<次走へのメモ>
9月8日 第30回桂樹杯(3歳以上オープン 盛岡芝1600m)
(写真・佐藤到)
1着 ナイキアヘッド
「ジョリーズジョーが先に行くなら行かせようと思ったが、自分の馬の方が半馬身ほど速かったのでそれならば逃げてみよう」と小林騎手が判断。外枠から馬なりで先手を取ってマイペースに持ち込む。道中は12秒台の正確なラップを刻んで4コーナーでも手応え十分。ところが、直線に入って落鉄したようでバランスを崩してインに切れ込む。それで内にいたボスアミーゴ、サイレントステージの進路を妨げて審議の対象になったが、着順を変更するまでには到らず、内ボスアミーゴの追撃をクビ差封じ、岩手初勝利がうれしい特別タイトル制覇となった。
「馬場が馬場だったので(台風一過の影響で多量の水を含んだ芝)、先に行って正解でしたね。直線で一旦交わされたけど、並んでから根性を出してくれた」と小林騎手。この後は芝の規定路線・OROカップへと向かう。
2着 ボスアミーゴ
いつもどおり前半は無理をせず中団インにつけ、向正面からジワジワと前に進出し、4コーナー手前では早くもナイキアヘッドを射程圏に入れる。直線ではナイキアヘッドのインをすくって叩き合いに持ち込んだが、ナイキアヘッドが内によれた影響も受けて最内サイレントステージと接触。それでも気力を振り絞って内から盛り返したが、クビ差届かず2着に敗れた。
今回は直線での不利があったにせよ、完成度の差も出た印象。本質的には両馬場の芝で切れを発揮するタイプだけに、今回は馬場にも泣いたかもしれない。とは言え古馬は57キロ、本馬は53キロと負担重量に恵まれたとしても僅差2着は実力のなせるワザ。次走以降は古馬の流れにも慣れ、逆転の可能性は非常に高い。
3着 サイレントステージ
1枠に入ったこともあって終始5番手インを追走し、直線でもボスアミーゴのさらに内に進路を取る。その結果、一番の不利を受けてラチにぶつかるアクシデントもあったが、このメンバー相手に3着は立派。今後の見通しも明るくなった。
4着 サイレントグリーン
今回は追走するのに手こずり、ひとまず直線を向いて追い込んできたが、4着止まり。芝は合うが、1600mはやはり短すぎた。
9着 タイキリオン
あじさい賞(盛岡芝1700m)を快勝し、距離1600mも向くと3番人気に支持され、3番手の積極的なレース運びを見せたが、直線失速9着に沈む。7月15日以来の実戦が響いたか。
9月9日 第15回青藍賞(3歳以上オープン 盛岡ダート1600m)
1着 サイレントエクセル
(写真・佐藤到)
抜群のスタートから不利をまったく受けない外4番手を進み、3コーナーで一度気合いを入れるとすばやく反応。4コーナーでは馬なりで先陣グループに並び、ニューベリー、トーホウライデンらも必死に食い下がろうとしたが、ラスト100mでアッサリ抜け出すと一瞬で3馬身差をつけて完勝。テンショウボスにみちのく大賞典3着の雪辱を見事に晴らした。
「ビューチフル・ドリーマーカップ優勝後、牡馬相手でも負けないと宣言してしまいましたが、それが実現できて素直にうれしい。いつも一生懸命に走ってくれるので本当に頭が下がります。この頃、ズブくなった感じがしたので残り600mで気合いをつけたら伸びてくれたので、今日はやれそうだなと思った。次走はもちろん南部杯。並大抵ではない馬が来るのでいい経験をさせたいですね」と板垣騎手。
2着 テンショウボス
スタートで出遅れを喫し、それで6番手からの競馬を強いられる。それでも徐々に前に進出し、直線は外に持ち出して伸びてくる。ひとまず前の3頭はさばいたものの、サイレントエクセルとの差は如何ともし難かった。
「内枠でしたから出遅れなくても包まれる可能性があったから、逆にうまく外に出せたからね。ただ今回は動きが本物ではなかったし、ゲートの中でも集中力がなかった。激しいレースの連続だったが、その反動が出たかも」と小林騎手。
3着 エアウィード
サイレントエクセルの直後インで競馬を進め、テンショウボスより早めに動こうとしたが、3〜4コーナーでもたつく。それでも直線は自己の力を出し切って3着を確保した。「前回(クラスターカップ4着)より調子落ちかもしれなかったが、それなりに走ってはいた」と村上忍騎手。
4着 ニューベリー
シアンモア記念の再現を狙ったのだろう、果敢に逃げる。しかし「回りが合わない」(菅原勲騎手)の言葉どおり、直線に入ると一杯になってしまった。
<次走へのメモ>
8月25日 第30回すずらん賞(3歳以上オープン 水沢1600m)
1着 コスモスパーブ
スタンド前は先陣から5馬身ほど離れた中団に待機し、向正面から徐々にスパート。3コーナー前後で逃げたトーホウライデンの直後2番手まで進出し、4コーナーでは早くも馬体を併せる。直線を向いてトーホウライデンは渋太く粘ったが、コスモスパーブの勢いが上回り、転入3戦目で特別タイトルを手に入れた。
「どんな流れにも対応できる馬なので、ポジションはあまり考えていなかった。トーホウライデンを楽に逃がしてはマズいと思って早めに仕掛けたけど、その分だけ末が甘くなった。でもこれからもっと強くなりそうですよ」(菅原勲騎手)次走は重賞・青藍賞へ向かいたいと田村調教師。
2着 トーホウライデン
内枠に包まれるより逃げた方がいいと、高橋悠里騎手が判断して果敢に先手を取る。道中、マイペースの逃げに持ち込んだが、コスモスパーブに早めに馬体を併せられて直線半ばで一旦交わされながら、また差し返す。さすがにゴールで力尽きてしまったが、初のオープン特別でこのレースなら上々。今後に期待をつながせるに十分の内容だった。
3着 ブラーボウッズ
例によってあおり気味のスタートで後方2番手からの競馬。3コーナーでスパートをかけ、大外からいい脚で伸びてきたが、前の2頭に割って入るまでの勢いはなかった。
8月26日 第33回ビューチフル・ドリーマーカップ(3歳以上牝馬 水沢1900m)
1着 サイレントエクセル
(ビューチフル・ドリーマーカップ 1着サイレントエクセル 写真・佐藤到)
前回・フェアリーカップでは道中、内に包まれて苦しい競馬だったが、今回は好スタートからすんなりジュリアの2番手につけ、いつでも交わせることができる大名マーク。2コーナー過ぎからジュリアが徐々にピッチを上げたが、馬なりで追走し、直線でちょっと気合いを入れるとあっと言う間に抜け出して6馬身差。ここではエンジンが違いすぎた。
v「1頭が競走除外(ウエスタンフォルス)になりましたが、2、3番手を追走しようと思っていたので予定どおりのポジション。今回は地元同士ですし、牝馬が相手だったのでアクシデントさえなければ大丈夫だと思っていた。実際、直線も楽でした)と板垣騎手。
これで今季の牝馬重賞・特別は終了。今後は牡馬との対戦になるが、「(今回の)タイムも優秀だし、牡馬相手でも負けたくない」と板垣騎手は自信のコメント。
2着 ジュリア
逃げは想定どおりだったが、ウエスタンフォルスも除外になり、楽にハナに立ってマイペースの逃げに持ち込む。しかしサイレントエクセルにぴったりマークされ、向正面からピッチを上げたが、楽に追走されてしまったらさすがに苦しい。それでも3番手以下の差が大きく、そのセーフティリードを生かして何とか2着に粘った。
当初は距離1900mでは長く、どこまで息が持つかがカギだったが、菅原勲騎手の好騎乗にも助けられ、重賞では昨年のひまわり賞(3歳牝馬)3着より一つ着順をあげた。
3着 クルセイズ 前の2頭から少し離れた3番手インの経済コースを追走。3コーナーでは前の2頭から徐々に差を開けられたが、直線で盛り返して3着を確保した。フェアリーカップに続いてB2級から強気の挑戦だったが、それをはねのけて3着。すでにA2級以上の実力があることを証明した。
<次走へのメモ>
8月15日 第12回クラスターカップ(水沢1400m Jpn?)
(写真・佐藤到)
1着 メイショウバトラー
好スタートを切ったが、アグネスジェダイがハナに立とうとしたので、無理せずに2番手を追走。これは武豊騎手がイメージしたとおりの展開となり、2コーナーからアグネスジェダイがペースを上げたが、楽に追走。むしろ逃げたアグネスジェダイの方が終始つつかれる苦しい流れとなってラスト100m、内で必死に粘るアグネスジェダイを楽に交わすと、あとは余裕残してゴール。結局、3馬身差の完勝劇を演じ、Jpn?4連勝を飾った。
「2頭ともお手馬なので同じレースで走ってほしくなかった(笑)。アグネスジェダイの強さは分かっていたので離されないように心がけた。いいスタートを切れたし、道中の手応えも抜群。1400mのピッタリだったし、コースも合うと思っていたが、それにしても今回は強かった。牝馬だが、体調もいいので次はG?を狙いたい」と武豊騎手。
2着 アグネスジェダイ
他の馬をけん制しながら、11番枠からハナに立つ。前半3ハロンが12秒6―25秒2―38秒1と交流重賞では決して速くはないラップだったが、4ハロン目=2コーナーから11秒台に一気に加速。これでメイショウバトラーを突き放しにかかり後続はどんどん離される一方だったが、メイショウバトラーは馬なりで追走。これではアグネスジェダイもさすがに苦しく、我慢できたのは直線半ばまで。メイショウバトラーにアッサリ交わされてしまった。
「もっと他の馬に行ってほしかったが、押し出される感じで逃げることになった。こんなにマークされればきついし、一騎打ちになると3キロの斤量差ではこの結果も仕方がない」と小牧騎手。
このコメントのとおり展開もあったが、今回はメイショウバトラーが強すぎた。次は同ハンデで戦わせてみたい。
3着 テンショウボス
6番手外を追走し、1コーナー過ぎまでは手応えも良かった。しかし2コーナーから前の2頭が後続を離し、遅れまいと小林騎手も早めスパートをかけて3コーナーでは単独3番手まで進出。それでも2頭の差は詰まらず、逆に離される一方。アグネスジェダイからも9馬身差がついたが、これは力の差。ここは地方最先着を死守した点を素直に評価すべき。
8月19日 第39回不来方賞(水沢2000m 3歳オープン)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
「内枠だったので逃げられるか心配だったが、いいスタートを決めることができた」と菅原勲騎手がレース後に語ったとおり、外から被せられて包まれると苦しい競馬になっただろうが、好ダッシュからスンナリ逃げる。あとはマイペースに持ち込み、直線でも二の脚を駆使し、阿久利黒賞、ダイヤモンドカップ、そして今回の不来方賞と地元重賞三冠を達成。
今回の勝因はマイペースで逃げれたこと、2000mの距離を経験していたこと、古馬との対戦によって鍛えられたこと、そして開幕からの調子を維持できたことなどがあげられるが、最大の勝因はセイントセーリングの実力である。
2着 マツリダワルツ
スローの流れと判断するや、南郷騎手が4、5番手追走の積極策に出る。向正面から鞍上の手は動いていたが、インからジワジワ進出。「反応は悪くなかった。ただ3コーナーで前が壁になる不利が痛かった」(南郷騎手)そうで、直線で外に持ち出して鋭く伸びてきたが、1馬身半差までにとどまる。
それでもダイヤモンドカップに続いてセイントセーリングの2着を死守し、改めてレベルの高さを証明した。
3着 ボスアミーゴ
道中は後方3番手に待機し、向正面から仕掛けるとシャープに反応。3〜4コーナーではアッと言う間に2番手まで進出したが、そのあとの伸びがもう一つ。ラスト100mで一杯となり、2000mの距離に泣いた印象だった。
<次走へのメモ>
7月29日 第8回フェアリーカップ(3歳以上オープン牝馬 水沢1800m)
(フェアリーカップ ゴール 写真・佐藤到)
1着 サイレントエクセル
出たなりで4番手インにつけ、どこからでも抜け出せるポジションかと思ったが、向正面で反応が鈍く板垣騎手の手が動く。それで一瞬、ヒヤッとしたが3〜4コーナーでようやく本来の動きを取り戻して、馬なりで追走。ただ、直線を向いても前が壁となって出る場所がなかったが、馬群がばらけたラスト150mでエンジン全開。
ジュリアを交わして先頭に立ったドリームカーニバルの内を突くや、あっという間に交わして3馬身差をつけて圧勝。やはり牝馬同士では役者が違いすぎた。
「ここ3戦、向正面で手応えが悪くなって、アレッと思ったが、3〜4コーナーでようやく走る気になってくれたのでホッとした。あとは脚色が違うと思っていたので、直線はどこを抜け出すかだけを考えた。この着差ですからね、ここでは格が違ったということでしょう」と板垣騎手。
次走は8月26日、地方競馬全国交流・ビューチフル・ドリーマーカップへ直行する。
2着 ドリームカーニバル
逃げたジュリアのピッタリ直後につけ、レースの流れを作る。ジュリアのペースは決して遅くはなくむしろ速かったが、いつでも交わせる態勢から直線入り口で先頭。菅原勲騎手はパーフェクトの騎乗を披露したが、サイレントエクセルとの瞬発力は明白で、逆に2着確保を誉めるべき。
3着 マルカンジョオー
サイレントエクセルをマークする形でレースを進め、直線は外を回って自身の力は出し切ったが、3馬身、1馬身半差の着差が実力の差だろう。
7月22日(日) 第8回オパールカップ(3歳オープン地方競馬全国交流 芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
ハイベットタイムがスタートでバランスを崩して落馬。から馬で先行グループにつけたが、ボスアミーゴはほとんど影響を受けず後方3番手を追走。向正面から徐々に差を詰めて3コーナー過ぎにスパートをかけ、4コーナーでも不利を受けない大外(内が荒れていたので落馬がなくても同じコースを行くつもりだった、と菅原勲騎手)を回り、内で粘るカネショウエリートをラスト150mで先頭。あとはほとんど追うところなく、余裕でゴールに入る。
「地元のレースであれば、負けられない一戦ですからね。遠征馬の実力が把握しづらかったが、3コーナーの脚色で見切った。本当はゆっくり仕掛けていくつもりだったが、反応がいい馬だから思ったより早め先頭に立ってしまった。今回、掛かるところがまったくなく、1600m前後がベストかも。1200mだと追っ付けで行くので、そうすれば前回(JRA福島・白河特別)のように末が甘くなるから、そのあたりのJRAを使えばいつかチャンスがあると思う」(菅原勲騎手)
次走の選択肢は多く、不来方賞、古馬の芝、JRAなどどれでも大丈夫なのでジックリ考えたいと鈴木七郎調教師。
2着 サイレントステージ
ハイベットタイム落馬の影響を受けてやや出遅れ気味のスタート。それでも中団まで盛り返して常にボスアミーゴより前の競馬に心がけたが、4コーナーでボスアミーゴにアッと言う間に交わされる。それでも直線で盛り返して内で粘っていたカネショウエリートをゴール寸前で捕らえて2着を確保した。
「落馬の不利があったので、よけいテンに行けなかったが、道中の位置取りは悪くなかった。どう乗ってもボスアミーゴには敵わないが、それでもキッチリまとめたから納得」(板垣騎手)
3着 カネショウエリート
終始3番手の外を追走して直線入り口で先頭。そこから渋太く粘ったが、最後の最後で3着に敗れた。今回も前で競馬をしたかったが、陣営には何とも痛い大外14番枠。それでスタートで脚を使わなければならず、そのロスは少なからず影響したが、高松騎手がうまく3番手につける。仮にだが、枠順が8枠より内だったら2着はあったかもと思わせる粘りを披露した。改めて芝適性の高さを証明した。