
10月13日 第21回マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn? 盛岡ダート1600m)
1着 ブルーコンコルド
逃げ馬2頭ジュリア、コンゴウリキシオーが激しく先行争いを演じると思ったが、コンゴウリキシオー=藤田騎手が手をしごいて譲らない構えを見せたので、ジュリアがスッと控える。それでコンゴウリキシオーがすんなりハナに立ち、半馬身差後ろキングスゾーン、内にジュリア、3馬身離れてメイショウバトラーがつける。
ブルーコンコルドは大外14番枠に入り、どのような戦法を取るか注目を集めたが、正攻法の5番手大外を追走する。当初、馬群をさばくのに苦労する可能性もあったものの、最初からバラけた展開になったのも味方して好ポジションをキープ。
3コーナー直後、コンゴウリキシオーが一杯になって失速。替わってキングスゾーンが先頭に立ったのもつかの間、メイショウバトラーが早めに交わして後続を引き離しにかかる。
直線入り口では3馬身以上のリードをつけ、そのまま押し切るかに見えたが、相手はメイショウバトラー1頭と踏んだブルーコンコルドが一完歩ごとに差を詰めにかかる。メイショウバトラーも必死に逃げ込みを図ったが、ラスト100mで脚があがる。
その一方でブルーコンコルドのスピードは衰えろどころか、さらに加速されラスト50mでメイショウバトラーを捕らえると、あとはぐいぐい突き放し最後は余裕を残してゴールに入った。
一昨年の着差がクビ差(2着ヒシアトラス)、昨年が半馬身差(2着ワイルドワンダー)に対し、今回は2馬身差(0・3秒差)もつけたのだから最も強いレースを披露したと言っていいだろう。
「今までで一番強いレースで勝ってくれた。道中、マークしていたのは前のメイショウバトラー、あとはワイルドワンダーの動向だったが、最初はメイショウバトラーを追いかける形で進め、直線に入ったとき、ハミを取ってくれたのでこれで大丈夫だと思った。3連覇は意識していなかったが、できれば嬉しいなと思って騎乗したらこの内容。盛岡コースとも相性がいいんでしょうね」と幸騎手。
「休養明けで追い切りが1本足りないかとちょっと不安な面もあったが、パドックへ入った段階で格好悪い競馬はしないなと思った。3、4コーナーでメイショウバトラーがあれ位のリードなら射程圏。これだったら捕まえ切れるなと思っていた。年齢を重ねているが、以前は淡白なレースしかできなかったが、今日は逞しいレース。昨年の南部杯を勝ってから白星がなく、G?7勝の壁は凄く厚いんだなと感じていただけに、今日の勝利は本当に嬉しい。今回の仕上がりでこの位の競馬ができたのも収穫だし、勢いをつけて8冠を取らしてやりたいね。次走はJBCクラシックではなくてスプリントを予定している」と服部調教師。
今年のJBCスプリントは11月3日、園田1400mが舞台。これが1200mなら微妙だっただろうが、ブルーコンコルドのベストは1400〜1600m。今回のレース内容、そして久々を叩かれた上昇度を加味すればダートG?8勝の可能性は非常に高くなった印象を受けた。
2着 メイショウバトラー
スタートから600m過ぎ、コンゴウリキシオー、キングスゾーンの2頭をにらんで3馬身後ろを追走。3コーナーでコンゴウリキシオーが失速したのを見て馬なりでスパート。一気にキングスゾーンも交わして後続をグイグイ突き放しにかかり、直線入り口では3馬身以上のリード。
意表とも言える武豊騎手の絶妙の手綱さばきでそのままゴールまで押し切るかと思ったが、ラスト100mで脚色が一杯。ブルーコンコルドの勢いには抗しきれなかったが、ワイルドワンダーの追撃は封じて2着を死守した。
「うまくいったと思ったが、相手が強すぎた」と武豊騎手。こちらもJBCスプリントへ向かう予定。
3着 ワイルドワンダー
5番手を追走するブルーコンコルドを完全にマークする形で3、4馬身あとを追走。スパートをかけたのもほぼ同時で等間隔のまま直線へ。昨年はブルーコンコルドとの差をグングン詰めて半馬身差まで肉薄したが、今年はブルーコンコルドの上がりが36秒5に対し、ワイルドワンダーの上がりは36秒8。道中の位置取り、そして上がり比較でも明らか。ブルーコンコルドとの着差は如何ともしようがなかった。
敗因を探れば前走(プロキオンステークス)からプラス10キロ。3ヶ月ぶりの実戦だったにせよ、これまでの連対時の最高馬体重が461キロ(昨年の南部杯)で、それよりもプラス4キロの465キロ。これが本来の伸びを欠いた原因だったかもしれない。
4着 キングスゾーン
逃げたコンゴウリキシオーの外にぴったりとつけ、押し出される格好で3コーナー先頭。そこからリードを取ろうとしたところ、出し抜け的にメイショウバトラーに交わされる。この展開になるとさすがに苦しかったが、昨年同様、何とか4着を確保した。
9月28日 第10回岩手県知事杯OROカップ(3歳以上オープン地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)
1着 クルセイズ
メンバー中一番のスタートを決めたが、モエレフェニックスが先手をアピールしたのを見て4番手インにスッと控える。道中ずっと同じポジションを取り、3コーナーで展開が動いてもじっと我慢。
3コーナーで先頭に立ったカネショウエリート、それを追いかけるサクラエキスプレス、大外から伸びてきたボスアミーゴが直線入り口で並んだところ、クルセイズはぽっかりと開いた最内から絶妙のタイミングで抜け出す。
3頭がけん制し合って外にコースを選んだ一方でクルセイズはコーナー、コーナーを最経済コースで回って先頭。盛岡芝の特性を最大に活用した沢田騎手の奇襲戦法がズバリはまり、大外強襲ボスアミーゴの追撃をハナ差封じてそのままゴール。重賞初制覇を大金星で飾った。
「好スタートを切ったので逃げようかと思いましたが、それでは目標になるだけと我慢してとにかく内々を進むことにした。直線では先頭に立ったけれども、ボスアミーゴは姿が見えたと思ったら、次の瞬間には交わされているような馬だから、今日も後ろに姿が見えた時はすっかり観念したが、なかなか近づいてこない。それで必死に追ったら凌ぎ切ってくれた。この勝利は本当に嬉しいですね」と沢田騎手。
今後は当初の予定どおり芝2レース、パンジー賞(10月12日)から重賞・きんもくせい賞(10月26日 両レースとも盛岡芝2400m)を最大目標に置いている。その後はダートでも悪いわけではないので、狙えるところは狙っていきたいと佐々木由則調教師。
2着 ボスアミーゴ
トライアル・桂樹杯のレース後、「勝つには勝ったが、ズブさが出てきて道中の反応がひと息」と菅原勲騎手が語ったが、その印象があったのだろう、今回は積極的に中団外目を追走。
勝負どころの3コーナーでピッチが上がり、鞍上・菅原勲騎手もゴーサインを出したが、いつもの爆発力が見られない。ひとまず4コーナーでカネショウエリート、サクラエキスプレスに並び2頭を突き放し、最内クルセイズを一完歩ごとに差を詰めたが、捕らえ切れずには到らず。史上初の盛岡芝重賞を完全制覇は達成できなかった。
「追ってからの動きが物足りない。完全にズブくなってしまってシャープさが影を潜めてしまったのか、現時点では分からない」と菅原勲騎手。
こちらもクルセイズと同様、パンジー賞からきんもくせい賞のローテーションで行くという。
3着 ピンクゴールド
じっくり待機策に徹し、後方3番手を追走。3コーナーでも小林騎手は動かなかったが、馬なりで徐々に先陣へ接近。直線を向いて満を持してスパートをかけ、大外からメンバー中最速の上がりを使って伸びる。1、2着とのタイム差は0・2秒と勝負付けが済んでからの入線だったが、初の古馬オープン相手にこの結果は上々といえる。
「初の一線級が相手なので持ち味を最大限出せるように心がけた。馬場が柔らかくノメっていたが、それでこれだけ走れば立派でしょう」と小林騎手。
4着 オグリオトメ
位置取りはボスアミーゴとほぼ同じ。こちらは内に入れ、スパートも同じく3コーナーからでジワジワと前へ進出。同世代のピンクゴールドに首差負けだったが、前走・ローズステークスからわずか1週間。その疲れも残っていたことを考えれば4着も納得ではないか。「ダートでもソコソコの結果を出しているが、本質的には芝が合うと思っていた」と佐藤友則騎手。
5着 サクラエキスプレス
「無理に行かない方が脚を使えるので控える戦法にした」と関本淳騎手の言葉どおり先陣5番手の外を追走。3コーナーでモエレフェニックスが失速し、カネショウエリートが先頭。それに合わせて動き、4コーナーではカネショウエリート、ボスアミーゴの間に入って横一線。直線でも渋太く粘っていたが、最後は勢いがなくなって5着。「芝専門にもちょっと厳しい馬場になった」(関本淳騎手)
6着 カネショウエリート
前回は大外だったこともあって4、5番手からの競馬だったが、今回は内3枠に入り2番手を追走。3コーナーで早め先頭に立ったものの後続のマークもきつく直線で一杯となる。
「決め手勝負に持ち込むと分が悪いので前で粘る形を取ったが、本物の芝馬ではないので切れるオープン馬が相手だとちょっと苦しい」(村上忍騎手)
9月21日 第10回テシオ杯ジュニアグランプリ(2歳・地方競馬全国交流 盛岡芝1600m)
1着 エイブルインレース
マーチボーイが逃げ、2番手にアンダージョイナー。エイブルインレースはその外3番手の絶好ポジションをキープ。1コーナーでちょっと行きたがったが、うまく宮崎騎手がなだめて折り合いをつけ、終始3番手外を追走。
道中いつでも前の馬を交わせる態勢だったが、宮崎騎手は追い出しをギリギリまで我慢。直線を向いてから満を持して追い出しをかけたが、一瞬もたもたするシーンも。これは「物見をしたから」だそうで、ラスト100mでマーチボーイを交わすとあとは独壇場。あっと言う間に後続を3馬身突き放し、余裕たっぷりでゴールに入った。
「地元3戦とも逃げたが、スピードが違うため押し出される格好となったから。早め先頭に立つとソラを使うので、追い出しをできるだけ遅らせようと心がけた。前回・クローバー賞では初芝だったにもかかわらず、いい競馬をしてくれたが、4コーナーで前がふさがれる不利。それで脚を余して負けたので、今回は絶対に勝たなければと思って乗ったが、理想的な競馬ができた。まだ気性的に幼い面があるが、これからもっと良くなってくれるはず」と宮崎騎手。
前回・クローバー賞3着、そして今回ジュニアグランプリを完勝し芝の適性十分。父フジキセキ、母父デピュティミニスターの配合はカネヒキリと同じ。牝馬で480キロ前後と馬格も申し分なく、大物の雰囲気を漂わせ、気性面などを考えると今後さらに飛躍しそうな予感。
JRA芝路線をメインにローテーションを組んでいくという話だから、これからの動向にも目が離せなくなった。
2着 イシノイングランド
道中は中団インにつけ、向正面から内をついてスパート。4コーナーで馬群がごちゃっと固まったが、うまく間を割って抜け出しゴール寸前でマーチボーイを交わす。
デビュー3戦とも7着に沈み、しかも離されての入線を繰り返す。スタートで出遅れるクセと気性難でなかなか頭角を現せなかったが、徐々にレース勘を身につけ7戦目に待望の初勝利をマーク。しかし前回、直線鋭く追い込んできたが5着に止まったため、10番人気の低評価に甘んじていた。
当日の馬体重がプラス4キロの422キロ。連闘で使ってきてこの体重増も好走につながっただろうし、南郷騎手の早め積極策も功を奏した。
今回もゲートが開く直前に立ち上がったように、精神的な成長が待たれるとことだが、なかなかいい脚を持っている。
3着 マーチボーイ
初の盛岡、初芝、初の1600m、初輸送など初モノ尽くめだったが、パドックでは入れ込まず堂々としたもの。絶好の1枠を引き当てた上、競りかける馬も不在でマイペースの逃げに持ち込む。マーチボーイの特長はスピードと折り合いの良さだが、それを全面に生かして4コーナーまで手綱はガッチリ。
さすがに初距離が響いてラスト100mで一杯となったが、諸条件を克服できたのは何よりも収穫だったに違いない。
4着 カミノフジ
デビュー芝1000m、ダート1200m戦を連勝してJRA新潟・マリーゴールド賞へ挑戦。しかし中央の壁は厚く、レコード決着のしんがり負け。その後は立て直しを図り、りんどう賞(水沢1400m)へ駒を進めようとしたが、挫石のアクシデントが発生して自重。それで復帰まで2ヶ月ほどかかってしまったが、当日のパドックではその影響は見られなかった。
道中はエイブルインレースをマークする格好で進め、勝負どころで反応ひと息。それでエイブルインレースからちょっと離されてしまったが、直線で盛り返して僅差の2着争いに加わる。
5着 ワタリシンセイキ
1周目スタンド前では最後方を追走。スローの流れを意識して早めに向正面からスパートをかけ、4コーナーでは一旦エイブルインレースに並ぶシーンもあったが、見せ場はそこまで。直線では脚色が鈍って5着に沈む。
デビュー2戦は芝で4、10着。その後、地元水沢のダート戦に替わって別馬のような反応を披露し特別2勝含めてダート3連勝をマーク。
「デビュー2戦は芝1000mの忙しい競馬が合わなかった。今の充実度なら芝でも好走できるのでは…」(三野宮調教師)と踏んでこのレースに臨む。
確かに芝そのものには戸惑わなかったようだが、ワタリシンセイキの良さはいい脚を長く使える点。半面、ピリッとした脚がないため瞬発力を要求される芝は、本質的には向かない印象だった。
9月14日 第31回桂樹杯(3歳以上オープン 盛岡芝1600m)
(桂樹杯ゴール 写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
いつもどおりのスタートを切り、後方4番手につける。ただ「年々ズブくなってきているし、前2回が2400m戦。久々のマイルに戸惑って追走するのにてこずった」(菅原勲騎手)そうで、3コーナーでちょっとモタモタするシーンも。
それでも行き脚がついた4コーナーからの伸びに役者の違いがマザマザ。馬群が固まった直線では大外からアッサリ抜け出し、後続を一瞬のうちに突き放して完勝。芝4連勝をマークした。
「以前は掛かって折り合いに苦労していたが、ズブくなっているので逆にマイルは短すぎるかも。それでも4コーナーを回ってからは大丈夫だと思ったし、切れは健在。次走、OROカップは100m延びるので今ならその距離の方が合うでしょう」と菅原勲騎手。
2着 サクラエキスプレス
外ウエスタンフォルスが手をしごいて先手を取ったので、無理をせず2番手外に控える。流れは明らかにスローで、サクラエキスプレスも楽に追走できたのが最大の好走要因。直線入り口でウエスタンフォルスを交わして先頭に立ち、直線半ばでちょっと苦しくなってヨレるシーンがあり審議の対象になったが、着順を変更するには到らずクルセイズ、カネショウエリートの追撃を封じて2着を死守した。
芝2400mのかきつばた賞、せきれい賞は距離の壁に泣いて着外に沈んだが、今回はマイルに距離短縮されて持ち味を出し切った。
3着 クルセイズ
道中は5番手インにつけ、ボスアミーゴが動いたのを見てスパート。直線では馬群を割って抜け出そうとしたところサクラエキスプレス、ボスアミーゴの間に挟まれて出場所をなくしたが、ラストでまた盛り返して3着入線。
前2走は水沢ダート、その前は盛岡芝・ダートと条件が毎回替わりながらも常に上位へ食い込んでくるのには頭が下がる。今後も目が離せない存在だ。
4着 カネショウエリート
終始4番手外を追走し折り合い、手応えも上々。4コーナーを回って2着を確保しそうな勢いがあったが、ラスト100mでクルセイズ同様、進路が狭くなる不利が痛かった。
しかしボスアミーゴは別格として初の一線級相手にクビ、クビ差の2着争いを演じたのだからマズマズの結果。オープンのペースにも慣れただろうから、さらに好勝負に持ち込めるかもしれない。
9月15日 青藍賞(3歳以上オープン・地方競馬全国交流 盛岡ダート1600m)
1着 トーホウライデン
前半はジックリ7番手に待機し、3コーナーから満を持して高橋悠里騎手がゴーサインを出すと、素早く反応。ラスト200mで前にいたダークマター、メタモルキング、ブラーボウッズらをアッサリ交わし、大外を強襲したソーユアフロストが接近するとまたひと伸び。完勝に近い内容で重賞2連勝を飾った。
「クラスターカップの取り消しは残念だったが、馬体を回復させてからは攻め馬を十分にこなして出走できた。それでも走る前は半信半疑だったが、盛岡は本当に走る。瞬発力に思わず熱くなった」と高橋悠里騎手。
テンショウボスが回避、そしてサイレントエクセルは今回は7着と昨年のトップ・ツーが順調さを欠いて混沌としたままで後半戦に突入。いわゆる団子状態で低空飛行を続けているが、その中でトーホウライデンの重賞2勝は光る。
次走・南部杯は全国の強豪がそろい、どう考えても岩手勢では歯が立つと思えないが、今回を叩かれた上積みを見込めば電光掲示板に載る可能性も少し出てきたか。
2着 ソーユアフロスト
道中は後方2番手を進み、トーホウライデンとほぼ同時にスパート。直線を向いてトーホウライデンとの差を徐々に詰めて一瞬、捕らえそうな場面もあったが、再び離されてしまった。それでもメンバー中最速の上がりを使ったことは収穫だった。「直線で差せるつもりで精一杯に追ったが、捕らえ切れなくて凄く悔しい」と高松亮騎手。
次走は選ばれれば、の条件で南部杯に向かいたいと佐藤雅彦調教師。
3着 ダンディキング
自分の競馬に徹することに心がけ、ずっと5番手をキープ。先に仕掛けたブラーボウッズには先着したが、上位2頭とは決着がついてからの入線。「年を重ねてカリカリしなくても力を出せるようになった。このメンバーなら力は五分だから、いずれチャンスがあるかも」と草地騎手。
4着 ブラーボウッズ
オープンにしてはさほどペースは速くなく、鞍上・菅原勲騎手はみちのく大賞典の再現を狙って早めにマクリをかける。それで各馬のピッチも上がり、ブラーボウッズは4コーナーで3番手まで進出したものの、そこで脚が止まってしまった。
6着 ヤマニンエグザルト
すずらん賞では好位追走したが、今回はコースが替わったにせよ後方2番手からの競馬。直線を向いてようやくエンジン全開したが、すでに勝負付けが済んでからでは如何ともし難かった。「全然、ハミを取ってくれなかった。たまにあると聞いていたが、それにしても動かなすぎ」と小林騎手。
9月7日 第40回不来方賞(3歳オープン・地方競馬全国交流 盛岡ダート2000m)
(不来方賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 ピンクゴールド
エイプリルボーイが逃げ、2番手ゴールデンクリーク、その外モエレハナオー、内リュウノアシェイブ、4番手インにリュウノツバサ。ノゾミカイザーは先陣を見ながら3馬身離れた6番手を追走し、その後ろにピンクゴールドがつける。
向正面、ノゾミカイザーが徐々に前へ接近し、ピンクゴールドはワンテンポ遅らせてスパート。4コーナーで内からゴールデンクリーク、モエレハナオー、ノゾミカイザー、リュウノツバサの順で横一線。そこから2馬身差でピンクゴールドも追走し、ラスト200mでリュウノツバサが抜け出して先頭。そのまま押し切るかやに見えたが、外ピンクゴールドが強襲。
ラスト50mで一旦、脚色がいっしょになって両馬が並んだままもつれたが、ピンクゴールドがリュウノツバサを突き放してゴール。小林騎手は快心の一番に、久々のガッツポーズを披露した。
「若干時計がかかっているし、2000mなのでペースが上がらないのは分かっていた。3コーナーで有力馬がスパートをかけたが、自分に『まだ早い、まだ早い』と言い聞かせて我慢した。一瞬の脚は持っている馬なので、これが好結果につながったと思う。休み明けでも気のいい馬だからソコソコの競馬をするとは思っていたが、まさか勝てるとは思わなかった。次にも同じようなレースができれば本物だろうが、今はとにかく嬉しい」と小林騎手。
ピンクゴールドは冬休み明け今年3月の特別開催で馬体重がマイナス18キロと大幅減。結果も5着に終わり、続く菜の花賞ではさらに7キロ減って412キロまで落ちて2着に敗退。重賞・日高賞で430キロまで回復したものの、カネショウプルートに完敗。
カネショウプルート不在のあやめ賞は貫禄で制したものの、ひまわり賞でも同馬に再び完敗を喫し、芝に活路を求めたが、はまなす賞3着、オパールカップ6着に敗れ、一旦休養。今回は7月13日以来、約2ヶ月ぶりの実戦となった。
おそらくピンクゴールドにはそれも好結果につながったに違いない。というのは元々、飼い葉食いが細いため調整が非常に難しいタイプ。このレースでも前走比プラス3キロ(425キロ)と微増にすぎなかったが、それでも乗り込みをちゃんとこなした上でのプラス体重に、小林義明調教師も一安心していた。
小林騎手のコメントにもあるとおり、次走で結果がでなければ不来方賞の勝利はフロックと言われるだけに、陣営も気を緩めることはできないが、レースを絞っていけばそれ相応の走りを見せてくれるだろう。
2着 リュウノツバサ
大外12番枠を引き当て、ちょっといやな予感もあったが、沢田騎手が徐々に内に進路を変えて5番手に控える。ちょうどモエレハナオーの後ろで砂を被らせて、うまく折り合いをつける。
残り800m標識、先にノゾミカイザーが仕掛けたのを見てリュウノツバサも外に出して先陣に接近。コースは違うがクリスタル賞と同じ位置からスパートをかけ、直線すぎて先頭に立ったノゾミカイザーを交わす。沢田騎手も「これで大丈夫だな」と思ったそうで人気上位馬をすべて振り切ったが、その外からピンクゴールドに襲い掛かられては如何ともし難かった。
折り合い、仕掛けどころ、そして手応えも反応も文句なし。懸念材料だった2000mも克服し、3着以下には4馬身差。沢田騎手はパーフェクト騎乗だったし、リュウノツバサもそれにしっかり応えたが、最後の最後で二冠を逃してしまった。これが競馬の難しさであり、おもしろさでもあるのだろう。不来方賞で最も強いレースをしたのは間違いなくリュウノツバサだった。
3着 ノゾミカイザー
東海ダービー(12頭立て)が8番手、ジャパンダートダービー(15頭)、黒潮盃(16頭)が12番手追走と本来は追い込みタイプ。おそらくスローの流れを意識したと思うが、吉田稔騎手はいつもより積極策に出て6番手を追走。
必然的にスパートも早めで向正面から徐々に先陣に接近。3、4コーナーでゴールデンクリーク、モエレハナオーを射程圏に入れて勝利パターンに持ち込もうとした。しかし直線を向いてからの伸びがひと息。これは展開によるものが大きいと思うが、勝ちに行っての結果だから仕方なし。あとは前日に盛岡へ入り、ちょっと入れ込んでマイナス6キロの体重減も影響したかもしれない。
4着 モエレハナオー
ゴールデンクリークを終始マークする形でレースを進めたが、ピッチが上がった3コーナーで鞍上の手が動く。4コーナーではノゾミカイザー、リュウノツバサにアッサリ交わされて一杯となったが、大きくバテるタイプでなく4着入線した。
5着 コンバットキック
ジックリ脚を貯める戦法を採り、後方2番手を追走。3コーナー手前では前とは20馬身以上の差が開いていたが、自分の競馬に徹して直線でマズマズの伸びを見せる。
しかし勝負付けが済んでからの入線で、ハイペースにならないと今のところ苦しいかも。
6着 ゴールデンクリーク
エイプリルボーイが逃げ、それをマークする2番手は絶好のポジション。単騎で行くとソラを使うため理想的な展開といえたが、ピッチが上がった3コーナー、エイプリルボーイを交わしてからの反応がひと息。直線は最内で失速し、今年初めて着外に沈んでしまった。「返し馬からおとなしかったし、レースでも行く気がない。夏負けの影響もあると思うが、それにしても負けすぎ」と板垣騎手。