7月15日 第29回せきれい賞(3歳以上オープン 地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)
1着 サイレントグリーン
かきつばた賞とは全く違った展開となってマルタカキラリーが逃げ、2番手にタイキリオン、そしてサイレントグリーンは3番手インの経済コースをキープする。
3、4コーナーを回っても隊列はあまり変わらずマルタカキラリーがそのまま逃げ切るかに見えたが、ラスト100mでインから外に持ち出したサイレントグリーンが鋭く反応。一瞬でマルタカキラリーを交わし、あとは後続をグイグイ突き放して同レース2年ぶり3度目の優勝を果たした。
「1周目スタンド前でちょっと掛かったとき、外に出すかなとも思いましたが、ペースがペースなので無理に行かない方がいいと我慢させました。結果、それが良かったようで最後で凄い脚を使えたのかもしれません。前回(かきつばた賞)より今回の方が強い勝ち方でしたね」と板垣騎手。
2着 コスモダーク
終始、サイレントグリーンの後ろにつける形で進み、直線で外に持ち出すとスッといい感じで伸びて内で粘るマルタカキラリーをゴール前で交わして2着確保した。
近走成績、そして芝は中央未勝利時代に2度使って5、6着。決して適性がある足跡ではなかったが、河津調教師「芝が合うタイプと踏んで遠征させた」の読みがズバリ的中した。
3着 マルタカキラリー
戦前はどの馬が逃げるか予測がつきづらかったが、「追って切れるタイプではないのでリードを作りたかった」(菅原勲騎手)が果敢に逃げる。道中は平均ペースで快調に逃げ、直線でも渋太く粘ったが、最後の最後で一杯となった。馬体の張りも転入後、最高の状態だったし、レース運びも非の打ち所がなかったが、これで負けたのなら仕方なし。
5着 タイキリオン
「この2400mだと道中で貯めても伸びる訳ではないから、前につけて粘る戦法しかなかった」(村松騎手)の言葉どおり2番手の積極策に出る。直線入り口でも手応えが悪くなかったように見えたが、ラスト300mでガクンと減速。やはり守備範囲は1700mまでかも。
7月16日 第11回マーキュリーカップ(Jpn? 3歳以上オープン 盛岡ダート2000m)
1着 シャーベットトーン
「元々、先行力がある馬だから積極的に行こうと思ったら、誰も来なかったので楽に先手を取れた」(吉田豊騎手)。1周目スタンド前で早くも主導権を握り、1コーナーで一度ハロン13秒1に落としたほかは後続を引き付けて12秒台のラップを正確に刻む。直線に入ってもスピードは衰えるどころか、さらに加速。後続をどんどん突き放して2着に9馬身差の大差。ここ数戦は僅差負けを繰り返し、惜しいところで勝ちを逃がしていたが、そのうっ憤を一気に晴らすかのような圧勝劇となった。
「スタートが決まったし、道中もリラックスして走れたので走ることができたので楽だった。1頭だとソラを使うし、初めてのコースで物見をしないように最後まで気を抜かないで追った。ここ2戦で悔しい思いをしていたので、手頃なメンバーとなった今回は是非、勝ちたかった。これからの馬だと思うので、どんどん活躍してほしい」と吉田豊騎手。
「次走以降は未定。ひとまず山元トレセンでリフレッシュさせ、秋に備えたい。今回、賞金を加算できたことによって選択肢が広くなった。これからも楽しみ」と奥平雅士調教師。
2着 クーリンガー
当初、和田竜二騎手が騎乗する予定だったが、小倉競馬の代替開催によって急きょ、武士沢騎手に騎乗変更となった。「自分が行くか、シャーベットトーンを目標にするか迷ったが、向こうが行く気だったので2番手に控えた。ただ道中ずっとエイシンロンバードに被せられて楽な競馬ではなかった」(武士沢騎手)。
終始、エイシンロンバードにつつかれる形となって3、4コーナーでもたつき、直線入り口で一旦、エイシンロンバードに交わされてしまったが、内から再び差し返して2着を死守した。これで盛岡は1勝2着2回3着1回と、相性の良さを改めてアピールした。
3着 エイシンロンバード
こちらも武豊騎手から内田利雄騎手へ乗り替わり。もまれ弱い面があると聞いた内田利雄騎手がスッと3番手外につける。あとは道中ずっとクーリンガーの外につける展開で進め、直線で一旦2番手に進出したが、最後で差し返されて3着に敗れた。
「直線で寄ってしまい(実際はササってしまった)、クーリンガーの闘争心を引き出してしまった」と内田利雄騎手。
4着 テンショウボス
3番手インの経済コースにポジションを取り、道中も置かれずにレースを運ぶ。直線も内を狙って上位食い込みを狙ったが、JRA勢とは最後のひと伸びが違った。最高の状態、小林騎手も最高のパフォーマンスを披露したが、これは力の差だから仕方なし。
8着 サイレントエクセル
前回・みちのく大賞典は入れ込みが激しく競馬にならなかったが、今回は汗をかくことなく非常に落ち着いていた。道中は5、6番手の外を進み、向正面まで手応えは悪くなかったが、3コーナーあたりから板垣騎手の手が動く。4コーナーでは前の馬からどんどん離されて8着。これが全国区との力差かもしれない。
7月7日 第8回ミルキーウェイカップ(3歳オープン ダート1800m)
(写真・佐藤到)
1着 マツノメガミ
外から好ダッシュを決め、同型オーナーズスキャンが後方に控えたこともあってスンナリ先手を取る。2コーナーからスッとペースを落とし、これで息を抜けたのが最後で二の脚を使えた最大の要因。そして3コーナーで徐々にピッチを上げ、4コーナーでは後続に3馬身ほどのセーフティリード。これも板垣騎手の絶妙の判断で、ネバーオブライトが差を詰めようとしたが、マツノメガミはさらに突き放してゴール。2連勝を飾るとともに初タイトルを手に入れた。
「スタートで競られなかったので、楽に逃げることができた。4コーナーで後ろを離したのは追って伸びるタイプではないから。あのぐらい離さないと…と思って早めにスパートをかけた。まじめで気のいい馬なのでとても乗りやすい」と板垣騎手。
2着 ネバーオブライト
マツノメガミの3馬身ほど後ろを追走。ゆったりとしたペースだったため、ここ2戦のように追っ付けどおしではなく終始2番手をキープし、直線勝負に持ち込もうとしたが、マツノメガミの方の脚色が上回り、4馬身差をつけられてしまった。
それでもひとまず2着にまとめたのが収穫で、タイプ的に忙しい競馬より今回のような中距離以上が合う印象を受けた。
3着 ハルサンヒコ
ネバーオブライトからまた3馬身離れた中団インを追走し、3コーナーからジワジワ差を詰めようとしたが、伸び案外に終わる。
ダイヤモンドカップ1、2着馬が不在。そしてボスアミーゴも福島遠征で絶好のチャンスかに見えたが、同厩マツノメガミの逃げ切りにしてやられる。いわゆるどんな相手でも上位争いを演じる一方で、メンバーに恵まれても勝ち切れないタイプで、どこかでひと皮むけないと表舞台での白星は難しいかもしれない。
7月8日 第7回ふみづき賞(B1級以下 ダート3000m)
(写真・佐藤到)
1着 ベリーメリーホーク
現在、日本ダートでは最長の3000mが話題を呼んだが、ツジジオットがレースを非常におもしろくした。そのツジジオットは大逃げを打ったと思ったら、600m以降はガクンとペースダウン。緩急自在の戦法を取ったが、ベリーメリーホークはそれに惑わされず終始5番手でジックリ待機する。徐々にペースが上がり始めたラスト800mから仕掛け、4コーナーではツジジオット、ウエストサンオペラを射程圏内に入れる。
ラスト200mあたりでウエストサンオペラと併走状態になったが、馬体を併せると渋太いのを知り尽くしていた菅原勲騎手は、ベリーメリーホークを意識的に離して大外コースを選んで交わし、盛岡ダート3000mのレコードホルダー(基準がないため、あくまでも参考だが)となった。
「忙しい競馬より今回のような長い距離が合うし、道中はまったく掛かるところがなく、直線までいかに脚を貯めていられるかだけを考えて乗った。長丁場はいかに騎手が我慢させるかがカギなので、折り合いがつくこの馬にはベスト」と菅原勲騎手。
その言葉どおり、菅原勲騎手は見事な騎乗ぶりを披露した。
2着 ウエストサンオペラ
1周目スタンド前でヒメツバキが掛かり気味となって2番手まで進出したが、こちらは終始2、3番手インをキープ。ツジジオットが4コーナー過ぎに一杯となって押し出される格好で早め先頭に立ったが、それでベリーメリーホークの格好の標的になった格好。それでもゴールまで内で粘ったが、競り合いを避けられたのが痛かった。
3着 ヤマニンリボールト
ベリーメリーホークと同様、道中は掛かることなく4番手をキープ。4コーナーで徐々に先陣に接近したが、そこで脚色が一杯となった。
4着 ツジジオット
先にも記したが、3000mレースを盛り上げた最大の功労馬。いつもどおり好スタートから1周目3コーナーでは後続を10馬身ほど離す大逃げを打ったが、その後はガクンとペースを落とし、後ろを団子状態にする。向正面では5、6馬身と馬群がグッと詰めるほどのスローに落とし、まさに関本浩司マジック。そして4コーナーまで主導権を握ったが、さすがに直線を向くと苦しくなって失速したものの、3000mの長丁場でずっと緊張感を保ってレースを運んだ功績は大だった。
第39回岩鷲賞(3歳以上オープン 盛岡ダート1200m)
(写真・佐藤到)
1着 ヤマニンエグザルト
道中は4番手インを追走し、3〜4コーナーでは外にウツミジョーダンがいたため一瞬、窮屈なシーンもありながら直線で馬群がばらけた間を割って抜け出す。不意を突かれた格好で最内からダンディキングが伸びてヒヤッとするところもあったが、かえってそれはヤマニンエグザルトには好都合。1頭で先頭に立つとソラを使うタイプなので再び闘志に火がついて競り合いを制した。
前走・早池峰賞はテンショウボスに完敗を喫したが、目の上のたんこぶ的存在が不在の今回、堂々人気に応えて快勝。今後はクラスターカップ(8月15日)を目指して調整を進めていくことになる。
「前回(早池峰賞)、短距離を使ってペースに慣れたのでいい感じの手応えでしたね。直線で内をつくか外に出すかちょっと迷いましたが、ウツミジョーダンが入れさせてくれなかったので馬群が開くのを待つ形になりました。今回、改めて短距離が向いていると思いました」(板垣騎手)
2着 ダンディキング
前走・早池峰賞と同様、後方3番手からの競馬。1600mでは逃げの手に出るが、それほどダッシュ力があるタイプではないし、「馬を怖がるから」(草地騎手)から仕方なしの戦法。
しかし前走と違ったのは直線でラチすれすれを突いて鋭く伸びたこと。「競馬を使いながら覚えてきた。ちょうど前が開いたので、あえてそこを狙った」(草地騎手)のが功を奏し、このメンバーで2着に健闘した。
3着 ケイアイダンシング
ジョリーズジョーが逃げ、その直後2番手につける。前半3ハロンが34秒9と当然だが、ハイペースの流れについて行って直線半ばで先頭。そこから渋太く粘ったが、最後のひと踏ん張りが足りなかった。それでも見せ場を十分に作り、短距離向きを証明した。
「一瞬、勝ったと思ったが、先頭に立ったらソラを使ってしまった。もう少し我慢する競馬だったら違った競馬になったかも」と丸野騎手。
4着 タイキシェンロン
早池峰賞は3番手を追走したが、今回は中団外めからの競馬を強いられ、直線大外から鋭く伸びてきたが、時すでに遅し。勝負付けが済んでからとなったが、ひとまず電光掲示板に入り、適性ぶりは垣間見せた。
6/23 第33回ジューンカップ
1着:ツジジオット
楽にハナを奪えたわけではなかったが、先頭に立ってしまえばあとはマイペース。後続も追って追って追走してくるわりには競りかける形にならず、終始楽な競馬ができていた。2着馬の猛追にはひやりとさせられたものの、結果的には直線入り口で作っておいたリードが生きた。
ツジジオットにとってはこれが盛岡初勝利。鞍上の関本浩司騎手は「いままでも左回りが合わない感じではなかった。相手関係が強かったのと、馬がビジョンとかを気にして集中していなかったのかも」とコメントしたが、考えてみれば盛岡マイルでの持ち時計はこの馬が1番。
2着:ヤマトスピリット
スタートしてしばらくもたつくのはいつもの事。先行争いが激しくなりそうに見え、後方からのレースという判断は間違っていなかったはず。強い前残り傾向のコース状態がこの馬にとって不運となったか。
3着:ゲンパチコジーン
前走1000m戦を使ったおかげか格段に良化。直線はほとんど最後方から、2着馬をも上回る豪快な伸びを見せたが、あと一歩及ばず。
5着:リマンドリーダー
ここまで3着を外した事がない盛岡マイル戦だったが、今回は5着に終わる。とはいえ上位馬は元A級の格上、その力関係が出たのと、この馬も少しイレ込み気味だったのが影響したかも。
6/24 第12回はまなす賞
1着:サイレントステージ 「前走の結果から、使える脚はこちらが上だろうと思っていた。芝ならどこからでも動ける馬だし、安心してレースができました」と板垣騎手。ジャンプ気味のスタートで一瞬包まれかかるが、馬群の中から楽に抜けだして好位を確保。この辺りの動きからすでに力の差を感じさせる。
道中も鞍上の言葉通り、相手の動きに合わせていつでも行ける、という余裕のポジション。着差が少なかったのは「最後になって刺さりかけたので立て直していた」という事。オパールカップが目標になるようだが、そこでは対ボスアミーゴが焦点になりそう。
2着:カネショウエリート
最内枠からのけれんのない逃げ。競られても譲らぬ潔いまでのレースぶりで最後まで闘志を失わなかったが、ここは勝ち馬が一枚上手だった。
3着:シュクジャンヌ
叩き3走目となって型どおり良化。カネショウエリートを追いかけ回しても余力は十分、直線はいったん先頭に立ったのだが・・・。そこからの追い比べで負けるという事は、芝適性の点で上位2頭と差があるのか。
5着:ペニーロイヤル
レースがとにかくやんちゃ。これでは直線一杯一杯なのも仕方ない。ただ、前走よりは落ち着きが出てきており、その点はプラスに評価できる。次走に期待。
6/25第8回緑風賞
1着:トウショウグローズ
粘るウエスタンフォルスを最後の最後できっちり捉えたレースは見事だったが、鞍上・菅原勲騎手にいわせると「狙ったわけではなくてあれで目一杯、ギリギリだったよ」。
「1800mや1400mに比べるとマイルはペースが合わない。今日もコーナーで置かれかかって、その後が辛くなった」との事。とはいえこれで今季6戦3勝2着3回の完全連対をキープ。
2着:ウエスタンフォルス
「距離はね、折り合いがつけば大丈夫。ペースも悪くなかったと思うんだけど。盛岡は直線が長いね!」と沢田盛夫利騎手。前に行った馬がいたのを幸い、番手につけて流れに乗る絶好の位置。直線では楽に差を拡げてセイフティリードに思えたが・・・。
3着:コスモシュクレ
後方からずっと追い通し、最後まで追って追ってかろうじて3着に。力があるのは間違いないが、この距離は短く、ちょっと忙しいようだ。
4着:テンポウキング
勝ち馬と同じような位置取りでレースを進めたが、直線の追い比べで及ばず4着に。マイルがダメではないが、1400mの方がもっと強気に動ける印象。
6月17日(日) 第35回一條記念 みちのく大賞典(盛岡ダート2000m 3歳以上オープン 地方競馬全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
逃げ馬が不在のためコアレスハンターが逃げ、前半3ハロンが36秒9。これは思った以上に速かったが、テンショウボスは不利のない絶好の4番手外をキープする。先陣の隊列は変わらず淀みないペースで進み、3コーナーから各馬がスパート。エアウィード、サイレントエクセルの手は動いていたが、テンショウボスは馬なりでコアレスハンターに並びかけ、ラスト100mで交わしてそのまま押し切る。
「スタートが抜群でしたし、サイレントエクセルが目の前にいたのでレース運びが楽でしたね。枠順が大外だったのも幸いしました。1200m(早池峰賞)で強い勝ち方をした直後だったので、2000mの距離が心配でした。実際、最後は一杯になってしまいましたが、何とか頑張ってくれました」と小林騎手。
レース展望にも書いたが、不安だったのは小林騎手のコメントどおり1200mからいきなりの2000m。 これは今回、勝ったあとでも本質的にはマイラー、もしくはスプリンターだと思っているが、テンショウボスの最大のいい点は折り合い面でまったく苦労しないこと。その素直な性格であるがゆえ、2000mの距離をこなしたと見ている。
今後については白紙。短距離路線を歩むか、中〜長距離路線を使っていくのかはジックリ考えたいと佐々木修一調教師。
2着 エアウィード
前回・あすなろ賞は5ヵ月半ぶりの実戦だったためさすがに動きが重く8着に敗れた。今回はひと叩きされた上積みはあっただろうが、馬体の張りは決して良いとは思えなかった。しかし阿部騎手が2番手につけたのが最大の好走要因。道中、ずっとコアレスハンターの直後につけ、直線でも渋太く粘って2着を確保した。
3着 サイレントエクセル
3番手外につけ、いつでも交わせる態勢かと思ったが、3コーナー過ぎから手応えが怪しくなり、板垣騎手がなんとか遅れを取らないように必死にしごく。外からゴール前でコアレスハンターを捕らえたものの、エアウィードを交わすまでの勢いはなかった。
装鞍所でカリカリしたところを見せ、テンションが明らかに高すぎたし、パドックでも発汗が激しかった。言い訳に聞こえるかもしれないが、通常のサイレントエクセルなら4コーナーまで持ったまま。3コーナーで手を動くのは距離云々より、自身の体調が本物でなかったことを裏付けているのではないか。
4着 コアレスハンター
逃げ馬が不在だっただけではなく、入厩後から入れ込みが激しく大幅に体重が減り、なんとマイナス24キロ。これがあるから競馬は難しい。それでも好枠に入ったこともあって逃げの手に出て道中も絶妙のペースで逃げ、直線でも驚異の粘りを見せたが、ラスト100mで一杯。
馬体重が通常どおりだったら、おそらく勝っていたかもと思わせるほどの渋太さ。改めて怖ろしいまでの底力を垣間見た一戦だった。