<次走へのメモ>
6月3日 かきつばた賞
1着 ヤマヨダイナミック
7月30日、同条件で行われる重賞・せきれい賞(芝2400m)トライアル戦で、今回はA2特別・FM岩手杯を勝って出走権を獲得し、格下からの挑戦。スタートで出遅れたが、「最初から後ろからの競馬を考えていた」(阿部英俊騎手)そうで道中はあわてず最後方を進む。スパートをかけたのは3コーナー過ぎだったが、鞍上の指示にすばやく反応。直線、内で粘るジェーピーバトルをアッサリ交わし、芝適性ぶりを存分に発揮した。今回のテーマは芝の王者サイレントグリーン相手に新興勢力がどう戦うかだったが、レースを見る限り世代交代した可能性が高い。
2着 ジェーピーバトル
逃げたグローリサンディをマークする絶好の2番手をキープ。直線で先頭に立ち、そのまま押し切るかと思ったが、ヤマヨダイナミックは脚色が違いすぎた。この馬もA2からの挑戦だったが、過去、芝は3戦3勝の実績はダテではなかった。
3着 サイレントグリーン
昨年の年度代表馬最優秀ターフホースが満を持しての登場。道中は後方4番手を進み直線勝負に賭けたが、ジェーピーバトルも捕らえ切れなかった。これまで芝2400mは4戦4勝だったが、ついに連勝がストップ。せきれい賞で真価が問われることになったが、おそらく積極策に転じるのではないか。
6月4日 一條記念 みちのく大賞典
(みちのく大賞典ゴール コアレスハンター)
1着 コアレスハンター
前半のペースはそれほど速くなかったが、8番手インの待機策を取る。3コーナーから仕掛けて徐々に先陣を射程圏に入れる。直線入り口では前が壁になったが、開くのを待ってスパートをかけ、内で粘るタイキシェンロンをラスト100mで交わして2004年2月、金盃以来、2年4ヶ月ぶりの白星をあげ、通算5度目の重賞タイトルを獲得した。レース後、御神本騎手が「今回はメンバーに恵まれた」と語ったとおり、南関東と岩手のレベル差を見せつけた格好。それにしても9歳馬とは思えない反応の良さを披露し、今後も相手次第では勝つチャンスがありそう。次走は帝王賞を目指すという。
2着 タイキシェンロン
強力な逃げ馬が不在でスローの流れと判断した菅原勲騎手が2番手の積極策に出る。それが結果功を奏し、適性もう一つの盛岡でも2着に食い込む。520キロ台で臨みたいと陣営はコメントしていたが、535キロと前走比プラス2キロ。距離2000mもこの馬自身には長かったが、巧みなレース運びが光った。次走はベストの条件で行われる重賞・栗駒賞(水沢ダート1400m)へ向かう予定。
3着 ベルモントシーザー
好スタートから3番手外をキープ。14秒台のスローに落ちた2コーナー過ぎで掛かったが、何とかなだめる。終始、タイキシェンロンの外を追走し、コアレスハンターに交わされバタバタになるかと思ったが、最後まで2着争いに参加し、2000mの距離もこなす。アジュディケーティング産駒の勝気な性格から常に折り合いに課題を残しているが、こと岩手3戦に限れば道中で掛かっても大丈夫のようだ。しかし折り合いを気にしなくていいマイル前後がベストの条件だろう。
5着 ビーファイター
コアレスハンターをマークして10番手を追走。追い出しもほぼ同時だったが、瞬発力の差が出た。もう少し前の競馬が良かったか。
6着 エアウィード
シアンモア記念では前走比(まんさく賞)マイナス15キロで出走。これがギリギリの状態だったようで過去最高のレースを披露したが、今回はさらにマイナス5キロの460キロ。そのせいかパドックでは腹回りも細く、トモの肉も落ちていた。馬体が回復しないと今後も厳しいだろう。
7着 マンジュデンツルギ
道中7番手だが、先団の大外を追走。手ごたえも悪くなかったが、勝負どころから反応が鈍くなる。転入初戦で2着に1・1秒差の圧勝劇を演じ、3番人気に支持されたが、終始外を回されたのも痛かった。
<次走へのメモ>
5月28日 特別・第11回はまなす賞
1着 オウシュウクラウン
今回から岩手在籍時の主戦ジョッキー・小林俊彦騎手とコンビ復活。スタートで出遅れたのは「隣枠のブラックショコラが立ち上がり、横を向いて見ていた時にスタートを切られた」(小林騎手)ため。それでもあわてず後方8番手を追走したのは、どこからでもいいと調教師から指示を受けたからで2コーナーでやや掛かり気味となったが、それをなだめて折り合いをつける。
道中はずっとブラックショコラをマーク。3、4コーナーで徐々に先陣を射程圏に入れ、直線でブラックショコラとのマッチレースに持ち込み、ラスト50mで抜け出す。結果は1/2馬身差だったが、着差以上に強い内容で完勝した。
58キロのトップハンデはブラックショコラと同じだったが、全く問題にせず。馬自身も「昨年より数段、パワーアップしたし精神的にも大人になった」と小林騎手は絶賛した。
次走予定は6月11日、水沢ダート1600mを舞台に行われる「岩手ダービー 第26回ダイヤモンドカップ」。その結果次第で7月12日、G?・ジャパンダートダービー挑戦も構想に描いている。
はまなす賞ゴール 1着オウシュウクラウン
2着 ブラックショコラ
重賞・岩鷲賞でダンディキングを一蹴し、弾みがついての出走。はまなす賞の選択は盛岡芝<2.2.0.0>の適性を重視。その背景には中央芝へのチャレンジも考えていたから。レースは前半スローの流れの中、絶好の5番手をキープ。向正面から早めスパートをかけ、オウシュウクラウンにセーフティリードを保つ戦法。ほぼパーフェクトのレース運びだったが、今回は相手が悪すぎた。自身の能力は出し切ったと見て間違いない。
3着 カズノマックイーン
当初、南郷家全騎手の予定だったが、当日に自厩舎の斉藤雄一騎手に乗り替わり。今シーズンは後方からの競馬だったが、終始4、5番手インを追走。オウシュウクラウン、ブラックショコラには離されたが、3着を死守。調子は良かったが、今季3戦・菜の花賞7着、スプリングカップ6着、やまびこ賞7着と着外に沈んでいたが、今回は芝適性も生かして3着。この健闘は評価に値する。芝なら常に上位入着の可能性がある。
4着 デフェンスボス
勝負どころでもたついたが、直線で盛り返して4着。芝はデビュー戦(1着)以来で2戦目以降はダートで凡走を繰り返していたが、芝に光明がはっきり。それにしてもアドマイヤボス産駒は盛岡芝との相性が非常にいいと改めて実感。
5着 ナイキザフォース
逃げたキングオブタックルの2、3番手を追走。4角で早めに先頭に立ったのはブラックショコラがスパートをかけたからで、直線で一杯になったが、今後のメドは立ったように思う。
(文・松尾康司/写真・佐藤到)
5月20日、盛岡競馬第7レース、C1級戦で1着エフェクト(7番人気)、2着ミチノクヒーロー(11番人気)、3着タカトモポイント(2番人気)の順位で入線し、馬番連単9→12 330万8610円の高額配当を記録。これまでの馬番連勝単式の日本記録142万5860円(2003年8月3日 荒尾競馬7レース)、JRA記録102万1160円(2005年10月22日 東京12レース)を2倍以上も上回る馬単史上最高配当を記録した。
また岩手競馬においても、これまでの最高配当3連勝式単式173万540円(今年4月16日 8レース)を大幅に記録更新した。
この馬番連単9→12の的中票数は4万4832票中1票、発売場所はテレトラック安代だった。一方、3連単の的中者がなく、特払(とくばらい・的中者がいない場合、1票あたり70円を払い戻す制度)。これも筆者の記憶にはなく、岩手県競馬組合が設立以来、史上初めてであったと思う。
今年4月から岩手競馬でも3連勝式馬券が導入されたが、その効果はてきめん。日常的に高配当が続出し、一攫千金を狙うファンにはこたえられない結果となっている。
<次走へのメモ>
5月21日 第7回あすなろ賞
このレースも大波乱の結果で1着ベルモントシーザー(6番人気)、2着ニッショウウララ(10番人気)、3着ゲイリーエクシード(3番人気)の順で入線し、3連単51万9100円の高配当となった。
あすなろ賞 優勝ベルモントシーザー(写真・佐藤到)
1着 ベルモントシーザー
前半3ハロン36秒前半というハイペースの流れだったが、先行激化の3番手外を追走。しかし折り合いに課題を抱える同馬にとって、むしろ歓迎の展開となり、3、4コーナー中間で早くも馬なりで先頭。さすがにゴール前は一杯となったが、後続の追撃を3/4馬身差封じる。これで南関東から転入2連勝を飾る。
「掛かり気味だったのでペースが速かったことと、前に2頭がいる展開となったのが幸いした」と阿部英俊騎手。
移籍初戦はスローに落としたが、この時も掛かり気味。次走予定は6月4日、みちのく大賞典で距離が2000mだが、折り合いが難しい馬で距離は1600m前後がベスト。交流レース特有のハイペースになればベストだろうが、やはり距離が長いかもしれない。
2着 ニッショウウララ
ハイペースを無理に追走せず、馬群が切れた5番手インをキープ。元々は逃げタイプだが、盛岡は控える競馬も我慢できる。それでも守備範囲外の1800m戦で直線盛り返したのにはビックリ。好調サイクルをキープできたことと、年齢的(7歳)に落ち着きが出てきたことが2着好走につながったか。
3着 ゲイリーエクシード
道中は後方3番手を進み、向正面から徐々にスパート。4コーナーで射程圏に入れ、一旦2番手まで進出したが、最後のひと伸びが足りなかった。前走・緑風賞を勝ち上がりA2から昇級初戦だったが、昨年はオープンを張り重賞・北上川大賞典でも4着。盛岡回りは反応がすばらしく、次走・みちのく大賞典でも目が離せない存在となるだろう。
4着 レストオブセール
今回もスタートで後手を踏み、最後方からの競馬だったが、直線はまずまずの伸びを見せた。道中で置かれるのは痛いが、距離延長されればされるほどいいタイプ。展開に注文はつくが、前崩れになればみちのく大賞典でも浮上の可能性あり。
7着 ブラーボウッズ
後方2番手は前走・シアンモア記念とほぼ同じだったが、手ごたえがなく3コーナーで早々と終わった印象。そのシアンモア記念4着の結果から人気を集めたが、見せ場すら作れなかった。沢田騎手「今回はやる気が全然なかった。中間の調教が強すぎたかも」
3歳ベストスプリンターを決める一戦・1400mの短距離戦。そこに前走ではスピードにまかせてぶっちぎったダンディキング登場、という事で興味津々のレース。結果はダンディキング2着、勝ったのはブラックショコラとなったのだが、レース内容は期待に違わず、3歳馬のレースとは思えない、ハイラップでの高速決着となった。
レースの結果から見れば、やはりブラックショコラとダンディキング、この上位2頭の力が抜けているという事になるが、掲示板に入った他の3頭も、それぞれに自身の良さを発揮しながら短距離に対応する走りをしており、それなりに能力の片鱗も見せている。いずれの馬も短距離戦では今後とも注目すべき存在と見ていいだろう。
1着:ブラックショコラ
このレースの前半3ハロンのラップは34秒9、ハロン11秒台も2つ並ぶような“超”がつくハイペース。それをついて回ってなお、上がり3ハロン37秒台の脚を繰り出すのだから強いとしか言いようがない。
「前走はスタートが悪くてレースにならなかった。今回はスタートだけに気をつけ、うまくいったので“これなら”と思った(菅原 勲騎手)」との事だが、今回のレースを見る限り明らかな短距離の差し馬タイプ。距離短縮が大きなプラス材料になっている。
次走は未定ながら、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(6/11 水沢競馬場)を念頭に置きつつ、馬の状態を見て考えると千葉博調教師。
2着:ダンディキング
劇走後のレースでも特に調子落ちなく挑み、最後まで自慢のスピードを発揮したのだが、またしても念願の重賞タイトルに一歩手が届かず、の結果に終わる。
スタートダッシュが今ひとつだったのが応えたかに見えたが、鞍上が言うには「前走ほどポンとダッシュがつかなかった。けれど、この距離では周りも速いから、簡単に前に出て行けない」ということで、距離短縮の1400mという条件が意外と影響したのかも。
それに、レース終盤も決して脚が上がっているわけではない。今回は距離や盛岡コースという条件が勝ち馬に味方した、と見るべきだろう。
3着:ディアブロハンター
この馬の見せ場は3〜4コーナー、ダンディキングを楽に追い上げて2番手に上がったあたり。この馬にしても前半からハイペースについて行って、それでこれだけの走りをしているのだから立派。「距離はマイルくらいでも走るが、短い方がずっと良さそう。芝も合うのでは」と須田英之騎手。しかし、レース中に鼻出血発症のため6/12まで出走できないのが残念な所。
4着:ナイキザフォース
取り消し明けのレースという点が気になったが、馬の状態の方は特に問題なかったようだ。前半の手応えに比べて後半勢いを欠いたのは、やはりこの距離でもまだ長いという事なのかも。次走、陣営の意向では芝を走らせてみたいとの事で、はまなす賞(5/28 盛岡芝1600m)になりそう。
5着:ムーンプライド
最後はさすがにバタバタでなんとか5着を守りきった、という感じになってしまったが、注目すべきはテンのスピード。決して出ムチを入れたりしたわけでなく、むしろ内のダンディキングの出方を窺うような所もありながら、それでいてハロン11秒台の高速ラップを刻んでいる。もっと距離が短いレースでの走りを見てみたいものだ。
(文/横川典視 写真/佐藤 到)
<次走へのメモ>
5月7日、第32回シアンモア記念
1着 エアウィード
3枠に入ったハツラツ、シンプウオペラが互いにけん制しながら先行する。ジョッキーの手は動いていなかったし、平均ペースかと思っていたが、意外や意外、前半35秒7とハイラップを刻んでいた。対して上がり3ハロンは38秒5で全体のタイムが1分38秒5と案外かかっていたのだから、2頭でハイペースを形成したことになる。
エアウィードはその先陣4番手を馬なりでキープ。昨年のマーキュリーカップでも前につけたことがあるが、本質的には差しタイプ。前走(まんさく賞)比、マイナス15キロと大幅に馬体重が減っていたが、前回が太過ぎたのだろう、今回は道中の手ごたえがすばらしかった。
3、4コーナーから早めに動き、直線入り口過ぎには先頭。いつもは単騎でハナに立つととぼける癖があるが、最後まで気を抜くことなく2着に1馬身1/4差をつけて完勝した。
勝因は得意の左回りに替わったこと、馬体が絞れたこと、早め積極策が功を奏したことの3点。次走を予定しているのも6月4日、同じ盛岡で行われる「第34回一條記念 みちのく大賞典」。距離がマイルから2000mへ延長されるが、昨年の北上川大賞典(2500m)を勝った実績もあり、まったく不安なし。盛岡回りには本当に自信を持っている。
(第32回シアンモア記念 1着エアウィード)
2着 タイキシェンロン
先行グループから離れた中団外をキープ。その内には1番人気インターセフォーがいて、それをマークする戦法。しかし3コーナーでエアウィードが動いたのを見て先にスパートをかける。直線でエアウィードを捕らえ切れなかったのは菅原勲騎手の「左回りだと決め手に欠ける」ため。それでも久々のまんさく賞を叩かれて気配上昇。それが2着の結果となった。
3着 インターセフォー
流れが速いと見て、離れた中団の先頭を進む。エアウィード、タイキシェンロンが動いた後、ワンテンポ遅らせてスパートをかけたが、最後の上り坂にも戸惑ったのか伸びがひと息に終わった。長距離輸送の影響もなく、馬体の張りも申し分なしでパドックで一際目立っていたが、「もう少し経験が必要かも」(石崎隆之騎手)ということなのだろう。
4着 ブラーボウッズ まんさく賞は中間の挫石で回避。スタートで出遅れ、後方2番手からの競馬となったが、直線の伸びがすばらしく4着に食い込んで力のあるところを見せた。
5着 シノブホマレ
11番人気と低評価だったが、ハイペースの中、先陣をキープして渋太く粘る。近3走の凡走は1900、2000mの距離が長すぎたのか、実績の高い1600mで5着入線を果たした。
(文・松尾康司/写真・佐藤到)