<次走へのメモ>
11月12日 第34回南部駒賞(2歳 地方競馬全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 パラダイスフラワー
「左右の馬がゲート内でうるさかったのでちょっと出遅れ気味のスタート」(小林騎手)になって、1周目スタンド前は中団インのポジション。しかし「それで馬群の中に入れたら、ちょうど前回(エーデルワイス賞)のように折り合いがついた」ので小林騎手はあわてずじっくり待機策を取った。
トランプ、セイントセーリングがスタートから競り合いに持ち込んで前半3ハロン、37秒を切るハイペースを形成。それも考えれば、前回で砂を被っても問題のないパラダイスフラワーにしてみれば絶好の位置取りとなった。
向正面過ぎから徐々にスパートをかけたパラダイスフラワーは、4コーナー手前でネバーオブライトをすでに交わす勢い。「ネバーオブライトの手応えが悪かったので、相手は前の1頭(トランプ)に絞って」速めに捕らえにかかり、ラスト50mで交わした後はほぼ独走状態。2着に1馬身半差をつける完勝劇となった。
文中の小林騎手の振り返りコメントをちりばめたが、スタートからゴールまで非の打ち所がないレースだった。これでダート戦5戦5勝としたように、ダートでの強さはけた違い。
若干冬毛が出始めたのは盛岡周辺が急激に寒くなったせいだが、競走能力にはまったく支障なし。やはりエーデルワイス賞レコード勝ちはダテではなかった。
この後の予定は12月13日、川崎競馬場で行われる2歳唯一のダートG?「第57回全日本2歳優駿」(1600m)。JRA、そして地方から強豪がそろうのは間違いないが、パラダイスフラワーのスケールも相当のもの。メイセイオペラ、トーホウエンペラーに続く岩手所属馬3頭目の快挙となるか注目が集まる。
2着 アンダーボナンザ
盛岡2戦・若松賞3着、若駒賞4着と伸びを欠いて不満が残る内容で今回、7番人気まで評価が落ちていた(若駒賞は2番人気)。道中はパラダイスフラワーから終始2馬身ほど後ろを追走。パラダイスフラワーが動いたのを見てワンテンポ遅らせてスパートし、2頭で決まりかけたところを大外から鋭く突っ込んで2着を確保した。
「話には聞いていたけど、内にササったり外にもたれたり、さらにはラチにぶつかってみたりして手こずらせましたが、開き直ってガンガン行かせたら直線でいい脚を使ってくれました。まだまだ子供ですが、走るセンスはありますよ」(沢田騎手)。
盛岡は3着2回に対し、地元水沢はこのレース前まで2戦2勝。しかも逃げて1勝、追い込んで1勝とスケールは一目置ける馬だった。沢田騎手のコメントにもあるとおり、まだ幼いが、今後の成長次第では前にも書いたが、トップに立てる器だ。さすが岩手版“華麗なる一族”の血は健在だった。
3着 トランプ
レース前から田部調教師が逃げ宣言。そのとおり逃げの手に出たが、セイントセーリングが競り合って楽に先行できなかったのが痛かった。それでも持ち前のスピードを前面に快調に飛ばし、ラストで捕まってしまったが、層の厚い北海道で5勝マークの実力は披露した。
しかも水沢の馬場に脚を滑らせ、3〜4コーナーで右後肢に外傷を負った模様。千葉津代士騎手「ずっと下を気にして走っていた」にもかかわらず3着に粘るのだから実力は推して知るべし。
4着 ネバーオブライト
平和賞は太目の552キロで出走。この一戦で輸送プラス、激しい競馬が相当応えたようでマイナス12キロの540キロが今回の馬体重。元々が巨漢馬なので、装鞍所で見ても細くは見えなかったが、この影響は少なくなかった。
道中は前の2頭から離れた3番手外を追走。これはある意味で理想的なポジションと言えたが、3コーナーで鞍上・村松騎手の手が動いて反応がひと息。4コーナー手前でパラダイスフラワーが進出し、交わされないように気合いを入れても伸び切れず3着から1馬身半差の4着にとどまった。「調子がもう一つだった」と村松騎手もコメント。