
5月20日、盛岡競馬第7レース、C1級戦で1着エフェクト(7番人気)、2着ミチノクヒーロー(11番人気)、3着タカトモポイント(2番人気)の順位で入線し、馬番連単9→12 330万8610円の高額配当を記録。これまでの馬番連勝単式の日本記録142万5860円(2003年8月3日 荒尾競馬7レース)、JRA記録102万1160円(2005年10月22日 東京12レース)を2倍以上も上回る馬単史上最高配当を記録した。
また岩手競馬においても、これまでの最高配当3連勝式単式173万540円(今年4月16日 8レース)を大幅に記録更新した。
この馬番連単9→12の的中票数は4万4832票中1票、発売場所はテレトラック安代だった。一方、3連単の的中者がなく、特払(とくばらい・的中者がいない場合、1票あたり70円を払い戻す制度)。これも筆者の記憶にはなく、岩手県競馬組合が設立以来、史上初めてであったと思う。
今年4月から岩手競馬でも3連勝式馬券が導入されたが、その効果はてきめん。日常的に高配当が続出し、一攫千金を狙うファンにはこたえられない結果となっている。
<次走へのメモ>
5月21日 第7回あすなろ賞
このレースも大波乱の結果で1着ベルモントシーザー(6番人気)、2着ニッショウウララ(10番人気)、3着ゲイリーエクシード(3番人気)の順で入線し、3連単51万9100円の高配当となった。
あすなろ賞 優勝ベルモントシーザー(写真・佐藤到)
1着 ベルモントシーザー
前半3ハロン36秒前半というハイペースの流れだったが、先行激化の3番手外を追走。しかし折り合いに課題を抱える同馬にとって、むしろ歓迎の展開となり、3、4コーナー中間で早くも馬なりで先頭。さすがにゴール前は一杯となったが、後続の追撃を3/4馬身差封じる。これで南関東から転入2連勝を飾る。
「掛かり気味だったのでペースが速かったことと、前に2頭がいる展開となったのが幸いした」と阿部英俊騎手。
移籍初戦はスローに落としたが、この時も掛かり気味。次走予定は6月4日、みちのく大賞典で距離が2000mだが、折り合いが難しい馬で距離は1600m前後がベスト。交流レース特有のハイペースになればベストだろうが、やはり距離が長いかもしれない。
2着 ニッショウウララ
ハイペースを無理に追走せず、馬群が切れた5番手インをキープ。元々は逃げタイプだが、盛岡は控える競馬も我慢できる。それでも守備範囲外の1800m戦で直線盛り返したのにはビックリ。好調サイクルをキープできたことと、年齢的(7歳)に落ち着きが出てきたことが2着好走につながったか。
3着 ゲイリーエクシード
道中は後方3番手を進み、向正面から徐々にスパート。4コーナーで射程圏に入れ、一旦2番手まで進出したが、最後のひと伸びが足りなかった。前走・緑風賞を勝ち上がりA2から昇級初戦だったが、昨年はオープンを張り重賞・北上川大賞典でも4着。盛岡回りは反応がすばらしく、次走・みちのく大賞典でも目が離せない存在となるだろう。
4着 レストオブセール
今回もスタートで後手を踏み、最後方からの競馬だったが、直線はまずまずの伸びを見せた。道中で置かれるのは痛いが、距離延長されればされるほどいいタイプ。展開に注文はつくが、前崩れになればみちのく大賞典でも浮上の可能性あり。
7着 ブラーボウッズ
後方2番手は前走・シアンモア記念とほぼ同じだったが、手ごたえがなく3コーナーで早々と終わった印象。そのシアンモア記念4着の結果から人気を集めたが、見せ場すら作れなかった。沢田騎手「今回はやる気が全然なかった。中間の調教が強すぎたかも」
3歳ベストスプリンターを決める一戦・1400mの短距離戦。そこに前走ではスピードにまかせてぶっちぎったダンディキング登場、という事で興味津々のレース。結果はダンディキング2着、勝ったのはブラックショコラとなったのだが、レース内容は期待に違わず、3歳馬のレースとは思えない、ハイラップでの高速決着となった。
レースの結果から見れば、やはりブラックショコラとダンディキング、この上位2頭の力が抜けているという事になるが、掲示板に入った他の3頭も、それぞれに自身の良さを発揮しながら短距離に対応する走りをしており、それなりに能力の片鱗も見せている。いずれの馬も短距離戦では今後とも注目すべき存在と見ていいだろう。
1着:ブラックショコラ
このレースの前半3ハロンのラップは34秒9、ハロン11秒台も2つ並ぶような“超”がつくハイペース。それをついて回ってなお、上がり3ハロン37秒台の脚を繰り出すのだから強いとしか言いようがない。
「前走はスタートが悪くてレースにならなかった。今回はスタートだけに気をつけ、うまくいったので“これなら”と思った(菅原 勲騎手)」との事だが、今回のレースを見る限り明らかな短距離の差し馬タイプ。距離短縮が大きなプラス材料になっている。
次走は未定ながら、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(6/11 水沢競馬場)を念頭に置きつつ、馬の状態を見て考えると千葉博調教師。
2着:ダンディキング
劇走後のレースでも特に調子落ちなく挑み、最後まで自慢のスピードを発揮したのだが、またしても念願の重賞タイトルに一歩手が届かず、の結果に終わる。
スタートダッシュが今ひとつだったのが応えたかに見えたが、鞍上が言うには「前走ほどポンとダッシュがつかなかった。けれど、この距離では周りも速いから、簡単に前に出て行けない」ということで、距離短縮の1400mという条件が意外と影響したのかも。
それに、レース終盤も決して脚が上がっているわけではない。今回は距離や盛岡コースという条件が勝ち馬に味方した、と見るべきだろう。
3着:ディアブロハンター
この馬の見せ場は3〜4コーナー、ダンディキングを楽に追い上げて2番手に上がったあたり。この馬にしても前半からハイペースについて行って、それでこれだけの走りをしているのだから立派。「距離はマイルくらいでも走るが、短い方がずっと良さそう。芝も合うのでは」と須田英之騎手。しかし、レース中に鼻出血発症のため6/12まで出走できないのが残念な所。
4着:ナイキザフォース
取り消し明けのレースという点が気になったが、馬の状態の方は特に問題なかったようだ。前半の手応えに比べて後半勢いを欠いたのは、やはりこの距離でもまだ長いという事なのかも。次走、陣営の意向では芝を走らせてみたいとの事で、はまなす賞(5/28 盛岡芝1600m)になりそう。
5着:ムーンプライド
最後はさすがにバタバタでなんとか5着を守りきった、という感じになってしまったが、注目すべきはテンのスピード。決して出ムチを入れたりしたわけでなく、むしろ内のダンディキングの出方を窺うような所もありながら、それでいてハロン11秒台の高速ラップを刻んでいる。もっと距離が短いレースでの走りを見てみたいものだ。
(文/横川典視 写真/佐藤 到)
<次走へのメモ>
5月7日、第32回シアンモア記念
1着 エアウィード
3枠に入ったハツラツ、シンプウオペラが互いにけん制しながら先行する。ジョッキーの手は動いていなかったし、平均ペースかと思っていたが、意外や意外、前半35秒7とハイラップを刻んでいた。対して上がり3ハロンは38秒5で全体のタイムが1分38秒5と案外かかっていたのだから、2頭でハイペースを形成したことになる。
エアウィードはその先陣4番手を馬なりでキープ。昨年のマーキュリーカップでも前につけたことがあるが、本質的には差しタイプ。前走(まんさく賞)比、マイナス15キロと大幅に馬体重が減っていたが、前回が太過ぎたのだろう、今回は道中の手ごたえがすばらしかった。
3、4コーナーから早めに動き、直線入り口過ぎには先頭。いつもは単騎でハナに立つととぼける癖があるが、最後まで気を抜くことなく2着に1馬身1/4差をつけて完勝した。
勝因は得意の左回りに替わったこと、馬体が絞れたこと、早め積極策が功を奏したことの3点。次走を予定しているのも6月4日、同じ盛岡で行われる「第34回一條記念 みちのく大賞典」。距離がマイルから2000mへ延長されるが、昨年の北上川大賞典(2500m)を勝った実績もあり、まったく不安なし。盛岡回りには本当に自信を持っている。
(第32回シアンモア記念 1着エアウィード)
2着 タイキシェンロン
先行グループから離れた中団外をキープ。その内には1番人気インターセフォーがいて、それをマークする戦法。しかし3コーナーでエアウィードが動いたのを見て先にスパートをかける。直線でエアウィードを捕らえ切れなかったのは菅原勲騎手の「左回りだと決め手に欠ける」ため。それでも久々のまんさく賞を叩かれて気配上昇。それが2着の結果となった。
3着 インターセフォー
流れが速いと見て、離れた中団の先頭を進む。エアウィード、タイキシェンロンが動いた後、ワンテンポ遅らせてスパートをかけたが、最後の上り坂にも戸惑ったのか伸びがひと息に終わった。長距離輸送の影響もなく、馬体の張りも申し分なしでパドックで一際目立っていたが、「もう少し経験が必要かも」(石崎隆之騎手)ということなのだろう。
4着 ブラーボウッズ まんさく賞は中間の挫石で回避。スタートで出遅れ、後方2番手からの競馬となったが、直線の伸びがすばらしく4着に食い込んで力のあるところを見せた。
5着 シノブホマレ
11番人気と低評価だったが、ハイペースの中、先陣をキープして渋太く粘る。近3走の凡走は1900、2000mの距離が長すぎたのか、実績の高い1600mで5着入線を果たした。
(文・松尾康司/写真・佐藤到)
<次走へのメモ>
4月29日 第6回留守杯日高賞
1着 サイレントエクセル
ムーンプライドが果敢に逃げ、前半3ハロン36秒4のハイペースを形成。サイレントエクセルはスタートでアオったが、馬の行く気にまかせて5番手まで進出。向正面、反応がひと息で鞍上・板垣騎手の手が動いたが、3、4コーナーで先陣の馬に取りついてようやくエンジン全開。直線は内で粘るゴールデンパンジーにてこづりながらも、ゴール前きっちりクビ差交わして快勝した。
今回が初出走と始動が遅れたが、1週前の追い切りで49秒台の好タイムをマーク。ただ、その後は調教をセーブしたが、飼い葉があがり前走比(1月2日 金杯)マイナス9kg。パドックでやや、馬体が寂しく見えた。
それでも世代牝馬?1の評価どおり、最後は底力で白菊賞に続く重賞2勝目をゲットした。次走予定は重賞・岩鷲賞(盛岡ダート1400m)。そこで七時雨賞、スプリングカップと特別2連勝中の3歳牡馬ダンディキングと相まみえることになる。チェックして欲しいのは当日の馬体重。水沢から盛岡への輸送もあり、減るのは止むなしだが、大幅減なら一考の必要がありそうだ。
2着 ゴールデンパンジー
逃げたムーンプライドから3馬身離れた2番手を追走。3コーナーで早々とムーンプライドを交わし、そのまま押し切るかとも思えたが、前半のハイペースが響いたのか、最後で脚が上がった。
菜の花賞を叩かれたにせよ、直線の粘りは驚異的だった。まだ毛ヅヤも本物ではなく、上昇の余地がありそう。昨年よりパワーアップは明らかだ。
3着 モエレタキシード
いつもどおり後方待機策。向正面からロングスパートをかけ、2着から6馬身差だったが、菜の花賞と同様、3着を確保。ハイペースの展開にも助けられたが、それにしてもすばらしい切れを持っている。欲を言えば馬体重が前走と同じ、392kg。輸送があったにせよ、400kg台に乗ればさらに破壊力が増すと思うのだが…。
4着 バルク
近走は中団、もしくは後方からの競馬だったが、今回は3番手の積極策。それでいて大きくバテた訳でもなく、もしかするとこの戦法がベストかもしれない。依然、未勝利馬だが、待望の白星もそう遠くないのでは。
8着 パワフルビクトリ
4番手を追走したが、3コーナーで早くも手応えが怪しくなって直線で馬群に沈む。冬毛はまだ残っていたが、ひと叩きされて馬体の張りは前走以上だったように思えた。それでもこの結果だから、評価が難しくなった。
(文・松尾康司/写真・佐藤到)
4月16日、水沢競馬第8レース、A2級戦で初の百万円台を軽く突破する3連単173万540円の岩手競馬史上最高配当を記録した。
レースは1着に半年ぶりの実戦となったサンシャインへイロ(5番人気)、2着にセンターソアー(6番人気)、3着にダンスブリッジ(3番人気)が入り、的中票数は2票。
水沢競馬場、テレトラック十和田の2ヵ所でそれぞれ1票ずつの購入だった。
それで弾みがついた訳でもないだろうが、第10レース・まんさく賞でも10番人気のローランボスコが優勝し、こちらは3連単86万2520円(的中本数は7本)となり、8レースに次ぐ史上2位の高配当を記録した。
これまでの過去最高の払い戻し金額は平成13年6月18日の馬単54万1190円で、今回は一気に3倍以上も記録更新したことになる。
開幕2週目で早くもミリオン馬券が飛び出した岩手競馬。次週以降、さらに記録更新があるのか、その点でも興味がつきなくなった。
さて今週から新企画<次走へのメモ>をスタートします。
内容は前週メインを中心にレースを回顧。さらには次走以降の馬券作戦の参考になれば…と思っています。
<次走へのメモ>
4月16日、まんさく賞
1着 ローランボスコ
「調教師の指示どおり」(南郷騎手)3番手外めを追走。後続にいた有力各馬がスパートしたのを見て3コーナー過ぎから早めに先頭。この作戦がズバリと当たり、後方であえぐ有力馬を尻目に2馬身差の完勝。昨年8月、すずらん賞に続く2つめの特別タイトルを手にした。
まだ冬毛が残り、必ずしも万全と言い難かったローランボスコだったが、今回の勝因は揉まれない展開が好を奏したこと。自身のマイル適性ぶりを発揮したことの2点。今後も水沢、盛岡を問わずマイルでは目が離せない存在となるだろう。
2着 タイキシェンロン
中団5番手は想定どおりのポジション。3コーナー手前から動くのもいつものパターンだったが、反応がひと息。パドックで馬体印象は悪くなかった。いや、むしろメンバーの中でも1、2番だと思ったが、レース後、菅原勲騎手「気合いが足りなかったかも」とコメント。次走の変わり身に期待したい。
3着 レストオブセール
ほぼ最後方からの競馬。向正面、インを突いてスルスル伸び、直線ではタイキシェンロンに肉薄。今回は小回り、距離不足だった印象で盛岡、そして距離が延びればさらに真価を発揮しそう。いずれ岩手オープンで通用を証明した。
5着 エアウィード
タイキシェンロンの直後につけ、3コーナーからまくりをかけたが、いつものシャープさが見られず。敗因は2走ボケか、まだ判別つかない。もう一戦を見ないことには…。
6着 マツリダパレス
馬体は仕上がっていたが、歩様がもう一つ。元々がそういうタイプだが、今回は顕著。このひと叩きでどう変わってくるか。
9着 マンボツイスト
プラス24?の馬体重が示すとおり、明らかに太め。JBCスプリントを使って放牧に出て、今回が復帰初戦。年齢が年齢だけに、実戦を使いながら徐々に立て直しを図るのでは。
*ブラーボウッズは挫石のため出走取り消し
(文・松尾康司/写真・佐藤到)