9月14日 第31回桂樹杯(3歳以上オープン 盛岡芝1600m)
(桂樹杯ゴール 写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
いつもどおりのスタートを切り、後方4番手につける。ただ「年々ズブくなってきているし、前2回が2400m戦。久々のマイルに戸惑って追走するのにてこずった」(菅原勲騎手)そうで、3コーナーでちょっとモタモタするシーンも。
それでも行き脚がついた4コーナーからの伸びに役者の違いがマザマザ。馬群が固まった直線では大外からアッサリ抜け出し、後続を一瞬のうちに突き放して完勝。芝4連勝をマークした。
「以前は掛かって折り合いに苦労していたが、ズブくなっているので逆にマイルは短すぎるかも。それでも4コーナーを回ってからは大丈夫だと思ったし、切れは健在。次走、OROカップは100m延びるので今ならその距離の方が合うでしょう」と菅原勲騎手。
2着 サクラエキスプレス
外ウエスタンフォルスが手をしごいて先手を取ったので、無理をせず2番手外に控える。流れは明らかにスローで、サクラエキスプレスも楽に追走できたのが最大の好走要因。直線入り口でウエスタンフォルスを交わして先頭に立ち、直線半ばでちょっと苦しくなってヨレるシーンがあり審議の対象になったが、着順を変更するには到らずクルセイズ、カネショウエリートの追撃を封じて2着を死守した。
芝2400mのかきつばた賞、せきれい賞は距離の壁に泣いて着外に沈んだが、今回はマイルに距離短縮されて持ち味を出し切った。
3着 クルセイズ
道中は5番手インにつけ、ボスアミーゴが動いたのを見てスパート。直線では馬群を割って抜け出そうとしたところサクラエキスプレス、ボスアミーゴの間に挟まれて出場所をなくしたが、ラストでまた盛り返して3着入線。
前2走は水沢ダート、その前は盛岡芝・ダートと条件が毎回替わりながらも常に上位へ食い込んでくるのには頭が下がる。今後も目が離せない存在だ。
4着 カネショウエリート
終始4番手外を追走し折り合い、手応えも上々。4コーナーを回って2着を確保しそうな勢いがあったが、ラスト100mでクルセイズ同様、進路が狭くなる不利が痛かった。
しかしボスアミーゴは別格として初の一線級相手にクビ、クビ差の2着争いを演じたのだからマズマズの結果。オープンのペースにも慣れただろうから、さらに好勝負に持ち込めるかもしれない。
9月15日 青藍賞(3歳以上オープン・地方競馬全国交流 盛岡ダート1600m)
1着 トーホウライデン
前半はジックリ7番手に待機し、3コーナーから満を持して高橋悠里騎手がゴーサインを出すと、素早く反応。ラスト200mで前にいたダークマター、メタモルキング、ブラーボウッズらをアッサリ交わし、大外を強襲したソーユアフロストが接近するとまたひと伸び。完勝に近い内容で重賞2連勝を飾った。
「クラスターカップの取り消しは残念だったが、馬体を回復させてからは攻め馬を十分にこなして出走できた。それでも走る前は半信半疑だったが、盛岡は本当に走る。瞬発力に思わず熱くなった」と高橋悠里騎手。
テンショウボスが回避、そしてサイレントエクセルは今回は7着と昨年のトップ・ツーが順調さを欠いて混沌としたままで後半戦に突入。いわゆる団子状態で低空飛行を続けているが、その中でトーホウライデンの重賞2勝は光る。
次走・南部杯は全国の強豪がそろい、どう考えても岩手勢では歯が立つと思えないが、今回を叩かれた上積みを見込めば電光掲示板に載る可能性も少し出てきたか。
2着 ソーユアフロスト
道中は後方2番手を進み、トーホウライデンとほぼ同時にスパート。直線を向いてトーホウライデンとの差を徐々に詰めて一瞬、捕らえそうな場面もあったが、再び離されてしまった。それでもメンバー中最速の上がりを使ったことは収穫だった。「直線で差せるつもりで精一杯に追ったが、捕らえ切れなくて凄く悔しい」と高松亮騎手。
次走は選ばれれば、の条件で南部杯に向かいたいと佐藤雅彦調教師。
3着 ダンディキング
自分の競馬に徹することに心がけ、ずっと5番手をキープ。先に仕掛けたブラーボウッズには先着したが、上位2頭とは決着がついてからの入線。「年を重ねてカリカリしなくても力を出せるようになった。このメンバーなら力は五分だから、いずれチャンスがあるかも」と草地騎手。
4着 ブラーボウッズ
オープンにしてはさほどペースは速くなく、鞍上・菅原勲騎手はみちのく大賞典の再現を狙って早めにマクリをかける。それで各馬のピッチも上がり、ブラーボウッズは4コーナーで3番手まで進出したものの、そこで脚が止まってしまった。
6着 ヤマニンエグザルト
すずらん賞では好位追走したが、今回はコースが替わったにせよ後方2番手からの競馬。直線を向いてようやくエンジン全開したが、すでに勝負付けが済んでからでは如何ともし難かった。「全然、ハミを取ってくれなかった。たまにあると聞いていたが、それにしても動かなすぎ」と小林騎手。
9月7日 第40回不来方賞(3歳オープン・地方競馬全国交流 盛岡ダート2000m)
(不来方賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 ピンクゴールド
エイプリルボーイが逃げ、2番手ゴールデンクリーク、その外モエレハナオー、内リュウノアシェイブ、4番手インにリュウノツバサ。ノゾミカイザーは先陣を見ながら3馬身離れた6番手を追走し、その後ろにピンクゴールドがつける。
向正面、ノゾミカイザーが徐々に前へ接近し、ピンクゴールドはワンテンポ遅らせてスパート。4コーナーで内からゴールデンクリーク、モエレハナオー、ノゾミカイザー、リュウノツバサの順で横一線。そこから2馬身差でピンクゴールドも追走し、ラスト200mでリュウノツバサが抜け出して先頭。そのまま押し切るかやに見えたが、外ピンクゴールドが強襲。
ラスト50mで一旦、脚色がいっしょになって両馬が並んだままもつれたが、ピンクゴールドがリュウノツバサを突き放してゴール。小林騎手は快心の一番に、久々のガッツポーズを披露した。
「若干時計がかかっているし、2000mなのでペースが上がらないのは分かっていた。3コーナーで有力馬がスパートをかけたが、自分に『まだ早い、まだ早い』と言い聞かせて我慢した。一瞬の脚は持っている馬なので、これが好結果につながったと思う。休み明けでも気のいい馬だからソコソコの競馬をするとは思っていたが、まさか勝てるとは思わなかった。次にも同じようなレースができれば本物だろうが、今はとにかく嬉しい」と小林騎手。
ピンクゴールドは冬休み明け今年3月の特別開催で馬体重がマイナス18キロと大幅減。結果も5着に終わり、続く菜の花賞ではさらに7キロ減って412キロまで落ちて2着に敗退。重賞・日高賞で430キロまで回復したものの、カネショウプルートに完敗。
カネショウプルート不在のあやめ賞は貫禄で制したものの、ひまわり賞でも同馬に再び完敗を喫し、芝に活路を求めたが、はまなす賞3着、オパールカップ6着に敗れ、一旦休養。今回は7月13日以来、約2ヶ月ぶりの実戦となった。
おそらくピンクゴールドにはそれも好結果につながったに違いない。というのは元々、飼い葉食いが細いため調整が非常に難しいタイプ。このレースでも前走比プラス3キロ(425キロ)と微増にすぎなかったが、それでも乗り込みをちゃんとこなした上でのプラス体重に、小林義明調教師も一安心していた。
小林騎手のコメントにもあるとおり、次走で結果がでなければ不来方賞の勝利はフロックと言われるだけに、陣営も気を緩めることはできないが、レースを絞っていけばそれ相応の走りを見せてくれるだろう。
2着 リュウノツバサ
大外12番枠を引き当て、ちょっといやな予感もあったが、沢田騎手が徐々に内に進路を変えて5番手に控える。ちょうどモエレハナオーの後ろで砂を被らせて、うまく折り合いをつける。
残り800m標識、先にノゾミカイザーが仕掛けたのを見てリュウノツバサも外に出して先陣に接近。コースは違うがクリスタル賞と同じ位置からスパートをかけ、直線すぎて先頭に立ったノゾミカイザーを交わす。沢田騎手も「これで大丈夫だな」と思ったそうで人気上位馬をすべて振り切ったが、その外からピンクゴールドに襲い掛かられては如何ともし難かった。
折り合い、仕掛けどころ、そして手応えも反応も文句なし。懸念材料だった2000mも克服し、3着以下には4馬身差。沢田騎手はパーフェクト騎乗だったし、リュウノツバサもそれにしっかり応えたが、最後の最後で二冠を逃してしまった。これが競馬の難しさであり、おもしろさでもあるのだろう。不来方賞で最も強いレースをしたのは間違いなくリュウノツバサだった。
3着 ノゾミカイザー
東海ダービー(12頭立て)が8番手、ジャパンダートダービー(15頭)、黒潮盃(16頭)が12番手追走と本来は追い込みタイプ。おそらくスローの流れを意識したと思うが、吉田稔騎手はいつもより積極策に出て6番手を追走。
必然的にスパートも早めで向正面から徐々に先陣に接近。3、4コーナーでゴールデンクリーク、モエレハナオーを射程圏に入れて勝利パターンに持ち込もうとした。しかし直線を向いてからの伸びがひと息。これは展開によるものが大きいと思うが、勝ちに行っての結果だから仕方なし。あとは前日に盛岡へ入り、ちょっと入れ込んでマイナス6キロの体重減も影響したかもしれない。
4着 モエレハナオー
ゴールデンクリークを終始マークする形でレースを進めたが、ピッチが上がった3コーナーで鞍上の手が動く。4コーナーではノゾミカイザー、リュウノツバサにアッサリ交わされて一杯となったが、大きくバテるタイプでなく4着入線した。
5着 コンバットキック
ジックリ脚を貯める戦法を採り、後方2番手を追走。3コーナー手前では前とは20馬身以上の差が開いていたが、自分の競馬に徹して直線でマズマズの伸びを見せる。
しかし勝負付けが済んでからの入線で、ハイペースにならないと今のところ苦しいかも。
6着 ゴールデンクリーク
エイプリルボーイが逃げ、それをマークする2番手は絶好のポジション。単騎で行くとソラを使うため理想的な展開といえたが、ピッチが上がった3コーナー、エイプリルボーイを交わしてからの反応がひと息。直線は最内で失速し、今年初めて着外に沈んでしまった。「返し馬からおとなしかったし、レースでも行く気がない。夏負けの影響もあると思うが、それにしても負けすぎ」と板垣騎手。
8月31日 第34回ビューチフル・ドリーマーカップ(3歳以上オープン 地方競馬全国交流 水沢1900m)
(ビューチフル・ドリーマーカップ 1着 ジュリア 写真・佐藤到)
1着 ジュリア
連日の雨で極端な不良馬場。ひとまず前日より幾分タイムがかかっており、いくぶん回復傾向にあったが、それでもレースが終わるたびに水が浮いていた。
絶好の1枠に入ったこともあり、ジュリアが予想どおりの逃げ。しかしカネショウプルートが楽に逃げさせないぞとばかり、大外から果敢に攻める。それによってペースは1900m戦にしては若干ペースが速くなったが、1周目4コーナーで流れが落ち着く。参考までにスタートからのラップは推定で6・8―11・2―12・4―12・2―12・9。
逃げジュリア、2番手カネショウプルート、3番手外にサイレントエクセルの隊列は3コーナーまで変わらず、ジュリアは終始1馬身半のリードを取り、徐々に突き放しにかかる。それがジュリアの勝利パターンと各陣営も十二分に承知。後続各馬の手が激しく動いたが、ジュリアとの差は詰まらない。直線に入ってもジュリアは後続が一杯一杯になったのを尻目に、2着に6馬身差をつける圧勝で初の重賞タイトルを手に入れた。
走破タイム2分00秒4は今年、ヤマニンエグザルトが更新したレコードにコンマ5秒でハイタイム決着となった。
「ペースが少し速いのは分かっていましたが、この馬の持ち味を出し切ることに心がけました。残り800mまで来ても手応えが良くて“これなら行けるかも”と。4コーナーでは脚音が聞こえませんでしたが、勝ったなと確信したのは残り1ハロンくらい。この馬に距離は少し長いし、こういう馬場もあまり合わないんですが、よく走ってくれました。チャンスをくださった皆さんにはお礼の気持ちで一杯です」と斉藤雄一騎手。
斉藤騎手は今年デビュー7年目を迎えたが、ジュリアと同様、待望の重賞タイトルを手に入れた。
ジュリアはメイセイオペラ産駒の二世代目。いわゆる典型的な逃げ馬ゆえ勝つか、もしくは大敗かの連続。しかし今年は心身ともに充実し、今季7戦4勝。このレースには2連勝で臨んできたが、前回レース後に飛節軟腫が発生。それでヒザの水を抜いて1ヵ月半ほど間隔が開いてしまったが、逆にこれも好結果につながった。
今後の予定だが、レース後の反動がなければ青藍賞だが、先の症状に加え、球節に若干張りもあり、ジュリアの体調次第ということになる。
2着 サクラアリエル
今回が盛岡から水沢へ転入2戦目。おそらく環境の変化に戸惑ったものと思うが、前走比マイナス18キロと大幅減。実際、体も寂しく映ったしB1からの格下挑戦で10頭中9番人気の支持にとどまった。
道中はずっと6、7番手インの経済コースを進み、有力馬がスパートをかけた3コーナー過ぎでも同ポジション。4コーナーで5番手まで進出し、人気どころがすべて失速したことにも恵まれて2着を確保した。「着狙いに徹したら2着に入着できた」(村松学騎手)
4着 マツリダワルツ
昨年3歳牝馬のトップに君臨したが、4月末のレースで脚部不安が再発して4ヵ月半の休養。ぶっつけでB・ドリーマーCに臨み、馬体重もプラス10キロと重め残りだったが、元々が気のいいタイプでもあり、底力で4着を確保した。
5着 クルセイズ
先陣4頭の直後5番手を追走。ほぼフェアリーCに近い位置取りだったが、前回のような伸びが見られずサイレントエクセルよりひとつ上の着順に止まった。
6着 サイレントエクセル
返し馬で板垣騎手は気合いをつける意味で強いキャンターを消化。これはフェアリーCで「気が走るほうに全然向いていない」からで、鞍上は必死に気合い回復に務めていた。
レースは不利をまったく受けない3番手外を追走。向正面まで手応えも悪くなかったが、3コーナーから満を持してスパートをかけても反応がなし。むしろ前からどんどん離される一方で着外6着に沈む。
一昨年、そして昨年と同レースを圧勝。牝馬?1の座に君臨し、牡馬とも互角以上の勝負を演じていたが、今年はフェアリーCの2着が最高で他は“らしさ”の片りんすら窺えない。当面は本調子を取り戻すことが先決だろう。
7着 カネショウプルート
スタート直後はジュリアに馬体を併せる形で追走。ペース落ち着いてからも終始2番手につけていたが、勝負どころから手応えが怪しくなる。前回・フェアリーCでは3着に善戦したが、その時は古馬とのハンデ差が4キロに対し、今回は2キロ差。現時点で3歳馬にはこのハンデは酷な条件かもしれない。
8月24日 第13回りんどう賞(2歳オープン 水沢1400m)
1着 ワタリシンセイキ
前日から雨が断続的に降り、水が浮いた極端な不良馬場。出走全馬がこのような馬場でレースをした経験がなく、それへの対応力も試された。
レースはマーチボーイが逃げ、2番手外にフェニックスクイン、インにフジフーフーの隊列で進み、若干ハイペース模様。ワタリシンセイキは前回同様、後方でジックリ待機して馬群がバラけた1コーナーでうまく外に持ち出す。
相手はマーチボーイ1頭と踏んだ関本淳騎手は2コーナー過ぎから早くもスパート。常識的にはスパートが早いと思うかも知れないが、これが好判断となり3コーナーでマーチボーイの3馬身後ろにつけて射程圏に入れる。
直線では1馬身差まで詰め寄り、いつでも交わせるかにも見えたが、そこからマーチボーイが強じんな粘りを発揮。内マーチボーイ、外ワタリシンセイキのマッチレースとなったが、ラスト50mでワタリシンセイキが振り切って2馬身差。ダート3連勝を飾るとともにビギナーズカップに続いて特別2連勝。2歳ダート戦線で完全に抜け出した。
「ゲート出は悪くないが、前に行こうとする気がないため、このような競馬になるのはある程度覚悟していた。でも決してズブい訳ではなく、2コーナーから仕掛けたら素早く反応。追えば追うほど伸びてくれるし、控えろと指示すれば素直に従ってくれるので非常に乗りやすい。直線でマーチボーイに並んだときに勝利を確信しました。2歳とは思えない大人のレースができる馬ですね」と関本淳騎手。
その言葉どおり2コーナー過ぎからロングスパートをかけてもバテることなくグイグイ進出。このタイプは1頭で先頭に立つとソラを使う馬も多いが、ラストまでしっかりと伸びる。走破タイム1分27秒9も2歳では出色で、今後の活躍も非常に楽しみになった。
「今回は1枠に入った上、泥んこの不良馬場。砂を被って怯んでしまわないか心配でしたが、まったく関係なし。また一つ勉強したでしょうし、こちらとしても収穫が大きい一戦となりました。今後は1開催休ませてからテシオ杯ジュニアグランプリ(9月21日 盛岡芝1600m)を使ってみたい。デビュー2戦、芝で凡走しましたが、距離1000mが合わなかったのではと思っています。1600mあれば芝も問題ないだろうと踏んで、あえて使います」と三野宮調教師。
2着 マーチボーイ
デビュー戦と同様、自慢のスピードを生かして予想どおりの逃げ。前半3ハロン37秒前後はやや速いペースだったが、この馬にはマイペースだったか。後続を1、2馬身離して快調に飛ばし、直線に入ってもスピードはまったく衰えず。
さらに驚いたことには外からワタリシンセイキに並ばれると根性を発揮。一旦交わされながら、また差し返し見せ場十分。さすがにラスト50mで苦しくなったが、850mから1400mへ一気に距離延長を克服。こちらもかなりの器と見て間違いないだろう。
3着 フジフーフー
マーチボーイとのハナ争いで譲り、3番手インに控える。道中ずっと砂(この日は泥んこ)を被る展開を強いられたが、それに怯まず追走。最後は決め手の差が出た格好だったが、離されたにせよ3着は健闘だろう。できれば内枠ではなく、マーチボーイより外枠に入りたかった。
4着 フェニックスクイン
初輸送、初の水沢、初ダートなど初モノ尽くめだったが、2番手外を終始キープして4着。これはキャリアの差もあったが、4着なら上々。次走も楽しめる。
5着 ダンストンジール
道中は中団インを追走したが、勝負どころの3コーナーでもたつく。これでビギナーズカップに続いて連続5着。芝に替わって反撃に転じたい。
8月18日 第13回クラスターカップ(Jpn? 水沢1400m)
1着 プライドキム
「ゲートをでたら気合いをつけて前へ行け」(川島調教師)の指示どおり、逃げたタイセイアトム、2番手ディープサマーの直後3番手外を追走。12秒前後のハイラップを楽に追走し勝負どころの3コーナーからスパート。4コーナー手前でディープサマーを交わし、タイセイアトムに並ぶやラスト200m過ぎに先頭。外を回ってフェラーリピサがジワジワ接近してきたが、直線半ばで再び突き放して1馬身半差で完勝。
06年、オリエントボスがマークした水沢1400mを1秒も短縮、1分24秒3のレコードを樹立した。
「初騎乗だったので、追い切りでまたがらせてもらったがスピード、パワーとも物凄かった。実際のレースでも道中折り合いがついて非常に乗りやすくて3コーナーあたりから仕掛けたら反応が抜群。4コーナーで内田さん(タイセイアトム)に並んだ時、これならいけると思ってがむしゃらに追った。このようなチャンスをいただいたオーナー、調教師に感謝したい」と川島正太郎騎手。
プライドキムはJRAデビュー2戦目から2連勝を飾り、一戦置いて兵庫ジュニアグランプリ(G?・当時)、全日本2歳優駿(G?)を連勝。しかし、その後は頭打ちのレースを繰り返し07年1月、船橋・川島正行厩舎へトレード。前走比プラス24キロと大幅増だったにもかかわらず、いきなり初戦・船橋記念(1000m)を快勝し続く報知グランプリカップも優勝。
復活を遂げたと思った矢先、11ヵ月の長期休養。08年1月、ひとまず復帰を果たしたが、なかなか勝ち切れず京成盃グランドマイラーズ大差12着後、2ヶ月の休養を挟んでこのクラスターCへ駒を進めた。
「脚元が弱く使い込めなかったが、今回は最終追い切りで抜群の反応だったので秘かに期待していた。レース間隔を開けたのも良かったかもしれない」と川島調教師。
前走比マイナス16キロの503キロと大幅減で臨んだが、中央時代は最高でも494キロで使われてきた馬。レース前はこれも不安材料だったが、まったく関係なかった。次走以降は未定だそうだが、「このような競馬ができるのなら、JBCスプリントに挑戦してもおもしろいかも」と川島調教師。
2着 フェラーリピサ
前半は中団に位置し、向正面から早めにスパートをかけて徐々に先陣グループに肉薄。「4コーナーで射程圏に入れたと思ったが、切れがなかった」(岩田騎手)ため、直線入り口でプライドキムに最接近したが、その後はジワジワ離されてしまった。「58キロの負担重量が影響したのか前に行ける脚がなくなったかも」と岩田騎手。
3着 トーセンブライト
先行4騎を見る形でレースを進め、各馬がスパートをかけた3コーナーで追走に手こずる。その遅れが致命傷となり、直線で一杯となったタイセイアトムを交わして3着確保がやっとだった。「小回りすぎた」と藤田騎手。
4着 タイセイアトム
12頭立て11番枠に入ったのは痛かったが、馬なりで先手を奪う。ハロン12秒前後の絶妙のペースで逃げたが、プライドキムのマークがきつく直線入り口で交わされてしまっては如何ともし難かった。「このペースで逃げて負けたら仕方ない」(内田博幸騎手)
7着 メイショウバトラー
スタートは決して悪くはなかったが、外から被せられて1コーナーで折り合いを欠き鞍上が1コーナーで立ち上がる。その後は4番手インを追走したが、各馬にスパートをかけられても反応ひと息。ほとんど見せ場を作れず7着に沈んだ。「枠順(1枠)がつらかった。最内だと1コーナーでブレーキをかけるしかなかった」と武幸四郎騎手。