
<次走へのメモ>
第26回ビギナーズカップ(2歳オープン 水沢1400m)
1着 ワタリシンセイキ
全馬が初の1400m戦でペースが落ち着くと思っていたが、フジフーフー、ダンストングラン、サイレントピアレスが競りかけてハイペースを形成。2歳戦の水沢で前半36秒5は非常に速く、ワタリシンセイキは若干追走に手こずって5番手インからの競馬となった。
2コーナー過ぎからペースが落ち着き、3コーナー手前からスパートをかけたが、関本淳騎手「気合いをつけたら思った以上に反応が良すぎた」ため、ダンストングランに挟まれる格好。それで一瞬控えざるを得なくなり、仕掛けどころの不利が影響しそうかに見えたが、気力を持続。4コーナーを回って外に出すとグイグイ伸び、逃げたフジフーフーをあさり交わす。その時の脚色は父ビワシンセイキをほうふつさせ、ゴールは抑えたままで3馬身差をつけて完勝した。
「前半ペースが速くてついていけなかった。だから芝が合わなかったと思うが、行き脚ついてからの伸びがすばらしい。3コーナーの反応の良さがすばらしく、これなら直線勝負に賭けても大丈夫だと思った」と関本淳騎手。
ワタリシンセイキはデビュー前から評判の高かった馬だが、芝2戦4、10着と凡走したため今回は6番人気まで落ちていた。しかし父と同様、ダートに替わって動きが一変。2歳馬のこの時期に水沢1400mで1分30秒を切るのは珍しく、陣営にとっても収穫の大きい一戦となった。
今回が初勝利だったため、まだJRA認定競走出走の権利もあり、今後は様子を見ながら次走以降を決めたいと三野宮調教師。
2着 フジフーフー
1枠に入ったこともあって果敢に先行。スンナリマイペースに持ち込めるかと思ったが、先に記したように前半は速い流れ。それをしのいで直線でも粘っていたが、勝ったワタリシンセイキとは勢いの差が明らかだった。
「ペースが速かったから2着も仕方ない。この馬の力は出し切った」と草地騎手。
3着 ダンストングラン
終始2番手を追走し、直線でも渋太く喰らいついていたが、前半で脚を使った分、最後が甘くなった。「調教の動きがひと息であまり期待していなかったが、実戦で変わった。素直に一生懸命走っている」(小林騎手)
5着 ダンストンジール
ペースが速く、外枠にも入ったため4番手外につける。向正面ではいつでも交わせるような感じもあったが、3コーナーで脚色が怪しくなり、直線失速。圧倒的な1番人気に支持されたが、デビュー戦・芝1000mで見せた軽快さが見られなかった。
「調教がきつすぎたかも知れないが、それにしても走らなかった。もしかしたらダートが合わないか、初ダートにとまどったか。もう1回ダートを使ってみないと正直、分からない」と村上忍騎手。
7月21日 第12回マーキュリーカップ(Jpn? 盛岡ダート2000m)
1着 サカラート
4コーナー奥ポケットからのスタートでケイエスゴーウェイ、フィフティーワナー、エイシンロンバードの3頭が競り合う形で前半3ハロン、36秒と2000m戦では速いペースとなる。2コーナーでひとまずエイシンロンバードがハナを取って流れが落ち着く。サカラートは4、5番手インの経済コースを進み、3コーナー手前でエイシンロンバードが失速。替わってフィフティーワナーが先頭に立ち、サカラートも徐々に前との差を詰める。
直線はフィフティーワナー、シンメイレグルスが2頭で叩き合う形になったが、その外からサカラートがグイグイ伸びてラスト200mで先頭。あとはフィフティーワナーを突き放して1馬身半差の完勝。05年9月、日本テレビ盃以来、久々の白星を飾った。
「ゲートに課題がある馬だったが、今回はいいスタートを切ることができて思い描いていた一番いいレース運びとなった。向正面でうまく折り合いがついたし、思いのほか手応えが良すぎて早めに(フィフティーワナーを)交わしたので後ろが気になったが、直線も力強く伸びてくれて完勝でした。この馬とは相性がいいですね(今回含めて3戦2勝)。ボクもサカラートもまだまだ元気一杯です」と中舘英二騎手。
「負けたら小倉を使おうかと思っていたが、賞金が加算されたのでもう一度じっくり考えたい。これで選択肢が増えましたしね。できれば秋は兄弟(弟・ヴァーミリアン)そろってビッグレースに挑戦できればいいですね」と石坂正調教師。
2着 フィフティーワナー
思った以上に先行激化してケイエスゴーウェイ、エイシンロンバードの間で2番手をキープ。3コーナー手前で押し出される格好となったが、シンメイレグルスがぴったりマークして息が抜けない展開。これが直線で伸び切れなかった最大の理由でシンメイレグルスの追撃は封じたが、外サカラートの脚色がすばらしくラスト200mで一杯となる。それでも最後まで喰らいつき、一瞬差し返すシーンもあったのだからさすがだ。
「パドックでのイレ込みはいつものこと。ハナに立つことも考えていたが、エイシンロンバードに行かれたので一旦譲った。直線でも決してバテていた訳ではないが、ピリッとした脚がないのが歯がゆい」と岩田騎手。
3着 ヤマトマリオン
3コーナー手前まではサカラートより前で競馬を進めたが、ペースが速くなった3〜4コーナー中間でちょっともたついたのが痛かった。直線ではマズマズの伸び脚を披露したが、前の2頭とは離されての入線となる。
「おそらく帝王賞はナイターが合わなかったかも。前との差はあったが、展開次第でもっといい競馬ができたのでは」と小林徹哉騎手。
4着 シンメイレグルス
フィフティーワナーを完全にマークする戦法を取り、道中ずっと直後外を追走。そのまま直線に入ってフィフティーワナーとのマッチレースかに見えたが、ラスト250mで脚色が鈍って一杯となる。
「4コーナーを回って勝てたかなとも思ったが、直線で手応えがなくなってしまった」と的場騎手。
7着 スウィフトカレント
前半は後方でジックリ待機して3コーナーでは徐々に進出。その時の伸び脚は悪くなかったが、直線で苦しくなってしまった。「ダート自体は悪くなさそうだが、調子がもう一つだったのでは。直線ではバタバタになっていた」と福永祐一騎手。
7月13日 第9回オパールカップ(地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)
(オパールカップ ゴール 1着・カクテルラウンジ 写真・佐藤到)
1着 カクテルラウンジ
道中は中団インでじっと待機。3コーナーで各馬がスパートをかけてもマイポジションをずっとキープ。4コーナーを回って直線から外に持ち出し、満を持して追い出すとアッという間に他の馬をごぼう抜き。逃げ込みを図ったウィンエヴリーをきっちり捕らえて快勝。瞬発力の差をマザマザと見せつけた。
「調教師の指示どおり前半は貯めていこうとインで我慢した。小回りでコーナーがきついと思ったので直線に入ってからスパートをかけたら一完歩ごとに伸びてくれた」と吉田稔騎手。
カクテルラウンジは昨年大晦日に行われた「東京2歳優駿牝馬」で3着に入り、今年JRA芝へ2度挑戦。春菜賞は4コーナーで不利を受けながら0・6秒差6着、きんせんか賞は折り合いを欠いて14着に沈み、今回が3度目の芝レース。吉田稔騎手のコメントどおり、直線を向くまでずっと抑えたまま。ラスト300mで吉田稔騎手がゴーサインを出すとすばらしい反応を見せてくれた。
父がタニノギムレットで祖母がダイナアクトレスという超良血馬。前日に盛岡に入り、馬体重が前走比マイナス13キロ。412キロでレースに臨んだが、馬体を見る限り細くは映らず、陣営もさほど気にはしていなかった。
きんせんか賞以降、3戦連続で二ケタ着順に沈んでいたが、大井・若竹賞後はこのレース1本に絞って調整。メンバーが甘かったことも確かだろうが、今回披露した切れはさすが良血馬と思わせるもの。秋以降の成長が楽しみになった。
2着 ウィンエヴリー
「折り合いが難しいので前に馬がいる形でレースを進め、できれば逃げたくなかった」(菅原勲騎手)そうだが、ゲートが開いた瞬間、すでに1馬身のリード。抜群のスタートを切り、他も行く気配がなかったため逃げの手に出る。
道中は手綱をガッチリ抑え、後続を引きつけて直線で追い出してセーフティリードを取ったかに見えたが、外を強襲したカクテルラウンジとは脚色の差がはっきり。
「スタートも良かったので行かされる形になったが、仕方がない。切れで相手が一枚上だったということでしょう」と菅原勲騎手。
3着 テンショウベスト
前々走の芝・はまなす賞は中団からの競馬だったが、今回は2番手の積極策に出る。道中もずっと2番手をキープして直線でも自身の持つ脚は使ったが、いわゆる決め手のないタイプ。3着に粘ったことで十分健闘したと言えるだろう。
「調教も自分がつけているが、決して調子はいいとは思わなかった。それでも3着ですから良く頑張った」と村松騎手。
4着 デキシーメイ
前半はカクテルラウンジより後ろで競馬を進め、3コーナーから徐々に進出したが、直線の追い比べで伸びがもう一つ。スピードに乗り切れなかった印象だった。
7着 リュウノツバサ
1周目スタンド前で掛かり気味に4番手外を追走。向正面でも行きたがる仕草を見せて折り合いにちょっと苦労した感じ。芝1600m・はまなす賞、ダート1800m・ミルキーウェイカップと目下2連勝中で単勝1・6倍の1番人気に支持されたが、直線で失速。ダイヤモンドカップから4連闘で臨んだ見えない疲れがあったか。
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7月6日 第40回岩鷲賞(3歳以上オープン 地方競馬全国交流 盛岡ダート1200m)
1着 トーホウライデン
前半は5番手インの経済コースを進み、3コーナーから徐々に進出。内でスパロービートが粘っていたが、ラスト100mで交わして先頭。最内からヤマニンエグザルトが鋭く伸びてきたが、トーホウライデンはまだ脚色に余裕があり、完勝に近い内容で鞍上の高橋悠里騎手はガッツポーズでゴールに入った。
「前回(6月23日 A級)で本来の動きを取り戻して復活を実感。今回も期待して乗ったが、ハイペースの流れにもついていけたし、展開もこの馬に向いていたと思う。直線で追い出したらスッと反応してくれたので、内からヤマニンエグザルトが来るのは分かっていましたが大丈夫、勝てると思いました。このレースで99勝でしたから、できれば区切りの100勝で優勝できれば格好良かったかもしれませんね(笑)」
前半3ハロンが35秒0。早池峰賞より速くなかったが、速いペースにも戸惑うことなく対応。なによりも特筆できたのは追い出してからの反応のすばらしさ。高橋悠里騎手が「これで勝てる」と確信したのもうなずけた。
振り返れば好調時にはマイルでも折り合いを欠くシーンがまま見受けられ、本質的にスプリント決戦、そしてスピード競馬が合ったということ。父がブライアンズタイム、母父ミスタープロスペクターの血統背景ならそれも納得できる。
走破タイム1分12秒1は全国区の強豪が相手では足りないかも知れないが、今の馬場を考えれば非常に優秀。早池峰賞の勝ちタイム(1着 ダイワフォーチュン)が1分12秒6からさらに0・5秒詰めていた。
過去、トーホウライデンの最短レースは水沢1300m戦で、1200m戦は生涯初めて。データ的に未知数だったが、おそらく折り合い、瞬発力などを考えれば短距離がベストかもしれない。
今後の目標は8月16日、水沢1400mで行われるJpn?・クラスターカップ。この1400m戦は昨年、浦和と岩手の交流レース・龍泉洞特別を圧勝した実績もあり、トーホウライデンには望むところの条件。地の利も生かして好勝負を期待したい。
2着 ヤマニンエグザルト
後方8番手を追走は早池峰賞と同じ戦法。しかし3、4コーナーの反応がひと息でもたつき気味。それで板垣騎手は最内を突いて強襲、クビ差まで肉薄したがそれが精一杯。惜しくも岩鷲賞2連覇はならなかった。
「レースをしたのは直線に入ってから。道中はまったく行く気がなかった。多分、前回(みちのく大賞典2000m)で長い距離を使った影響があったかも」と板垣騎手。
3着 マンジュデンコウベ
早池峰賞は5番手、今回は6番手とほぼ同じポジションを取ったが、勝負どころでヤマニンエグザルトと同様にもたつく。直線は外を通ってジワジワ伸びてきたが、前の2頭との差は5馬身。自己の能力は出し切ったと思うが、如何せん1200m戦の瞬発力勝負は厳しい。それならば中央時代、ダート1400m戦を勝ったことがあるクラスターCの方が好走の目があるかも。
4着 スパロービート
2枠に入って楽に先手かと思ったが、リキアイヤマノオーがハナを譲らない構えを見せてハイペースを形成。それでも枠差から先手を取って直線でも先頭に立ったが、我慢できたのはラスト100mまで。その後は力尽きて4着に敗れた。
「これまでの勝ち星が1000mまでのようだが、これから経験を積めばもっと距離が持つのでは。3歳馬なので今後、もっと成長すると思う」(村上忍騎手)
6月29日 第9回ミルキーウェイカップ(3歳オープン 盛岡ダート1800m)
(ミルキーウェイカップ 1着リュウノツバサ 写真・佐藤到)
1着 リュウノツバサ
1枠に入ったエイプリルボーイが予想どおり先手を奪い、リュウノツバサは2番手を追走。その直後にゴールデンクリークがつけ、淀みないペースでレースが進む。4コーナー手前、馬なりでリュウノツバサが交わして先頭。ゴールデンクリークもエンジンを全開させ、直線は2頭のマッチレース。リュウノツバサはラスト200mで2馬身ほどのリードがあったが、ゴールデンクリークが一完歩ごとに差を詰める。この叩き合いは見応えがあったが、半馬身差リュウノツバサがしのいで岩手ダービー・ダイヤモンドカップの雪辱を晴らした。
「1コーナーあたりから掛かり気味になって折り合いにちょっと苦労した。砂を被らせると折り合うだろうが、この展開になったら仕方ないので追い出しをギリギリ我慢させ、相手はゴールデンクリーク1頭だと思って必死に追った。ダイヤモンドCより1ハロン短縮されたのと1キロ軽かったハンデも味方したかもしれないが、後ろから来たらまた伸びてくれた。前回は芝で完勝したときは実感しなかったが、ダートに戻って春より動きがよくなった。折り合いさえうまくいけば2000mの距離も克服できるかもしれません」と村上忍騎手。
この後の3歳路線は芝重賞・オパールカップが7月13日にあり、前々走・はまなす賞の強さからもリュウノツバサが人気を集めるに違いない。
2着 ゴールデンクリーク
枠差もあってリュウノツバサをぴったりマークする形で3番手外を追走。そのリュウノツバサが動くのを見てスパートをかけ、直線でジワジワ差を詰めにかかったが、半馬身差までが精一杯。「今回は完敗でした」の板垣騎手のコメントどおり、ゴールがもう先でも着順は替わらなかっただろう。
3着 テンショウベスト
前半は5番手外につけ、3コーナー過ぎにスパート。直線でもマズマズの脚を使ったものの、2着ゴールデンクリークとの差は5馬身。これが現状の力関係だろうが、このメンバーでも3着を確保するのがテンショウベストの持ち味。
6着 エイプリルボーイ
ダイヤモンドCは出遅れもあって4番手に控えたが、今回は絶好の1枠に入り好スタートから逃げの手。道中は13秒前後のラップを刻み、速からず遅からず。いい手応えで逃げていたかに見えたが、4コーナー手前で交わされてしまっては一たまりもなし。直線では格下にも先を越されて6着に沈んだ。
7着 コンバットキック
前半は後方2番手でジックリ待機し、3コーナーから追い出しを開始してその時の反応は良かったが、直線では伸びひと息。レース前、三野宮調教師が「長く脚を使えないので、どこでそれを使うかが難しい」と語っていたが、瞬発力勝負のタイプゆえ今回のように先行馬の流れで決まってしまうとさすがに苦しい。現状はハイペースの手助けがないと突き抜けるのは難しいかもしれない。