先週の話になりますが、1月18日の浦和競馬場で岩手競馬・南関東交流レースが2鞍行われました。
「岩手競馬交流やまびこ賞・みちのく賞」として行われたこのレース、岩手からはそれぞれのレースに6頭ずつ、計12頭が出走。結果を先に言いますと、初戦のやまびこ賞で岩手のエイシンウルフオーとロイヤルアリダーがワン・ツーを決め、2戦目のみちのく賞でもブラックオーメンが2着に入って、岩手勢がなかなかの活躍を見せてくれました(写真はやまびこ賞を勝ったエイシンウルフオー)。
このレース、実は昨年の12月に入ったあたりの頃に実施が決まり、それから出走馬の申し込みがあって騎乗する騎手が決まって……と割とバタバタと話が進んでいったもので、馬を出走させる調教師にしても騎乗する騎手にしても果たしていったいどうなる事か、半ば手探りでレースに挑んだ、という感がありました。
手掛かりというか希望というか、望みがあったのは「南関東C2級・岩手5歳以上400万円下・4歳200万円下」という出走条件でして、岩手の収得賞金で「5歳以上400万下」だとB1〜B2級あたりの活きのいい馬が出走でき、南関C2級相手なら比較して力上位と言えた事。この条件のおかげでブラックオーメンやらエイシンウルフオーやら、岩手ならA級の下位でも通用しそうな馬が出走することが出来ました。やまびこ賞を勝ったエイシンウルフオーに騎乗していた村松学騎手がレース後に「岩手の馬には楽なクラスだった」と語ったのは、その辺の事情もあったんですよね。
逆に岩手の4歳にとっては、「収得賞金200万下」という条件だと“岩手で認定を勝ってその後もソコソコ”という馬が出る事ができず、“JRA未勝利から転入してC3あたりまで”というレベルだったので、若干苦戦する事になりました。
こういう交流戦の難しさは異なる地区の力比較をどう見るか、にあると思います。以前は岩手競馬でも岩手・上山の交流戦が行われていましたが、その時の予想で苦労させられたのもやはり地区間の力比較でした。それもB級あたりの中位のクラス。重賞クラスだと「その地区のかなり強い馬」同士になるのでまだいいのですが、お互いに中間くらいのクラスだと“果たして強いんだか弱いんだか……どっちなの?”という事になってしまいがち。おまけにコース形態だとかペースの違いによる得手・不得手がてきめんに現れたりするし(同じ小回りダートコースなのに水沢だとイマイチだけど上山だと得意、みたいな馬が出てくる。重賞級の馬だとそれまでにいろいろ経験している馬が多いのであまり変わらない)、意外な抜け目にしてやられた事が何度もあったものです。
ああ、そういえばJRA・地方の交流が始まった当初もそんな感じでしたね。
今回の岩手・南関交流戦、いろいろと試行錯誤があった事と思いますが、今後の試金石として大きな意義があったのではないでしょうか。
下級条件で同じようなメンバーでのレースばかりになる・JRAからの転入馬が大きな勢力を誇る、というのはいまやどこの競馬場でも同じ。そんな中で距離に変化を持たせたりクラス分けをいじったりしながら少しでも面白いレースを、と各主催者は苦心しているのですが、そこで今回のような地区間交流戦が定着すれば、下級条件戦の大きな魅力になるのでは。結局、レースの数で一番多いのはC級のレースなんですから。
ところで、今回思った事がもう一つ。それは「岩手のファンの皆さんは馬券が上手だな」という事。
例えばやまびこ賞。ワン・ツーを決めた岩手2頭の単勝人気は2番人気−5番人気。それでいて馬単の配当1,810円。3連単は11,930円。内田博幸騎手騎乗の1番人気馬が着外に消え、2人気→5人気→4人気で決まってこれは、安すぎるんじゃないですか?
そう思ってレース後にオッズを精査してみました。そうしたら、普通は単勝人気上位の馬が前に来るほど3連単のオッズは下がるものなんですけど、やまびこ賞の場合、
エイシンウルフオー(2人気)→ロイヤルアリダー(5人気)→マリコノコ(4人気)
の3連単が119.3倍。これが
エイシンウルフオー(2人気)→マリコノコ(4人気)→ロイヤルアリダー(5人気)
で決まった場合143.5倍に上昇する。もし
ロイヤルアリダー(5人気)→エイシンウルフオー(2人気)→マリコノコ(4人気)
で決まっていても148.3倍にしかならない。
これはもう、“岩手票”がガッツリ流れ込んだ結果でしょうね。もっと高配当になっていいと思ったんですが。いやホント、皆さん目が肥えていらっしゃる、としか言いようがありません。ハイ……。