダービーグランプリがやってきます。いやぁ〜、今年はなんとも言えぬ期待と緊張感。なんといっても統一GIとなって初めて地元馬優勝が現実のものとなる可能性が出ていますからね。
その馬の名は皆さんもうご存じでしょう。そう、オウシュウクラウン! 本番を目前に控えた今、陣営も小林俊彦騎手も、そして馬自身も岩手の期待を一身に背負って巨大なプレッシャーと戦っていることでしょう。だからあまり勝て勝て言ったり書いたりしたくないのですが……、あ゛ーっっ、でもやっぱり勝って欲しい!と言っちゃいます。岩手はメイセイオペラ、トーホウエンペラー以来のヒーロー出現を待ちわびています。トニージェントが届かなかったグレードタイトルの夢を、ほんの少し時代が早すぎたトウケイニセイの分まで、オウシュウクラウンが叶えてくれることを信じましょう!
話は変わりますが、このダービーGPというレース、2000年の第5回まで11月に行われていたことを覚えていらっしゃいますでしょうか。11月の盛岡といえば冬は目の前。天気の変動が激しい時期ですから、気圧配置によっては思いっきりな寒波に襲われることも珍しくありません。実際、98年のダービーGPが予定されていた日には、なんと朝から雪が降り続き(!)昼ごろには2〜30cmの積雪が。ついに主催者は5レースで開催打ち切り、ダービーGPの延期を決定せざるを得ず、わざわざ高知からやってきたカイヨウジパングも出直しとなったのでした。このときダート三冠に王手がかかっていたウイングアローは、小回りの水沢に変わった翌月のレースで、身追い込み届かず3/4馬身差の惜敗。マイケル・ロバーツ騎手騎乗のナリタホマレが戴冠となったのでした。
今年のダービーGPには、そのウイングアローの産駒、サイレントエクセルも出走します。この馬も、さすがにオウシュウクラウンとの直接対決ではかなわないものの、3歳牝馬としてはズバ抜けた能力を見せており、このメンバーでどこまでやれるのか、大変楽しみな存在です。
というわけで岩手の競馬ファンにとってはいやがおうにも盛り上がる今年のダービーGP。フサイチリシャールの参戦もあって岩手だけでなく全国の競馬ファン注目の的となりそうですが、9月とはいえ天気によってはかなり寒くなることもあります。さすがに98年のように降雪ということはないと思いますが、関東以南から本場にお越しの方は、念のため寒さ対策を万全に。
1998年ダービー・グランプリ/優勝・ナリタホマレ
(文・写真/佐藤到)
既にご存じの方も多いと思いますが、メイセイオペラが韓国済州島での種牡馬生活を始めることになりました。これについて、ややもすると馬産地日高からの“都落ち”のように感じる人もいることでしょうが、私はそうは思いません。日本で生産する競走馬の配合を考えるとき、最大最高の目標は日本ダービーをはじめとする中央GIと誰もが考えるでしょう。日本の競馬は良くも悪くもJRAが中心。一方、ダートで行われている韓国競馬では、既に日本から輸入されたメイセイオペラ産駒が好成績をあげており、種牡馬としての評価が高まっているそうです。それに、盛岡競馬場でオーナーの小野寺さんとレンタル先のキム氏が対面した際、私もカメラマンとして同席させていただいたのですが、キム氏は、メイセイオペラが岩手の、そして地方競馬のヒーローであることをとても良く理解しようとしていると感じました。
望まれて赴くなら、それは種牡馬としての花道。これは嬉しいニュースです。
さてもうひとつ、岩手にとって嬉しいニュース。もう一頭の“岩手の雄”トーホウエンペラーが、地方競馬のファーストシーズンサイヤーでリーディング1位になりました!(8月29日現在・日本軽種牡馬協会調べ)これは同じく今年、初年度産駒がデビューしたナリタトップロードらを抑え、種牡馬全体でも14位に入る立派なもの。エンペラー自身が血統に裏打ちされたブライアンズタイム産駒ですから、走る仔が出るぞとは引退時から言われていましたが、期待以上の好成績です。
岩手ではこれまで4頭のトーホウエンペラー産駒がデビューを果たしており、残念ながら未だ勝ち星は上げていませんが、今後の活躍に期待して良いでしょう。この4頭、間もなく発売される「テシオ」でも取り上げていますが、こちらでも彼らの写真をご覧に入れたいと思います。応援の意味を込めて、いつもよりちょっと大きめのサイズでどうぞ!