
<次走へのメモ>
11月5日 第29回北上川大賞典(盛岡ダート2500m)
(写真・佐藤到)
1着 コアレスハンター
「専門紙の中には2番手からの展開もあったので、ちょっと迷って先に行ったほうがいいか(高橋三郎)調教師に聞いてみたら、“大丈夫、行かなくていい。いや行けないから(笑)”と言われたので、スローでもあそこでじっくり待機した」(関本淳騎手)
これは関本淳騎手のレース後コメントだが、あそことはスタンド前は後方2番手、そして向正面でも中団より後ろ(後方4番手)。前半は超スローペースに落ちていたが、あわてることなくじっくり控える。
ジワジワと前に進出したのは3コーナー手前からで、3コーナー過ぎにスパートをかけたが「追い出してからスッと行けないのが年齢的なものでしょうね。でも加速がついてからの伸び脚がすばらしく、さすがだと思った」のコメントどおり、前のエアウィードよりワンテンポ遅れたスパートだったが、4コーナーでは逃げるミサキノハンターを射程圏に入れる。
直線、ミサキノハンターが最内で渋太く粘ったが、ラスト100mでコアレスハンターが捕らえると、あとは後続を引き離す一方。2着エアウィードに2馬身半差をつけ、6月のみちのく大賞典に続いて2つ目の岩手ビッグタイトルを手に入れた。
「(コアレスハンターに)乗るのは初めてでしたが、レースは見ていたので感じは掴んでいました。折り合いがつくので長い距離が合うんでしょうね。どこからでも大丈夫だと信じて臨みましたが、9歳とはとても思えないほど乗り具合のいい馬ですね」と関本騎手。
今回、コアレスハンターは8月2日、サンタアニタトロフィー以来、3ヶ月ぶりの実戦となったが、万全に乗り込んだのを証明するようにキッチリ仕上がり、馬体の張りも文句なし。またトモ(後肢)も9歳とは思えないほどの張りがあり、「自信を持って連れてきた」の陣営コメントも納得。
1周目1コーナーから14秒台というまるで調教並みの超スローの流れとなりながら、まったく掛かる仕草も見せず、ラスト1000mから12秒台の上がりの競馬になったが、それにアッサリ対応できるのはさすがだ。「今後は厩舎に戻って適当なレース(長距離戦)をゆっくり見つけたい」と高橋三郎調教師。
2着 エアウィード
10月9日、南部杯11着から直行。4番手外の絶好のポジションにつけ、3コーナーから早めにスパート。ミサキノハンターはひとまず捕らえたが、その外コアレスハンターにはアッサリ交わされ、2着確保がやっとだった。
昨年、この北上川大賞典でコアレスハンターの追撃をハナ差封じたが、今シーズンはシアンモア記念の1勝のみ。青藍賞2着でなんとか格好をつけたが、「本調子ではない。走っていない」との村上忍騎手のコメントがすべてを物語っていた。
3着 ミサキノハンター
8月の特別・すずらん賞(水沢1600m)で高松亮騎手が金星をあげ、以降も同騎手のお手馬になる。スタート直後はトウカイトニーも先に行くポーズを見せたが、譲らず先手を取り、あとはガクンと超スローペースに落とす。それで脚に余力が残って直線でも粘っていたが、最後は距離適性と底力の差が出て3着。
これまで主戦場は水沢コース1本。岩手での勝ち星4勝はすべて水沢でマークしたもので、マイル前後で抜群の実績を残していたが、盛岡では前回・赤松杯の4着が最高。その時、見せ場は十分に作っていたが、2500mの長丁場でこの3着は大健闘と言っていいだろう。今後の舞台はシーズン終了まで得意の水沢。距離も我慢できるようになった今なら、重賞タイトル獲得も決して夢ではなくなった。
4着 ブラーボウッズ
例によってスタートで出遅れて後方3番手を追走。前回・赤松杯1着の再現を狙ったが、ラスト5ハロン12秒前後の競馬にはついていけなかった。
11月4日 エクセレント競走(盛岡ダート1800m)
(写真・佐藤到)
1着 オウシュウクラウン
9月18日、ダービーグランプリ以来の実戦となり、馬体重がプラス9キロの502キロとデビュー来、初めて500キロ台での出走で見た目にも腹回りに余裕があった。その影響と、元々が掛かり気味に競馬をするタイプで1周目スタンド前、ルーキーナカヤマに外から被せられてまず折り合いを欠く。続いてペースが落ち着いた向正面でも掛かったが、小林騎手が必死になだめて3番手外を追走させる。
直線では逃げたカシマハヤトをアッサリ交わしたものの、やはり手応えが本物でないのだろう、小林騎手が気合いを入れて追った結果、2着に2馬身半差をつけて完勝した。反応が本物でなくても、この着差が実力の証だろう。
以上のように課題もいろいろ残ったが、久々を考えれば上々。次走に3歳重賞・阿久利黒賞(11月19日)を使い、その後は遠征を予定している。
<次走へのメモ>
10月28日 第22回プリンセスカップ(2歳牝馬 盛岡ダート1400m)
(写真・佐藤到)
1着 パチョリ
相変わらずスタートセンスが素晴らしく、楽に馬なりで先手を奪う。あとは12秒台の正確なラップを刻み、直線を向くと後続を突き放す一方で、2着に6馬身差をつける圧勝劇を演じた。
前走・若松賞でも逃げたが、ネバーオブライトに交わされて2着。しかしネバーオブライトは2歳馬としては出色の1分26秒6(盛岡ダート1400m)をマーク。パチョリはそれから0・3秒離されたが、1分26秒9は例年ならば勝ち馬に相当、もしくははるかに上回る好時計。今回も自身がラップを作って1分27秒5を出しており、ここでは能力が違ったという他はない。
パチョリはイギリスで生まれ、父ジェイドロバリー、母マルビウム、母父ディキシーランドバンド。所有はご存知、ダーレージャパン。
「1枠(ローランメモリー)が逃げると思っていたが、躓いたみたいなので馬なりで逃げることになった。パドックでいつになくイレ込んでいたが、レースではそんな素振りを見せなかったし、力をつけていますね。実際、デビュー当時に比べて全体も大きくなっています」と小林騎手。
次走に中央挑戦を予定していたが、それは自重。東京2歳優駿牝馬(大井)に出したいため、移籍する可能性。その前に地元重賞・南部駒賞か白菊賞(牝馬)を使う予定もある。
2着 シーキャンフライ
終始中団をキープして直線は大外へ持ち出す。先行2頭パチョリ、クールビズの行ったきりかに見えたが、最後の伸びがすばらしく2着に食い込む。盛岡ダートは今回は初めてだったが、ためる競馬が功を奏した。
3着 クールビズ
前回、札幌遠征(芝1200m 500万下)の疲れを考慮し、緩めの馬体作り。それでプラス10キロでの出走となり、最後でその影響が出たが、あくまでも再度、JRA挑戦をにらんだもの。決して力負けではなかった。
10月29日 第6回黄菊賞(2歳 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
大外からワイエスロードが逃げを譲らない構えを見せたので、無理をせず2番手外につける。2ハロンまではピッチが速かったが、以降はペースが落ち着いて3コーナー過ぎにワイエスロードが失速。自然、そのまま先頭に立って底力の差を見せつけてゴールまで押し切る。
デビュー戦を派手なパフォーマンスで快勝したが、以降はひと息のレースが続く。しかし今回はメンバーにも恵まれたのに加え、本来の先行力と反応の良さを発揮して待望の2勝目をマーク。これまでのうっ憤を一気に晴らした。
「テン乗りで外にもたれ気味と聞いていたが、そんなクセも出さずに楽に追走できた。ポジションはあまり考えず出たなりだったら2番手に。今回はメンバーにも恵まれたが、道中の手ごたえもいいし、追ってからの反応も良く楽な競馬ができました」と板垣騎手。
今後は水沢ダート戦となるが、前回、初ダートの若駒賞は発汗が激しかったもので基準外。慣れればダートも問題ないでしょう、と鈴木七郎調教師。
2着 カネショウエリート
好スタートを切り、セイントセーリング(1枠)と枠差もあって3番手外につける。3コーナーまでそこをキープしてセイントセーリングとの差を詰めにかかったが、現時点のキャリアを考えれば2着でも上々。
水沢デビュー戦(850m)で2着に入り、未勝利脱出は時間の問題かと見られていたが、案外時間がかかって前走6戦目、芝1000mで初勝利をマークした。
父がメイセイオペラで母父がパークリージェントでダート向きかと陣営も思っていたが、芝を快勝し、そして今回も芝1700mで2着に健闘と器用さを兼ね備えている。今後も楽しみな1頭に加わった。
3着 ゴッデスフラワー
5番手につけたが、2コーナーでやや折り合いを欠く。4コーナー手前からインをついて抜け出しを図ったが、クビ差届かず3着。芝2戦で切れる脚を披露していたが、今回はいきなり1700mでその脚を使えず。しかし牝馬ながら500キロ前後の好馬体を誇り、父がウェイオブライトならダートで巻き返しできるはず。
<次走へのメモ>
10月8日 第32回ビューチフル・ドリーマーカップ(3歳以上牝馬 全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 サイレントエクセル
北海道ヨイチテーストが予想どおり逃げ、スローに落とす。その直後、絶好の2番手をキープし3コーナー過ぎには抑えきれずに先頭。あとは後続をグングン突き放す一方で2着に10馬身差をつける圧勝劇を演じ、従来の盛岡ダート1800mのレコード(98年10月10日 スパニッシュホーク1分52秒8)をコンマ3秒短縮し、1分52秒5のタイムをマークした。
「ペースが落ち着いてくれたので楽に追走できた。道中、手ごたえもずっと良かったので、早く動いても後ろから来ないだろうと思って行かせた。直線でちょっと物見をしたが、改めてこの馬の強さを実感した」(板垣騎手)
この日は折からの激しい雨の影響でダート芝とも不良。ダート1400mでも1分27秒台が出るなど速いタイムで決着していたが、それでも3歳牝馬でレコード更新には驚いた。板垣騎手はラスト50メートルで勝利を確信し、追うのを止めて馬なりでゴール。最後まで本気で追っていたら1分52秒も突破していたかもしれない。
さすが前走、G?・ダービーグランプリで並み居る強豪相手に3着入線はダテではなかった。レース展望でも記したが、サイレントエクセルのセールスポイントはどんな流れにも対応できることと父ウイングアロー譲り、最後の爆発力。
もはや地元に適なし。今後は牝馬グレード戦線を視界に入れてローテーションを組むそうで、まずは船橋G?・クイーン賞(12月8日)を目標に調整を進めていく。
2着 タカエイチフジ
スタンド前は6番手、向正面から4番手外につけてサイレントエクセルが先頭に立ったのを見てスパートをかける。サイレントエクセルのスピードについていけず、最後は一杯となったが、ドリームチャッターの追撃をしのいで何とか2着を死守する。
「最近は調子が上向いていたし牝馬同士ならと思ったが、相手が強すぎた。でも2着確保で格好はつきました」(阿部英俊騎手)
3着 ドリームチャッター
じっくり後方待機策を採り、先陣が固まった馬群の後ろにつけ3コーナーからジワジワ進出。直線入り口ではタカエイチフジを射程圏に入れ、いい感じで伸びてきたが、タカエイチフジをクビ差捉えきれず3着となった。
昨年、同レースの覇者で、それ以降はずっと白星から遠ざかっていたが「調子は少しずつながら良くなっていた。この馬の競馬はできたが、相手が強かった」(岩橋騎手)のコメントどおり、相性のいい盛岡での3着好走で復活のメドが立ったようだ。
10月9日 第19回マイルチャンピオンシップ南部杯(3歳以上 G?)
(写真・佐藤到)
1着 ブルーコンコルド
枠差を利して地元ベルモントシーザーが逃げ、前半3ハロン34秒9のハイラップを刻み、ブルーコンコルドは5、6番手のインをキープ。これは「シーキングザダイヤをマークした」(幸騎手)戦法で3、4コーナーからジンクライシス、タイムパラドックスが動いたのを見てからじっくりスパート。直線で一瞬、前が壁になるシーンもあったが、それをうまくさばいて先に抜け出したヒシアトラスをゴール寸前でクビ差交わして快勝。昨年11月、JBCスプリント(名古屋1400m)に続くG?2勝目をマークした。
「外から2頭にスパートをかけられて楽な位置ではなかったが、馬を信じて我慢した。直線でちょっと壁になったが、ハミを掛けなおしたらまた伸びてくれた。これでマイルも克服できたと思います」(幸騎手)
「仕上がりは8分ぐらいだったが、5ヶ月の休養期間はマイルの競馬に対応できるような教育をした。前回シーズン、ガーッと行くのを覚えてチグハグな競馬をしてしまったので、テンで気を抜けるように調教をしたつもり。そうすればマイルにも対応できるようになるはずと踏んでいたが、思った以上の成果を出してくれた。次走にはJBCマイルを考えている。その後は園田ゴールドトロフィーまで予定をしている」(服部利調教師)
今回のカギはかしわ記念(2着)以来のレースと実績が薄い左回り、そしてこれまで未勝利のマイルだったが、服部利調教師のコメントにもあるようにそれらをすべて克服。非常に収穫の多い一戦となった。
2着 ヒシアトラス
終始2、3番手につけ、早め積極策から3コーナー過ぎに先頭。直線は馬場の中ほど進み、脚色も決して衰えていた訳ではなかったが、最後の最後で内をすくわれて2着惜敗した。
前走、エルムステークスから間隔があまりなく、当日の馬体重がマイナス8キロの536キロ。「前回を使って調子が落ちていたけど、これだけ走ってくれたのだから良く頑張ってくれた。でもあと一歩、伸び切れてくれたらと思うと悔しい」と横山典弘騎手。こちらはブルーコンコルドとは逆に距離が短い点が不安だったが、それについては「まったく問題なかった」(横山典弘騎手)
3着 ジンクライシス
向正面では後方にいたが、3コーナー手前から徐々にスパート。タイムパラドックスが先に仕掛けてから動いて一旦、ヒシアトラスに並びかけたが、もうひと伸びが足りなかった。エルムSからマイナス10キロ、アバラが浮いてちょっと細めに映ったが、それが最後に影響したかもしれない。
「ペースが速かったし、出たなりで考えていたので位置取りはベスト。折り合い、手ごたえも最高で勝てると思ったが、最後、あの脚を使われてしまったら力の差だろう」(五十嵐騎手)
4着 シーキングザダイヤ
コース取りは終始インの好位につける。4コーナー手前で外に出られそうなシーンもあったが、ベルモントシーザーがもたれたため直線でも最内を突いたが、外の馬のほうの勢いが上回っていた。
「いい感じで抜け出せると思ったが、思ったほど伸びなかった。二走ボケかも」(武豊騎手)
5着 タイムパラドックス
こちらは終始外めを回って3コーナーからスルスルと進出。直線半ばではヒシアトラスを交わしそうになったが、最後は瞬発力の差が出てしまった。8歳馬でピークを過ぎた感もあったが、今回のレースができれば今後、もう一花咲かせる可能性もありそう。
「上がり方がとてもスムーズ。最後は伸び切れなかったが、距離への適応力もあるし、まだ良くなるんじゃないかな」
<次走へのメモ>
10月1日 第7回若松賞
(写真・佐藤到)
1着 ネバーオブライト
「今回は貯めてどんな競馬ができるかと思って最初から2、3番手を考えていた」(村松学騎手)。パチョリがダッシュ鋭く何が何でも逃げる構えを見せ、ネバーオブライトは2番手外に控えたが、ダンストンリアルが間を割ってきたので一瞬、掛かり気味となる。
それをなだめて折り合いをつけるが前半3ハロンが35秒8。2歳戦としては非常に速い流れでレースが進み、ずっとパチョリから2馬身後方キープのまま直線へ。パチョリも内で渋太く粘っていたが、ラスト200mでパチョリを交わしてゴール前では余裕を残して快勝した。
「デビュー戦は逃げ切りだったので、今回は距離も延びたことも考え、直線まで我慢して抜け出すイメージで騎乗した。左回りはむしろスムーズでしたし、4コーナーでハミをかけたらまた伸びてくれたので競馬はしやすかった。盛岡は初コースなので入念にスクーリングをしましたが、覚えもいいようです。これからもじっくり教えながら成長させていきたいと思っています」(村松学騎手)
スタートからのレースラップは12・5−11・3−12・0−12・9−12・1−12・4−13・4。ラスト1ハロンは若干かかったが、これは前半のペース、2歳戦を考えれば仕方なし。それでも走破タイムは1分26秒6をマークし、これは第5回若松賞優勝ウツミジョンソンと同タイムでレースレコードタイだったが、その時は思いっ切り重馬場。この日はむしろ馬場が深く、同条件(盛岡ダート1400m)の7レースC2が1分29秒2(1着パワフルジャパン)と比較すれば、いかに速いタイムだったかが一目瞭然。7頭立てと少頭数ながら、いかにレベルが高かったかがうかがい知れる。
次走予定はまだ決めていないそうだが、船橋・平和賞を視界に入れていると村上佐重喜調教師。
2着 パチョリ
9月24日の認定競走(芝1000m)を勝った直後、中5日の連闘となったが、馬体重はマイナス2キロとさほど影響がなかった模様。「砂を被るよりは逃げたほうがいい」と陶文峰騎手が判断し、果敢に逃げる。先に記したように道中もほとんどラップは落ちず、ラスト200mで一杯となったが、ネバーオブライトが破格のタイムを出しており、負けてなお強しのレースだった。
厩舎に入った頃から馬を見ているが、当時は線の細さが目についていた。しかしデビュー戦を使って以降、馬がどんどん成長し、同時にレース勘も見につけたのは明らか。本質的には芝が合うと思うが、ダートでも今回のレースを見れば十分にこなせる。これからも楽しみになった。
3着 アンダーボナンザ
前半のハイペースについていけず後方2番手からの競馬となったが、小林騎手は無理せずジックリ待機。3コーナーからインを回ってスパートをかけたが、パチョリからも3馬身差。これは2頭が強すぎたもので、例年レベルならばアッサリ勝っても不思議なし。
480キロの恵まれた馬体で均整も取れているし、血統背景(父スキャン、母アンダースワロー)も申し分なし。今後、どのように成長していくのか、この馬も注目し続けていきたい。
<次走へのメモ>
9月23日 第8回テシオ杯ジュニアグランプリ(盛岡芝1600m)
1着 ボスアミーゴ
パラダイスフラワー、ソウレイ、ローランメモリーの3頭が後続を離して競り合い、前半3ハロン35秒1のハイペースを形成。ボスアミーゴはジックリ待機策を取り、後方4番手を追走。3コーナーから自ら動き出し、4コーナーではすでに先陣を射程圏に入れる。先に抜け出したのはボスアミーゴだったが、内からエミーズスマイルもスルスル進出し、直線はマッチレース。ラスト50mで一瞬並びかけられるシーンもあったが、再度ボスアミーゴが伸びて快勝した。
ボスアミーゴはデビュー戦、出遅れを喫しながらも豪快に3コーナーからまくりをかけて圧勝。そのスケールの大きさから一躍注目を集めたが、ビギナーズカップ2着、りんどう賞3着と完敗を喫し、今回の評価は微妙になっていた。
それならば、と言うことで芝に路線を変更。初の芝だったが、アドマイヤボス産駒は盛岡芝の相性抜群を証明。折り合いもつき、追い出してからの反応も抜群でレースレコードの1分38秒5の好タイムもマークした。
「行きたがるクセがあるので、ペースが速い芝のほうが合うかも。早め先頭に立ってとぼけるところもあったが、前を交わす勢いがすばらしく、デビュー戦で見せた脚は本物だった。あとは馬体がちょっと細くなっているので、あと10キロは欲しい。そうすればさらにパワーアップできる」と菅原勲騎手。
今回は2、3戦目の敗戦から陣営も正念場だと思っており、次走以降についてはまったく白紙。まずは勝ったことにホッとしていた。
2着 エミーズスマイル
前の3頭から離れた4番手インの絶好ポジションをキープ。直線では一瞬、前が詰まりそうになりながら、うまく最内をついてボスアミーゴとマッチレースに持ち込んだが、わずかクビ差2着に惜敗した。
前回・アタックチャレンジ(8月3日)1着から、このジュニアグランプリは予定どおりのステップ。アグネスタキオン産駒の良血馬で、切れる末脚は芝でさらに発揮すると踏んでの出走。道中、コースロスもなく内からいい脚で伸びていたが、これは勝ったボスアミーゴを誉めるべき。過去8回で同レースの最高タイムは第1回セイントピアスの1分39秒3(第2回ネイティヴハートは1分39秒7)。これを大幅に短縮する走破タイムからも上位2頭のレベルは相当高いと見て間違いない。
3着 サイレントステージ
デビュー戦、水沢850mを52秒3のタイムで勝ち上がり、いきなり重賞挑戦。初の盛岡、初の芝、距離も一気に延長と初モノづくめだったが、後方待機策から直線大外を鋭く伸びて3着。5馬身と離されたが、これで今後のメドは十分に立った。
4着 セイントセーリング
中団6番手をキープし、3コーナーからスルスル上がり手応えも悪くなかったが、直線でバタッと止まる。8月15日、若鮎賞2着から直行は理想的なローテーションだと思ったが、馬体重が10キロ増。それが最後で響いたかもしれない。
11着 パラダイスフラワー
1枠に入ったこともあってスンナリ逃げたが、ソウレイ、ローランメモリーに絡まれて前半35秒1のハイペースを余儀なくされる。それで直線で失速11着に大敗したが、体も重い印象だったし、本質的に芝は合わないようだ。次走は予定どおり旭川・エーデルワイス賞へ向かう。
9月24日 第8回OROカップ(盛岡芝1700m)
1着 シンボリスナイパー
「前に壁を作って折り合いをつけてほしい、が指示だった」(小林騎手)ので、後方10番手からの競馬。3コーナー過ぎから徐々にスパートをかけて先に先頭に立ったジェーピーバトルを交わし、さらに外ジルハーの追撃を封じて初重賞を手に入れた。
7月に岩手転入し、初戦を快勝。続いてすずらん賞(水沢1600m)へ駒を進め2番人気に支持されたが、折り合いを欠いて8着しんがり負け。それで今回は評価が下がったが、ジックリ待機策がズバリ当たり直線一気に伸びてきた。
「3、4コーナーでうまく外に出せたのが勝因。追い切りで少し重い印象だったが、レースでは輸送もあってスッキリ絞れていた。行きたがる癖があるので芝のペースの方が合う」(小林騎手)
今回は半信半疑だったので、次走については考えていなかった。とりあえず1開催休んで、今後のことを考えたいと石川栄調教師。
2着 ジルハー
道中はイン待機のシンボリスナイパーの直後、外を追走。直線で先に抜け出したシンボリスナイパーを外から追いかけたが、最内ジェーピーバトルを捕らえたところがゴールだった。
「返し馬では芝がどうかと思ったが、結構走る。ただ、3コーナーでごちゃついてスムーズな競馬ができなかった。それがなければもう少し差を詰められたかも」(坂井英光騎手)
3着 ジェーピーバトル
トキオパーフェクト、マヤノモーリス、トニービーバーが先陣を形成し、その後ろにつける。4コーナーを回って最内をついて一旦抜け出したが、いつもの切れを発揮できずに3着に敗れる。前走・桂樹杯で芝1700mをこなしていたが、本質的にはゆったりとした流れがベスト。マイルでは馬群をさばくのに苦労していたし、距離が短かったかもしれない。