馬の名前って本当に面白いですね。ちょと考えただけでも実に様々なネーミングが思いつきます。例えばストレートに「スピード」や「パワー」のような、いかにもレースで勝てそうな言葉を入れるパターン、地名や人名、あるいは酒の名前などを入れたパターン、または王様や神様を意味する言葉を入れるなんていうのもありますね。ほかにも流行の言葉やドラマからとったと思われるものもありますし、獅子や虎、鷲鷹などの精悍な動物を取り入れたネーミングもあります(そしてたまには猫や豚なども…)。
言語では英語が圧倒的に多いのですが、ワラッテオクレヨやマイオウギ(舞扇?)のような日本語もありますし、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなど実に様々。果てはアイヌ語やハワイ原住民の言葉もあったりして、なかなかに興味深いです。
私のような貧乏人は実際に馬を持ったことなどありませんが、POGやテレビゲームで名前を考える時でさえけっこう悩んでしまいます。きっと馬主さんが馬名登録する際は、その馬が丈夫で元気に走るように、そしてレースで勝てるようにと頭をひねって命名するのでしょう。私はそんな馬名を見ながら、これはどういう意味だろうとか、こっちはあそこから取った名前かな?などと考えるのが好きです。
私は岩手競馬マガジン『テシオ』誌上で「馬名蘊蓄(うんちく)」というコーナーを担当させてもらっていまして、ちょっと気になった馬名についての話を気まぐれに書かせてもらっていました。しかし『テシオ』本誌のほうが休刊中となってしまいましたので、たまにはこちらで書きたいと思います。
というわけで今回はタイキバッカスです。「バッカス」はギリシャ神話に出てくる酒と豊穣の神で、ブドウの木を発見しワインの製法を開発したとされています。細かくいうとバッカスは英語名で、もともとのギリシャ神話では「ディオニュソス」といいます。しかし日本では洋酒入りチョコレートの商品名に使われていたりして、「バッカス」の名の方が知られているのではないでしょうか。
酒と言えば、昨年11月から今年3月まで岩手の櫻田浩三厩舎に在籍し、3戦2勝という優秀な成績を残して中央に戻ったサケダイスキという馬がいましたが(これもすごいネーミングですね ^^;)、その後の5月12日、東京芝2000mのレースで5番人気から見事勝ち星をあげています。短期間とはいえ岩手で私たちの目の前を走った馬が、移籍後も活躍してくれていると嬉しいものですね。
…本当は岩手で活躍してくれればもっと良いのですが。
5月15日火曜日の夜に起こったNTT東日本フレッツの回線障害では、ひかりIP電話と合わせて239万件の障害件数があったそうです。
そういう我が家もインターネットはフレッツADSLを利用していまして(Yahoo!BBじゃなくてご免なさいSoftBankさん。盛岡市郊外の僻地となるこの地には、長い間NTTしかブロードバンド回線が来ていなかったんです…汗)、見事に通信が断絶してしまいました。
回線不通になったのは今回が初めてというわけではありませんが、今日は雷のノイズが飛んでいるわけでもないようだし原因が思いつきません。NTT側のトラブルという考えもちらっとは頭に浮かんだのですが、タイミング的にちょうど家の者が夕方、ブロードバンドルーターのあたりをガシガシと掃除機をかけた後に不通になったものですから、もうてっきり「あーぁ、これはきっとルーターが壊れたな。4年間ぐらい使っただろうか。5年かな?いきなり壊れるもんだよなぁ。こういうのが壊れる時っていつも突然だよなぁ。そりゃ当たり前だけど、なぜか他の物の買い換え時期と重なるんだよなぁ。今回は車のタイヤだよ。うーむ、出費がかさむなぁ…」などと脳内で考えばかりが先に行ってしまいました。
そのころNTT東日本では、自社ホームページで“「フレッツサービス」および「ひかり電話」のご利用できない状況について”というリリースを出していたのですが、考えてみればネットが使えない利用者にネットで告知するというのもおかしな話です。結局、私は市内の無線LANフリースポットが設置されているコンビニに仕事関係の画像ファイルを送信しに行き、このときついでにフレッツホームページを確認して、ようやく事態を把握したというわけです。
今回のトラブルで、NTT東日本には2万件を超える苦情が寄せられたとか。昨今は私も含め仕事にネットを使っている人も多いですから、「どうにかしてくれよ」という気持ちは良くわかります。でもまぁインターネット回線も人の手で作った施設ですから、電気や水道と同じように途切れてしまうこともあるのでしょう。逆に言えばこの一件で、それだけインターネットが電気や電話と同じ“ライフライン”として社会に浸透しているということが示されたのではないでしょうか。
しかしその一方でISDN回線しか使えない地域もかなり残っていますし、私の実家のようにインターネットどころか未だに黒電話が現役の家庭さえ存在します。
社会が便利なものへ便利なものへと進歩していく中で、新しい技術を手に入れる人と手に入れられない、あるいは手を出さない人の差はこれからますます広がっていくでしょう。インターネットやテレビ放送などの通信関係はその最たる分野です。しかし最先端の技術ほど脆く、結局は紙に字を書いた手紙が一番確実だった、というのでは困りますね。
ここ北国岩手でも桜の季節が終わりました。今年の見ごろは水沢が4月22日頃、盛岡が5月1日頃だったでしょうかね?かつて無い程の暖冬で季節が一ヶ月ぐらい早く進むのではないかと思われたのも束の間、春先の冷え込みのおかげで一気に元に戻るどころか、むしろ例年より遅れ気味の春となってしまいました。
盛岡ではなぜかこの頃風の強い日が多く、とくに5月4日の夜から5日の早朝にかけては強烈な雷とともに暴風が吹き荒れ、散り始めた桜の花をいっぺんに吹き払ってしまいました。
この時期はいつも思うのですが、日本人というのは本当に桜の花が好きなんですね。岩手では毎朝まだ氷が張っているころから、気象庁が発表する桜前線に全国民が注目。そして実際の開花日が早まったり遅れたりするたびに一喜一憂し、咲いたら咲いたでテレビでは生中継、人々はいつ花見に行くかでそわそわしたりして…。ネイチャーフォト好きなカメラマンとしては、絵的に見栄えのする一瞬のタイミングを逃すまいと思いながらも仕事の都合で動けなかったり自分の腰の重さに動かなかったりして、毎年この時期は何かに追われるような気持ちになってしまいます。
桜の何がそれほどまで日本人の心を捉えるのか?あの満開時のボリューム感でしょうか、それとも小さな花びらがひらひらと舞い散る儚さでしょうか?? 余談ですが、桜の皮を使った樺細工や桜材を使ったインテリアも私はかなり好みです。また桜の染め物もやわらかなピンク色に発色してとてもきれいなものですが、あれは桜の花ではなく、開花直前の樹皮を使って染めるのだと聞いたことがあります。とすれば春先の桜の木はその体中に桜色のエナジーが充満していて、そして枝の先の小さな出口から一気に吹き出した力が花というかたちになっているのかもしれません。
昔の人は桜の下には何かが埋まってるんじゃないかと考えたそうですが、それもそんな見えないエナジーを感じたのかもしれませんね。
(文/写真・佐藤 到)
先週の開催では、騎手の「節目の勝利」が2つありました。
まず土曜日28日の3レースで、エムアイロイヤル号に乗る阿部英俊騎手が地方競馬通算800勝を達成。1番人気に応える完勝劇で、前開催日の23日にリーチをかけてから4鞍目であっさりと記録に到達しました。
そして翌29日の2レースでは、齋藤雄一騎手が自身1764回目の騎乗で通算100勝に挑みました。齋藤騎手は前週23日にも今回と同じケイアイポラリス号を駆り1番人気で挑みましたが、ゴール直前に交わされ悔しい2着。しかしこの日は後続を見事に抑えて勝利し、大台を達成しました。
話は変わりますが、ケイアイポラリスのポラリスとは、北の空に輝く北極星のことですね。ひと昔前に大流行した超人気韓流ドラマで、「迷ったときはポラリスをさがせばいい。いつも北の空に輝いているから」(うろ覚え^^;)という台詞が有名になりました。北極星は、地球の自転によって回転しているように見える空の、北側の回転軸近くにあるために北半球では沈むことなく夜空にいつでも光っているというワケです。
ところが北の大国ロシアでは、国民の3割がいまだに天動説を信じているという調査結果が最近のニュースで明らかになりました。(!) 果たしてこれは本当に現代科学の常識が行き渡ってないのか、それとも、民族的、あるいは宗教的なこだわりによる何か、例えば「科学的には認められないけど、それでも天狗はいると信じる」のようなものなのか、詳細を伝えて欲しいところです。
今日はもうひとつおめでたいニュースを。4月26日、東京は馬事公苑で行われた総合馬術のトライアル競技で、水沢農業高校3年の佐藤改選手とドリームストーン号のコンビが全国優勝を成し遂げました。このコンビの優勝は昨年度シーズン3月に続く2連勝だそうで、全国にその実力を見せつけたようです。
トライアルというと長距離コースにたくさんの障害が設定され(今回の競技では全長3000m・17障害)、完走するだけでもたいへんな競技と聞いています(落馬や故障だけではなく、規定回数、馬が乗り手の指示に従わないとその場で失格になる)。馬事公苑は私も見学したことがありますが、急な坂や段差を登ったり飛び降りたり、また1mぐらいの障害を飛び越えた先が低くなっていて絶壁のようだったりと、普通に立って見ているだけでも「ここ、本当に馬で跳ぶの?」と言ってしまうようなコースでした。あれは本当にスゴイです。
佐藤君と水農乗馬部のみなさん、おめでとうございました。
(文/写真・佐藤 到)
先週に続きまして誘導馬のその後のお話を。
悲しいことにロングシーマー号が亡くなってしまい、エイダイラビ号1頭が残されてしまいました。ラビ君はもともと脚が悪く、乗馬のとき駆歩(かけあし)をしてもギクシャクガクガクという感じの動きになってしまうほどなので、とてもひとりで全11レースの誘導をこなすことは出来ません。そこでとりあえずはポニースクール岩手に在籍する元誘導馬、駿勝号にピンチヒッターをお願いし、そのあいだに後任を決めることになりました。
実はシーマー君が倒れる以前から、1頭の馬が誘導馬候補として水沢の厩舎に入っていました。その馬の名はティエッチマインド号。覚えている方もいらっしゃるでしょうが、1999年に岩手入りし、中央復帰を挟んで佐藤晴記厩舎と千葉博次厩舎に在籍した芦毛馬で、一時はA1級まで出世した馬です。生涯成績は、A2級で行われた駒形賞優勝を含む15勝という立派なもの。テシオの「岩手競馬の卒業生たち」というコーナーで取り上げたこともありますが、最近はポニースクール岩手で乗用馬になっていました。
乗馬としてのティエッチマインドは、元オープンの競走馬とは思えないほどおとなしい馬で初心者のレッスンに使われるほどだったとか。ところが再び競馬場にやってきて誘導の調教のために馬場入りしたとたん、急に入れ込み手綱を引っぱって走り出そうとしたのだそうです。やっぱりさすがは元オープンですね〜。昔の血が騒いだのでしょう。しかし誘導馬となった以上、本番では出走馬たちの先頭を毅然と歩かなければなりません。何回か練習するうちに、なんとか落ち着いて馬場入り出来るようになったのですが、しかしレース本番となると場内放送や観客、なにより現役の出走馬が近くに来たらどうなるか… 馬場管理室のSさんや、宮内庁に“移籍”したK君の後任、乗り役のMさんらは心配で心配で仕方がなかったそうです。
いよいよデビューとなった21日土曜日の1レース、ティエッチマインド君は9頭の現役馬たちの前を堂々と歩き、Mさんの手綱さばきに従ってちゃんと帰ってきました。案ずるより産むが易し。その後もマインド君はしっかりと誘導の仕事を続けています。
また既に公式ホームページでは伝えられておりますが、誘導馬はもう1頭、アサクサムゲン号が近日中にデビューすることになっています。こちらはJRAを引退したあと、福島競馬場で誘導馬をやっていたそうなので経験はバッチリ。即戦力として期待できそうです。
普段はその存在を見落としがちな誘導馬。馬券には関係ありませんが、たまには彼らにも視線を注いであげて下さい。
(文/写真・佐藤 到)