4月13日 第8回菜の花賞(3歳牝馬 水沢1600m)
(菜の花賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 マサノパンダ
ミラクルジョンコが積極的に逃げ、その外2番手を追走。折り合いもうまくつき、3コーナー過ぎに早め先頭に立ったところ、ピンクゴールドが直線入り口で並びかけて一瞬、交わすシーンもあった。しかしラスト100mで再び突き放して1馬身半差。理想的なポジションといい、馬体を併せてからの伸びともすばらしく、パーフェクト内容で初の特別タイトルを手に入れた。
「大外枠がどうかと思ったが、スッと2番手につけたようにスピードがある。道中の手応えも上々でしたし、並ばれてからも頑張ってくれた」と菅原勲騎手。
調子の波が激しいのが牝馬だが、特にこの時期が顕著。実際、トーホウノゾミはまだ戦列に復帰していないし、ピンクゴールドも前回よりさらに体重を減らしていた中、マサノパンダは順調そのもの。追い切りでは相変わらず動かないが、デビューから着外に沈んだのは芝の2戦のみ。他ではすべて入着を果たし、休み明け初戦の前走もモエレハナオー、リュウノツバサに次ぐ3着に善戦していた。
マサノパンダは父がダートでの活躍馬が多いマジックマイルズ。母ジョージバンダ(その父ミルジョージ)は現役時代、北関東オークスを制するなど通算13勝をマークした強豪。NARグランプリ年度代表馬にも輝いたベラミロードと同期で最強牝馬世代とも言われていた。
改めて記すが、牝馬は体調の良し悪しが結果に直結するケースが多く、マサノパンダは本番・留守杯日高賞でも有力視されるに違いない。
2着 ピンクゴールド
前半は脚を貯めることに徹し、向正面からロングスパートをかける。この馬の良さは追い出してからの反応のすばらしさ。行き脚ついてからの伸びはシャープだったが、さすがにマイナス7キロの影響が大きかったのか、最後の爆発力に欠けた。それでも1番人気に支持され、2着確保が底力と見るべきだろう。
今後の課題は馬体回復以外になし。前走(3月20日 3歳A級)では2ヵ月半の休養明けだったにもかかわらず、大きく馬体を減らしてマイナス18キロの419キロ。中間に腹痛を起こしたのが原因だったそうだが、今回は約3週間の間隔が開き、回復するだろうと大方は見ていた。ところが、ふたを開けてみるとさらに減って412キロ。骨組みを考えれば440キロは必要な馬だけに一日も早い回復を待ちたいところだ。
3着 ミラクルジョンコ
枠差(3番枠)も利して果敢に先手を奪い、前半3ハロン38秒台。気持ち速い感じもあったが、道中マイペースに持ち込む。しかしマサノパンダに3コーナーで交わされ、そのまま失速するかと思ったが、直線でも渋太く3着に粘った。
4着 モエレアンドロメダ
今回からマルタンガールとブリンカーを着用。これまでどおりポツンと最後方からの競馬。向正面で満を持してスパートをかけたが、3コーナーでジェベルロバーツがつまづき、落馬寸前の不利。そのアクシデントの影響を受けたモエレアンドロメダは一度態勢を立て直さなければならなかったが、直線では最内を突いて鋭く伸びてミラクルジョンコとはクビ差の4着。これで今後のメドが立った印象。
4月5日 第20回栗駒賞(オープン 水沢1600m)
1着 タイキリオン
トウショウグローズが逃げ、前半3ハロン40秒前半の超スローペースに落ち、タイキリオンは絶好の3番手をキープ。ラスト800mからようやくペースが速くなり、3〜4コーナーで2番手セイントセーリングが脱落。直線に入ってもトウショウグローズが粘ったが、ラスト200mまで。ジワジワと後続を離して余裕のゴールを決めた。
「早い時期から乗り込んで体調は万全。ただレースと調教は別なので息が持つかだけが心配だったが、今日は強いレースを見せてくれた。マイルまでならダート芝関係なしにいい競馬をしてくれる」と板垣騎手。
次走は5月6日、シアンモア記念に直行。年齢が年齢だけに無理なローテーションは組みたくない、と酒井調教師。
2着 マンジュデンコウベ
前半は中団に控えていたが、向正面から早めにスパート。それが結果として功を奏し、キッチリ2着を確保した。前回、水沢1800m戦ではメンバーが甘く圧倒的な1番人気に支持されたが、伸びを欠いて3着止まり。鞍上の菅原勲騎手も首をかしげていたが、それもあって仕掛けを早めたのでは。あと課題はいかにスローだったにせよ、前半は折り合いにちょっと苦労する場面もうかがわせ、本来の爆発力を生かすためには我慢がきくかにかかっている。
3着 トウショウグローズ
先にも記したように超スローペースに落として気分良くスイスイ。ここでは格下のイメージが強く低評価だったが、沢田騎手の絶妙なペース配分が功を奏して3着に大健闘。
4着 ダイワフォーチュン
ポツンと最後方が指定ポジションだったが、流れが遅かったため離されないで後方2番手を追走。追い出しもいつもより早かったが、上がり37秒前半の競馬ではどうしようもなかった。決して力負けではない。
4月7日 第34回スプリングカップ(3歳オープン 水沢1600m)
1着 リュウノツバサ
リュウノフリーダム、リュウノゼウスがハイペースを形成したが、こちらは離れた3番手外をキープ。3コーナーで早めスパートをかけ、2頭を交わして先頭。その後は2馬身ぐらいのリードを取ってそのままゴールへ。「終いの勝負になると苦しいと思ったので、セーフティリードを心がけた」(村上忍騎手)。これが好判断となり、デビュー6戦目にして初の特別タイトルを手に入れた。
手前を替えない、掛かるクセがある、まだ後肢が弱いなどの課題面を残しながらの勝利だけに今回は価値が高い。距離はマイルがベストの印象だが、今後の成長次第ではビッグタイトルも決して夢ではない。
2着 ゴールデンクリーク
前半、ハイペースだったため控え気味にレースを進めたが、次から次へと外から被せられてきつい競馬を強いられる。勝負どころの3コーナーでも外に出せず、スパートが遅れる。普通ならば2着もなかったレースだが、直線を向いてようやく外に出すや一気に伸び、敗れて尚強し。最後まで気力が衰えなかった点に収穫もあり、地力アップは明白。次走・阿久利黒賞での巻き返しに期待したい。
3着 テンショウベスト
前半は中団インで我慢してゴールデンクリークとほぼ同じところからスパート。先行すると終いが甘くなってしまう傾向があったが、今回は控えることによってゴール前の伸びは実にシャープ。この戦法の方が合っているかもしれない。
5着 モエレハナオー
やや出遅れ気味のスタート。5番手外を追走したが、直線ではいつもの反応が見られずに終わった。前回はリュウノツバサとのマッチレースを制し、今回も人気を集めたが、マイナス5キロ以上に馬体がしぼんだ印象。おそらくで言うが、前回厳しい競馬を制した反動があったのではないか。
6着 コンバットキック
馬体重が前走(1月2日・金杯)比プラス19キロ。見た目では太く映らなかったが、パドックでの入れ込みが目立った。本領発揮は次走以降になりそうだ。
1月14日 重賞・第8回トウケイニセイ記念(水沢1600m)
(トウケイニセイ記念ゴール 写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
中団キープはいつもどおりだったが、若干事情が違っていたのは1枠だったこと。団子状態になった場合、内に包まれる可能性もあったが、2コーナーで馬群がバラけたのも幸い、向正面でうまく外に出した。3コーナー手前から徐々にスパートをかけ、直線では早め先頭に立ったタイキリオンとマッチレースに持ち込む。そうなるとテンショウボスの必勝パターンで、内で粘るタイキリオンをジワジワ突き放して1馬身半差。完勝の内容で自身の連勝を5に伸ばした。
「馬場状態もテンショウ(ボス)に向いていたので前半は抑えた。1枠が気持ち不安だったが、展開がバラけて外に出せたのでこれで大丈夫だと思った。最後も締め括れたのでまずはホッとした」と小林騎手。
次走はフェブラリーステークスか佐賀記念。「この馬にベストな条件になる方を使いたい。場所は未定だが、今後は美浦近くのトレセンか、南の方で乗り込みたい」と佐々木修一調教師。
2着 タイキリオン
好ダッシュを決めて、普段の競馬より前の4番手を追走。道中の手応えも抜群で先陣グループにいたニシノグレイシャ、ナイキアヘッド、ダンディキングを3コーナーで交わして先頭。これはテンショウボスが動いたから当然の選択、4コーナーを回っても脚色は衰えなかったが、相手が相手だけに仕方なし。むしろ最後まで粘って2着確保を讃えるべきだろう。
3着 マンジュデンコウベ
掛かり気味になりながら菅原勲騎手が我慢させ、5番手をキープ。テンショウボス、タイキリオンがスパートをかけたのを見て追い出したが、2頭とは反応の差が明らか。直線でもマズマズの脚を使ったが、3着確保が精一杯だった。
フサイチギンガ初勝利!!
11月23日、フサイチギンガはデビュー戦(水沢850m)を迎え、3着に入線したものの、直線で大きく外方逸走。これではまともにレースを使えないと佐々木修一調教師は苦渋の判断。遠野馬の里で去勢手術を行い、12月25日に帰厩。最終追い切りを1月11日に消化して何とか出走にこぎつけた。
フサイチギンガはスタート直後に早くも外に行こうとしたが、それを必死に抑えてコーナーを無事に通過。中団キープから向正面で前に進出し、4コーナーで先頭。アスベルが一旦抜け出すシーンもあったが、ラチ沿いなら左ムチを入れても大丈夫だろうと菅原勲騎手が気合いをつける。その効果もあって2戦目にして待望の初勝利を飾った。
「課題も多かったが、結果を出せてホッとした。去勢後で正直、無理をさせたところはあったが、能力が高い馬なので乗り越えてくれると信じていた。あとは冬の休養で精神面の成長に期待したい」と佐々木修一調教師は語った。
12月16日 社台SS協賛・デュランダル賞「第17回白嶺賞」(3歳以上オープン 水沢1600m)
(白嶺賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 ダイワフォーチュン
外枠からジュリアが先手を奪ってスローペースに落とす。ダイワフォーチュンは例によってポツンと最後方でジックリ待機策を採る。さすがにペースが遅く1周目スタンド前ではやや掛かり気味となったが、それをうまくなだめて向正面から満を持してスパート。しかし4コーナーを回っても先頭から10馬身ほどの差が開いていたため、とても届かない感じだったが、大外からグイグイ伸びて直線ごぼう抜き。先に抜け出したサイレントエクセル、タイキリオンをアッサリ交わしてゴール。脅威の上がり35秒8の脚を駆使して初の岩手オープンタイトルを手に入れた。
「腰が悪い馬なので、スタートに気をつけて道中は折り合いをつけることに専念した。距離は短い方が合うタイプなので今回はチャンスがあるかもと思っていた」と草地騎手。
3走前のA1級戦(盛岡ダート1600m)でもポツンと最後方から直線一気を決めて周囲の度肝を抜いたが、赤松杯7着、オッズパークグランプリ9着と凡走。そのため今回は7番人気と低評価だったが、メンバーが甘くなったことと草地騎手の思い切った最後方待機策がズバリはまった。
2着 タイキリオン
終始、不利を受けない中団外めを追走して3コーナーから徐々に先陣に接近。3コーナーで早くも先行2頭ジュリア、セイントセーリングを捉える態勢ができ直線半ばで先頭に立ったが、その外ダイワフォーチュンの勢いには勝てなかった。
「寒い季節になって本来のシャープな動きを取り戻してきた。それと芝に似たような今のコース状態があったのでは」と村松騎手。
道中の位置取り、仕掛けどころも文句なく手応えも抜群だったが、これで負けたのなら仕方なしだろう。1月14日、同じ水沢1600mで行われる重賞・トウケイニセイ記念でも好勝負に持ち込めるに違いない。
3着 サイレントエクセル
オッズパークGPで馬体重が減っていたため、北上川大賞典を自重。その結果、今回はプラス5キロの450キロで出走できたが、5番手インの馬群に入れてレースを進めたが、勝負どころで前走(オッズパークGP)と同様、3、4コーナーでもたついてスムーズなレース運びができない。このロスが大きく直線では底力で盛り返したものの、決着のついた3着に終わった。元々、体が堅いタイプなので、寒い時期になると本来の爆発力が影を潜めてしまうが、敗因はそれに尽きるだろう。
4着 エアウィード
終始3番手インをキープして直線も最内に進路を取る。昨年までならそこから鋭く伸びてくるのだが、今季の成績どおり4着確保がやっとだった。
5着 セイントセーリング
ジュリアが逃げ、2番手外を追走。スローに落とされたため何度も掛かる仕草を見せて鞍上を苦労させたが、4コーナーではジュリアに並びマズマズの粘りを見せる。これで今後のメドが立った模様。
<次走へのメモ>
12月2日 社台SS協賛・スニッツェル賞「第6回寒菊賞」(2歳オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 シェロ
大外からエイプリルボーイが逃げ、2番手リュウノフリーダム、外リザルトがハイラップを刻んで先頭集団を形成。シュロはそこから5馬身ほど後ろの4番手を追走し、エイプリルボーイが快調に飛ばしているのを見て3コーナーから早めスパート。直線は2頭のマッチレースとなったが、ラスト50mでエイプリルボーイを突き放して快勝。待望の特別タイトルを手に入れた。
「最近、ゲート出が悪そうだったので、スタートに気をつけた。今回、ブリンカーを外した影響か反応がひと息だったが、行き脚がついてからはいい伸びを見せてくれた。デビュー当時は馬っ気が強かったり、レースに集中しなかったり幼い面があったが、今回は成長確かなことを実感した。まだ伸びる馬なので今後も楽しみ」と小林騎手。
シュロは新馬戦4着に敗れたが、2戦目から2連勝。若駒賞、南部駒賞はいずれも4着だったが、小林騎手のコメントどおり荒削りの分、今後に期待を抱かせる内容を披露し、今回は人気に応えて快勝した。均整の取れた馬体、いい脚を長く使えるのが特長で年明けの金杯でも好走の予感。
2着 エイプリルボーイ
大外に入ったが、構わず果敢に先行。「ハイペースは分かっていたが、行きたがったので無理して抑えなかった」(阿部騎手)エイプリルボーイは2、3番手の馬が一杯になってもスピードは衰えず直線でも先頭。シュロが馬体を併せると再び内から伸びてきたが、最後は力尽きて2着。
「速いラップでも自分のペースで逃げれば渋太い」の阿部騎手コメントでもはっきり。エイプリルボーイはたとえハイペースでも強引に行った方が持ち味を生かせる。
デビュー戦・水沢850mを50秒9の今季一番時計で逃げ切り、2戦目・りんどう賞ではアイリッシュクインとの超人的ハイペースがたたって6着。そして前回は一転、控える競馬に徹して6着だったが、やはり現状は先行策がベストの印象。
3着 ゴールデンクリーク
シュロの直後につけたが、勝負どころで同馬に置かれてしまう。それでも直線で盛り返したが、2着からも0・5秒差3着確保が一杯だった。
4着 リザルト
旭川・エーデルワイス賞前後から調子を落として今回は2ヶ月ぶりの実戦。正直、本来の動きとは言えなかったが、ハイペースの3番手を追走して4着に粘れば上々。特別勝ち(若鮎賞)はダテではなかった。次走はもっと状態がアップするはず。
5着 フジプライド
前走・南部駒賞ではバトルアイの失速で前が詰まる不利があって7着。例によって前半は後方2番手に待機したが、3コーナーから早めにスパート。一瞬はいい感じで伸びてきたが、直線は案外の結果に終わった。小回り水沢では苦戦を強いられそう。