6月9日 第8回ガーベラ賞(3歳オープン 盛岡芝1600m)
(写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
スタートから2コーナー過ぎまで後方4番手を追走し、向正面から徐々に前に進出し、4コーナー手前では早くも先陣を射程圏に入れる。直線を向いてからは能力の違いは明白で、楽に抜け出しを決めて2着に2馬身半差。それでも単騎先頭に立つととぼけるクセを知っている菅原勲騎手は、気を緩めず最後まで追った。
次走は地元重賞・オパールカップ(7月22日)、福島1000万下、ラジオNIKKEI賞と選択肢が多くあるため、これからじっくり考えたいと鈴木七郎調教師。
6月10日 第27回岩手ダービー ダイヤモンドカップ(3歳オープン 盛岡ダート2000m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
セイントセーリングの機先を制してオーナーズスキャンが逃げ、無理をせず2番手に控える。1コーナー過ぎからペースがガクンと落ち、3ハロンほど14秒台のスローペースとなったが、まったく掛かるそぶりを見せずうまく折り合いがつく。
ラスト800mから12秒台へペースが上がり、3〜4コーナー中ほどで先頭。「スタートゲートが気になったようで4コーナーで物見。それでモタモタしたが、直線に入ったらまた真面目に走ってくれた」と菅原勲騎手。
その4コーナーではマツリダワルツが馬なりで並びかけられ、交わされそうな場面もあったかに見えたが、「並ばれたらまた伸びてくれた。だから交わさせるとは思わなかった」(菅原勲騎手)そうで着差はクビだったが、内容的には完勝と言っていいだろう。
「逃げようかとも思ったが、スタートがあまり良くなかった。それでも逃げなければダメという馬でもないので、2番手でもいいかな、と。2000mはちょっと長い気がするが、折り合いがつくから何とか持ってくれた。この馬の良さは素直さと並んでからの勝負根性ですね」と菅原勲騎手。
気になる今後だが、ジャパンダートダービーも視界には入れているが、最終目標は地元のJpn?・ダービーグランプリ。鈴木七郎調教師はそれをにらんだローテーションを組みたいそうで、途中で古馬に挑戦して流れを経験させたいという。
2着 マツリダワルツ
スローの流れだったため、いつもより前の6番手を追走し、3コーナー手前から徐々に進出。4コーナーでは馬なりでセイントセーリングに並びかけるほど手応えが良く、2頭のマッチレースに持ち込み、直線入り口で一旦、先頭に立つ瞬間もあったが、最後の叩き合いでクビ差敗れる。
「スムーズに競馬を運べたし、直線では交わす勢いもあったが、馬体を併せられたのが痛かった。体を離していたら、もっと差を詰めていたかも」と南郷騎手。
牝馬路線でパラダイスフラワー相手に2連勝。今回は久々の牡馬相手だったが、惜しい2着。輸送のない地元競馬もあって馬体重が405キロまで増えたのも好走要因だろうが、自身の成長も目覚しい。今後も楽しみ。
3着 ハルサンヒコ
例によって終始インで脚をためて直線も最内を突いて伸びる。2着から1馬身差をつけられたが、ここで3着にまとめたら上々。
「手応えに余裕があって内から交わせるかなと思ったが、脚色がいっしょになってしまった」と阿部騎手。
4着 モエレターボ
1周目スタンド前は最後方を進み、向正面でスローに落とされると掛かり気味になる。3コーナー手前からスパートをかけて先陣に取り付けようとし、実際に伸びてきたが、直線ではいつもの豪快な末脚を見せることができなかった。これは初のオープン挑戦だったことが大きく、セイントセーリングから0・4秒差なら今後のメドが立った。
「スローだったので、どこで仕掛けていいか分からなかった。まだ格下だし、今日はこんな感じでしょう」と佐々木忍騎手。
6月2日 第1回あじさい賞(オープン 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 タイキリオン
「前回(シアンモア記念)、前に行ったら末をなくしたので最初から後方からの競馬を考えていたが、スタートで出遅れてよけい後ろになってしまった」(村松騎手)。それもあって後方3番手の位置取りから直線勝負に賭ける。直線でナイキアヘッドが先頭に立ったところ、その内から鋭く伸びてアッサリ突き抜ける。
「どれぐらい脚を使ってくれるか半信半疑だったが、仕掛けたらいい反応をしてくれた。阿部君の馬(ナイキアヘッド)を交わしたけど、後ろの馬が気になりましたが、来ませんでしたから余裕がありましたね」と村松騎手。そのコメントどおり待機策に徹したのがズバリはまり、直線一気に抜け出しを決め、G?・ニュージーランドトロフィー優勝の底力を見せつけた。
タイキリオンは今年3月、障害オープンから転入したが、初戦は9ヵ月半ぶりと久々の実戦が影響して7着。しかし一度叩かれて気配が一変し、2戦目を快勝。シアンモア記念は先にも記したとおり好位を追走したが、末をなくして9着に敗れていた。
今後は芝を中心にローテーションを組んでいくそうだが、今回のような脚を使えるならこれからも芝では主役を演じていくに違いない。
2着 ナイキアヘッド
オウシュウクラウンが逃げ、ローランボスコの直後外につける。3コーナーでオウシュウクラウンの手応えが怪しくなり、4コーナーでは馬なりで先頭。最後は決め手の差で負けたが、中央6勝すべてが芝という適性ぶりを発揮する。
「芝はやはり適性がありますね。1700mは気持ち長いかも知れませんが、小回りですから乗り方次第で克服できると思います」と阿部騎手。
3着 マルタカキラリー
昨年転入し、6戦とも凡走し、今回は4ヵ月半ぶりの出走。いかに中央芝で4勝をマークしていたとは言え、これでは狙いが立たなかったが、インからジワジワ伸びて3着。今回の好走要因は判断付きかねるが、有力馬がもたつくところ無欲に乗ったら頑張ったということか。次走で真価が問われるだろう。
8着 ニューベリー
シアンモア記念で逃げ切りを決め、中央オープンで3勝の実績から断然の1番人気に支持され、芝でどんな戦法に出るか興味深かったが、出たなりで7番手を追走。道中の手応えは悪くなかったが、追い出してからの反応がひと息で直線でもモタモタして8着に敗れる。
栗駒賞でもそうだったが、控える競馬だとピリッとした感じがない印象。中央時も難しいところがあったと聞いているが、今回はその悪い面が出たか。次走でどんな競馬をするのか、注目してみたい。
11着 オウシュウクラウン
あすなろ賞と同様、逃げの積極策。しかし道中は余裕がなく、3コーナーで早くも手が動き、直線でも粘りなく失速しんがり負けを喫した。前回に復活の兆しが窺えたと思ったが、依然スランプから脱していないようだ。
6月3日 第33回早池峰賞(オープン 盛岡ダート1200m)
(写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
前半3ハロン、35秒を切るハイペースとなったが、楽に2番手を追走。直線で追い出してからも反応がすばらしく、もたつく後続を尻目にアッサリ3馬身も突き放す。前回、あすなろ賞1900mから一気に距離が短縮されて1200m。ペースに戸惑うことを心配したが、むしろ1200mが適性ありそうな手応え。走破タイム1分12秒1は馬場を考慮しても非常に優秀。
また村上忍騎手も「まだ余力があった。本気で追っていたら楽に12秒を切ったと思う」と語ったように、スプリント適性が高そう。
次走は盛岡2000mを舞台に行われる重賞・みちのく大賞典(6月17日)だが、ここにはあすなろ賞を快勝サイレントエクセルも進む予定で、テンショウボスが中〜長距離もこなしていくのか、ちょっと興味深い。
2着 ヤマニンエグザルト
終始5、6番手を追走し、直線は最内にコースを選び、混戦の2着争いから抜け出す。今回、テンショウボスには水を開けられてしまったが、2着確保でスプリント適性を証明した。今後も短距離では目が離せない存在となりそう。
3着 カシマハヤト
スタートダッシュがきかず7番手を追走。直線で馬群を割って3着に食い込み、往時をほうふつさせるシャープな切れを披露した。「調子も良かったが、短距離なら勝ち負けに持ち込めそうですね」と村松騎手。
4着 マツリダブロッコ
後方2番手を進み、3コーナーから徐々にスパート。直線は外に持ち出して伸びてきたが、瞬発力勝負に負けた。自分はスプリント適性があるだろうと踏んだが、前半で置かれるのが痛い。自身の最高タイムは0・7秒更新したが、この速い時計での決着になると苦しいか。
5着 タイキシェンロン
3番手外をキープし、一瞬2着を確保かと思ったが、最後の競り合いで遅れを取って5着。しかし今回は馬体重が529キロまで回復して見せ場もマズマズ。9歳馬だが、短距離戦なら計算ができそう。
<次走へのメモ>
5月26日 第12回七時雨賞(3歳オープン 水沢1800m)
(写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
前走(ニュージーランドトロフィー)時に比較してプラス17キロの472キロで出走。この数字だけで見れば明らかに太目の印象を受けるが、実際はデビュー時、487キロ(水沢850m 1着)で出走し、4戦目の重賞・ジュニアグランプリも472キロで快勝していたように、今回は長距離輸送もない地元水沢での競馬。それゆえ元に戻ったと言うか、太め感はほとんどなし。パドックで少しチャカチャカしたところを見せたが、全体的には落ち着いて好印象を受けた。
レースは中央挑戦の時と同様、後方待機策を取ってジックリ待機。3コーナー過ぎからスパートをかけ、直線半ばで先頭。そこで一瞬、とぼけた感じもあったが、内を突いて伸びてきたハルサンヒコとはやはり役者の違い。仮にゴールが50m先にあっても交わされることはなかっただろう。
冒頭にも記したが、今季始動はJRA中山・ニュージーランドTから。その後はJRAに適鞍がなかったため、次走へのステップとしてこの七時雨賞を選んだ。
ダートは昨年8月、りんどう賞(水沢1400m)3着以来、久々でパワーのいるダートが懸念材料ではあったが、いつも調教で走っているコース。また砂を被ってもさほど影響なく、着差はクビだったが、それ以上に余裕が感じられた。さすがハイレベルのメンバーで戦ってきた実績はダテではなかった。
「久々の地元戦で気合いが入ったのか、折り合いに苦労する場面もあったし、ダートも久々で半信半疑だったが、ここでは力が違っていたということでしょうね」と菅原勲騎手。
次走予定は盛岡芝1700mを舞台に行われる特別「第8回ガーベラ賞」。その一戦を叩いて、選ばれればラジオNIKKEI賞へ向かいたいと鈴木七郎調教師。
2着 ハルサンヒコ
終始5、6番手インでじっと我慢し、直線も外に出せるところがなく、最内コースを選ぶ。ゴール前で2番手争いから抜け出してボスアミーゴに肉薄しそうになったが、最後は脚色がいっしょになって2着となった。
この馬の良さはどんな流れ、展開にも対応ができ追い出すと確実に伸びる末脚。欲を言えば最後の爆発力がほしく、それで勝ちを逃がしているが、メンバー構わず4戦連続で2着は立派。
3着 ネバーオブライト
無理をせずに4番手外を追走し、3コーナーから仕掛けたが、例によってコーナーコーナーでもたつく。そのロスがなんとも痛いが、直線ではジワジワ盛り返して3着に入った。550キロの大型馬で決して器用なタイプではなく、それならば盛岡の広いコースの方が合うかもしれない。
5月27日 第21回ひまわり賞(3歳牝馬 地方競馬全国交流 水沢1900m)
(写真・佐藤到)
1着 マツリダワルツ
もっさりスタートで後方2番手からの競馬だったが、馬群が固まり始めた3コーナー手前からロングスパート。前回・あやめ賞もそうだったが、行き脚がついてからの伸び脚が実にシャープ。逃げたオーナーズスキャンを捕らえるのにもたつくパラダイスフラワーを尻目に、大外一気に交わして快勝。ほぼ最後方から追い込んで2着に1馬身半差をつけるのだから、これは圧勝と言える内容。あやめ賞を勝ってもパラダイスフラワーとの力比較では劣ると見られていたが、それをアッサリ覆す。完全に本格化を迎えたと言って間違いないだろう。
「最初、スタートが悪くてちょっとヒヤッとしましたが、うまく進路が取れて大きなロスが無くて済みました。馬の方は前走と同じくらい落ち着いていたし、反応も良かったので、3コーナーくらいでイケるなと思いました。
あやめ賞もそうでしたが、距離が長いとレースが楽。それに必ず終いの脚を使ってくれる馬で、それを信用しているからこちらも安心して乗れます」と南郷騎手。
次回から舞台は盛岡競馬場に替わる。マツリダワルツは芝2戦1勝2着1回と全く問題なし。一方、ダートは若駒賞5着、プリンセスカップ6着と苦手の印象はあるが、当時はまだ出世するはるか前。今の充実度を持ってすればダートでも見事な末脚を披露してくれるだろう。
2着 パラダイスフラワー
1周目スタンド前はマツノメガミ、オーナーズスキャンの3番手外。1コーナー過ぎから2番手をキープし、3コーナーでスパート。やはり前回同様、前を捉えるのに苦労し、オーナーズスキャンをようやく捕らえたと思ったのもつかの間、外強襲マツリダワルツに一瞬で交わされる。
今回からレースに集中させるべくチークピーシーズを着用したが、それ以前に前走比(あやめ賞)と比較してプラス7キロの498キロ。3月のレースでも同じ馬体重でマツリダワルツに敗れていたが、これは太めの印象。その影響もあって道中、もたついた可能性もあり、完敗とは言い切れない。
昨年は追い出してからシャープな反応を見せていたが、一日も早くその気の良さを取り戻してほしいところ。
3着 オーナーズスキャン
笠松転籍、そして再転入後とずっと精彩を欠いていたが、今回は積極策に出て直線でも渋太く粘る。2歳時、重賞・白菊賞でも逃げて勝ったように、それが持ち味を最大に出せる戦法だと思う。マツノメガミを1周目1コーナーで交わして先頭に立った積極策が好結果につながった。
1着:インターサウンド
いつもは中団やや後方からレースを進めるこの馬が、今回は逃げ馬を追いかけるポジション。これは「我慢しても伸びる脚があるわけじゃない。スタミナがあるから前にいって簡単に止まる事もない。だったらニホンピロゼンより前でレースをしないと勝ち目はないと思って(関本 淳騎手)」と狙い通りの作戦。おまけに、9Rの時に降った土砂降りの雨のおかげでこの馬向きの脚抜きのいいコース状態になり、終始危なげのないレース運びで勝利を手にした。開幕からずっと好調をキープしていたのもこの勝利につながっている。
2着:ニホンピロゼン
ポジション的には先行馬を大名マークの位置、いつでも交わせるという所でレースを進めていたが、直線の伸びが今ひとつで勝ち馬を捉えきれず。これには鞍上・村上忍騎手もショックを受けたようだが、中間、熱発で順調さを欠いた時期があったそうで、「調整が難しい馬だから仕方がない面も(村上忍騎手)」とも。
3着:マクロプランナー
後方から徐々に差を詰め、4角のごちゃごちゃしたところも極々スムーズに突破するというレース内容は完璧。ただ、相手が少し強かったという事。
4着:マルカンジョオー
「勝負を賭けて外に持ち出したが、もう脚が残っていなかった(阿部英俊騎手)」。B級だと力任せに何とかできるが、A2だとさすがに・・・。という印象。ただ、調子はかなり良くなってきた。
5/20 第8回あすなろ賞(オープン)
1着:サイレントエクセル 前走の5着で復活の兆しが見えていた。今回は馬体重的には+1kgに止まり、調教もまだ物足りないレベル。昨秋の絶好調時を100とすれば75くらいの出来だったが、むしろそれだけに底力の高さを感じさせる結果となった。勝ちタイム2分1秒1はコースレコードタイ。次走はみちのく大賞典(6/17盛岡ダ2000m)に。
2着:テンショウボス
逃げるオウシュウクラウンを追いかけ続け、4角手前で早々と先頭に。しかし先頭に出るととぼけてしまう馬、伸びあぐねてもたもたしている所を勝ち馬に捉えられてしまった。
結果的には好調さと、オウシュウクラウンが意外に早く止まってしまったのが仇になった感があるが、レース内容は1番人気のそれで、“強い4歳”をしっかりと印象づけた。
3着:タイキコジャック
2連勝中とはいえ一気の相手強化でどうなるかと思われたが、自分のレースの形は崩さなかった。距離や時計勝負も苦にしない感じ、あまり周りの動きに影響されないタイプでもあるようで、やはり今後も要注意の馬だろう。
4着:ゲイリーエクシード
有力どころが前に固まって、しかもそのままなし崩しに高速決着に持ち込んでしまったからこの馬には辛い展開だった。とはいえあいかわらず怖い10歳馬には違いない。
5着:オウシュウクラウン
「馬に気合いを入れる意味でも、行けたら逃げようと思っていた(小林俊彦騎手)」という鞍上の気持ちに応えて久々の逃げに出たオウシュウクラウン。直線半ばで脚が止まり、小林騎手も「本当のこの馬なら逃げ切って当たり前だから」と辛口の評価だったが、スランプ脱出の糸口は見えたか。
1着:ローランボスコ
逃げる馬がはっきりしていた今回はハナには立たず、ダンディキングをぴったりマークの2番手追走。直線はしっかり競り落として優勝し、苦手の盛岡に替わる前に待望の勝ち星をGETした。この馬には気持ち長い1800m戦でも全く危なげないのは、それだけ調子が良いという事なのだろう。
2着:ダンディキング
「馬が落ち着いているから距離には全く不安がない(草地騎手)」というとおり、逃げて最後まで脚色が鈍らない。勝ち負けは展開のあやで、それよりはこの日のコース状態としてはかなり速いラップ・走破タイムで走りきった事を高く評価したい。
3着:マツリダブロッコ
相変わらず好調キープ、道中の動きも悪くなかったはず。この馬にはちょっとタイムが速すぎた印象。
5月12日 第33回あやめ賞(3歳牝馬オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 マツリダワルツ
1周目4コーナー過ぎ、14秒前後のスローに落ちたこともあっていつもより前、中団直後につける。各馬が仕掛けたのは3コーナー手前からだったが、こちらはワンテンポ遅らせてスパート。「直線でインを突っ込むか、外を回るか一瞬迷ったが、大外は伸びるのでそこを選んだ」と南郷騎手がレース後に語ったが、今の馬場は最内と大外が伸びるので正解。
パラダイスフラワーが直線半ばで先頭に立ち、そのまま押し切ろうとするところマツリダワルツがゴール寸前で捕らえ、初の特別タイトルを手に入れた。
「この馬のペースで行かせたら中団からの競馬になった。必ずいい脚を使ってくれるのでそれを信じて3コーナーから追った。今回はプラス9キロで馬体もフックラしていたし、馬も落ち着いていた。距離が伸びてペースがゆったりしたのもこの馬には良かったのでは」と南郷騎手。
マツリダワルツは追ってバテないタイプなので距離延長は歓迎。次走・ひまわり賞は今回よりさらに100m伸びて1900mが舞台で、マツリダワルツには願ってもない条件となる。
2着 パラダイスフラワー
マツノメガミが何が何でも逃げる構えを見せたのでスッと2番手に控える。道中は折り合いもつき、いつでも交わせるポジションをキープしたが、3コーナーから満を持して追い出しても反応がひと息。最内で粘るマツノメガミをラスト50mで捕らえたが、大外強襲マツリダワルツに頭差交わされて連勝は2でストップしてしまった。
菜の花賞、日高賞といずれも逃げ切り勝ち。今回もその2戦と同じ1枠に入り、逃げ必至と思ったが、前回・日高賞後のコメントで「ズブくなっているので、できれば控える競馬をしたい」と小林騎手が語っていたので、この2番手はむしろ望むところだったに違いない。
ところが、いざ追い出したらもたついてマツノメガミを捕らえるのがやっと。「全然、行く気がない」と小林騎手。
3着 サクラアリエル
マツノメガミ、パラダイスフラワー、オーナーズスキャン、内にナイトタイム、その後ろにサクラアリエルがつける。先にサイレントステージが動いて、それを見てスパートをかけ、一旦パラダイスフラワーに並びかけたが、あと一押しが足りず今回も3着惜敗した。
「3、4コーナーでもっと前につけた方が良かったかも」と菅原勲騎手。
4着 マツノメガミ
絶対にハナを譲らない構えで逃げ、1周目スタンド前でスローに落とす。笠松時代も先に行ったケースがあったが、マイペースに持ち込んで直線でも渋太く粘る。これで今後のメドが立った。
5着 サイレントステージ
道中は4番手外につけ、3コーナー手前からスパート。その時の反応は良かったが、直線では伸び切れず5着に終わった。「ピークからだとマイナス20キロ。体重が減っているのでどうしても最後が甘くなる」(板垣騎手)
5月13日 第7回阿久利黒賞(3歳重賞 水沢1600m)
1着 セイントセーリング
ネバーオブライト、セイントセーリング両馬とも好スタートを切り、どちらが逃げるか注目だったが、1周目スタンド前でセイントセーリングがハナに立つ。「大外に入ったし、ネバーオブライトがいたので2番手の競馬も考えていたが、自分の方が若干リードしていたから、それならば逃げようと思った」(菅原勲騎手)。
ラップが速かったのは2ハロン目だけ。セイントセーリングが先手を取って以降はペースが落ち着き、気分良く逃げる。4コーナーでソードが差を詰めにかかったが、セイントセーリングは余力十分。直線で再び伸びて6馬身差の圧勝劇となった。
「この馬の力を信じて逃げることにした。その方がダートでは持ち味を生かせますからね。昨年に比べ馬体、精神両面で成長を感じます」と菅原勲騎手。
次開催をスキップし、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(6月10日)に直行すると鈴木七郎調教師。
2着 ハルサンヒコ
自分の競馬をすることに徹し、道中は中団インでジックリ待機策を取る。3コーナーから徐々にスパートをかけ、直線でもジワジワ伸びて2着を確保。鈴木七郎調教師のワン・ツー・フィニッシュで決着した。
「セイントセーリングとは力が一枚落ちるが、自身は確実に成長している」と板垣騎手。
3着 ネバーオブライト
当初は逃げるかと思ったが、スタンド前で2番手に控える。2コーナー過ぎから追いどおしだが、反応がひと息。「これは毎回のこと」と村松騎手は語っていたが、それにしても動きが鈍く、3コーナー過ぎでソードに交わされたが、直線ではひとまず盛り返す。それでも外から伸びてきたハルサンヒコ、ワクワクヨークンを差し返すまでには到らなかった。
もっと上昇度を期待したが、まだ体もゆるい印象。今後のことも考えれば無理に絞ることもないだろうが、もう少し反応の良さが見たかった。
4着 ソード
いつもは中団より後ろがマイポジションだったが、「前に行かせてみたかった」と村上忍騎手は考え、3番手外を追走。3コーナー、馬なりでネバーオブライトを交わして2着確保の勢いかと思ったが、直線では前半で脚を使った分、末が甘くなってしまった。