
当ブログについて、3人交代で週イチ更新という予告をしたにもかかわらずほとんど更新することができず、誠に申し訳ありませんでした。
存廃問題で岩手に激震が走ったことは皆さまも各メディアやネットのニュース等でよくご存じと思います。この間、編集長は存続派の力になろうと関係者や有識者の間を飛び回っていたらしく、テシオ編集部のある社内ではほとんど姿を見ませんでした。また、よこてん氏は当テシオホームページ内にあります自身のブログに県議会の経過を詳しくアップしておりますので、そちらもご覧下さい。
ところで、県外の方々にはこのニュースはどのように伝わったのでしょう?一般の人の耳には入ったのでしょうか?私の地元・宮城県の友人からは「岩手競馬廃止だって!?」(廃止が決定した訳ではない段階での早とちりでしたが)というメールが届きましたので、なんらかの報道はあったようですが、私が全国放送のニュースを見ている間には一言も触れられていませんでした。またインターネット上でも、岩手競馬に関心を持つ方は積極的にニュースを探してお読みになったでしょうが、例えばポータルサイトのトップ画面にあるニュースのような形で一般の人が受動的に目にする機会はほとんど無かったように思います。
もしかして、益田から続く一連の地方競馬廃止にはもう慣れっこになってしまい、たとえ岩手のような規模の大きな競馬場が消滅しても、もう一般大衆の関心事にはなりえない。そういうことなのでしょうか?
まぁこれでもし本当に廃止となっていたら、債務処理負担で財政的に苦しくなった自治体を「第二の夕張」などと言って報道したのでしょうが…
一方県内では、ローカルニュースで毎日のように長い放送時間を割いて大きく取り上げられていました。その中で、街頭インタビューを行って県民の意見を聞くというのをどの局もやっていたのですが、多く言われたのは「ギャンブルなのに県税を投入するのはけしからん」というものでした。歴史的に馬を愛し続けてきたはずの岩手県民でさえこれなのですから、やはり競馬へのマイナスイメージは相当根深いものがあります。そういう私も、テシオの撮影を始める以前は競馬には近寄りがたい感覚を持っていました。
多くの人は幼いころから“ギャンブルは悪”というイメージを刷り込まれ、「ギャンブルなんてやっちゃぁ、わがんねよ。だって競馬で会社を潰したり、首吊った人もいるんだがらな!」と言い聞かせらる家庭が多いでしょうから無理もありません。しかし皆さんならお解りになっているように、何度か競馬場に足を運べば、競馬は素晴らしい観戦型スポーツであり、人と動物が力を合わせる美しさがあり、馬を育てる沢山の人達のロマンがあることが分かってくるはずです。金を賭けるのは競馬を楽しむことの一側面でしかありません。問題は広く多くの人に、いかにしてギャンブルへの抵抗感を減らし競馬に興味を持つきっかけを持ってもらうか。これは永遠の課題となるでしょう。
また、インタビューにこのように答えたご婦人もおりました。「赤字の競馬なんかやめて早く他の仕事を探せばいい。どうしても続けたいなら他の地方に行けばいいんですよ!」と。この方はもし自分の主人や息子が競馬関係者だったなら、同じ事を言えるのでしょうか?自分の大事な人が競馬に携わっていたらと想像するだけでも、そんなことは言えなくなると思うのですが…
このご婦人だけでなく、「俺は競馬やらないから関係ない」という声も多くあり、このような競馬と直接間接で関わりがなく関心も薄い人たちが、いきなり巨額の税金投入を聞かされればおいそれとは賛成できない気持ちも当然と言えるでしょう。しかし、彼らが少しでも競馬に関心を持ち、僅かでもそこに生きる人や馬のことを想う気持ちを持ってもらうことが出来たなら、世論はもっと違ったものになるかもしれません。
岩手では馬が身近にいることを、競馬が岩手の誇れる文化であることをもっとたくさんの人々、特に岩手県民に理解してもらうことは、この先とても重要なことだと思います。
20日の競馬議会で、岩手県競馬の存続が正式に決定しました。とりあえず開幕を目前にしての廃止という非道な事態は避けられました。しかし赤字を出さないことを大前提とした以上、背水の陣での開催が続いてゆくわけです。相当な改革を求められると思いますが、この先も岩手で競馬が営まれていくかどうかはこの一年にかかってきます。
これからの生まれ変わった岩手競馬にご注目下さい。
(文/写真・佐藤 到)
p.s.
3月21日の高知競馬で行われた全日本新人王争覇戦で、岩手の山本聡哉騎手が見事優勝しましたね。岩手ジョッキーによる制覇は村上忍騎手以来2人目。村上騎手は、現在ではリーディングトップ3に入る実力を身につけて活躍しています。聡哉君、暗いニュースが飛び交ったこのタイミングで嬉しい知らせを届けてくれましたね。実況の「みちのくに届いたか岩手の希望!」にも泣かされました。
記録的に暖かで、まるで春先のような冬を過ごした岩手ですが、いよいよ3月。ホントの春がもうすぐそこまで来ていますね。このあいだは“バッケ“(ふきのとう)が地面から顔を出しているのを見つけてしまいました。早いです。この調子で一ヶ月ぐらい季節が早まってやってくるのではないでしょうか。昨年4月のこのブログに、テレビでよくある「入学式に満開の桜」という図式は東北以北ではイメージ出来無いということを書いたのですが、今年は岩手あたりでそんな構図が見られるかもしれません。
さて、2月26日には盛岡と水沢で競馬場に春の訪れを告げる「安全祈願祭」と「調教開始式」が行われました。盛岡・水沢両競馬場には、馬たちの健康を願い、また事故や故障などで不運な運命をたどった馬たちを供養するため「馬頭観音」の石碑が建てられています。この日は朝9時から競馬組合の職員や調教師・騎手・厩務員などたくさんの関係者が碑の前に集まり、神主さんを招いて祭事がとりおこなわれました。
そういえばこの行事、3月の追加開催が初めて実施された昨年には行われませんでした。今年の参列者のなかには「去年はこれをやらなかったからあまりいい年でなかったのかも…」と漏らした方がいましたが、みな心のどこかでは、「今年は拝んだからきっといい年になる。いや、なって下さいよ」と思っていたのでしょうね。
神主さんはその後、業務用の1BOXカーに乗って本走路を一周。ところどころで下車しては御神酒を振りまき、特にスタンド中央では入念に拝んでいました。
お清めが終わるといよいよ馬たちの調教が始まります。このときいつも決まって真っ先に姿を現すのは、桜田勝男厩舎の所属馬。今日も桜田浩樹調教師補佐と佐々木忍騎手が、桜の花に「勝」の一字が入った厩舎の馬服でばっちり決めた2騎にまたがって先頭コースインしました。例年の調教開始の日にはコース上の雪を除雪して走路を確保するのですが、今年はその必要も無かったと思われ、いつもより多めの十数頭の馬が次々と走路に出て元気に駆け始めました。中には久しぶりの広い走路に興奮したのか暴れ出してしまう馬もいましたが、馬も人も2ヶ月ぶりのダートコースの感触をしっかりと味わったようです。
(文/写真・佐藤 到)
3月下旬までしばしの冬休みに入っている岩手競馬なのですが、そのシーズンオフを利用して、高松亮騎手と高橋悠里騎手の2名が佐賀競馬場に遠征しています。先週までの時点で高松亮騎手が28戦3勝、高橋悠里騎手は15戦1勝の成績。
高松亮騎手の方は騎乗数が多いですし、佐賀も2度目とあって安定した内容といっていいでしょう。高橋悠里騎手の方は本格的な他地区での騎乗は初めて。騎乗数もそれほど多くないながらも次第に佐賀のレースに慣れてきたな、という印象です。
なにより、どちらの騎手も勝率だけで言えば地元以上の結果ですからね。よくがんばっていると思います。
この、冬の佐賀競馬での武者修行は05年から始まって今年が3度目。受け入れは減量のある騎手に限られる上、まるまる1ヶ月以上行ったきりという条件があるため誰でもいけるというものではありませんが、若手騎手たちにとってはあこがれの的のようです。
他場での短期所属制度を目指すのはハードルが高いし、馬と一緒の遠征というのもなかなかチャンスがないですから、腕を磨きたい若手騎手にとっては佐賀遠征は一番身近な「他所の釜の飯を喰ってくる」機会。実際、佐賀に行ってきた騎手たちは皆、仕事の内容の違いに驚きかつ苦労しつつも、異口同音に「また行きたい」と言っていたものです。
現地佐賀の皆さんもいろいろな都合をやりくりして受け入れて下さっている事でしょう。来シーズンの冬は減量騎手が少なくなりますが、この遠征、ぜひ続けてほしいですね。
あ、ふと思いつきましたが、来シーズンよりデビューすると思われる菅原俊吏騎手の減量はどういう扱いになるのでしょう?俊吏騎手はオーストラリアで騎手経験があり、全くの新人では無いんですよね。よく似た経歴だったJRAの横山義一元騎手の場合、JRAデビュー戦では減量がありませんでしたから、やはりそれと同じ事になるのでしょうか。
高松亮・高橋悠里両騎手の佐賀遠征も今週末と次週で終了となります。今週は、今の時点で決定している土・日分だけでも高松亮騎手が13鞍、高橋悠里騎手が8鞍の騎乗があり、勝ち星追加に大きな期待がかかります。
私もできれば佐賀まで行って現地で応援したかったのですが、残念ながらそれは果たせずじまいになりそう。その替わりといってはなんですが、岩手での佐賀競馬場外発売やオッズパークで両騎手の馬券を購入して応援したいと思います。皆様もぜひ。
ご無沙汰しておりましたカメラマンの佐藤です。シーズンオフ期間のこのブログですが、既に他の2人が投稿しておりますように週1回更新・3人のローテーションで進行していくことになりました。よろしくお願いします。
少し前の話になりますが、元旦には恒例となった「チャグチャグ馬コの初詣」を見に行きました。チャグチャグ馬コといえば6月に行われる有名な行事ですが、そのスタート地点にあたる滝沢村の蒼前神社では、毎年1月1日に人馬が6月の本番と同じ衣装で初詣を行います。これは数年前から行われており、当初は通常初夏に目にする光景が雪景色の中に出現して違和感を覚えましたが、今では年始めの絵になるひとコマとしてすっかり定着しました。
イベントでは神社前でミニパレードも行われ、毎年、カメラマン達の格好の被写体になっていますが、今年は路面に雪が無かったためか少し足を伸ばして下の写真のところまで行進を行いました。そう、ポスターなどでおなじみの、岩手山をバックにしたあの超有名な風景です。しかし普通は黒くそびえているはずの岩手山がこの日は白く輝いて、初めて目にする景色になりました。これでいつもの冬だったら手前の里山や家の屋根にも雪があてもっと良かったのに…しかしこの行進ルートの延長自体、路面凍結がなかったから出来たことだと思いますので、珍しいシーンを撮影できただけでも良しとしなければならないでしょう。
そんな幸運もありましたが、この冬は暖冬(この言葉も耳にしすぎて飽き飽きするほどですが)のあおりから各地でイベントの縮小や中止が相次いでいるようです。札幌や小岩井の雪祭りも雪像の数を減らすとか、サイズを2/3にするなどの策が講じられたとか。今年見に行こうかと考えていた金ヶ崎町の全国犬ぞりフェスティバルも中止になってしまいました。金ヶ崎町というと水沢競馬場のある奥州市の隣に位置しますが、そりのコースを確保できないくらい雪が無いんですね。選手や関係者の方々はさぞがっかりしていることでしょう。
ところで先日、ネット上をうろついていたら、こんなイベントが行われているのを見つけました。スイスのサンモリッツ湖で開催されている、その名も「ホワイト・ターフ」。なんと凍結した湖の上にトラックをつくり、雪と氷の中で競馬をやっています。これ、私は初めて知りましたが有名なものなんでしょうか?公式ホームページが英語と独語なのでよく分かりませんが、欧州一流の馬や騎手が出ているらしいです。
そしてその競技がまたすごくて、普通に乗り役が騎乗するレースの他、一人乗りの馬橇で行う繋駕競走や、さらにはスキーを履いた人を馬が曳いてレースをしている写真が載っています。レース名がドイツ語で読めないのですが、輓馬からおもりをとって騎手にスキーを履かせた状態とでも言いましょうか。もちろん相当スピードが出ると思いますし、これで“馬群ひとかたまりになって3コーナーから4コーナーへ”なんて、完全にスタントマンの世界ですよ!仮に速歩競走だとしてもけっこう怖くないですかこれ??
そういえば車のレースでもアンドロス・トロフィーというのがありましたっけ。こちらは欧州各地のリゾートスキー場を舞台にモンスターマシンがヨーイドン! タイムトライアル方式ではなく、狭いコースを横向きにドリフトしながらガチンコバトルが繰り広げられるというなかなかクレイジーなレースなのですが、あちらでは冬期間のモータースポーツイベントとしてすっかり定着しているらしいです。
アンドロスといいホワイト・ターフといい、いやはや、やはりヨーロッパのスポーツ文化には奥深いものがありますね。日本ではおじいちゃんが幼い孫の手をひいて自動車レースを見に行く…なんてことはなかなかありませんが、あちらではよくある光景だとか。これも文化として人々の間に根付いているからでしょう。
一方、日本の競馬はといいますとギャンブラーの悪いイメージがまとわりつくのが現状ですが、日本各地の競馬場が長く歴史を積み重ねて行けば、文化として皆の間に根付くときが来るのでしょうか。
(文/写真・佐藤 到)
先週の話になりますが、1月18日の浦和競馬場で岩手競馬・南関東交流レースが2鞍行われました。
「岩手競馬交流やまびこ賞・みちのく賞」として行われたこのレース、岩手からはそれぞれのレースに6頭ずつ、計12頭が出走。結果を先に言いますと、初戦のやまびこ賞で岩手のエイシンウルフオーとロイヤルアリダーがワン・ツーを決め、2戦目のみちのく賞でもブラックオーメンが2着に入って、岩手勢がなかなかの活躍を見せてくれました(写真はやまびこ賞を勝ったエイシンウルフオー)。
このレース、実は昨年の12月に入ったあたりの頃に実施が決まり、それから出走馬の申し込みがあって騎乗する騎手が決まって……と割とバタバタと話が進んでいったもので、馬を出走させる調教師にしても騎乗する騎手にしても果たしていったいどうなる事か、半ば手探りでレースに挑んだ、という感がありました。
手掛かりというか希望というか、望みがあったのは「南関東C2級・岩手5歳以上400万円下・4歳200万円下」という出走条件でして、岩手の収得賞金で「5歳以上400万下」だとB1〜B2級あたりの活きのいい馬が出走でき、南関C2級相手なら比較して力上位と言えた事。この条件のおかげでブラックオーメンやらエイシンウルフオーやら、岩手ならA級の下位でも通用しそうな馬が出走することが出来ました。やまびこ賞を勝ったエイシンウルフオーに騎乗していた村松学騎手がレース後に「岩手の馬には楽なクラスだった」と語ったのは、その辺の事情もあったんですよね。
逆に岩手の4歳にとっては、「収得賞金200万下」という条件だと“岩手で認定を勝ってその後もソコソコ”という馬が出る事ができず、“JRA未勝利から転入してC3あたりまで”というレベルだったので、若干苦戦する事になりました。
こういう交流戦の難しさは異なる地区の力比較をどう見るか、にあると思います。以前は岩手競馬でも岩手・上山の交流戦が行われていましたが、その時の予想で苦労させられたのもやはり地区間の力比較でした。それもB級あたりの中位のクラス。重賞クラスだと「その地区のかなり強い馬」同士になるのでまだいいのですが、お互いに中間くらいのクラスだと“果たして強いんだか弱いんだか……どっちなの?”という事になってしまいがち。おまけにコース形態だとかペースの違いによる得手・不得手がてきめんに現れたりするし(同じ小回りダートコースなのに水沢だとイマイチだけど上山だと得意、みたいな馬が出てくる。重賞級の馬だとそれまでにいろいろ経験している馬が多いのであまり変わらない)、意外な抜け目にしてやられた事が何度もあったものです。
ああ、そういえばJRA・地方の交流が始まった当初もそんな感じでしたね。
今回の岩手・南関交流戦、いろいろと試行錯誤があった事と思いますが、今後の試金石として大きな意義があったのではないでしょうか。
下級条件で同じようなメンバーでのレースばかりになる・JRAからの転入馬が大きな勢力を誇る、というのはいまやどこの競馬場でも同じ。そんな中で距離に変化を持たせたりクラス分けをいじったりしながら少しでも面白いレースを、と各主催者は苦心しているのですが、そこで今回のような地区間交流戦が定着すれば、下級条件戦の大きな魅力になるのでは。結局、レースの数で一番多いのはC級のレースなんですから。
ところで、今回思った事がもう一つ。それは「岩手のファンの皆さんは馬券が上手だな」という事。
例えばやまびこ賞。ワン・ツーを決めた岩手2頭の単勝人気は2番人気−5番人気。それでいて馬単の配当1,810円。3連単は11,930円。内田博幸騎手騎乗の1番人気馬が着外に消え、2人気→5人気→4人気で決まってこれは、安すぎるんじゃないですか?
そう思ってレース後にオッズを精査してみました。そうしたら、普通は単勝人気上位の馬が前に来るほど3連単のオッズは下がるものなんですけど、やまびこ賞の場合、
エイシンウルフオー(2人気)→ロイヤルアリダー(5人気)→マリコノコ(4人気)
の3連単が119.3倍。これが
エイシンウルフオー(2人気)→マリコノコ(4人気)→ロイヤルアリダー(5人気)
で決まった場合143.5倍に上昇する。もし
ロイヤルアリダー(5人気)→エイシンウルフオー(2人気)→マリコノコ(4人気)
で決まっていても148.3倍にしかならない。
これはもう、“岩手票”がガッツリ流れ込んだ結果でしょうね。もっと高配当になっていいと思ったんですが。いやホント、皆さん目が肥えていらっしゃる、としか言いようがありません。ハイ……。