(写真・佐藤到)
第6回阿久利黒賞(3歳 地方競馬全国交流 水沢1600m)
1着 オウシュウクラウン
大外からオグリホットが逃げ、2番手にダンディキング。オウシュウクラウンは前の2頭から2馬身離れた絶好の3番手外につけ、スタンド前で一瞬だけ掛かったが、あとはうまく折り合いをつける。オグリホットが快調に飛ばしていたので、オウシュウクラウンは3コーナーから徐々にスパート。2番手ダンディキングの手応えが怪しいと見るや、相手をオグリホットに絞って4コーナーでは早くも射程圏。
直線を向いて内で粘るオグリホットを貫禄の違いで交わすと、あとは余裕でゴール。2着テンショウボスに2馬身半差をつけ、G?3着馬の底力をマザマザと見せつけた。
「前回、重め残りの割に走りすぎた疲れが若干残っていたが、ダービーグランプリのようにイラついた感じはまったくなかった。前半のペースは遅かったんですが、以前のように掛かってしまうこともなく折り合いがついて乗りやすかった。この馬にも頑張ってもらわないと(岩手競馬も)盛り上がらないと思いますので、期待に応えることができて良かった。これからまた全国区で戦うことになるでしょうが、応援よろしくお願いします」と小林騎手。
前走では休み明けながら、古馬オープンを一蹴。今回は3歳同士ということで相手が大幅に弱化され、勝って当然のメンバーだったが、それでも不安はつきまとうものだし、オウシュウクラウンへの期待はもっと上のステップ。今後にもつながるレースを期待したのだが、その手ごたえは十分だった。
次走予定はG?・名古屋グランプリ(12月20日 名古屋2500m)かG?・東京大賞典(12月29日 大井2000m)に絞ったが、いずれのどちらを選択しても話題の1頭になることは間違いない。
2着 テンショウボス
前走・ウイナーカップから菅原勲騎手とコンビを組んだ。レースはオウシュウクラウンを外に見ながら4番手インを追走。オウシュウクラウンが動いてからワンテンポ遅らせてスパートをかけ、オグリホットはひとまず捕らえたが、オウシュウクラウンとの実力差は歴然。大型馬ゆえ小回り水沢は反応がひと息でこれは仕方なしだろうが、?2の意地はキッチリ見せた。
手薄な今の岩手古馬オープン陣ならファン投票「桐花賞」(12月31日 水沢2000m)でも勝ち負けを演じることができるほどの地力をつけたのは、今回のレースでも証明した。
3着 オグリホット
前回は盛岡芝1600mを舞台に行われた重賞・ウイナーカップを4角先頭で快勝。今回は交流レースで実績のないダートでどんな戦法を取るか注目を集めたが、それは果敢な逃げの手だった。前半3ハロン36秒7の平均ペースに持ち込み(オウシュウクラウン騎乗の小林騎手はスローに感じたそうだが)、スイスイ一人旅。3コーナーを回ってもスピードは衰えず、それでオウシュウクラウンが早めに動いたが、最後まで見せ場はタップリ。遠征のハンデを抱えながら、この善戦ぶりを評価したい。
4着 ダンディキング
休養前(7月8日 盛岡芝1700mガーベラ賞)の馬体重が445キロ。スプリングカップ圧勝時に比べ、マイナス20キロと大幅に減ったため、思い切って4ヶ月ほど休ませて今回、戦列復帰を果たした。
パドックで久々にダンディキングを見たが、馬体重はプラス21キロと数字的には回復。しかし馬体の張り、期待したほどのフックラした感じがなく、まだ本調子ではないのかなと言うのが正直な感想。
レースでは逃げると疑わなかったが、オグリホットが逃げる構えを見せたので2番手に控える。3コーナーあたりまでは手応えは悪くなかったが、オウシュウクラウンに外から被せられても反応がひと息。それで直線失速するのかと思ったが、4着入線。勝負付けが済んでからにせよ、思ったほどの失速ぶりではなかった。次走の変わり身に期待したい。
<次走へのメモ>
11月12日 第34回南部駒賞(2歳 地方競馬全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 パラダイスフラワー
「左右の馬がゲート内でうるさかったのでちょっと出遅れ気味のスタート」(小林騎手)になって、1周目スタンド前は中団インのポジション。しかし「それで馬群の中に入れたら、ちょうど前回(エーデルワイス賞)のように折り合いがついた」ので小林騎手はあわてずじっくり待機策を取った。
トランプ、セイントセーリングがスタートから競り合いに持ち込んで前半3ハロン、37秒を切るハイペースを形成。それも考えれば、前回で砂を被っても問題のないパラダイスフラワーにしてみれば絶好の位置取りとなった。
向正面過ぎから徐々にスパートをかけたパラダイスフラワーは、4コーナー手前でネバーオブライトをすでに交わす勢い。「ネバーオブライトの手応えが悪かったので、相手は前の1頭(トランプ)に絞って」速めに捕らえにかかり、ラスト50mで交わした後はほぼ独走状態。2着に1馬身半差をつける完勝劇となった。
文中の小林騎手の振り返りコメントをちりばめたが、スタートからゴールまで非の打ち所がないレースだった。これでダート戦5戦5勝としたように、ダートでの強さはけた違い。
若干冬毛が出始めたのは盛岡周辺が急激に寒くなったせいだが、競走能力にはまったく支障なし。やはりエーデルワイス賞レコード勝ちはダテではなかった。
この後の予定は12月13日、川崎競馬場で行われる2歳唯一のダートG?「第57回全日本2歳優駿」(1600m)。JRA、そして地方から強豪がそろうのは間違いないが、パラダイスフラワーのスケールも相当のもの。メイセイオペラ、トーホウエンペラーに続く岩手所属馬3頭目の快挙となるか注目が集まる。
2着 アンダーボナンザ
盛岡2戦・若松賞3着、若駒賞4着と伸びを欠いて不満が残る内容で今回、7番人気まで評価が落ちていた(若駒賞は2番人気)。道中はパラダイスフラワーから終始2馬身ほど後ろを追走。パラダイスフラワーが動いたのを見てワンテンポ遅らせてスパートし、2頭で決まりかけたところを大外から鋭く突っ込んで2着を確保した。
「話には聞いていたけど、内にササったり外にもたれたり、さらにはラチにぶつかってみたりして手こずらせましたが、開き直ってガンガン行かせたら直線でいい脚を使ってくれました。まだまだ子供ですが、走るセンスはありますよ」(沢田騎手)。
盛岡は3着2回に対し、地元水沢はこのレース前まで2戦2勝。しかも逃げて1勝、追い込んで1勝とスケールは一目置ける馬だった。沢田騎手のコメントにもあるとおり、まだ幼いが、今後の成長次第では前にも書いたが、トップに立てる器だ。さすが岩手版“華麗なる一族”の血は健在だった。
3着 トランプ
レース前から田部調教師が逃げ宣言。そのとおり逃げの手に出たが、セイントセーリングが競り合って楽に先行できなかったのが痛かった。それでも持ち前のスピードを前面に快調に飛ばし、ラストで捕まってしまったが、層の厚い北海道で5勝マークの実力は披露した。
しかも水沢の馬場に脚を滑らせ、3〜4コーナーで右後肢に外傷を負った模様。千葉津代士騎手「ずっと下を気にして走っていた」にもかかわらず3着に粘るのだから実力は推して知るべし。
4着 ネバーオブライト
平和賞は太目の552キロで出走。この一戦で輸送プラス、激しい競馬が相当応えたようでマイナス12キロの540キロが今回の馬体重。元々が巨漢馬なので、装鞍所で見ても細くは見えなかったが、この影響は少なくなかった。
道中は前の2頭から離れた3番手外を追走。これはある意味で理想的なポジションと言えたが、3コーナーで鞍上・村松騎手の手が動いて反応がひと息。4コーナー手前でパラダイスフラワーが進出し、交わされないように気合いを入れても伸び切れず3着から1馬身半差の4着にとどまった。「調子がもう一つだった」と村松騎手もコメント。
<次走へのメモ>
11月5日 第29回北上川大賞典(盛岡ダート2500m)
(写真・佐藤到)
1着 コアレスハンター
「専門紙の中には2番手からの展開もあったので、ちょっと迷って先に行ったほうがいいか(高橋三郎)調教師に聞いてみたら、“大丈夫、行かなくていい。いや行けないから(笑)”と言われたので、スローでもあそこでじっくり待機した」(関本淳騎手)
これは関本淳騎手のレース後コメントだが、あそことはスタンド前は後方2番手、そして向正面でも中団より後ろ(後方4番手)。前半は超スローペースに落ちていたが、あわてることなくじっくり控える。
ジワジワと前に進出したのは3コーナー手前からで、3コーナー過ぎにスパートをかけたが「追い出してからスッと行けないのが年齢的なものでしょうね。でも加速がついてからの伸び脚がすばらしく、さすがだと思った」のコメントどおり、前のエアウィードよりワンテンポ遅れたスパートだったが、4コーナーでは逃げるミサキノハンターを射程圏に入れる。
直線、ミサキノハンターが最内で渋太く粘ったが、ラスト100mでコアレスハンターが捕らえると、あとは後続を引き離す一方。2着エアウィードに2馬身半差をつけ、6月のみちのく大賞典に続いて2つ目の岩手ビッグタイトルを手に入れた。
「(コアレスハンターに)乗るのは初めてでしたが、レースは見ていたので感じは掴んでいました。折り合いがつくので長い距離が合うんでしょうね。どこからでも大丈夫だと信じて臨みましたが、9歳とはとても思えないほど乗り具合のいい馬ですね」と関本騎手。
今回、コアレスハンターは8月2日、サンタアニタトロフィー以来、3ヶ月ぶりの実戦となったが、万全に乗り込んだのを証明するようにキッチリ仕上がり、馬体の張りも文句なし。またトモ(後肢)も9歳とは思えないほどの張りがあり、「自信を持って連れてきた」の陣営コメントも納得。
1周目1コーナーから14秒台というまるで調教並みの超スローの流れとなりながら、まったく掛かる仕草も見せず、ラスト1000mから12秒台の上がりの競馬になったが、それにアッサリ対応できるのはさすがだ。「今後は厩舎に戻って適当なレース(長距離戦)をゆっくり見つけたい」と高橋三郎調教師。
2着 エアウィード
10月9日、南部杯11着から直行。4番手外の絶好のポジションにつけ、3コーナーから早めにスパート。ミサキノハンターはひとまず捕らえたが、その外コアレスハンターにはアッサリ交わされ、2着確保がやっとだった。
昨年、この北上川大賞典でコアレスハンターの追撃をハナ差封じたが、今シーズンはシアンモア記念の1勝のみ。青藍賞2着でなんとか格好をつけたが、「本調子ではない。走っていない」との村上忍騎手のコメントがすべてを物語っていた。
3着 ミサキノハンター
8月の特別・すずらん賞(水沢1600m)で高松亮騎手が金星をあげ、以降も同騎手のお手馬になる。スタート直後はトウカイトニーも先に行くポーズを見せたが、譲らず先手を取り、あとはガクンと超スローペースに落とす。それで脚に余力が残って直線でも粘っていたが、最後は距離適性と底力の差が出て3着。
これまで主戦場は水沢コース1本。岩手での勝ち星4勝はすべて水沢でマークしたもので、マイル前後で抜群の実績を残していたが、盛岡では前回・赤松杯の4着が最高。その時、見せ場は十分に作っていたが、2500mの長丁場でこの3着は大健闘と言っていいだろう。今後の舞台はシーズン終了まで得意の水沢。距離も我慢できるようになった今なら、重賞タイトル獲得も決して夢ではなくなった。
4着 ブラーボウッズ
例によってスタートで出遅れて後方3番手を追走。前回・赤松杯1着の再現を狙ったが、ラスト5ハロン12秒前後の競馬にはついていけなかった。
11月4日 エクセレント競走(盛岡ダート1800m)
(写真・佐藤到)
1着 オウシュウクラウン
9月18日、ダービーグランプリ以来の実戦となり、馬体重がプラス9キロの502キロとデビュー来、初めて500キロ台での出走で見た目にも腹回りに余裕があった。その影響と、元々が掛かり気味に競馬をするタイプで1周目スタンド前、ルーキーナカヤマに外から被せられてまず折り合いを欠く。続いてペースが落ち着いた向正面でも掛かったが、小林騎手が必死になだめて3番手外を追走させる。
直線では逃げたカシマハヤトをアッサリ交わしたものの、やはり手応えが本物でないのだろう、小林騎手が気合いを入れて追った結果、2着に2馬身半差をつけて完勝した。反応が本物でなくても、この着差が実力の証だろう。
以上のように課題もいろいろ残ったが、久々を考えれば上々。次走に3歳重賞・阿久利黒賞(11月19日)を使い、その後は遠征を予定している。
<次走へのメモ>
10月28日 第22回プリンセスカップ(2歳牝馬 盛岡ダート1400m)
(写真・佐藤到)
1着 パチョリ
相変わらずスタートセンスが素晴らしく、楽に馬なりで先手を奪う。あとは12秒台の正確なラップを刻み、直線を向くと後続を突き放す一方で、2着に6馬身差をつける圧勝劇を演じた。
前走・若松賞でも逃げたが、ネバーオブライトに交わされて2着。しかしネバーオブライトは2歳馬としては出色の1分26秒6(盛岡ダート1400m)をマーク。パチョリはそれから0・3秒離されたが、1分26秒9は例年ならば勝ち馬に相当、もしくははるかに上回る好時計。今回も自身がラップを作って1分27秒5を出しており、ここでは能力が違ったという他はない。
パチョリはイギリスで生まれ、父ジェイドロバリー、母マルビウム、母父ディキシーランドバンド。所有はご存知、ダーレージャパン。
「1枠(ローランメモリー)が逃げると思っていたが、躓いたみたいなので馬なりで逃げることになった。パドックでいつになくイレ込んでいたが、レースではそんな素振りを見せなかったし、力をつけていますね。実際、デビュー当時に比べて全体も大きくなっています」と小林騎手。
次走に中央挑戦を予定していたが、それは自重。東京2歳優駿牝馬(大井)に出したいため、移籍する可能性。その前に地元重賞・南部駒賞か白菊賞(牝馬)を使う予定もある。
2着 シーキャンフライ
終始中団をキープして直線は大外へ持ち出す。先行2頭パチョリ、クールビズの行ったきりかに見えたが、最後の伸びがすばらしく2着に食い込む。盛岡ダートは今回は初めてだったが、ためる競馬が功を奏した。
3着 クールビズ
前回、札幌遠征(芝1200m 500万下)の疲れを考慮し、緩めの馬体作り。それでプラス10キロでの出走となり、最後でその影響が出たが、あくまでも再度、JRA挑戦をにらんだもの。決して力負けではなかった。
10月29日 第6回黄菊賞(2歳 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
大外からワイエスロードが逃げを譲らない構えを見せたので、無理をせず2番手外につける。2ハロンまではピッチが速かったが、以降はペースが落ち着いて3コーナー過ぎにワイエスロードが失速。自然、そのまま先頭に立って底力の差を見せつけてゴールまで押し切る。
デビュー戦を派手なパフォーマンスで快勝したが、以降はひと息のレースが続く。しかし今回はメンバーにも恵まれたのに加え、本来の先行力と反応の良さを発揮して待望の2勝目をマーク。これまでのうっ憤を一気に晴らした。
「テン乗りで外にもたれ気味と聞いていたが、そんなクセも出さずに楽に追走できた。ポジションはあまり考えず出たなりだったら2番手に。今回はメンバーにも恵まれたが、道中の手ごたえもいいし、追ってからの反応も良く楽な競馬ができました」と板垣騎手。
今後は水沢ダート戦となるが、前回、初ダートの若駒賞は発汗が激しかったもので基準外。慣れればダートも問題ないでしょう、と鈴木七郎調教師。
2着 カネショウエリート
好スタートを切り、セイントセーリング(1枠)と枠差もあって3番手外につける。3コーナーまでそこをキープしてセイントセーリングとの差を詰めにかかったが、現時点のキャリアを考えれば2着でも上々。
水沢デビュー戦(850m)で2着に入り、未勝利脱出は時間の問題かと見られていたが、案外時間がかかって前走6戦目、芝1000mで初勝利をマークした。
父がメイセイオペラで母父がパークリージェントでダート向きかと陣営も思っていたが、芝を快勝し、そして今回も芝1700mで2着に健闘と器用さを兼ね備えている。今後も楽しみな1頭に加わった。
3着 ゴッデスフラワー
5番手につけたが、2コーナーでやや折り合いを欠く。4コーナー手前からインをついて抜け出しを図ったが、クビ差届かず3着。芝2戦で切れる脚を披露していたが、今回はいきなり1700mでその脚を使えず。しかし牝馬ながら500キロ前後の好馬体を誇り、父がウェイオブライトならダートで巻き返しできるはず。
<次走へのメモ>
10月8日 第32回ビューチフル・ドリーマーカップ(3歳以上牝馬 全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 サイレントエクセル
北海道ヨイチテーストが予想どおり逃げ、スローに落とす。その直後、絶好の2番手をキープし3コーナー過ぎには抑えきれずに先頭。あとは後続をグングン突き放す一方で2着に10馬身差をつける圧勝劇を演じ、従来の盛岡ダート1800mのレコード(98年10月10日 スパニッシュホーク1分52秒8)をコンマ3秒短縮し、1分52秒5のタイムをマークした。
「ペースが落ち着いてくれたので楽に追走できた。道中、手ごたえもずっと良かったので、早く動いても後ろから来ないだろうと思って行かせた。直線でちょっと物見をしたが、改めてこの馬の強さを実感した」(板垣騎手)
この日は折からの激しい雨の影響でダート芝とも不良。ダート1400mでも1分27秒台が出るなど速いタイムで決着していたが、それでも3歳牝馬でレコード更新には驚いた。板垣騎手はラスト50メートルで勝利を確信し、追うのを止めて馬なりでゴール。最後まで本気で追っていたら1分52秒も突破していたかもしれない。
さすが前走、G?・ダービーグランプリで並み居る強豪相手に3着入線はダテではなかった。レース展望でも記したが、サイレントエクセルのセールスポイントはどんな流れにも対応できることと父ウイングアロー譲り、最後の爆発力。
もはや地元に適なし。今後は牝馬グレード戦線を視界に入れてローテーションを組むそうで、まずは船橋G?・クイーン賞(12月8日)を目標に調整を進めていく。
2着 タカエイチフジ
スタンド前は6番手、向正面から4番手外につけてサイレントエクセルが先頭に立ったのを見てスパートをかける。サイレントエクセルのスピードについていけず、最後は一杯となったが、ドリームチャッターの追撃をしのいで何とか2着を死守する。
「最近は調子が上向いていたし牝馬同士ならと思ったが、相手が強すぎた。でも2着確保で格好はつきました」(阿部英俊騎手)
3着 ドリームチャッター
じっくり後方待機策を採り、先陣が固まった馬群の後ろにつけ3コーナーからジワジワ進出。直線入り口ではタカエイチフジを射程圏に入れ、いい感じで伸びてきたが、タカエイチフジをクビ差捉えきれず3着となった。
昨年、同レースの覇者で、それ以降はずっと白星から遠ざかっていたが「調子は少しずつながら良くなっていた。この馬の競馬はできたが、相手が強かった」(岩橋騎手)のコメントどおり、相性のいい盛岡での3着好走で復活のメドが立ったようだ。
10月9日 第19回マイルチャンピオンシップ南部杯(3歳以上 G?)
(写真・佐藤到)
1着 ブルーコンコルド
枠差を利して地元ベルモントシーザーが逃げ、前半3ハロン34秒9のハイラップを刻み、ブルーコンコルドは5、6番手のインをキープ。これは「シーキングザダイヤをマークした」(幸騎手)戦法で3、4コーナーからジンクライシス、タイムパラドックスが動いたのを見てからじっくりスパート。直線で一瞬、前が壁になるシーンもあったが、それをうまくさばいて先に抜け出したヒシアトラスをゴール寸前でクビ差交わして快勝。昨年11月、JBCスプリント(名古屋1400m)に続くG?2勝目をマークした。
「外から2頭にスパートをかけられて楽な位置ではなかったが、馬を信じて我慢した。直線でちょっと壁になったが、ハミを掛けなおしたらまた伸びてくれた。これでマイルも克服できたと思います」(幸騎手)
「仕上がりは8分ぐらいだったが、5ヶ月の休養期間はマイルの競馬に対応できるような教育をした。前回シーズン、ガーッと行くのを覚えてチグハグな競馬をしてしまったので、テンで気を抜けるように調教をしたつもり。そうすればマイルにも対応できるようになるはずと踏んでいたが、思った以上の成果を出してくれた。次走にはJBCマイルを考えている。その後は園田ゴールドトロフィーまで予定をしている」(服部利調教師)
今回のカギはかしわ記念(2着)以来のレースと実績が薄い左回り、そしてこれまで未勝利のマイルだったが、服部利調教師のコメントにもあるようにそれらをすべて克服。非常に収穫の多い一戦となった。
2着 ヒシアトラス
終始2、3番手につけ、早め積極策から3コーナー過ぎに先頭。直線は馬場の中ほど進み、脚色も決して衰えていた訳ではなかったが、最後の最後で内をすくわれて2着惜敗した。
前走、エルムステークスから間隔があまりなく、当日の馬体重がマイナス8キロの536キロ。「前回を使って調子が落ちていたけど、これだけ走ってくれたのだから良く頑張ってくれた。でもあと一歩、伸び切れてくれたらと思うと悔しい」と横山典弘騎手。こちらはブルーコンコルドとは逆に距離が短い点が不安だったが、それについては「まったく問題なかった」(横山典弘騎手)
3着 ジンクライシス
向正面では後方にいたが、3コーナー手前から徐々にスパート。タイムパラドックスが先に仕掛けてから動いて一旦、ヒシアトラスに並びかけたが、もうひと伸びが足りなかった。エルムSからマイナス10キロ、アバラが浮いてちょっと細めに映ったが、それが最後に影響したかもしれない。
「ペースが速かったし、出たなりで考えていたので位置取りはベスト。折り合い、手ごたえも最高で勝てると思ったが、最後、あの脚を使われてしまったら力の差だろう」(五十嵐騎手)
4着 シーキングザダイヤ
コース取りは終始インの好位につける。4コーナー手前で外に出られそうなシーンもあったが、ベルモントシーザーがもたれたため直線でも最内を突いたが、外の馬のほうの勢いが上回っていた。
「いい感じで抜け出せると思ったが、思ったほど伸びなかった。二走ボケかも」(武豊騎手)
5着 タイムパラドックス
こちらは終始外めを回って3コーナーからスルスルと進出。直線半ばではヒシアトラスを交わしそうになったが、最後は瞬発力の差が出てしまった。8歳馬でピークを過ぎた感もあったが、今回のレースができれば今後、もう一花咲かせる可能性もありそう。
「上がり方がとてもスムーズ。最後は伸び切れなかったが、距離への適応力もあるし、まだ良くなるんじゃないかな」