
土曜日の朝、晴れ渡った盛岡の空に下に立つ岩手山のてっぺんは、うっすらと白く雪化粧していました。これで今季2度目の冠雪。
もうこの季節がやってきましたね。平地の木々はまだ紅葉になりきっていないなぁと油断していると、あっという間に冬が山から降りて来ます。以前、桜前線が一気に駆け抜けるので写真を撮る者としては春は何かに追い立てられるような気がする、と書きましたが、秋も全く同じ。四季のメリハリが明確な日本という国の、中でも季節の移ろいを印象深く感じられる北国ならではの、ありがたい“焦燥感”でしょうか。
さて例年この時期になりますと、みちのくレース岩手競馬は水沢競馬場へと舞台を移します。これから年明けまで、約2ヶ月半のロングラン。季節ではないですが、やはり岩手競馬は性格の異なる2つの競馬場で交互に開催するのが面白いですね。回りが違う、コース形態が違う、砂の重さが違う。特に冬の水沢は水捌けが悪く、気温が氷点に近づくと特殊な馬場になります。そのあたりも考慮して馬券の「読み」を利かせるのが醍醐味というわけです。
今年度の水沢最終開催は華々しく開幕しました。5日月曜に行われたオッズパーク&楽天競馬プレゼンツ・レディースジョッキーシリーズの第1ラウンドには、地方9名・中央2名の女性騎手が来場し、装鞍所や騎手検量室のあたりはいつもと全然違った雰囲気になりました。全国の精鋭人馬が集まる統一グレードレースも緊張感があって良いですが、こういうのも大変楽しかったです。図々しくレンズを向けさせてもらった女性騎手のみなさん、ご免なさいね(^^;)
そして!地元民としてはとても嬉しいことに、我らが皆川麻由美騎手が水沢ラウンド優勝を飾りました。いつも写真を撮ろうとすると“ヘン顔”でおどける皆川チャン。この日はレディースの前に行われたシルバーステッキ賞から良い馬ばかりを引き当て、ガチガチに緊張してしまっていたのですが、全体として素晴らしい結果になったのではないでしょうか。
もっとも本人はLJS第2戦の内容が不満でちょっと落ち込んだ表情も見せていましたが、優勝インタビューでは気合いの入ったファイティングポーズで「次も頑張って逃げ切ります!」と力強く叫びました。きっと荒尾・浦和からも吉報を届けてくれると思います!!
(文/写真・佐藤 到)
今年の紅葉はちょっと遅いようですね。例年なら盛岡開催の最後のあたりは真っ赤な山々に彩られているのですが、今年はまだ緑が残っているうちにラストを迎えてしまいました。
というわけで、またこの季節が巡って来てしまいました。「今シーズンの」盛岡開催終了、とカギカッコ内を強調して言わなければなりません。私個人の意見は昨年同時期ここに書いたとおり、岩手には競馬が存在するべきだということで変わってはいませんが、しかし去年はあれから土俵際まで寄り切られそうになり、なんとか持ちこたえたもののその後も相変わらず苦しい状況。まったく暗いニュースばかりでみなさんも気が滅入ることしばしばでしょう。
その一方、このところの岩手競馬は外部から明るい話題がもたらされていますよね。コスモバルク、タイガーマスク、スタリオンシリーズ、オッズパークグランプリなど、どれも本当に有り難いことです。これらの期待に応えるために自分は何をすればよいのか?私の貧弱な頭脳では良案浮かばず非常に歯痒い思いがするのですが、でもせめて私の周囲やネットで私の話を聞いてくれる方々に、岩手の競馬はいいよ、面白いよ、ということを伝えていきたいと思います。
話は変わりますが何年か前のシーズン終了後、岩手競馬ファンが集うある組織が、その年のベストレースを投票で決定したことがありました。そのときの一位は、ウツミジョーダンとトニージェントが死闘を演じた北上川大賞典。
さてシーズン途中ですが、今年度ここまでで、後にベストレースに推されるようなレースはと考えると、すぐには思いつかないという感じでした。もちろんいいレースはたくさんあって、例えばサイレントエクセルの活躍やマツリダワルツの末脚、豪雨のダービーグランプリなどが頭に浮かぶのですが、04年の北上川大賞典のような強烈な印象のレースというと、ちょっと物足りないかなと。ところがここ最近は大変見応えのあるレースが続いているように思うんですよね。サイレントエクセルが不利を跳ね返してゴール直前差し切った桂樹杯や、牝馬クルセイズの意外な粘りをボスアミーゴが捉えたきんもくせい賞、4歳どうしのライバルが4コーナーからデッドヒートを見せた赤松杯など。メインレース以外でも大逃げや思い切った後方待機策をとる騎手がしばしば見られています。先ほどは外から活気が注ぎ込まれているということを書きましたが、これは騎手や厩舎関係者など、岩手の現場の人間たちが良いレースを見せようと頑張っている現れなのではないでしょうか?
岩手の危機を身近に感じ、手を差し伸べてくれる外部の人々。賞金が下がり、先行きも不透明で不安と戦いながらも頑張っている現場の人々。私も些細ながら出来ることをやらねばと感じます。あとは“お上”が真剣になってくれると良いのですが…
(文/写真・佐藤 到)
競馬にはまったく関係ありませんが、先週、真昼岳という山に登ってきました。真昼岳は岩手の西側にびっしりと連なる奥羽山脈のまっただ中にある1000mちょっとの山で、東北道沿いから見ると花巻のちょうど西方向に位置します。
岩手山や須川岳(栗駒山の岩手側での呼び名です)などの有名どころが並ぶ奥羽山脈にあって、真昼岳なんて聞いたことがないという方も多いと思います。正直、私も名前を知っている程度で、県境の峠から比較的楽に登頂できるということがわかったので「山行きのシーズンもそろそろ終わりだし、カル〜く行ってみようかな〜」ぐらいの気持ちだったのですが、これがなかなか面白い山でした。
真昼岳山頂は標高1060m。岩手と秋田を結ぶ林道の県境にある峰越峠の登山口まで来ると、標高差は150mほどしかありません。な〜んだ楽勝!かというとそう甘くはなく、いくつかのピークを登っては下るという、縦走コースの定番パターンになっていてそれなりの手応えというか足応えがあります。しかも稜線づたいの登山道は左右とも風雨による長年の浸食を受け所々切り立った崖になっていて、場所によっては植物の根っこでなんとか土を押さえているだけで、ほとんど地面じゃない!というようなところも……。スリルを楽しみながら足下に注意して歩きます。
この日は天気にも恵まれ、岩手・秋田の県境を進む登山道からは両県がよく見渡せました。秋田側は眼下に米どころ仙北平野の田んぼが広がり、大曲や角館の市街が確認できます。平地から急激に立ち上がるこの山はものすごく眺めが良く、その高度感は2000m級の山でもなかなか味わえないほど。今にも地面を蹴って空中に飛び出せば、そのまま滑空して美郷町あたりの田んぼのどこかに上手に着地できそうな、そんな錯覚に捕らわれかけます。(危ない危ない(^^;)
対して岩手側は山また山。旧沢内村の集落と、遠くかすかに北上市街が見えるものの、視界を占めるのは何重にも重なった山ばかりで、改めて岩手って山の多い県なんだな〜と思います。
休憩したり写真を撮ったりしながらゆっくり歩いて、頂上まで約2時間。行ってみるまで知らなかったのですが、東北のド真ん中に位置するこの山からは沢山の名峰を望むことが出来ました。もっとも目立つのは東北最高峰の鳥海山。その向こうにうっすら見えているのは月山でしょうか。かすかに見える秋田市街の先には男鹿半島の寒風山も望めます。ということは日本海まで見えているはずですが、残念ながら霞んで分かりませんでした。岩手側に目を転じれば、ウスユキソウで有名な早池峰山。南には須川岳と、水沢の方には馴染み深いであろう焼石岳も見えます。盛岡の方向を見ると、姫神山に紫波三山。紫波三山の中には、岩手競馬の特別レース名にもなっている南昌山があります(少しは競馬関係の話も書きませんとね^^)。北隣の和賀岳の向こうには秋田駒ヶ岳と、そして我らが岩手山も辛うじて見えました。岩手山は和賀岳の上からてっぺんだけをちょろっとのぞかせ、あの雄大な山容はすっかり隠れています。よくもまぁこんな絶妙な位置関係になったものです。
紅葉にはちょっと早いようでしたが、穏やかな秋の日に素晴らしい眺望を味わうことができ、とても得した気分になりました。登山コースとしてはマイナーな山ですが、アウトドアレジャーに興味ある方ならここはホントお勧めですよ。
(文/写真・佐藤 到)
秋は駆け足でやってくるといいますが、今年の秋は特にいい脚を持っているようです。つい1ヶ月前までは汗をかきながら「いつまで夏なんだよ!」と言っていたような気がするのですが、最近では夕方、長袖を重ね着していても寒いぐらい。朝の最低気温は5度前後という日が多くなり、ハクチョウの第一陣も渡ってきているそうです。氷点下の世界ももうすぐ目の前という感じですね。
街中よりやや高いところにあるオーロパークでは、場内や周辺の山々の樹木が紅葉を始めました。パドックを周回する馬たちを走路の方から撮影すると、背景には色づいた木々が入ります。またファンエリアからは見えませんが、レース後の馬が鞍を外す下馬所には、夕陽が差し込んで木の葉(シダレカツラかな?)が逆光に輝きとても美しいんですよ。写真に季節感が出て、どちらも私の好きな光景です。
(左:サイレントグリーン 右:マイネピルエット/区界賞優勝時)
ところでオーロ本場に行かれる方は、パドック脇の紅葉した木の一本に赤い実がたくさん付いているのをご覧になっていますでしょうか?この時期、赤い実がなる木はナンテンやナナカマドなどいろいろありますが、このパドック脇の木には「カンボク」という名札が取り付けられています。カンボク?カンボクってあまり高く伸びない雑木をひっくるめて『灌木』って言うんじゃないの??と思って調べてみたら、これは灌木ではなく『肝木』というスイカズラ科の木なのだそうです。なんでも止血剤や目薬の原料になったり、殺菌効果があって爪楊枝を作ったりするので、「肝要な木」というのが名の由来だとか。ふ〜ん、知らなかった。。。そういえば6月ごろにはアジサイに似た花が咲いていましたっけ。
盛岡開催も残すところあと1開催。ラストスパートは今年もまわりの山々が真っ赤に染まってレースに彩りを添えてくれるでしょう。
(文/写真・佐藤 到)
南部杯が終わりましたね。結果はまぁ順当ということで何の文句もないのですが、それにしてもあの天気はどうにかならないのでしょうか? ……ってどうにもならんのは分かっているのですが (-_-;)、撮影にはまったく厳しい条件でした。競馬というスポーツは、雨や雪が降ってもまず中止になることはありません。雨に濡れるのはまぁ覚悟しているのですが、暗い空の少ない光で走る馬を写すというのは、撮影には都合の悪い条件がいろいろ揃って撮影者にとっては辛い状態なのです。南部杯は、今年のメインレースの中では一番暗かったのではないでしょうか。
あれ、そういえば昨年の今頃もこんな愚痴を書いてなかったかな?日没が早まってくるこの時期以降は、毎年ますます悩むんですよね。もちろんこれは競馬だけではなく、室内スポーツやナイターで行われる試合を撮影するカメラマンは誰もが苦しんでいる、逆に言えばスポーツ系のカメラマンにとっては当然の事なのですけどね。先日、大雨の富士スピードウェイで行われたフォーミュラ1日本GPのカメラマンたちもさぞ大変だったでしょう。なにしろあちらはMAX300km/hオーバーですから…。
そんな天候不順な南部杯でしたが、お客さんはけっこう入ってくれたように思います。今回のような連休中の開催時は、面白いことに天気が良すぎると入場者数はイマイチ伸びないのだそうです。気持ちよく晴れた空を見れば、ドライブやアウトドアレジャーに気持ちが傾いてしまうのも無理はないですね。やや雲が多くて、平地では雨の心配は無いけれど八幡平アスピーテラインに紅葉を見に行っても霧がかかって良く見えないかもしれないね、ぐらいが岩手競馬にとっては一番いいのかもしれません。
一方、土日は好天に恵まれましたが、日曜のメインに行われた2歳牝馬の特別戦プリンセスカップでは、ピンクゴールドが見事に優勝を果たしました。テシオPOG2007の対象馬では2頭目の特別勝ちです。オーナーのみなさん、おめでとうございます!
なお同POGは現在、『テシオ』の改変に伴い再募集中となっており、またピンクゴールドは、新たにスタートする「ホッカイドウ&岩手コラボPOG」でも対象馬となっています。みなさまどしどしご応募下さいませ。詳しくは岩手競馬サポーターズネットtesio.jpをご覧下さいm(_ _)m
話は変わりますが、上のゴール写真の背景で、パトロールタワーの中程で光っているオレンジ色の光は何だかご存知でしょうか?これは「放馬警報」と言いまして、落馬などで空馬が発生したときに馬場管理委員がスイッチを押し、注意を喚起するものです。放馬した馬はたいてい自分で馬場の出口から下馬所のほうに戻ってくるか、もしくはコースを走り続けるので係員が制止します。(これがなかなか止まらないときもあるんですが)
このレースではスタート時に2頭がつまずいて騎手が落馬し、うち1頭は真面目にも自発的に(?)馬群の外をあがって逃げ馬の直後まで進出してしまいました。逃げたセイントクイーンや、空馬を外から交わそうとしたマツリダベストには少し影響があったかもしれませんね。ところがこれらを内から差したピンクゴールドの小林俊彦騎手は、「ゴール写真で空馬に負けていたり被っていたらカッコ悪いから頑張って交わした」のだそうです。トシヒコさん、私たちカメラマンのことまで考えてくれてありがとう!
(文/写真・佐藤 到)